尾上屋台 2018/09/27 13:52

「アンゴルモア 元寇合戦記」

・アニメ公式


今時、といったらちょっと語弊あるかもですが、よくこういった硬派な作品をアニメ化してくれたなあと。
歴史モノのアニメって、今じゃ大体男性向けか女性向けかみたいな、ある程度視聴者層絞ったものになりつつありますもんね。
そもそも歴史ってものが、既に一般層の関心を惹いてないって現状もあって。
特に、アニメ視聴が趣味のメインになってる層には、なかなか響きづらい世の中でもあります。

あとね、歴史モノって、作り手が膨大な資料精査や取材に追われるってとこで、そもそも作りづらいものになってるってのもありますよね。
大変なはずなんですよ。
で、その大変さに見合うだけの結果が出るかっていうと、そうでもない。
なのでより一層作られづらい状況にもなってると思います。

さらに言うと、歴史モノに興味持つ人って、そもそも歴史ある程度知ってたりするじゃないですか。
なので物語の大枠がどういうとこに着地するかってのを、あらかじめ知ってる。
で、その大きな部分のオチがばれてる物語を描くってのは、これまた大変だと思うわけで(汗)。

二重三重に作られづらいものが、さらにアニメ化までいったってのは、何気に大きなことだと思いますよ。

そしてこの作品ですが、創作的な部分と歴史的な部分の配合が、なかなかいい塩梅だったんじゃないかって思います。
これ、まるっきり全てをリアルにやっちゃうと、なかなか作品にならないんじゃないかと思うんですよ。
作品である以上、やっぱ創作的な部分をどうねじ込んでいくのかってのが作者のセンスであって。
この辺のバランスは、非常に良かったんじゃないかと思います。

あえて何かあるとしたら、ちょっと構成が平板に見えるとこでしょうか。
なんつうかこう、ずっと蒙古の攻撃を凌いでるだけみたいになっちゃうというか。
でもこれ、実際にはそうだったしょうからねえ(笑)。
ここで朽井たちが大きく勝って蒙古追い払っちゃったら、一体なんの歴史なんだって話になっちゃう。
あと、漫画で見せてたものがアニメになることで、原作の間みたいなものが結構違っちゃったりするんで、そこも難しいところだったんじゃないかなって。
あんまり戦以外のとこに尺取っちゃうと、今度は蒙古に攻められてる緊張感がなくなっちゃうでしょうし。
いや、つくづく難しいモチーフで作品作ってるなあって、そこがすごいとこなんですよ。

そもそも元寇でも対馬関連の話って、あまり有名じゃないというか、資料的にも少ないと思うんで、何がどうなるかわからないみたいな感じは充分感じ取れました。
いや、僕が勉強不足でまったく知らなかっただけなのかもですが。
原作はこの後本土での戦いになってるみたいなんですけど、元寇を対馬から始めたってのは、この作品のすごくいいところだと思います。

んー、この後もアニメ化してほしいですねえ。
まだ生死不明のキャラも多いですし、今後の展開にすごく期待感が持てたので。

歴史モノ、元寇、対馬と、他の人が漫画でやってこなかったとこをチョイスしたってとこに、非常にセンスを感じる作品でした。
いや、今時歴史小説すらベストセラーに上がってこれないのに、よくやってくれたと。
自分的には、かなり好みの作品でした!

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