ぶるがり屋 2020/10/04 23:34

麒麟がくる 24話の感想

麒麟がくる 24話「将軍の器」の感想ですよー。


NHK大河ドラマ「麒麟がくる」オリジナル・サウンドトラック Vol.2
ジョン・グラム
2020/9/2

麒麟がくる

 征夷大将軍 足利義輝、討死。
最期まで理想を背負い、正しく平かな世を求め続けたその生き方は、死に顔までもただ美しく。
 ふと思うと、もうこの時に、明智光秀の「忠義の対象」は失われたのでしょう。
理想と正統で戦国を終わらす夢は、叶わないのだと。

 松永久秀の人たらしよ…!
怒り心頭の明智光秀を弾入り鉄砲で撃たせようとするわ、兵と刃をかいくぐって生き死にを任せるわ、こりゃ憎くても、信じられなくても、それでもすがるしかないじゃないですか。
自分の心情をブチまけて、状況を嘘偽りなく話して、
そして最後に選択は当人に委ねるのが、ニクい。
 その憎しみは消えないけれど、どう生きればよいか分からないけれど、それでもその言葉を信じ、自分で生き抜くしかなくて。

 足利将軍家の運命に自ら強く関わる光秀、将軍として生きるしかない覚慶(義昭)。
これからの彼らとこの日本の運命を思うと、なんて大きな選択だったか…

 そして松永久秀がもらす「将軍を掲げた武士の世」の正否。
当人が悩み正解を見出せず、主人公・明智光秀が信じて一生を捧げ、足利義輝が夢見たそんな世界。
そんな世界を否定する、伊呂波大夫のぞっとするほど昏い眼差し。
 物語の最初から主人公が夢見て望んだ世界への、違った視点。
伊呂波大夫という人物とこの物語の冷たい鋭さに、ゾクリとしました。
そうですよね、力が正義でも無く、この世にたった一つの正義も無く、主人公が正しいなんて決まっていませんよね…

 命乞いに変装しての遁走、周りからかけられる大義からも逃亡と、格好悪いことばかりの覚慶(義昭)様。
全く本人の希望が通らない厳しい状況ですが、この時代に生まれと一族郎党の政治状況ほど優先される理由なんて無いですからね…
キビしいッ!
 光秀への問いは、周りの将軍にしようとする奉公衆へのせめてもの抵抗だったと思います。
ただその一人の人間としての当たり前の幸せを望む言葉にも、人生の苦難が形作ったこめかみのいびつな皺にも、明智光秀の眼光は惑うことなく、ただただ武家の棟梁としての品定めで。
こんなに光秀を怖いと思ったのは初めてです。
理想のために人の心なんて見てねー!(笑
奉公衆の三淵藤英や細川藤孝も覚慶個人を見てないけど、君だけ個人としてさえ見てないよ!

 朝倉義景の有能さがにじんで来ましたね〜。
ユースケ・サンタマリア好きにはたまらない好演ですよ〜。
金持ちの小物ではなく、まつりごとに長け野心もあり、金を惜しまず人を操流、恐ろしい傑物。
ただ生まれが良く生来の権力者だからこそ、小物の心が分からないという…
目の前の男の目は主君にかしづくものじゃなくて、お前を主君として見定めてる目だよ!

 まー義景が、この光秀言葉を発してしまえば天下御免の正論×正直者なんて知る由もないのですが(笑
野望とやる気の方向性を見失っちゃった義景が最高に可愛い。

 こんなムカつく正直者、良く手討ちされないと思いますが、斎藤道三も斎藤義龍も織田信長も好きでしたねこんな有能でまっ正直なバカ(笑
私も惹かれています。
怖いけど(笑

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