ぶるがり屋 2012/09/04 13:02

るるいえあんてぃーく クトゥルフ神話TRPGリプレイ 感想

クトゥルフ神話TRPGリプレイ るるいえあんてぃーく (ログインテーブルトークRPGシリーズ)
著者:内山 靖二郎
販売元:エンターブレイン
(2009-12-12)
販売元:Amazon.co.jp
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2009年発行 内山靖二郎作、狐印画
ほぼ日本で唯一のクトゥルフ神話TRPG公式リプレイ第3弾。
そして『這い寄れ! ニャル子さん』を迎え、クトゥルフTRPGの人気再生となった
『るるいえ堂シリーズ』第1巻!
萌えと見せて本格的コズミックホラーなリプレイ。始まりです。

…何とか4巻発売前に感想を終わらせたい…!


リプレイとしての位置

前作『みなせゼミ』シリーズの人気に応え、かつその反省点を元に、当時から話題になっていた『這い寄れ! ニャル子さん』狐印絵師を迎えての本格的だけどキャッチーなリプレイ作品として生まれたのだと思います。
「リプレイを商業的作品として売るぞ!!」という気概と計画性を以て生み出されたものだと。
結果ソード・ワールド以外では数少ない、4巻(2012年9月現在)まで出る長期シリーズにまで成長しました。
いまや立派なクトゥルフTRPGリプレイ代表作ですね。

普通、商業リプレイと言えば最新サプリメントの活用・投入が当たり前ですが、(殆ど異国や邪神の都市のものなので)物語を優先してか、そこら辺がほぼ無いのが特徴でしょうか。

あらすじ

現代日本、東京郊外にある怪しい骨董店『るるいえ堂』。
店主が世界中を回って不在の中、そこに集まる普通な筈の4人に、何故か…大体るるいえ堂に置かれた商品のせいですが…次々と宇宙的恐怖(コズミックホラー)事件が舞い降りる!
4人の命、そしてSAN値の明日はどっちだ!!

SAN値/正気度:キャラクターの能力値の一つ。どれだけ正気を保っているかの値で、クトゥルフTRPG最大の特色。
プレイ中に衝撃的な事物に合うと減り、その減り方によって情緒不安定になったりパニックになったり。
これが0になると完全に発狂し、ゲームオーバー。


感想

キャラええなー (小並感)
シナリオが面白い上に、第一話から全員キャラが立ってて生き生きしてるが良いですね。
老若男女、常識人からちょっとダメ人間、控え目から巨乳と取り揃え。
さやかちゃんがよくクトゥルフを分かってないのも読者視点に近く良いアクセントで、また専門用語の解説もネタ入りで読み易く分かり易く、初心者もストレス無く楽しく読めるのではないでしょうか。

シナリオ内容も閉ざされた洋館、夏バカンス先でのスプラッタ、古村の伝奇物とバリエーション豊かに、またきっちりホラーで素晴らしい。
特に3話の静かな狂気と目に浮かぶような美しい情景描写は大好きです。

色々な側面を持つクトゥルフなだけに、「プレイヤーにテーマを伝える」事の重要性がよく分かります。
雰囲気を掴んで何に怖がれば良いのか、何を重視して頑張れば良いのかとっかかりが有ると無いとでは、プレイの進み方が全く違います。
ゲームによっては、その意味でプレイの最初にシナリオの題名を言うものも有るぐらいですからね。
まぁ個人的には2話はグロ過ぎ、3話は辰巳先生にキツ過ぎると思いましたが(笑

ソードワールド2.0の5巻で、アンセルム初恋の女性の触れ合いシーンが削られたのも今作を読むと納得です。
初恋の女性の惨たらしい運命と死、それを臨場感たっぷりにやられては…
正直、辛い(笑

そしてSAN値ゼロ、永久的発狂者の誕生。
ある意味このゲーム最大の見せ場ですね(笑
この状況の難しさと面白さも説明しながら、怪しく可笑しいものになったと思います。
「こういうのでも良いんだ」と表示出来たのは大きいのではないかと。
いつも行方知れずになったり狂信者になったりじゃ寂しいですものね。

話題性あるキャッチーな表紙と導入から、しっかりハードで読ませる作品に仕上がっていると思います。

イラスト

ちょっとエロくて、何より可愛い。
TRPGでここまで萌え絵なのも珍しいのですが、元々ライトノベルからこっちに来てもらった訳ですから当然ですね(笑
可愛くて健康的な美少女からしっとりした美女、渋い老学者に、もちろんぬるりぐちょぐちょな化け物までしっかり描かれており、クトゥルフファンも納得ではないでしょうか。
アトラック=ナチャはちょっとシンプル過ぎるよーな気もしますが(笑
あと、怪異やモンスターよりメイドドレス姿や水着シーンが重要視されてるのは…まー仕方ありませんか(笑

キャラ感想

さやかちゃん

叔父さんを慕う真っすぐ女子高生。難問は空手キックで解決だ!!
当リプレイ主人公的キャラ。
守るべき人が居たら迷い無く飛び出す勇気と強さを持つ、純真熱血少女です。
このゲームではついつい保身に走ってしまいがちですので、こういうキャラを見ると心が晴れやいできます。
テンパると本当に空手キックで解決しようとするのはご愛嬌(笑

京ちゃん

辰巳先生に心酔するおしかけメイド。オタク思考なちょっとダメ人間。
巨乳担当のえせメイドさん。資産家の娘でスタイルも良い美人なのですが、色々と残念(笑
3話で発狂しちゃうんですが…
うん、たしかにタガがいつも外れているので、狂人になってもあんまり変わらないですね(笑
うん、初期SAN値30は仕方ないよ…

辰巳先生

学識豊かな老人教授。行動力溢れる紳士だが、今回は踏んだり蹴ったり!?
白髪眼鏡の小柄な老先生。社会的地位もあり、若く自己中的な他のメンバーをまとめるパーティーリーダーてきキャラ。
しかし魔法を使うのに必要なPOWが奪われたり、知人がスプラッタをしたりなったり、果ては初恋の人と悲劇的な再会・別れと、本当にヒドい目ばかりなのは本当に可哀想で可哀想で。
ある意味主人公なんですけどね(笑
京とどうするのか、どうなってしまうのか非常に楽しみです!

佐々原さん

女好きの色男。堂々と二股する、ある意味男の鏡?
長身の新進気鋭の大学生小説家。ファンの小学生美少女とちょっと年上の幼なじみ両方を本気で狙う二股男。
…と言うか明らかに小学生を本気で狙っていて、それを公言する所が凄い(笑
ちょっとセコさが目につくものの、女性の危機には全力で突き進む格好良さ …良さ?もある一本筋の通った色男。
でも大事なときにちょっとヘボいのが可愛いですね。


ルール、世界観から長期リプレイの難しいクトゥルフTRPGリプレイ。
果たしてどのような物語が紡がれるのか、果たしてさやかちゃんは伯父さんに会える日が来るのか。
楽しみなシリーズです。

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