どうする家康 36話 の感想
見逃し配信 - どうする家康 - NHK
【作】古沢良太
【音楽】稲本響
【出演】松本潤、岡田准一、有村架純、野村萬斎、イッセー尾形 ほか
【デザイン】GOO CHOKI PAR
(C)NHK
どうする家康
ずっと笑顔だった、一人の女性の足跡
はるか昔、家と国、男と女、人と人。
色々なものを悲しく切なく、そして暖かく思えるドラマでした。
人の幸せって、何なのかなぁ……
茶々の紅い
紅い、紅い口紅。
軽い言葉に嘲笑う視線。
茶々のありようが本当におぞましく悲しく。
あとお市様との違いに、北川景子さんの見事な演技に恐れ慄きます(笑
豊臣の世、徳川の政
織田と徳川も捻り入り混じった関係でしたが、婚姻した分、豊臣と徳川も重く捻れた絆ですねぇ。
旭姫は人質でなく、正室として扱われるのは立場上でもありますが、頑張り屋の女性を大事に扱う家康と徳川家の阿多田朝を感じます。
茶々に浸り、なんでも欲しがり。
もう訛りは使わず、人の心を計ることすら捨てた豊臣秀吉。
秀吉政権の屋台骨に思えた、ねねと秀長との絆にも亀裂が。
秀長の痛切な顔がね……。
旭だけでなく弟も頑張り屋で苦労してばかりに見えて、不憫なんですよ。
こんな恐ろしい秀吉相手なのに、内心を話してしまう誠実さと恐ろしさの無さが、家康なのかもしれないなぁ、とちょっと感心したり呆れたり(笑
「家康ならそんな酷いことはしないだろう」と侮られ、信頼されている。
実質正室と後継たちが直接民に施すのも、恐れられるのではなく直接つながるという、家康のたどり着いた厭離穢土浄土なのかな。
鳥居元忠と望月千代女
こう…… 繋げるのか!
残る逸話は少しばかり知っていましたが、家康とずっと一緒に息抜き戦い抜いてきた鳥居元忠と、武田の血と瀬名の願いを背負う千代に繋げるとは。
しかもこの後を知っていれば、なんと、なんと……。
最期まで、一緒だよなぁ、絶対。
「やめーーーーい!(美声)」
割と騒ぎの原因な渡辺守綱がダメ過ぎる(笑
こんなに見た目も声も格好良いのにー!
「千代は誰にも渡さーん!」
この騒動、本多忠勝も十分ダメだけど、鳥居元忠も気持ちはまー分かるけど
一番ダメだよ!追放レベルだよ!
徳川家臣団、猛将たちがもうダメダメ過ぎる(笑
知将側の本多正信と大久保忠世の苦労が見え過ぎた回でした(笑
そして、
こんなの裁かねばいけない於愛が可哀相だよ!
ただ、千代が。
自分の最期さえ偽りで閉じようとした、戦国の世を生き抜いてきてしまった女性が、幸せをつかんだことが、とても嬉しく思えのです。
それは戦国ではありきたりの
物語に登場する前の於愛は苦しみと悲しみの中で。
お葉に取り立てられ、瀬名に見出されて。
失っていた笑顔を取り戻し、その笑顔で道が開けたのか。
そしてずっと家康の後ろで、偽りの笑顔で
「よい、笑顔じゃ」
「いつもいい笑顔じゃの」
その上で、家康を支え瀬名の願いを背負って、選んだ生き方が「笑顔」だったのか。
関口家やお糸たち、お万、千代たちの願いと苦しみを背負ってきた瀬名の苦しみと、最後の願いを、それを苦しみでなく「願い」として受け継いだのは、於愛だったのだなぁ。
於愛の笑顔
お慕いするお方では、ない。
お慕い …今でいうと「恋愛感情」で良いでしょうか。
予告で聞いた時にはショックでしたが、だからこそ、相思相愛運命の恋人だった瀬名とは違う、瀬名の願いを引き継ぐ役目を果たした、果たせたのだと思います。
於愛にとって、家康をお支えする諸事と笑顔は、大事なお役目だったのでしょう。
信長に笑い舞い、秀吉に壊れそうな顔で屈しまいとする顔、白兎の木像を優しくしまう姿を、
ああ、全部全部、於愛の方は見ていたんだ。
見続けてきたんだ。
そして、笑顔で包んできたんだ。
大久保忠世の笑顔、家康の笑顔、於愛の笑顔、そして千代の笑顔。
どれもが眩しくて、心救われて、だから。
生きるための笑顔、寄り添うための笑顔、幸せになって欲しいと願う笑顔。
今や願い通り、家康が、瀬名と信康の思い出を笑顔で語れるようになって。
いつからか、やっぱり於愛の笑顔は本物の笑顔になっていたのだと思います。
そしてふと振り返れば、家康たちを救い、於愛当人も救っていたのだと。
真田信幸お稲夫婦
慕い慕われることの大きさ。
戦国の女の「お役目」。
そして、決心するお稲。
この気性、まさに本多忠勝の娘だ!
あとこんな気性に育ったの、完全に忠勝本人が原因じゃないか!(笑
今まで紡がれてきた、戦国の女性の苦しみと誇り。
関口・今川・武田の女性たち→瀬名→於愛
そうして結論がお稲だとすると、何というか……
強いな!(笑
そしてダメパパ本多忠勝がもう……
かわいいな!
戦国の最後の烈女。
茶々の笑顔と、稲の笑顔。
この物語の最後に、この2人がどう描かれるのか、気になりました。
どうする家康
ああ、大名、一国一城の主となると、家臣じゃなくなるのか!
これからも実情内面も君臣の関係は続くでしょうけど、そういう視点は無かったですよ。
今までこのドラマは家康が一番の主人公で、徳川家臣団が主役だったように思っています。
関東移封。
大きな、大きな区切りなのですね。
次回、『さらば三河家臣団』
どうする家康。
今も物語を締めくくる「紀行」を石川数正役の松重豊さんが続けているのも、見守られている感じで良いですねぇ。