ぶるがり屋 2012/09/04 19:46

るるいえはいすくーる クトゥルフ神話TRPGリプレイ 感想

クトゥルフ神話TRPGリプレイ るるいえはいすくーる (ログインテーブルトークRPGシリーズ)
著者:内山靖二郎
販売元:エンターブレイン
(2010-11-27)
販売元:Amazon.co.jp
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2010年発行 内山靖二郎作、狐印画
ほぼ日本で唯一のクトゥルフ神話TRPG公式リプレイ第4弾、そして
『るるいえ堂シリーズ』第2巻!
新キャラも参加しての萌え×コズミックホラー。
高校編スタートです。

リプレイとしての位置

初のクトゥルフTRPGリプレイ、第2巻ですね。
「あんてぃーく」を読み、既にクトゥルフTRPGがどんなものか少し理解した方に向けて、実際のプレイの参考になるような例示、コラムが多く掲載されています。
シナリオ攻略のキーアイテムの出し方や思い出し方、探索者会議、また過去のシナリオ作品からのリンクもクトゥルフらしい素晴らしいアイデアでしょう。

そして目玉は、前巻で永久的狂気=SAN値ゼロになったプレイヤーキャラのその後、ですね。
読み物としてもとても面白いものだと思います。

あらすじ

現代日本、東京郊外にある怪しい骨董店『るるいえ堂』。
そこに集う者たちに降り掛かる宇宙的恐怖(コズミックホラー)事件の数々!
今回は御津門学園を中心に、新キャラを加えての新展開だ。

感想

今回はジャパニーズホラー風サスペンスホラー、B級スプラッタ、ジュヴナイルな3本。

冒頭から民営化ネタヨグ=ソトースの時空輪廻(俗に言うサザエさん時空)、SOS団などのギャグパロ交えた導入は大笑いしながら読み進めたのですが…
正直グロくてキツい。

苦手なのでちょっと辛いです(泣
特に「死ななくても良いじゃないか」と思うキャラが酷い死に方をするのが辛いです。ぬぐー。

「あんてぃーく」から「はいすくーる」2話まで毎回死人が出ていますが、基本自業自得で人間的にも薄っぺらく、かつプレイヤーキャラとの関係性も希薄な事が殆どです。
犠牲者が出る事はクトゥルフTRPGに於いて基本事項なので、ストーリー上必然的に死亡するキャラには、通常出来るだけ死んでも引きずらないような演出にすべきです。
やっぱりゲームは楽しいものでなければいけませんからね。

入滑村の老人たちは自ら選び、それを救いとして死にましたし、城ヶ崎先生もある意味本望として死にましたのでそんなにはキツくないのですが…
2話はグロく、死者が多いのがキツイです…
キャンプ場の若者達は暴力的で短慮なものの、やっぱり死ぬ程ではありませんし、フトシ君は全く悪い所無かったですからね。+2人死にますし。

そして、1話の志津恵
何の罪も無い繊細で優しい美少女が、非常に痛々しい死に方をします。
だからこそさやかちゃん達が真相究明をしようとする原動力、シナリオフックになった訳ですが。
3話が切ないジュヴナイル系で、人死にが出ないのもこの反動なのかもしれません。

楽しいゲームと、心に残るエピソード。どのように物語を準備し、演出するか。
キーパー(GM)には、良い参考になるのではないでしょうか。
プレイヤーが全員グロ耐性が有るなら問題無い訳ですしね(笑


さてその他の所に目を移すと、まず慣れてきたのか、さやかちゃんが生き生きしてきて楽しいです♪
「ばけーしょん」で炸裂するさやかちゃんのあだ名付けが、本巻でも光ります。
いきなり「むったん、チカぽん」はエキセントリックですね(笑
SOS団を作ったりティンダロスの猟犬入りの寄木細工を普通に販売しようとしたりと、大胆不敵な言動山盛りです(笑

そのせいか、3話の別れが胸に痛く、切ない。
自分の手の届く所までは全力で助けようとするさやかちゃんの、手の届かない時の脆さがまた愛らしいです。

そして本巻の主人公、NPCになった京ちゃんの可笑しくも愛らしい事。
ハッキリ言って、大好きです!!

メイドさんなだけでも変なのに理事長になるわ巫女さんになるわ、フリーダム過ぎるよ!
こういうコミカルなSAN値ゼロ狂人もアリなんですね!(笑

最終話、狂いただ一途に辰巳先生への愛すに突き進む京ちゃんがもう、
何と言うか可愛いなぁもう!

辰巳先生には京ちゃんの想いに応えて欲しいものですが、…ストーカーでヤンデレなのは間違いないからなぁ(笑

「あんてぃーく」でSAN値ゼロ、そして「はいすくーる」でゼロ後の探索者、及びゼロからの回復が描かれたのはクトゥルフTRPGリプレイとして大成功だったと思います。
かなり珍しい例なのでしょうが、はた迷惑ですが可笑しく、そして微笑ましい結末も有るという事も示してくれた素晴らしい展開でした。

これからも京ちゃん×辰巳先生の恋の展開が楽しみでなりません。ある意味るるいえシリーズで一番の感心事かも(笑
本人のSAN値が危ないので、色々と頑張れ辰巳先生!!

イラスト

おぞましいクリーチャー、表情豊かな美少女たちと、狐印先生の魅力満載。
特にさやかちゃんのコミカルさが光りますね(笑

1話の陰惨さ、2話のギャグっぽさ、3話の狂気と切なさがしっかり描かれていていました。
「クトゥルフの寵愛を受けしもの」がちょっとヘボいような気もしますが、あれは難しいですしねぇ…
あと、女子高生二人のスクール水着+巫女のイラストが一番気合いの入ってるのはしょうがないのかな!(笑

新キャラ感想

睦月ちゃん

ちょっと大人しめな妹系文学少女。怖がりだけど芯は強いぞ!
前巻で遠くへイッてしまった京に代わりに参加の、可愛い女子高校生。
プレイヤーはベテランでかなりのオタクな筈ですが、まだ怪異慣れしていない雰囲気がよく出ていたと思います。
さやかちゃんがちょっと探索者として図太くなり過ぎましたからねー。
とても可愛らしいのは事実なのですが、佐々原さんの溺愛っぷりはちょっと引きます(笑

探索者として気概が芽生え主人公となる次巻「るるいえばけーしょん」が楽しみですね。

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