尾上屋台 2018/09/29 12:42

「BANANA FISH」

・アニメ公式


あ、バナナフィッシュ、アニメ化なのかって。
原作読んでないんですけど、一応名前くらいは聞いたことある名作って感じで。

最初にちょっと言えば、あえて現代風なアレンジ(スマホとか出てくる)にする必要はあるんかなーってのがあります。
その方が「見やすい」みたいな配慮なのかもですが、僕的には過去の作品に触れる時って、その時代の空気を感じたいんですよね。
当然、当時的にはスマホの存在自体思いもよらなかったはずで、そこ前提に話作ってるものに、今のハイテク機器を持ってくることないんじゃないかと。
まあこれに限らず、他の作品でも、その時代の空気感みたいのもその作品の魅力のひとつであるはずなんで、まあ余計なことはするなと(笑)。
時代劇や大河ドラマにスマホ出さないでしょ?

と、この辺のアニメ的なアレンジに多少首を傾げながらも、ああ、この時代の作品って(そんなに昔じゃないけど)、やっぱ面白いなあと。
よくできてるんですよ。

構成が、もう洋画みたいな感じですもんね。
場面転換と心情の変化、関係性の深まりみたいなものが、すごくリンクしてる。
で、その場面ってのも多種多様で、ざっくり言うとこの1クール目ってのはロードムービーなんですよね。

構成自体は昔の洋画の完成された様式美みたいのを踏襲しつつも、連載漫画の尺の長さを活かした描写になってて。
それぞれのキャラのバックボーンに、尺を取れるんですよ。
それもばばーっと時間かけてその人の過去を掘り下げるんじゃなくて、各々ちょっとずつの回想シーンを小出しにするような感じで、物語のスピード感を邪魔してない。
あくまで物語の展開が本筋で、見てる側がそこ忘れちゃわない程度の塩梅で、これはなかなか上手いなあと。
この辺の描き方は、漫画ならではって感じもしますしね。

展開、場面の動かし方、それに伴うあらゆる表現が、「漫画」なんですよ。
漫画で表現できることや漫画ならではの描き方を、フルに活かしてる。
それがアニメでも伝わってくるもんですから、これはやっぱりいい作品なんだなあと。

で、いい作品ってのはやっぱ、キャラの描写が丁寧ですよね。
単に尺とって長々と描写すればいいってことじゃなく、このキャラはこうだってのを、ピンポイントで押さえていくやり方が上手い。
全部説明しちゃいかんのですよね。
全部説明してないんですけど、見てる側に「わかった」って思わせるのが正解で。
主人公のアッシュにしても、幼少期のエピソードと、後は会話のやり取りだけで、こいつはこういう人生を送ってきたんだなってわかるでしょ?
その間をうだうだと描いてないのに、見てるこっちが「わかった」って思わせる描写になってる。

こういうのが、上手いやり方なんですよね。
特に、漫画とかアニメとかだと。
小説とかだと、あえて必要なさそうなのに尺長めに取ったりだとか、ちょっと搦め手の手法もあったりするんですけど。

ともあれ、完成度の高い作品だと思いました。
最近、完成度の高い作品って、あんまお目にかかりませんね(笑)。
ただこの当時、漫画家になること自体が今よりも難しかった時代に打ち切られることなく生き残り、かつ名作と言われた作品は、やっぱなんか持ってますよ。
それも何か目立った個性みたいのだけじゃなく、作品そのものが、やっぱよくできてる。

このまま2クール目だと思うんで、引き続き楽しみにしてます!

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