尾上屋台 2017/03/27 00:58

「チェインクロニクル ヘクセイタスの閃」

・アニメ公式


人気スマホゲームのアニメ展開ですね。
この手のって、世界観とか興味あっても、いざプレイとなると、長い間付き合ってかなくちゃいかんもんですから、こうやってアニメとかで「こんな感じですよ」ってやってくれるのはありがたいですね。

設定だったり始まりだったりは、ちょっと変わってて興味沸きましたね。
主人公たちが魔王に負けるところから始まるでしょう?
負けたのもそうですけど、そこから物語を転がすってのは、かなりの変化球で好きでした。
あと、比較的早い段階で主人公が闇落ちするってのも、結構な冒険だったと思います。
基本的に、この作品のこうした意欲的なところってのは、ありがちなビジュアルからは想像できなかったんで、いい意味で期待を裏切ってくれたなあと。

でも、ちょっと気になったところもあったかなと。
いわゆる光と闇の戦いってヤツで、これはこれでいいんですよ、わかりやすくて。
けど、こう、悪役たちの方の台詞が、紋切り型で、「闇で覆い尽くすのだ」とか「闇に落ちよ」みたいな、そんな感じのが多かったでしょ?
で、闇とか黒の力みたいのって、なんかのメタファーだと思ってたんですよ。
ある意味そうではあるんですけど、特に悪役勢の台詞が、闇だ黒だと連呼する感じで、これを薄っぺらいと取る人もいたと思うんですが、僕はこの辺はある種の様式美を表現したいんじゃないかと思ってたんですね。

んー、適切じゃない喩えかもですが、ミュージカルとかって、急に歌い出してもそれを「不自然」みたいに言うのって、要は様式だったりを理解してないからこそ言えることじゃないですか。
それに似てるというか、いかにもな悪役にいかにもな台詞を言わせてるのって、一種のそういうもんなんだと、最後まで思ってたんですが・・・。

で、最後に魔王との戦いになった時に、魔王がその闇だったり目的だったりについてべらべら喋り出した時に、「あれ、なんか違うぞ」って(汗)。
最後の一話になって焦りましたよ。
駄目だよ、闇について語り出しちゃ!って(笑)。

それ、語らないからこそ、この人の言ってる闇だの黒の力だのって、何を伝えたいんだろうって、それぞれの受け取り方できたはずなのに、みたいなですね。
あれれ、これ様式美で言ってたんじゃないの?って、ちょっとラストの脚本だけなんとかしてよって思っちゃいました(汗)。
また最後にイデオローグを駆け足で語っちゃうと、それを主人公側が一瞬で論破して終わるみたいな、ちょっと軽い終わり方になっちゃうんですよね。

これやるんだったら逆に、最初に魔王側のイデオローグを説明して、それをテーゼに、アンチテーゼである主人公側が、ジンテーゼを探すっていう風にすれば、元の物語の運び方の変化球具合といい感じでマッチングしたんじゃないかって思うんですけど、どうでしょうか。
でも僕としてはやっぱ、最後までイデオローグ的なものを出さなかった方が、見る側に受け取り方の自由があって、良かった気もしますねえ。
出すなら、最初にきちっと出しておくべきというか。
んー、この辺り、どうしてラストの脚本があんな感じになったのか、知りたいところでもあります。

ですが、色々言いましたけど自分の見方が正しいなんて確信もなく、「あ、そういう意図ね!」みたいのが、あるんじゃないか、とも思ってるわけで・・・。

劇場版公開とほぼ同時進行だったってことで、ビジュアル的にはかなりよかったと思います。
初め、こんなゲーム的なデザイン(線や装飾が多い)のキャラが、アニメで動くんだろうかって思ってたんですけど、中盤以降の派手なアクションシーンではポリゴン使って、ごりごりに動いてましたね。
最近の作品はこれができるから強いというか、数年前まではアニメじゃ絶対できなかったようなカメラワークも増えましたからね。
その意味では、ファミコン世代的なロジックの作品でも、今でしかできないような表現ってのは、今後も増えていくんだろうなあって思いました。

自分的ヒロインは、んー、ユリアナかなあ。
デザイン的にですね。
縦ロールがすごくて(笑)。
ただ、やっぱスマホゲーム原作ってこともあり、ちょっとキャラは多過ぎて、1クールでスポット当ててくのは、作り手としても苦労したんじゃないかと。
話としては1クールでまとまってましたけど、キャラを描くには2クール欲しかった、そんな感じがします。

割合僕が良く見てるジャンルの作品だったので辛口目な感想になってしまいましたが、総合的には充分楽しめる、良い作品だったと思いますよ!

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