ぶるがり屋 2020/10/05 00:38

麒麟がくる 25話の感想

麒麟がくる 25話「羽運ぶ蟻」の感想ですよー。


NHK大河ドラマ「麒麟がくる」オリジナル・サウンドトラック Vol.2
ジョン・グラム
2020/9/2

麒麟がくる

 明智光秀×織田信長!
その出会いは悲劇でも喜劇でもなく、理想と夢が重なり合った、運命。

 やっと先祖伝来の地に戻れた明智光秀と牧お母様。
ああ、屋敷も出奔する前の日のように。
伝吾の涙もお母様の消えそうな笑顔も、男衆の無防備な寝姿も、なんて幸せそうな…。
そうだよなぁ、今までの苦しみとこの喜びが有ったなら。
お母様は明智家のために全てを捧げて悔いは無いし、伝吾はもう、二度と明智家を見捨てられないですよね…

 数少ない美濃勢キャラ、稲葉一鉄さんお久しぶり!
まぁ敵になったり味方になったり、主君殺し殺されたり、縁地奪ったりと、因縁深いですよね〜。
光秀からするとそんな因縁より、忠義心の無さが嫌そうですが(笑

 今回一番の見所、織田信長と明智光秀の、天下取り計画。
共に道を見失っていた光秀と信長、
化学反応を起こしスパーク!
いやこれは怖い、歴史的な意味で"出会ってしまった"感が面白く楽しく滑稽で、何より怖い。
2人とも、心中で求めながらも固められなかった人生の目標を見つけてしまった…
それは、将軍を担いで力で掴む、大きな国。
 でも気づいて信長!
郷も織田家にも責任感が無いから言えちゃう野望だよそれ!

 先週の覚慶-足利義昭を見る目から、光秀の人を見る目が「天下の為になるか」見定める冷たい凝視になっちゃって
怖い!
叶わなかった夢を見る時代は終わり、圧倒的な力を、他人を顧みずに理想を遂げる手段を突き進んでいるのですね。
 そんな光秀の変化、冷徹な野望と眼差しを信長は分かって自分を見せつけてて、義昭もだからこそ協力をお願いしてるけど、朝倉義景はまだ気づいてないなー。
光秀を小物と見て、自分が見定められてると思ってないのかな?

 今回は光秀の前でダメなところばかり見せちゃいましたが、権謀術数内政得意な大領主なのですよね。
今まで自国で満足していた権力者が、一度は頓挫したギラついた野望を燃え上がらせた…!
さすがはユースケ・サンタマリア、ひょうきんで格好良くて怖い、ピンクが似合う男だぜ!
わりと朱色寄りですが(笑

 義昭の覚悟。
担がれて生きるしかないのなら、そこに自分しかできない、自分の夢を果たす道が有るのなら。
悲しくていじましいけれど、そこには確固たる覚悟が有って。
もう苦労が刻まれたこめかみのシワは、還俗した髪の毛に隠れて見えず。
こんな弱くて悲しくて、でも決して折れない鮮烈な足利義昭を、初めて見ました。

 人を救うとは、救世とは、商いとは、医とは。
貧しい人を救うのが目的なのに、目の前の忙しさでいっぱいで、病に苦しんでいない貧者を救うことは出来なくて、否定されて。
子供は「口が上手いだけで間違っている」そう考えますが、その間違いを正して、例えば罰しても何も良くはならず、駒ちゃんの目的に近づきもしないのですよね。

 その煩悶を解いたのは、今まで一番金にうるさかった東庵先生の言葉で。
「どっちも正しい」
みんな一生懸命生きていて、自分や家族を守る以上に正しいことなんて、何の意味もないでしょう。
 先週から心に重くのしかかる、伊呂波太夫の徹底的に武力もつ為政者=武士を嫌う視点と、今回の牧お母様の古式ゆかしい、でも時代とともに消えそうな武士の心。
今の光秀を突き動かす「武士の世」が危ういものでもあると、ジワジワと魅せてくれます。

 光秀の理想、信長の夢、義昭の夢、伊呂波太夫の願い、駒ちゃんの想い。
この中で誰もが正しいという言葉は、道に迷う者には救いでもあり、苦しみでもあって。
駒ちゃんを救うだけでなく、どちらが正しいのでもなく、正しいからそうなるのではないと、優しく考えさせてくれるように感じました。

 今もまだ駒ちゃんの物語での役割が見定められていませんが、今回でまた少しだけ分かったような気がします。


 さて、因縁の強い三好三人衆や斎藤龍興が姿すら見せないところ考えると、光秀の恩讐や恨みつらみでは動かない、理想に殉じる生き方をより強く感じます。
…ただこの流れだと龍興はともかく、竹中半兵衛も出なさそーでちょっと寂しい。
このドラマの視点での龍興と半兵衛、見たかったなー。

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