ぶるがり屋 2023/05/16 23:18

どうする家康 18話 の感想

どうする家康 18話
「真・三方ヶ原合戦」の感想です。


見逃し配信 - どうする家康 - NHK

【作】古沢良太
【音楽】稲本響
【出演】松本潤、岡田准一、有村架純、野村萬斎、イッセー尾形 ほか
【デザイン】GOO CHOKI PAR
(C)NHK

どうする家康

 三方ヶ原合戦
やられた… やられましたお。
もう夏目殿を忘れられなくなりました。
死んで当たり前の戦国時代の武士の身で、大好きな殿のために死ねるなら。

青年期の終わり

 あ、あれ?
大好きなのどかな昔話風のOPが……
黒と金のコントラストが鮮やかな、豪奢と渋さが絡み合う話の美しさともいうべき絵に。
なのに、死の黒と血と炎の赤が滲み湧く、恐ろしさを湛えていて。
美しい。けど、怖いなぁ。

 全部見終わってからもう一度OPを見て。
ああ、家康の甘い夢は終わったのだな。
瀬名と2人だけの幸せを夢見る青年は、ここで終わってしまったのだな、
と思いました。
 弱さの兎の人形を瀬名に預け、幼い時に一緒だった老将が自分を守って遠くに行ってしまって。
厭離穢土を願う未熟な若殿ではいられず、地上の江戸を作る大殿になっていくのか。

家康死す

 戦場から駆け巡る大敗と家康生死不明の報。
主君の妻という立場を思い出し場を引き締める瀬名に、大役を負いながらも堂々と努める信康。
とても立派なのですが、悲劇のフラグではないかとドキドキしてしまいます。

 同じく急報に信長の元に急ぎ馳せる羽柴秀吉くん、心ないバケモノの割に家康のことかなり気に入ってたのかな?
ちょっと人間味を感じてきました。
 反対に信長が平然としてて驚き。
ずっと死と喪失を覚悟してきたのかな……。

真・三方ヶ原

 死体で埋め尽くされた三方ヶ原を見渡す井伊虎松。
その先に見えたのは、今川義元から下賜された家康の象徴、金茶美具足(金陀美具足)の首と死体。
赤い、赤い戦場、三方ヶ原。

 若き直政の心中たるや悲惨ですが、命を助けられ王道を見、この地獄を生き抜いて信玄を撃退したとなると、直政が家康に心酔するのも納得ですよ。
 再会、臣従時にどんな顔を見せてくれるのか、かなり楽しみです。

 って巻き戻し!?(笑

守れ、お前の大好きな殿を

 窮地に弓を放った救援、本多正信かと思ったのですがハズレでした(笑
甥っ子大好きな本多忠真と、叔父と一緒なら死ねる本多忠勝。
武辺もので猪武者で意地っ張りで似た者同士な、最高に仲の良い叔父甥、その別れ。

「殿のことが好きなんじゃろうが!」
「主君を守って死ぬことじゃろうが!」

愛し育てた甥っ子をどついて逃し、酒を食らって一人大軍に立つ向かう背中。
格好良い、格好良いよ叔父上……!

その名は死んだ、はずだったのに

 なぜじゃ、なぜ名を覚えられん、なぜずっと間違える。
夏目広次……吉信ぅ!
まさか今までの名前間違いが、幼少期のあやふやで、でも忘れられない大事な記憶で、広次からすれば約束を違え忠義を果たせず、帰ってきた主君を裏切り許された傷だとは。
帰ってきて再会し、名前を知らないと言われた受け答えの言葉が、なんて重いものに。

 思い出して欲しかった、思い出してもらう訳にはいかなかった。
若殿と再び会いたかった、会うなど出来なかった。
忘れられたことは、どれだけ胸のつかえが降りたことだろう。
「よし」「のぶ」と間違えられるたびに、どれだけ胸が締め付けられたことだろう。
はっきりと呼ばれた「吉信」の名に、どれだけ苦しくて突き刺された救われて、報われたことだろう。

 そりゃあ「主君を守って死ぬ」のは自分が先ですよ。
大事な若君を安心させ、決戦に送り出し、最後に愛する主君に伝える言葉が「大丈夫」なんて。
不器用で朴訥で、真っ直ぐな男に、戦国の世は辛過ぎる……

 吉信と呼ばれての幾重にも強張りしかめる貌、泣きそうな主君への愛に満ちた声から、低く沈む覚悟し差配する男の声。
共に逝く配下と共に、進む背中。
体に刃がめり込む時すら、音は優しく溢れるは笑顔で。
主君を守りきっての死は、吉信にとって、本当に喜びで、救いだったんだ。
きっと、きっと。

遺された者たち

 2人の武士に「お前はまだ先じゃ」とどつかれて蹴られて見送った本多忠勝。
多くの人の弱さと苦しみを背負う主君・家康と同じように、大事な先達たちの生き様死に様を背負う武士になるのかな。

 榊原康政も面白い立ち位置ですよ。
本多忠真の言葉に、また残りかけた忠勝より先に退いたのは、死を前に逃げたのではなく、「死に場所は自分で決める」武士の死に様の尊重のような気がします。
 また夏目殿の「具足を脱いで」で最初に動くのも、彼なのですよね。
忠義と死にはやる武士の意思を知り、殿と共に生きると決めた武士の姿に見えます。

 本多忠勝だけでなく、鳥居元忠も夏目吉信を見送ったのは、重いなぁ。

 そして、
みんなに生かされた
覚悟を決めた徳川家康。
まず広間ででんと寝転んで大泣きしてる姿が大物すぎますし(笑、
起きてきっと次の戦さを見据える姿、武士の、漢の顔ですよ……

他、ちょこちょこ

 今回は特に、逸話の取捨選択が面白かったー!
焼きグソしかみ茶屋の婆さんと数有る言い伝えを吹き飛ばし、本多忠真と夏目広次の死に様に絞った、伏線回想まで全部盛り盛りな脚本、好きです。

 諫言は聞かず間違いをなすりつけ蹴り飛ばす。
明智光秀の足利義昭捨てフラグが完璧ですね(笑

 「三十六計」は逃げるものかと(笑
空城の計とは、知略に長けた上に大胆不敵ですよ。

 そうか、金茶美の兜首でも信玄は影武者と分かるのですよね。
空城の計も含めて、忠義と勇気に見事と感心し、また自分の死を前に急いだんだ。

どうする家康

"天が決める"
家康に全てで上回り圧倒的に勝ち、ながらも死が近づき退却する武田信玄。
生き延びた家康と信長。
ああ、そうか、
「天はもう選んでまったのかもしれません」

 大敗、大事な部下の死、巨大な敵の死。
どうする家康。

 次回、『お手付きでどうする』
っておーい!こら!(笑

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