ぶるがり屋 2022/09/11 19:54

鎌倉殿の13人 33話 の感想

鎌倉殿の13人 33話
「修善寺」の感想です。


見逃し・同時配信 - 鎌倉殿の13人 - NHK

【作】三谷幸喜
【音楽】エバン・コール
【出演】小栗旬、新垣結衣、菅田将暉、小池栄子、片岡愛之助/坂東彌十郎、宮沢りえ、大泉洋、西田敏行 ほか
(C)NHK

鎌倉殿の13人

 源実朝にまた委ねられる、源義朝の髑髏。
髑髏と頼家の禿頭が被るのは、悲劇の象徴か、死の秒読みか。
いや〜笑いが全くない冒頭初めてじゃない?
これから45分が怖いですよ…

比企を滅ぼした北条

 "執権"別当、ついに我々が知る北条毛に、時政が就きましたか。
最高権力者になったという、大きな区切りですね。
「執権どのぉ?」「はい!」
が可愛い(笑
征夷大将軍となった源頼朝と北条政子を思い出します。

 が、喜んでいるのは時政りくの夫婦ばかり。
実際文句や問題点を言ってるのは三浦義村だけですが、トキューサくんのリアクションもあって目に浮かびます(笑
「りくさんが主導」なのも、広まっているんでしょうねぇ。

 ここら辺の遠慮の無い酒盛りは、父・三浦義澄と北条時政の関係も思い出しますね。
小四郎と平六と「刎頸の交わり」。
でも義澄の居ない時政は、自らの過ちに気づけない…

 気になるのは、関東武士の中ではりくさんが話題になり、京・朝廷の方では源氏だけが重視されて北条家丸ごと嫌われているのですよね。
牧家は京都だと軽視される身分なのかな?
 りくさんの権力への強過ぎる執着心、錦を飾るというより、復讐心さえ感じるのですよね。
「自分を軽んじた故郷に、支配者となって戻る」そんな憎しみが滲み出るような執着心。

京、関東、孤独な源頼家

 鎌倉政所と朝廷の駆け引き、狭間の源頼家。
なるほど、朝廷、後鳥羽上皇から見れば源氏は忠臣の一族、北条が田舎の簒奪者扱いなのか。
とくに武士に権力を奪われてから数代、一番苦労した後白河法皇の後継ですものね。

 もはや後ろ盾も権力もなく、声高に偉ぶるしか出来ない頼家の姿が痛々しい。
自分の弱さも愚かさも十分わかっているでしょうけど、何処まで本当に分かっているのかな…
平六に立てかける言葉はどれも若く愚かな青年のようでいて、その先で滅ぶつもり、なのか。

 平六もですが、北条政子とは会わず話さず、北条方の足立遠元、何より比企族滅の実行者となった畠山重忠に気を許してるのは何故なのか。

 少し考えました。
北条家だけ許せないのかな?
母・政子に甘えてる? 愛し信じ宝こそ許せない?
北条方を揺さぶる武蔵守の話を聞かせたかったから?

 最後まで見て、もう一度考えて。
ああ、比企の家族を、せつを、一幡を奪われて、受け入れるなんて出来なかったんだ。
頼朝の子として生まれ生き、奪われて踏みつけられたまま生き続けるなんて出来なかったんだ。
復讐を復権を、諦めるわけにはいかなかった、北条を憎み続けるしかなかったから。
だから、母と会ってしまうと、北条を許してしまいそうになるから。
源頼家は、北条と戦い、死ぬと決めた。
きっとそうだろう、そう思いました。

殺したく無い北条

 もう止まらない、止められない頼家の憎しみ。
北条もここまでしたい訳じゃなかった。
大事な甥で孫で、同じ夢を追った主君の子。
「まだ殺すと決まったわけではない」「まだ。」
それでも、殺したくなくても、殺さねばならない。

 すでに最終決定権は北条義時なのか。
致し方ないですけど、見てる私まで胸が痛いですよ……
頼家を殺すのは、義時。

将軍・源実朝と乳人・北条実衣

 三善康信さんが可哀想だよー!
政子の方が正しいと思うけど、実衣の願いも切実で、正しいのですよね。
真紅の衣、正しいまつりごと、全ては権力の為に。

 ただやっぱり、自分ではよく分かってないまま教えたり、実朝自身の優しさや感受性を考えてないところがダメですよね。
あと、源仲章を信用しちゃうところが……

愛息子・泰時、弟・時房

 朝廷と頼家の接触を前に、暗殺を決定する北条義時
ただ一人闇に堕ちていく、いや、降りて行く義時の横に侍る2人。

 問い、否定し、抗う泰時。
「太郎はかつての私なのだ」
そう、私たちは知っている。
悩んで、苦しんで、迷って、ここまで来てしまった義時の血塗られた道を。
正しい、眩しいほどに正しい息子。
本当の正しさを、遥か昔の自分のように信じ、突きつけてくる愛息子の存在は、義時にとって救いなのか、苦しみなのか。

 そして、ずっと横に居て必ず助けてくれる時房は。
「私は何なのでしょう」「考えたこともなかった」「太郎の真逆でありたい」
「聞いてないですね」

割と一世一代の告白してるのに聞かれてないよ
不憫だよトキューサ!(笑
 でも、気を許してるからこその対応なのだとは思います。
父や平六にも話せない悩みや密事漏らしてますし。
不憫なのはやっぱり変わりませんが(笑

運命、応報、因果

 ついに見つけてしまった、宗時の巾着。
「一幡」の文字、墓、後ろに立たれても気づけない。
善児が老いたのか、もう死んでも良いと思ったのか。
犯した罪は、今○す罪は、誰が何を以って問うのか、贖うのか。
命じられて、大義の為に、必要だから、殺した、殺せと命じた、殺してきた。
「私に、善児が責められようか」
 時房も、義時も、善児も、答えられない。

和田義盛邸の酒盛り

 迷い、傷つきながら、自ら地獄に降りていく。
すでに地獄の中で、もっともっと深く降りていく。
「由緒あったりしないか?」「手伝って!」
そんな中で、和田義盛と巴さんの仲睦まじさが癒しでした。
2人とも可愛いなぁ(笑

 そして運慶との再会。
重い仮面をほころばせ、少年のような言葉遣いで答える義時に語りかける優しい声音。
言葉全てが、義時の、この物語の福音のようでした。
悪い顔になったな
だがまだ救いがある
迷いがある、その迷いが救いなのさ
悪い顔だが、良い顔だ
いつかお前のために仏を彫ってやりたい

 峠で拾った小仏は、誰の縁なのか。
いつか彫られる仏は、義時の何を背負うのか。
救いだったら、良いなぁ。

源頼家の最期 善児の最期

 北条の子、幼馴染の泰時を受け入れ、言葉を信じる頼家。
暗殺を知りながら、音曲を味わい、刃を向けられれば堂々と切り結び。
ああ、死ぬのだ。
死ぬつもりなのだ。
覚悟しているのだ。
分かって、しまいました。

 これも老いたのか、たまたまなのか。
今までのように不意をつくのではなく、正体がバレ、正面から刃を交わす善児。
正面からでも一流の武芸を学んだ頼家相手に叩けるとは、とその強さに驚きましたが…
ああ、「一幡」を読んでしまうのか。
学なく、家も地位も思想もなく、死神の刃の権化でしかなかった、筈の善児が。
人を愛し、死に思い煩い、死神の鎌でなくなって死ぬのか。

 一幡を愛するから、頼家は死に。
一幡を愛するから、善児は死ぬのか。

 それでも逃げ、死に切れぬ善児を、止めを刺す刃。
ああ、ああ、そうだよね。
善児の罪は、弱さは、老いは、君だよね。
泣くように、呻くように、師匠を、仇を殺すトウ。
そして、頷く善児。

 雨は、止まない。

修善寺

 千鶴丸を殺した善児が千鶴丸の弟に。
修善寺で源範頼とともに両親を殺した善児が、修善寺で生かしたトウに。

 前回の引きで、善児は義時に消されるのではないかと心配しましたが、生きていてほっとしました。
なのにさらに過去の罪がバレてしまって、殺される理由が増えてしまって。

 愚かなのは事実でしたが、過ちながらも成長していく姿が眩しく、ただただ絶対的な不運に全てを奪われ、一人の青年に戻った頼家の姿が悲しくて。
頼家も、善児にも死んで欲しくない、そう思ってしまって。

 その思いは叶いませんでしたが、今までよりすっと、救われた気持ちの終わりでした。
甘え下手で何物にもなれなかったプライドの塊の金剛は、太郎を信じ、武勇を示して死んだのだ。
死神の鎌として生きた善児は、親として師匠として死んだのだ。
将軍として、小物として、邪魔者として、暗殺者として、道具としてしか生きられなかった2人が。
たった一人の源頼家として、たった一人の善児として、自ら選び取った、その結末なのだ。
絶望と呪いと虚無の中で、2人は人間として死んだのだ。

 これはきっと小さな小さな救いなのだ、そう思うのです。

生きる者たちは

 死を振りまいて生き続ける義時は。
死を前に生き残り続ける泰時は。

この終わらない苦しみに満ち満ちた地獄の中で、地獄の先に、何を作り築いていくのか。
いつか死ぬ義時と、その思いを受け継ぐからこそ次の時代を作る泰時が、うっすらと見えたように感じました。

 とりあえず鶴丸も死ななくて良かったです(笑
ドキドキ心配しながら見てましたよー。

他、ちょこちょこ。

 八田知家、なんでそんな挙動全部が荒々しいの!?
時政の眼前に面を叩きつけるとか、最高権力にやって良い動きじゃないよ!(笑
いやぁ、男惚れしちゃうわぁ。

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