【ジャンプ感想】僕のヒーローアカデミア No.115
僕のヒーローアカデミア
闇から覗く世界
僕のヒーローアカデミア 11 (ジャンプコミックス)
堀越 耕平
集英社
2016-11-04
一人のニヒルな中年から見た、変わる世界。
彼がトゥワイスとは気付きませんでした。
最初はてっきり、オールマイト引退後を憂いていた警察幹部かと。
トゥワイスの反語のような喋り方は演技や癖ではなく、壊れた心の表れだったのか…
ヴィランの、その中でも常人の心も持ち合わせた彼、トゥワイスからみた、壊れる世界。
読み応えが渋く苦く、味わいたっぷりでした。
今のトゥワイスは設定から本物なのでしょうけど、どこまでも確信も安心も出来ないのでしょう。
殺しあう自分たちを延々見続けるだけなんて、精神的に逃避するしかないのじゃないかな…
でも多分、その逃避した自分の人格が元々の人格と乖離して、余計に苦しいのか。
そんな弱い自分も、犯罪に手を出して救われない自分も、理解しながらもズブズブと浸るトゥワイスが、哀れで格好悪く、そして渋く格好良いです。
他のヴィランのように盲信するでも自分を全否定でも全肯定でもないぶん、苦しいけれど、他の苦しむヴィランにも優しくできるのじゃないかな。
アニメ版の『バットマン』のトゥーフェイスが好きなので、このトゥワイスの歪みも惹かれます。
エンデヴァーがオールマイトほどの絶対感がないのは、強さ個性よりも、人々を守る事に全てを捧げたオールマイトと、名声と勝利を切望するエンデヴァーの精神性の違いでしょう。
「大丈夫!」と笑顔で言えるエンデヴァーなんて気持ち悪いですし(笑
ヴィラン連合のスカウトの絵面がヒドい(笑
ヴィランらしい荼毘は実際殺してますし、マグ姉はオカマメンバー増やしてるし(笑
「付せろ」は「荼毘に付す」からかな?
そして次々と生まれ出る、新たなヴィラン集団たち。
愚かで衝動的なものが多く発生し、その中で今回のような、特に純粋で尖った、エリートヴィランたちも
生まれてきている様。
変化と狂気がえらくリアルに感じられ、恐ろしいです。
それを見て「どうしよっかなー」なのがまた悪でも善でもなく飄々としたトゥワイスらしい。
あの醜悪なタイヤ合体を見てこの反応なのだからなぁ(笑
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