ぶるがり屋 2022/09/06 06:16

鎌倉殿の13人 32話 の感想

鎌倉殿の13人 32話
「災いの種」の感想です。


見逃し・同時配信 - 鎌倉殿の13人 - NHK

【作】三谷幸喜
【音楽】エバン・コール
【出演】小栗旬、新垣結衣、菅田将暉、小池栄子、片岡愛之助/坂東彌十郎、宮沢りえ、大泉洋、西田敏行 ほか
(C)NHK

鎌倉殿の13人

 地獄には底は無いんだなぁ……
実衣と全成の夫婦の絆、政子と実衣の姉妹の絆、仁田殿の弾ける笑顔。
私の愛した安らぎは、どれも、どれも失われてしまったんだ…
そしてまだまだ、地獄を終わらず連鎖して行くんだ……。

誰が、何が正しいの?

 起き上がった源頼家に、誰も事実を言えない。
頼家の親族であり後ろ盾だった北条家と比企家が相争い、愛息子ごと比企家が滅ぼされたことを。
いやぁ、それでも責任者の時政か義時が言うしかないでしょ…
とりあえずトキューサに任せようとするな!(笑
内容が内容だからあんまり笑えないよ!

 「頼家様が、息を吹き返される前に戻す」
それは…「頼家が死んだ」時、と言う意味なのか。
それはあんまりだ、義時自身も思ってるだろうに。

 大江広元も義時に与した側の一人として、責任も罪も痛感して、表にあまり出さないけど、内心では苦心、苦労してるだろうなぁ…
それでも政子・義時と同じ道を歩んでくれるのは、同じ理想を抱いているからか。
新しい時代、鎌倉を守ると。

赤い衣の実衣

 仏様は全成を助けてくれなかった。
比企の血が流れている。

 うう、もう全く初期の可愛さが消え失せてしまって…
間違っては居ないのですけど、残虐の理由が明らかに憎しみなのですよ。
夫も子も殺されて、憎しみと正しい世界への渇望と、失ったものへの渇望に、こんな変化をしてしまうのは理解するしかないのですが。
でもその道は、愛する全成が望んだ実衣ではないのですよ。

 赤い服、全成の愛した、赤い。
全成が死に際に叫んだ、血の、赤い。

比奈の選択

 そう、北条が族滅した比企の血が流れている姫。
比企の地を引きながら、比企を滅ぼす手伝いをしてしまった比奈。
愛する夫と子の為に、一族が滅んだ、実衣と逆の。

 比奈は、義時は、何時から何処まで覚悟したのかな。
多分、義時は比奈を失うことを考えられなかった。
比奈は、ずっと前から覚悟して、少しだけ後回しにしていた。
そんな風に感じます。

 自ら離縁を伝えて、泣くつもりが無かったのに、濡れた赤い目で。
「離縁してください」
「折角だからという言い方も可笑しいですけれど」

富士の巻狩りと同じように後ろから抱き締め他のに、2人の想いも距離も、近くて遠くて。

 「行ってくる。」
「行ってらっしゃいませ。」

夫婦なら、家族なら当たり前の、一緒にいる約束の言葉を最後に。
何処か遠くを見つめる眼差しが、悲しい。

政子、母として、尼御台として

 あなたは私の孫を殺した。
頼朝様の孫を殺した。
もうあなたを信じる事は出来ません。
 ああ、もう。
最後まで同じ夢を見た、源頼朝と同じ夢を見たはずの政子と義時の絆さえ…。
でも、誰かが言わなければいけなかった言葉。
義時の罪を罪と言わなければいけなかった言葉でもあったように思います。
こんな罪を、北条の為になった、鎌倉の為になった、なんて言われるだけでは義時の心は持たなかったようにも思うのです。

 そして、誰も伝えられない悲劇を、北条の大罪を、伝えるのは母・政子なのか…
「忘れるのです、断ち切るのです。」
政子も嘘が通じるとは思い切れなかったけど。
この嘘を信じさせるしかなかった。
この真実を通すしかない。
北条の為にも、鎌倉の為にも、頼家の為にも。

 でも、この捩じくれた地獄のような悲劇を受け止めることも、政子を信じきることも、自分のために騙されることも、出来ないよなぁ。
出来る訳ないよなぁ。
誰も頼家を、救えないんだ。

遠く離れた地で、遊ぶ後鳥羽上皇

 なんだその積み木(笑
「なにともにしようかのう〜」が可愛いやら可笑しいやら。
北条の名付け親は「なにときにしようかのう〜」かな(笑
 源実朝の「さね」は繋ぎ目のさねときましたか。
武士の棟梁、為政者ではなく、朝廷と武士の繋ぎ目。

一強・北条一族の綻び

 妻を子を殺され憎悪の地獄に落ちる頼家を横に、成長する少年に結婚する娘たち。
とは言え、その娘婿の平賀朝雅、
胡散臭!鼻持ちならねー!
りくにとっては欲しくて欲しくてたまらない公家の親戚でしょうけど、りくしか見てない、言葉を交わしもしない、明らかな問題ですよその男!

 最初からバラバラでも同じ方向を向いて戦う仲良しな家だったのに。
血と権力にまみれて、北条時政、りく、義時、泰時の仲違いが悲しいですよ。
孫を、主君の子を、幼馴染を、主君を殺すのか、生かすのか。
何の為に?

生きていた一幡、罪と罰は誰のもの

 一幡生きてたの?それをここで知らせるの?
救いなのか地獄なのか混乱しましたが、もっともっと深い深い地獄の入り口でした。

 殺すも殺さないも、全て自分に委ねられた北条泰時の「殺す」という決断。
死神の鎌のように、ただ「殺す」だけの存在だった善児の、「できねぇ」という逡巡。
……ここで?
こんな時まで来て、義時より先に地獄から零れ落ちるの!?
「千鶴丸と何が違う」
義時にとって、この地獄を開いたのはお前ではないか。
頼朝を、八重を、伊東を狂わしたのはお前の子殺しだったではないか。
だのに。

 惑う目、開いた口。
今までの心無い、張り付いた笑顔でない、振るうの老人の顔がそこに。

 一幡は生き残されたのか、それともトウが同じように、川に沈めたのか。
ああ、何処から何処までが地獄なのですか。

頼家の憎しみと愚かさの結果

 北条家がそれでも足踏みをしていても、頼家だって止まれないのですよね。
バカ… 場数を踏んでいる二人(笑
和田義盛と仁田忠常を呼ぶの、頼家も人選面白いなぁ、
と思っていたら……
仁田、仁田殿ーッ!!??
ああ、比企能員を殺した時も苦い顔をしていましたよね。
誰よりも頼朝に厚い忠義を見せていたよね。
北条家を愛して、鎌倉殿を守るという願いを一緒に進んでくれたよね。
優しき人よ、善き人よ、忠義の武士よ。
仁田忠常。
貴方のはにかんだような笑顔が、好きでした。

 もう憎しみの連鎖は止まらない。
多くの人を引き摺り込んで。
畠山重忠が二人とも庇う様が、せめてもの救いですよ。

頼家と義時

 また、暗い廊下を独り行く義時。
悪いのは北条、義時。
分かっていても、北条を罰しても、鎌倉は消えると知っているから。

 闇、源頼家、北条義時。
頼家と、同じ視界に入らない義時。
言葉も視線も、決して交わらず。

 「やだー!」
泣き叫ぶ頼家の、愚かさと幼さと、無力さ。
頼家は確に間違ったけど、間違ったのは頼家だけか、頼家の過ちはこれほどの罰に値するのかか。
 「父上、これで良いのですか。」
義時と同じく頼朝に問う頼家。
頼朝の野望を引き継いだ義時と、血を受け継いだ頼家。
答える頼朝は、もう居ない、居ないからこんなことになってしまったのだから。

会い、憎しみ、呪いはあざなわれて

 ああ、比企尼。
生き延びて、生き延びてしまったのか。
一粟の栄華と滅亡を、愛する者たちの苦しみと死を、全て見続けて。
頬をペチペチと、頼朝も、頼家も、一幡も、同じように愛して。
誰よりも暗い、暗い眼差しで。
ただ一人残った比企尼が、ただ一人生き残った善哉に、呪いをかけるのか……。

……辛いよ!

 今回は本当に、辛かったです。
今までも辛い話は多かったですが、今回は一番辛かった……。
誰もがここまでしたくはなかったのに、足りなくて、失敗して、間が悪くて。
傷つけて傷ついて、殺して殺されて。

 それでも友を守ろうとする畠山重忠や鶴丸、それでも間違っていると抗う北条泰時が救いです。
生きて、幸せになって欲しいなぁ。
一部、史実で無理なのは承知の上で、そう願わずに入られません。

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