尾上屋台 2018/09/30 17:26

「はたらく細胞」

・アニメ公式


これ見て真っ先に思い出したのが、子供の頃に学校の図書館にあった、色々な知識を扱った漫画本ですね。
僕が子供の頃ですから、もう三十年くらい前ですけど、あったんですよ、そういうの。
僕はあんま読まなかったですけど、これが結構な人気だったんです。
これ、それに関する諸々あったんで、いずれ思い出語りのとこでちゃんと触れるかもです。

で、今作品見て、なんか懐かしいなあと(笑)。
ただ1クールに一本くらい、ちょっとこれは作品としてどうなんだろうってのがあるとすると、僕の中では残念ながらこの作品がそれに当たってしまいますねえ。
つうか、物語が雑なんですよ。

でもこれは、モチーフの勝利なんだろうと思います。
先程触れた、色々な知識を教える漫画本が図書館で大人気だったように、そういった知識を学ぶにあたって、おそらく最も効率的な、通常の本(文章の本)が、読めない層ってのは、思いのほか多いことに最近気づいて。
難読症みたいな特殊な事例はここでは省きますけど、そもそも本ってのはある程度読みつけてないと、読めないものなのかもしれないなあって。
僕の周りには本の虫が多かったんで盲点でしたけど、読書が習慣になってない人ってのは、少なくないんです。

でも、漫画だったらほとんどの人が「読める」んですよ。
漫画読まない人はいても、読めない人ってのはそうそういない。
ものすごく間口が広いメディアで、それゆえに今回のような、身近でかつ知る機会あれば知りたい知識、を伝えるには、最適解だったのかなあと。
僕なんかはこれによく似たものを既に子供の時に見ていたんで、一周回ってまたこういう作品が出てきたか、くらいだったんですけど、ひょっとしたら今の世代に取っては、これは結構新しいことだったのかなと。
それゆえにヒットしたのかなあと。

ただ先程言った通り、物語として、ちょっとどうなのかなあと思うところはあります。
一番わかりやすかったのががん細胞のとこで、まあがん細胞って、細胞分裂のエラーなわけじゃないですか。
場合によっては、通常の細胞になってたかもっていう。
で、これを、その場合によってはみんなの仲間だったかもしれないんだよって観点をテーマにしちゃったものだから、ちょっとかわいそうな話になっちゃう。
そうすると、じゃあかわいそうだからがん細胞はもっと生き続けるべきだったのかって話になっちゃうでしょう?
それは違うわけですよ(笑)。
なのに、そう描いちゃうものだから、物語としてどう描きたかったのかが曖昧になってくるんですよ。
実際この形でがん細胞描くのってそれなりに頭使うとこだと思うんですけど、そのまま描いちゃうものだから、一体何が描きたかったんだって話になっちゃう。

今のは一番わかりやすい例ですけど、ちまちまと突っ込みたくなるような要素が多くて、あくまで物語として見た時に、 ちょっと雑なんじゃないかなあと。
これ、体内を擬人化してるって要素抜いて考えた時に、物語として成立してるかって観点に立って構成してるのかなと、ちょっと疑問符をつけたい作品ではあります。

でもまあこれも先程言った通り、モチーフの勝利なんだと思います。
作品って、テーマよりもモチーフの力の方が大きいですよ。
つうのもテーマってのはその作品吟味して初めてわかるものですけど、モチーフは誰でもわかるというか、まあ入り口ですからね。
触れてない人に触れさせるのは、テーマじゃなくてモチーフなんです。
もう少し言うと、結局テーマってのは、わかる人にしかわからない。

わからん人にはわからんですし、もう難しいことは考えたくないっていう人も、これもまた結構な割合でいることは確かなんですね。
特に大人になってくと、この辺の色分けってのはしっかりとできちゃう。
言われんでも勝手に勉強する大人と、もう学校は出たので勉強は一切したくないって大人に分かれちゃうわけですね。

とまあ、色々なことを考えさせられた作品だったこともあって、続編アニメ化するようなことがあったら、多分見ると思います。
これはきっと、やるんじゃないかなあ。

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