ぶるがり屋 2021/12/05 22:11

青天を衝け 38話 の感想

青天を衝け 38話
「栄一の嫡男」の感想です。

青天を衝け | NHKオンデマンド
大森美香
2021/2/14〜
(C)NHK

青天を衝け

 うう… 新しい時代への畝り、その練りもうねりに乗れない繊細で不器用な好青年・篤二くんの未来がうすら寒く不安で …苦しい。

 今回で、
明治という新しい時代は成った、次の時代へ進むのだという流れを強く感じました。
栄一は名も無き百姓の息子ではなく絶大な権力者、渋沢家は地方の一農家ではなく裕福で自分たちを戒める日本の代表的な名士、うたは畑を走り回る幼子ではなくそんな名士の家を取り仕切る代表。
 主人公・渋沢栄一の物語は一つの頂点を迎えたのだなぁ。
そう思える大河ドラマ、最終月のお話でした。

 汚名を負った徳川家と徳川慶喜の名誉の為に声を上げる旧徳川・一橋家の者たちの姿は当山なのですが、痛々しくも映ります。
今では成功しているから良いようなものの、ほとんどが代々の徳川の禄を食んだ一族で有り、一族と自分の半生を怪我したままではいられず。
また多くの仲間も死に汚名を追った状況を許せないのも当然でしょう。
 ただ少しばかり、復習や恨みばらし、昔のことに拘泥する淀みも感じて。

 それでも、平岡様と慶喜様への恩義だけは、捨てることも諦めることも出来ませんよね。
愛妻をも失って枯れゆくだけなど許せず、せめて死ぬ前に汚名を晴らしたい。
…大事な人を生きているうちに、なんとかしたい、そんな気持ちもよく分かるのです。
 ああ、河村様、やすさん、美賀君……

 今回の題名、栄一の嫡男・篤二。
他人の言葉に気が揺れ、厳しい生活に合わず、情に弱く大人しくして、人の熱流に合わず歌を好む。
人がよく大人しく繊細で、内向的。
うん、酒色に溺れる以外はお父さんと正反対だな!(笑
 好ましい人柄ですが、栄一という、国を先導し大企業NO運営、というのには向かないですよ。
 早くに母を亡くし、大好きな姉たちは家庭を作り、嫁ぎ、離れていく。
真面目で聡いから、文句も言えず少しづつ傷ついていって。
そんな半生が寂しかったのかな…

 富国強兵と日清戦争、その賠償。
戦争は嫌だ、ではなく、その戦費で憂うでなく、目指してきた理想の大きな一歩と捉える。
間違いではないものの、現代左翼平和至上の私には辛く、また歴史を知るものとしても気が重くなります。

 古き時代を壊し、新しい時代を作ったその先に、暗澹たる時代が始まりつつ有り。
この時代に生きる繊細な青年、篤二はどう生きていくのか。
慶喜と縁深くなる予感が見えましたが、どうなるのかなー。

 あまりにも大きな時代の流れに、人はどう幸せを掴んでいくのか。
怖くて、楽しみです。

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