ぶるがり屋 2022/12/18 23:18

鎌倉殿の13人 48話 の感想

鎌倉殿の13人 48話
「報いの時」の感想です。


見逃し・同時配信 - 鎌倉殿の13人 - NHK

【作】三谷幸喜
【音楽】エバン・コール
【出演】小栗旬、新垣結衣、菅田将暉、小池栄子、片岡愛之助/坂東彌十郎、宮沢りえ、大泉洋、西田敏行 ほか
(C)NHK

鎌倉殿の13人

 どうする家康!?
我々歴史ファンが勝手に来年の大河ドラマと繋げていましたが、まさか公式で思いっきり繋げられるとは(笑
"この国の成り立ちを根こそぎ変える"というのは朝廷から武家政権と、神官と一部の貴族が民から離れ、武力と経済力を持ち民と地続きの武士へと変わって行く時代の変遷であり、その流れと意志を汲み、武家政権を確固たるものとし、その先へ繋げたのが徳川家康と江戸幕府である、という見せ方なのだと思います。

 天下を握る生まれでなく、多くの犠牲と罪と傷の上に、新しい時代を作理、次代へ繋げたことも。

後鳥羽上皇の報い

 彼もまた、古来から続く天皇家と朝廷を引き継ぎ、後白河法皇の呪いと願いを引き継いだのだと、悲しいほどに分かる最後でした。
武家政権は脆く、朝廷はまだ上位であり、でも権力と武力に欠け、己は神器を欠いた天皇。
強さも弱さも、傲慢さも臆病さも、後白河法皇に縛られて。
 彼は果たして、楽しく生き抜けたのだろうか。

 文覚はまぁ、後鳥羽院個人の因縁でしたね(笑
あれを超える見苦しい因縁はなかなか無いですよー ヒドい!

重臣の報い

 大江広元殿、身も心も元気になってるー!
推し・北条政子一世一代の晴れ舞台、最高だったんだろうなぁ……
いや分かるけれども!(笑
 悪事に傷ついてる義時政子と違って、陰謀すら元気ハツラツでもうズルいですよ(笑

 三善康信の献策。
それしかないと分かっていても踏ん切りがつかない危険な策。
最後に背中を押したのは、ずっと柔和で忠義を尽くした、宿老の知恵と覚悟。
 彼もまた傷つけ傷つき、多くを失って来たけれど、鎌倉への愛と忠義は誰も疑うものでなく。

 頼朝から義時まで。
鎌倉幕府の苦難の歴史をずっと支え続けて来た2人の宿老の、鮮やかな報いでした。

期待していた三浦義村の"報い"

 「報い」
前回から北条義時の報いと同時に、三浦義村の報いとは何なのか、どうなるのか楽しみにしていましたが…
こう来たかー(笑

 かっこつけ、プライド。
それが一番の義村にとって、あそこまで真実をさらけ出して無様を演じて、それでも信じられるというのは、間違いない敗北だったのでしょう。

 …でもやっぱりやったことに対して軽い気がするな!(笑
義時や政子と違って、生き残ったのちっとも苦じゃないでしょ!

北条義時の報い

 おお、おお。
そうですよね、源頼朝の始めた物語を、彼が堕ちて引き継いだのが北条政子と義時で。
義時の物語を終わらせるとしたら、政子でないといけないんだ。

 前回、そして今回も義時は負け続けました。
政子の演説が彼の覚悟も諦念も超えていき、のえの憎しみと義村の嫉妬で体を焼き、あと義村の嘘で人生最大に驚き(笑、
政子の愛で死ぬ。
最後まで人の心が分からず、人の心に傷つき、最期まで人の心で、死んだ。

 鎌倉殿の13人は、鎌倉の権力者の数でなく、死なせてしまった生贄の数。
そして、言ってはいけなかった大罪。
罪と老いの証。

 焦がれ、負けて負けて傷つき続けて真っ黒になって。
老いて憎まれてボロボロになって。
最期は白い衣で、最愛の姉に泣かれながら、堕ちるんだ。
誰も憎まずに、苦しみの中、笑顔で。

 優しさも、願いも、因縁も、苦しみも、罪も、愛も、ああ、全てが報われた。
何もかもが返って来た、帰ってきた。
ありがとう、おめでとう、そこまでしなくても、それでもきっと、ああ。
素晴らしい、悪の北条義時、優しい小四郎の物語。

北条政子の報い

 最後の最後で、政子にも"報い”が訪れようとは。
この時代、あの立場で、権力を振るえるのに振るわないのもまた罪だということなのか。
器が足りなければ傷付き、器にたりる行動をしなければ、失っていくのか。
 人をそのままに愛して、愛した人を救おうともがいた彼女が。
まだ、殺し殺されることでしか、終わらせられないのですか。

 もう終わったこととは言えない時、最愛の弟に安らいで欲しいと願うなら、自らの手を汚すしかなかった。
泣き声が、止まらない。
きっとこの物語の先も。

 ああそうか。
頼朝に始めさせてしまったのも、北条家で引き継いでしまったのも。
政子が始めた物語なのですね。
終わらせるのは、見届けるのは、北条政子なんだ。

遺された報い

 ただそれでも。
御成敗式目が生まれ、泰時が生きている間でも御家人の粛清なく、鶴丸が呪いではなく祝福になっていく。
その様は、やっぱり救いなのだと、義時はじめ多くの血が流された、大きな大きな報いなのだと、そう思えるのです。
私たちが愛した数多のものの罪と苦しみは、報われたのだと。

 泰時の無垢な優しさ、不器用な正しさは、かつて義時そのものだったもので。
義時が失ってきたもので。
愛する、愛すべきものが、次代に育まれ、多くのものを救うのだと。

他、ちょこちょこ。

 義時がきのこ以外を女性にプレゼントしていたら歴史が変わっていたのか、ちょっと考えています(笑
いやー真実を知った義時の、物語最高の驚き顔よ(笑
 ただあの愚かな愛が八重さんに通じたのも確かなので、難しいところですね(笑
きのこだけではのえさんは救えないしなぁ……

 成長著しい朝時(笑
あの無遠慮さが若さ=次代そのものであり、三浦義村=前時代の坂東武士を超えていく象徴になるとは思いませんでした。
まー真面目な義時泰時は義村を扱えませんよね(笑

 りくさん美しー!
ボケたかと怯えましたが、大丈夫そうですね。
 泰時の久しぶりの不器用真面目っぷりが炸裂しましたが(笑
そうですよね、時政パパのこと忘れられませんよね。

 年老いて、枯れて、実衣が良〜い人間になったなぁ。
「どうかしてた」としか、やっぱり言いようがないですよね。
 それでもなお、権力への狂気も、今回の祈願も、全成殿の愛に満ちていて。
本当に良い夫婦だったと思うのです。
 うん、強い絵面の祈願、覚えちゃうよね(笑

 運慶のいびつな仏像。
とても滑稽で、いびつで、おかしくて。
これは確かに義時を救うものではないけれど。
運慶が義時を嘲笑ったのは、無視も死罪にも出来ない心の硬直を笑ったように思います。
一人で見ていると、ぷっと笑ってしまうような、そんな想いの形だったのだと。
愚かさで醜くく、だから愛らしい人の姿だと。

物語

 権力と業を描き切った、素晴らしい歴史ドラマでした。
誰もが大事なものために、時に傷つけ、時に誤り、欲に溺れ、大義に圧し潰され。
残酷な時代を生き抜いた姉弟の物語を、私は一生忘れないでしょう。

 一年間、この辛く楽しい物語を見せてくれて、
ありがとうございました!

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