今週の へうげもの 感想 2015年 2月第4週
あらすじ
完成する方広寺の鐘。
徳川家康に対抗できる最後の雄、前田利長も死に、追いつめられる豊臣陣営。
その重臣である大野治長と片桐且元の仲違いに、ついに徳川家康は豊臣討伐を決心する…
へうげもの(19) (モーニング KC) [コミック]
山田 芳裕
講談社
2014-11-21
感想
史実で方広寺鐘銘事件に古田織部が関与していたかは知りませんが、京都大阪での文化人としての名声、将軍の茶頭でもある立場から有り得なくはないのでしょうね。
その自分が参加した案件が豊徳決裂の名分にされるなんて、辛く悔しいだろうなぁ。
家康似の大仏気持ち悪いし趣味悪いよ!(笑
今回の主役は大野治長と片桐且元。
二人とも生真面目なようで、だからこそ折り合いを付けるのが下手そうだなぁ(笑
このへうげものでは、人が大義や忠義以上に、自分の嗜好趣味数寄、人の好悪で生きているのが生々しくて面白い所。
豊臣の時代の「楽」の美を愛し、面白くもない、正に「野暮」な美を押しつけ広める徳川の政策に、我慢ならないのだろうなぁ。
石田三成に見たような、真っ直ぐで脆い、そんなおかしさと愛らしさを感じます。
織部もそう感じたのかな?
でもそれは個人としてで、国の運命を左右する大軍の将として、為政者としては落第でしょう。
且元ときちんと相談出来てもいない辺りでどうしても小物ですよ。
織部は大野兄弟に名物を贈るようですが、これが徳川への利敵行動に取られないか、心配になります。
ついに大阪攻めを決心する徳川家康。
たしかに豊臣家を代表する二人の使者がこんな有様では、内部の分裂と指揮系統の混乱は見て取れますよね…
自分の寿命と、誰も信じられなくなった焦燥感が、今の家康を進めているような。
史実を知っていますが、家康の心だけは報われて欲しいなぁ。
前回の話になりますが、高山右近は今まで郎党や領地や男としての野望を捨ててでもずっと選んできましたが、その二つの理由、「南蛮数寄」と「キリスト教への信仰」をついにどちらかを選ぶか迫るような織部の茶席に、ついに一つを選んだのですね。
もちろん他にも色々な要素は絡んでいましたが、恐らくは最後の最期まで数寄を選ぶ織部との、その意味での本当の別れだったのかもしれません。