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逆レの記事 (4)

ももえもじ 2020/07/15 17:29

ショタハーレム

依頼作品です。


「ねえ、これ見て。精子って、マジで美容効果あるらしいよ!」
「えー、ウソだぁ? よく聞く話だけど、本当なの?」
 ティーンエイジャー向けの如何にもな雑誌を読んでいた女子が、周りにいる四人の女友達に記事を見せつける。
「ふむふむ、タンパク質がどうたらこうたら……これって迷信だよ。精子って実際、タンパク質なんか全然入ってないらしいよ」
「私もそう思ってたんだけどさ……」

 雑誌の続きには、こう書いてあった。
【――だが、精子や我慢汁による美容効果は、タンパク質よりもホルモンの分泌にある。精子を一身に受けると、女性はホルモンが活性化によりストレスの発散やリラックス効果が伴い――】

「…………」
 文字を追うごとに口数が減っていく。グラフや比較写真、専門用語の羅列が五人の好奇心を巧妙にくすぐらせる。

【美少年の精子は特に効果が高く、若いうちから定期的に飲むことで、いつまでも若々しく健康的な身体を保つことができると言われている】

「……………………」
 こんな記事さえ読まなければ、後に一人の男の子と大勢の女の子の運命を大きく揺れ動かすこともなかっただろう。

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ももえもじ 2020/06/01 11:02

女スライムに包囲されました

「ぐっ、なんてこったっ!?」
 広々と続く穏やかな草原でまさかの失態だった。
 こんな穏やかな場所で捕らわれるとは、勇者一生の不覚である!!
 視界の良い草原。
 のびのびと歩いていたところ、突然足が湿地にハマったのだ。
 ズボッと足がハマる。地面と罠が同化していて気付かなかった。
 粘着質な液体に足を掬われて一歩も動けない。
 あたふらしてると、この罠を張ったらしいモンスターが姿を現した。
 モンスターは、青色をしたスライムの雌が二匹だった。
「あっはっは! 勇者やぶれたり!」
「や、やったっ、勇者を捕らえたよっ!」
 一匹は高笑いするツリ目の女スライム。
 もう一匹は、モンスターらしくない優しそうな顔つきの垂れ目な子だ。
「くっ、この罠を仕掛けたのはお前らか」
「ふっふっふ。偉大な者ほど小物にヤられるものよ!!」
「あれっ、アクアが自分を小物だって認めるの珍しいね」
「仕方ないじゃん。青色スライムだもん」
「うん」
「けど、それも今日でお終いよ。勇者の精力を全て奪って、私たちこそが最強のモンスターになるの!! ふふふふ、この時をどれほど待ったか!!」
 アクアと呼ばれた小生意気そうなスライムが両手でガッツポーズを取る。青いスライムは最弱モンスターとして有名だ。
 それをアクアはコンプレックスに思っていて、力のある俺からパワーを吸い取って返り咲きたいってところか。雑魚モンスターながら涙ぐましいじゃねえか。
 俺は一歩も動けないまま、冷静に会話から流れを推測した。
「さあ、勇者。覚悟しなさいっ」
「か、覚悟するですっ!」
「はぁ……やれやれ」
「って、ちょっ。もう少し危機感抱いたらどうなのっ?」
「あのなぁ、こんなのが抜け出せないと思ってんのかよ?」
「えっ!?」
「…………」
「俺は様々なダンジョンを潜り抜けた勇……ふぁああ~~あ」
「こ、こ、こ、この状況であくびするなぁっ!!」
「身が入らねえよ。お前ら程度の罠なんかよぉ……」
「むっきぃー!! 私らを普通の青スライムと思わない方が良いよっ!?」
「ふわぁああ~~~~あっ(超デカいあくび)」
「うがーーーーーーっ!!」
 あくびをしながらケツをポリポリ掻く。罠に掛かってモンスター二匹に挟み撃ちを受けていても、俺の心拍数は依然として平常だ。
 危機感を抱かないのも当然だろう。レベル一でも倒せそうなスライムの罠なんか、レベル90代の俺に通用するハズもない。涙ぐましいアクアを、俺はあくびしながら哀れみの目で見ていた。
 哀れんだ俺の目に、当然アクアは真っ赤になってバタバタと怒っている。
地団駄を踏む姿が妙に可愛らしくて噴き出す。
 それがまたアクアの怒りに触れるらしく、暫く俺を指差しながら癇癪を起こしていた。
 しかし、俺はまだ気付いていない。
 本当に哀れなのは、俺だったってことに。
 この数分後に立場が逆転すると、俺は最弱モンスターを揶揄ったツケとして、とんでもない生き地獄を味わわされることになるのだった。


「あ、あれっ?」
「…………?」
「くっ……」
「ア、アクアッ、見てっ」
「プッ、どうしたの勇者様。そんなに踏ん張っちゃって」
「な、何故だ。あ、脚が動かんっ」
 そろそろ茶番も終わりにしよう。
 ってことで罠から抜け出そうと脚に力を籠めるが、それでも動かない。
 仕方ないから魔力を解放してやるが、それでも脚は泥濘に捕らわれた儘、それ以上振り上げることが出来なかった。
「ぷっ、あーっはっはっはっはっは! どーした、様々なダンジョンを潜り抜けた勇者なんでしょ? なら、さっさと抜け出してみなさいよっ!」
「……言われるまでも無い」
「な、なによ。この光っ」
「死にたくないなら消えろ」
「ア、アクアっ、あれっ、魔王様の技だよっ!」
「ヤ、ヤバッ、マリン、逃げるわよっ!」
「もう遅ええっ!!」
 魔力を最大限に。自身から光のオーラが放たれる。
 そして解放。辺り一帯に、とんでもない爆発が巻き起こった。
 どぉおおおおおおおおおおおおおおおん!!!
「ぐはあぁっ!」
「きゃあぁああああっ」
「わぁあああっ」
 アルテマ。魔王からラーニングした究極の魔法だ。
 それを自分を対象に発動させる。自分も大ダメージを受けるけど、辺り一帯も吹き飛ぶので地形ごと罠を外せるだろう。そういう目論見だった。
 …………
 大爆発の後に、草原に巨大なクレーターが出来る。近くに居たアクアともう一匹の、マリンが巻き込まれて、何処か遠くへと吹き飛んでいくのが見えた。
 俺も大ダメージだ。けど、その甲斐はあっただろう。
 と、思っていた。
 しかし、それでも泥濘だけは残っていた。
「な、なにっ!!」
「いったたたたた……お、おお~、凄い。マリンっ、見てっ!!」
「おおおおお~っ、まだ残ってるっ、勇者も捕らわれた儘だっ!」
「バ、バカな……」
 しぶとく生き残っていた雑魚モンスターの二匹。
 それ以上にしぶとい沼に、俺は初めて背筋を凍らせた。
 しかも、究極魔法を自身にぶつけた所為で、なんかもう死にかけである。眩暈がしてきた。脚もガクガクしていて踏ん張ることも出来ない。アイテムも吹き飛んでしまったから回復も出来ないし・・・
 これは・・・超ヤバいのでは。
 感情がありありと表情に出ていたのだろう、俺の様子を見たアクアから妖しい笑みが浮かび始める。形勢は完全に逆転……いや、もともと積んでいたのに、俺が傲慢すぎて罠の危険性に気付かなかっただけ。
 そう、俺は雑魚モンスターの張った罠で完全に積んだのだった。
「ふははー、今度こそ勇者やぶれたり!」
「魔王様すら倒せなかった勇者を私達が、って良いのかなぁ」
「良いの良いの。ほら、どーしたよ勇者たま❤」
「ぐ、ち、ちくしょうっ」
 アクアがクレーターに入ってきて、俺の頭を撫でてくる。
 完全に馬鹿にしている。残りの魔力で吹っ飛ばしてやろうか?
 しかし、そうなったら広い草原に一人残されることになる。こいつらを倒したところで、罠から抜け出せなければ飢え死にするのは確実だ。
 だから、こいつらを説得。示談するしか、もう生きる道は無かった。
 唇を噛み、静かに言葉を吐く。
「望みを聞こう」
「むむ。もっと命乞いすると思ったのに。流石は歴戦の勇者ね」
「アクア、どうする?」
「どうもこうも、ただ勇者のエネルギーを吸い取るだけよ。ま、その後で解放してやらんでもないかな。ま、エネルギーかすっかすになるまで吸い取るつもりだし、一応言っておくけど、アンタはもう勇者としては生きていけないわよ。卒業して村人に戻ることになるの!」
「……野垂れ死ぬよりはマシだ」
 これまで培った全てを、こんな雑魚に与えるなんて冗談じゃない。
 こんな奴ら、すぐに篭絡して必ず抜け出してやる……
 ボロボロになりながらも野心は衰えず。
 これより、勇者VSザコモンの戦いが始まるのだった。

「マリン。そっち持って」
「うんっ」
「ぐっ、ち、ちくしょうっ、ちくしょうっ」
「じゃあ、行くよ」
「そーれっ❤」
 棒立ちの体勢で一歩も動けず、究極魔法で勝手に自爆した俺は、全くの無抵抗で二匹のスライムから鎧を外される。ボロボロになったインナーもあっさり脱がされて、姿を潜めていたイチモツがポロリと姿を現した。
「ぷっ、こっちの方は勇者って言い難いね」
「ば、爆発で縮んだんだよ」
「可愛い❤」
「ううっ」
 二匹のスライムがしゃがんでイチモツに擦り寄ってくる。
 下から見上げてくる二人。その可愛らしい瞳に、ついついドキッとする。
 あまり意識してなかったけど、二人とも外見は良かった。
 指で軽く亀頭を抓まれ、思わず声を出してしまう。
 こういった行為は、どれくらい久しぶりだろうか?
 モンスターとは言え、見てくれは中々に上々なアクアとマリンだ。
 こんな状況にも拘わらず、徐々にイチモツは元気になっていってしまう。
「ふむ。勃起力は中々ね」
「あう……」
「どうしたの、マリン?」
「ア、アクアは、こういうの慣れてるの? わ、私、オトコのコレ見たの初めてで、なんかめっちゃドキドキしちゃう」
「言わないでよ。私もドキドキしてるんだから」
「お前ら処女かよ」
「ムカッ、処女でなにが悪いんだよ? このぉおっ!!」
「うぐっ!!」
 軽く触られていただけのイチモツに、今度はアクアがズボッと腕を貫通させてくる。直角に勃起していたイチモツを、アクアはスライムの特性を利用して正面から一直線に捉えてきたのだ。
 青色の半透明な腕に、イチモツが丸呑みされてしまう。スライムなんて、言ってしまえば全身オナホールみたいなものだ。実際、その気持ち良さに目を付けた商人も居て、裏市場ではスライムの闇取引も行われている。
 液状・固形と変幻自在に体質を変えることが出来るスライムは、まさに性行為の道具として最適なのだ。アクアが水のように柔らかくなった腕で無理やりイチモツを搦め取ると、今度は腕をゼリー状にして、ぬるぬると動かしてくる。
 その快感は、オナホールの比ではなかった。
 温かいし、なにより無駄な圧迫感がない。
 しかも腕の中のゼリー状がウネウネと絶え間なく動いており、まるで人間の女性器、それもミミズ千本と呼ばれた名器の中みたいな感触だった。
 ミミズ千本以上の感触をした、温かい電動オナホールと言ったところか。
「うああああぁあああっ!!」
 アクアが腕をジュッポジュッポと何度も動かす。ゼリー状の胎内で、まるでバキュームされてるようにイチモツが吸い上げられていく。
 人間との性行為では有り得ない快感に、俺は全身を戦慄させた。
「勇者様ってばカワイー❤ 随分溜まってたんだねぇ、もうチンコがパンパンじゃんっ。我慢汁で私を溶かそうとしてんのってくらい溢れてるしっ。へえ、これ気持ち良いねぇ~」
 アクアも、感じているらしい。
 アクアの頬が少しずつ染まっていくのが見える。
 腕の中にも性感帯が通っているのか、ブチュブチュと中でゼリーが弾ける度に、軽く全身をピクリとさせている。隣に友人が居るから、なんとか声を押し殺しているようにも見えた。
「アクアも気持ち良いの?」
「うん。マリンもやってみなよ」
「わ、分かった」
「や、やめ、うああぁあああっ!!」
 と、アクアだけでも気持ち良いのに、その快感に慣れる前に、マリンも参戦してきてしまう。スライムはスライム同士で融合することが出来る。器用にも、マリンとアクアが腕だけを融合させてくる。
 二人の腕に搦めとられたペニス。まるで二つのマンコに同時に味わっているかのような気分だ。さっきよりも二倍くらい強い刺激が走った。
「ああぁああっ、くううっ!!」
「あ、ほ、ホントに気持ち良いやっ」
「でしょ?」
「全身に温かいものが広がってくる感触。なんか落ち着く」
「うんうん。ゾクゾクするよねぇ」
「ふうっ、んっ、ゆ、勇者、さまぁ……」
「うぐううっ、マ、マリンって言ったか? なんて緩急だっ!!」
「勇者さま、もうイキそうなの?」
「…………」
 俺は黙って頷く。スライムエッチが始まって、まだたったの二分だ。
 マリンの参加から、まだ三十秒しか経っていない。
 けど、早漏なんて気にしてる余裕もないくらい気持ち良くて・・・
 俺は、早々に二匹の腕の中に精魂を吐き出した。

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ももえもじ 2020/05/22 16:50

【小説】ショタが占い師を始めたら人妻が殺到した-第一話

旧:団地妻の誘惑~辻占ハーレム~

プロローグ

 太齊の一族は、占い師を家業に代々と永らえていた。
 末裔の翔太も例外ではなく、やがて迎える成人の時まで研鑽を積む日々である。昼間は学業を勤しみ、夜は占いの修行に精を出す毎日だ。そして、近くに迎える成人の際に、翔太は占い師として独立を果たす予定だった。
 しかし、師範を務める父が入院してしまい、事態が一変することになる。金銭的な問題が発生したのだ。代々と続く由緒ある占い師とは形ばかりであり、太齊家の実は金詰りの一途だった。
 伝統ばかりを重んじて他に稼ぐ手段の無い眷属は、それでも占いに縋りつくしかなく、生活費も儘ならない父は、急遽に翔太を占い師として稼ぐように指示をする。修行も半ばに、翔太の学業と両立してのデビューとなった。

第一話-初日

「本当に、僕が占い師を務めることになるなんて……ああ、緊張する。自信がないよ。まだ修行も途中だし、上手く行く気がしない……ああ、どうしよう……」
 とある商店街の一角にて翔太が手に汗を握る。言葉の通り、今日が翔太の占い師としての初舞台なのだ。父が使用していた占いの演台に手を付き、不安を露わにしながら客足を待っていた。
「それにしても、天井も壁も無いなんて知らなかった……これじゃあ、周りから丸見えじゃん。声も丸聞こえだろうし、恥ずかしいかも……せめて外じゃなくて部屋だったら良かったなぁ」
 名ばかりの太齊には店舗を構える資金すら無い。翔太に設けられたスペースは遮蔽物の一つも無く、周囲から丸見えだ。慣れない翔太は、とにかく落ち着かなかった。
「…………」
 しかし、そんな不安も時間が経つに連れて和らいでいく。土曜日の午前中だと言うのに、商店街は非常に閑散としており、目に付く人が数える程にも見当たらないのだ。
 今頃になり、商店街がシャッター通りになっていることに気が付く。
開いている店は僅かであり、それらも客足が良いとは到底も言えない状態だった。
「噂には聞いてたけど、この街って本当に廃れていたんだ。こんなに大きい商店街なのに、ウソみたいに人が居ないや」
 翔太の居る商店街は、ここ数年で立派な空洞化現象へと陥っていた。
 シャッター通りという言葉は幾度と耳にしていたものの、こうして実際に目の当たりにしたのは初めてである。不況を身近にした翔太は、シンとした商店街に小さな恐怖を感じていた。
 同時に、安堵感も然り。飽くまで父が退院するまでの繋ぎな翔太は、このまま客足が無ければ……などと、不謹慎なことも考えてしまう。
「お父さんには申し訳ないけど、やっぱ僕に占い師は早いよ。だから、このままお客さんが来ないことを祈ろう。お客が来ないっていうなら、お父さんも怒れないし。あはは」
 ……されど、翔太の淡い願いは露と消える。及び腰で祈りを捧げる傍らにて、既に遠目から翔太を窺っている女性が数人と居た。
「あの子って占い師なのかしら? 初めて見るわね」
「や~ん、めっちゃ可愛い~っ!! 女の子みたーいっ❤」
「えっ、なにあの可愛い子っ。男の子……だよね? いつもはキモいエロ親父だったのに。あのハゲは引退したってことなのかな?」
 近隣に住む三人の人妻である。若いながらも滲む母性を隠しきれず、如何にもママ友と呼ぶべき一行だ。土曜日に集って商店街を歩き回る最中に、占い屋で独り佇む翔太を一人が着目した。
 いつも不気味なオーラを漂わせる陰気な中年とは打って変わっての翔太は、商店街を馴染みとした三人にとって異彩でしかない。一人を惹き付けると、続いて二人も翔太に関心が向けられた。
 太齊翔太――。
 年頃の男子にしては、体格が華奢で顔付きも幼い。未だ声変わりも果たしておらず、中性という言葉がピッタリな存在だ。当然のように人目を惹きやすいタイプであり、家庭を持つ三人組の人妻も例外ではなかった。
「あら、本当に可愛いじゃない」
「えーっ!! 陽子ってば反応薄すぎっ、あんなに可愛いのにっ!!」
「ヤバい。あの子、モロにタイプなんだけど。何歳なのかなぁ……」
「ええ、里香もショタコンだったの?」
「だって、可愛いじゃん~っ!! 陽子はそう思わない?」
「まあ、それは分かるけど…………可愛いわね、とっても」
 三人の内の一人、花田里香が翔太を指差して咲き誇るテンションで騒ぎ出す。矢次陽子の疑問の通り、里香にはショタコンの気があったらしい。翔太を見つけた途端に、まるで人気アイドルに遭遇した時のような黄色い声で燥いでいた。
 また、同じくショタコンの久住凛も騒いでいる。凛と陽子は学生の頃からの知り合いであり、凛が極度の少年愛だと知る陽子は、早々に訝しい顔を浮かべていた。
 この時点で悪寒を抱く辺り、陽子は流石というべきだった。
「何歳なんだろ~」
「学生かしら。バイトで占い師だなんて珍しいわね」
「ねえ、行ってみない?」
「言うと思ったわ。まあ、占ってもらうだけなら別に構わないわよ」
「やったぁ~!! 行こ行こっ♪」
「……占ってもらうだけなら、ね」
 そうして、三人衆が翔太の元へと歩き出す。自分の場所に真っ直ぐ向かってくる集団に気付くと、翔太は軽く心臓を叩いて出迎えた。

「こんにちわーっ!! 占い、やってます?」
「あ、は、はいっ。やっていますっ!!」
「じゃあ、三人分お願いしまーす♪」
「はいっ。あ、ありがとうございますっ」
「ねぇねぇ、バイトしてるの? 君のこと、初めて見たけど」
「……そう、ですね。見習いの身です。で、でも安心してくださいっ。物心が付いた時から訓練されてきたので、も、問題ないと思いますっ。よ、よろしくお願いします!」
「へぇー、もしかして家業だったり? えらーいっ❤」
「それなら腕前も安心ね。よろしくー」
「は、はいっ!!」
「や~ん、可愛い~っ!!」
 三人の来訪者に、とうに翔太の背中は冷や汗でびっしょりだ。なんとか平静を装うも、父子家庭に育った翔太は年の離れた女性に慣れておらず、心の内は緊張感で一杯だった。
(ね~っ、近くで見るとマジで可愛いんだけどっ!!)
(本当っ、こんなに可愛い男の子は初めて見たよっ!)
(ちょっと、二人とも。感想は後にしなさいよ……)
(陽子、なんでそんなに冷静なの!? この可愛さ、ヤバくない!?)
(はぁ……)
 対して女性組はテンションが上がりっ放しである。特に里香と凛は、翔太の甘い容姿に感極まってる様子だ。まずは一番手に凛が椅子へと腰掛け、釈台を挟んで翔太と向き合った。
「まずは私からねっ。凛って言うよ。君の名前も聞いて良い?」
「あ、太齊翔太です」
「わあ、格好良い苗字と可愛い名前っ♪」
「うんうんっ。よく似合ってる~」
「え、待って。太齊って聞いた覚えがあるわ。いつもの占い師と同じ苗字じゃなかったかしら? もしかして、翔太君は血縁者なの?」
「あーっ、そういえば、確かにっ。聞き覚えあるっ!!」
「し、知ってるんですね。太齊陞三は僕の父なんです」
「ええーっ、全然似てないじゃんっ!!」
「前に一度だけ占ってもらったことあるよ。印象的なヒトだったから、つい覚えちゃってた。それにしても、翔太君が息子だなんて。本当に似てないね。うん、遺伝子って不思議……」
 入院した翔太の実父を陞三という。特徴的な禿髪や下品な言動から、悪い意味で印象的だったらしい。陞三を知る三人は、翔太が実子だと知って色んな意味で驚いた。
「父の占いを受けたんですか。それは……プレッシャーですね」
「え、なんで?」
「父に比べたら、僕なんてまだまだですから」
「……翔太君が不安に思う必要は、決して無いと思うわよ」
 翔太も、三人が陞三の占いを体験済みだと分かって驚きを見せる。発言や態度から、翔太が父を尊敬していることは明らかだ。そこからなにかを閃いたのか、凛は一人で密かに唇の端を釣り上げていた。
「それでは、う、占いを始めますっ」
「あははっ。翔太君、早速声が裏返ってるよ?」
「あ、う……ご、ごめんなさいっ」
「お姉さんが緊張を解いてあげよっか?」
「あっ、凛だけズルい。翔太君の手を勝手にっ!」
「うあああっ!? ちょ、ちょっとっ!?」
「ふあぁ……陽子ぉ、翔太君が真っ赤になってて可愛いぃよぉ……」
「凛、里香。そのくらいにしないと、占いが一向に進まないわよ」
「むう」
 三人の若妻に面と向う翔太は、既に顔を火照らせていた。
 テーブルを挟んでいるも、凛が身を乗り出す所為でお互いの距離が近いのだ。両腕を台に乗せながら、凛が蠱惑的に翔太を見つめている。
そして、不意に翔太の手を取り、優しく握り始めた。
 熱を孕んだ視線と、母性の滲んだスキンシップである。これは凛の得意とする無言のナンパ術だった。
 出会い頭でロックオンする凛に、陽子が代わりに謝ってくれる。
「ごめんなさい、翔太君。凛のコレは、もう病気みたいなものだから。ところで、翔太君はどんな占いが出来るのかしら?」
「あ、え、えっと、一般的な占いの知識は網羅してるつもりです。そ、その中でも僕の家庭では、身体の部位から『気』を読むことを得意としています……」
「身体の部位って、つまり手相占いとか?」
「は、はい。そうです。手だけではなく、他にも脚や顔色とかも……そ、それと、その……く、唇や胸などもあります……」
「ええー、胸っ? 翔太君ってば、実はムッツリタイプ?」
「そうやって女の身体を触るのが目的だったりしてー❤」
「ち、違いますよっ! ほ、本当に、そういう占いがあるんですっ! 実際にお父さ……父は成果を挙げていますし、僕も子供の頃からそう訓練を積まされましたっ!」
「まあ、私も聞いたことはあるわね。唇占いなんかは結構有名かも」
「へえ~」
「それよりさ。胸で占うって、実際にどうするの?」
「そ、それは……」
「そりゃ、やっぱ揉むんでしょっ?」
「だよね。翔太君になら、いくらでも胸を揉ませてあげるよ❤」
「い、いや。そんなこと出来ませんっ! 服の上から形状を推測して、その、そこから、う、占っていこうと思っています……」
「えー」
 言葉を紡ぐに連れて翔太の声色が弱くなる。幼少から訓練を積んだ内容とは言え、こうして実際に女性へと説明するのは、かなり抵抗があるようだ。恥ずかしさを極めた翔太は、性的な会話が始まるや否や顔を真っ赤にした。
 なお、部位による占いは、太齊一族の伝統的手法ではない。これは、先代の陞三による独断である。翔太の尊敬とは裏腹に、陞三は占いを建前にセクハラすることを生き甲斐とした下種だったのだ。
 最初に一般的な手相占いから始まり、続いて女性の美脚を弄ったり、或いは唇の形や弾力から「気」を読むという建前でキスに迫ることも多かった。
 占いに託けて女性にセクハラばかり働いていれば、女性から顰蹙を買うのも当たり前だ。ともかく、スキンシップによる占いしか興味を示さなかった不道徳な陞三は、残念なことに代々と続く伝統的な術を捨ててしまい、翔太にも己のセクハラ術しか伝えていなかった。
(なるほど。でも、翔太君のお父さんは、絶対にセクハラ目的だったよね。いつだっけ? あれは、思い出しただけでゾッとするよ)
(一年くらい前かしら。占いとか言って、不意に胸を掴んで来た時は、本当に殴ろうかと思ったわ。ああ、忌々しい嫌な記憶よ……)
(翔太君も……お、同じことしてくるのかな?)
(どうかしらね)
(翔太君は純粋そうだし、お父さんの教えとか全て鵜呑みにしてそう。翔太君がセクハラな占い……これ、利用できるかも)
 無垢な翔太は、父の教えが不適切な占いだと未だに気付いていない。
反対に、勘の鋭い三人は直感的に事情を察知してしまう。凛と里香は、まるで方程式を解いたように頷くと、より濃い妖しい笑みを浮かべて翔太に詰め寄った。

「じゃ、翔太君。どうぞっ❤」
「えっ、な、なにしてるんですかっ!?」
「なにって……触って確かめるのが、お父さんの教えなんでしょ?」
「あ、で、でも……だからと言ってっ、これは……あ、あう……」
 握っていた翔太の繊手を、おもむろに凛が自らの胸部へと寄せる。凛の豊満な胸に翔太の手が吸いつく。翔太は当然のように童貞であり、服越しでも女性の乳房を触ったのは、これが初めてだった。
 初めて触れる生身に、翔太の顔面が一気に熱を上げる。
「遠慮しないで、もっと力を籠めて揉んで良いんだよ?」
「ダ、ダメですよ……こ、これセクハラになっちゃう……」
「セクハラのハラは嫌がらせって意味だよ。私は別に嫌がってないし、これは占いなんだから、本当に遠慮しなくて大丈夫だってば♪」
「ふ、服の上から目で診断も出来ますから……」
「それでお父さん以上の占いが出来るの?」
「あ……い、いえ……」
「凛が良いって言うなら、直接触った方が良いんじゃない?」
「あ、う、あ……あうう……」
 トマトのように赤くなった翔太の顔に苦慮が滲む。実父を敬慕する健気な翔太は、陞三の代理として顧客には満足してもらわなければと心に誓っている。
『ならば、ちゃんと父の教えの通りに占いを執行すべきだろう……』
 という翔太の胸中を見抜いた凛や里香は、ここぞとばかりに翔太に迫り出す。気付けば、里香まで鼻息を荒くして翔太の手を取っていた。
「あ、翔太君。片手が空いてるね。一緒に私のことも占ってっ!!」
「え? ……わああぁあっ!?」
「あっ、里香までっ!!」
「翔太君の左手が暇してるみたいだったから♪」
「そっか。それじゃあ、二人同時に占いお願いしまーす❤」
「あぁあ、ちょっ、ちょ……あぁあっ……」
 右手が凛の谷間に埋もれたまま、空いた片方の手を里香が奪い取り、自分の胸へと押し付ける。これで両手が二人の乳房に埋もれた状態となる。経験の無い翔太には刺激が強すぎたようで、もはや言葉もない。凛と里香は、ドストライクである翔太の面白いくらいに哀れな姿から、予想以上に嗜虐心を擽られて己の理性を剥がしつつあった。
(やだぁ、翔太君ってば可愛すぎだよぉ。真っ赤な顔して、いまにも泣きそうじゃんっ。こんな可愛い男の子、反則すぎるよっ❤)
(こんなことになるなんて。ちょっとヤりすぎかもって思うけど……もう自分を抑えられそうにないや♪)
「あ、あのっ、ここ外ですしっ! 人目に付くので、ちょ、ちょっとマズいですよ……そのっ、胸に手を……」
「ん~、んふふふ❤ 大丈夫、大丈夫。この商店街がどれだけ人通り少ないか、私達が一番よく知ってるから。それに、これはただの占い……でしょ?」
「そうだよ。君のお父さんも同じことしてたよ? 恥ずかしがるのは、翔太君がエッチな期待をしてるからじゃないかなぁ?」
「そ、そんな。ぼ、僕はエッチなことなんて……」
「あぁあ~ん、可愛い可愛い可愛いぃいっ❤」
「はあ……」
 その半歩後ろでは、一人だけ正気の陽子が溜息交じりに肩を竦める。極度のショタコンな凛が暴走するのは常々であるも、里香まで翔太に魅入られたのは意外だと苦笑いする。けれど、然程には驚いておらず、二回りは年上の、二人の人妻に迫られてきりきり舞いな翔太を、寧ろ面映ゆい感情で見つめていた。
 よき大人を演じて居ても、翔太に対して陽子も裏腹では邪な感情を抱いていたのだ。未だに男性として整い切れていない愛らしい翔太の、親友達から辱められる光景が性志向のドツボに嵌り、陽子はジクリと一人で下半身を熱くさせていた。
(ああやって、ズカズカと行動の出来る凛と里香が羨ましいわ……)
 カミングアウトをしないだけで陽子も立派なショタコンだったのだ。
本当は翔太を犯したい。めちゃくちゃにしてやりたい。そんな思いが駆けていた。けど、自身のキャラ的に、一歩が踏み出せずにいた。
溜息も、不甲斐ない自分に対する遺憾である。夫に感じたことのない、身を焦がすような想いが駆ける。眼前の光景を目の当たりに、陽子は人知れず欲情を果たし、姿勢も次第に内股へと変えていた。
「あ、はあっ、はぁ、はぁっ、はぁっ……」
「翔太君、めっちゃ息が荒くてウケる。ねえねえ、おっぱいの感触に夢中になるのは良いけどさ、占いの方もしっかりね。私達は、占いに来てるんだからねぇ❤」
「そうそうっ。まあ、もっと沢山おっぱいを揉まないと占えないって言うんなら、しょうがないけどさぁ?」
「あ、い、いえ。も、もう結構ですっ。すいませんっ!!」
 一方で翔太は、人妻の熟した乳房を両手に放心していた。
 翔太が二人の言葉に我へと返る。占いを前面に立たせる辺り、凛も陽子もちゃっかりしている。翔太は慌てて手を引っ込めると、診断の結果を発した。
「えっと、二人とも、恋愛運が著しく上昇しているように感じました。な、なにか……大きな恋をしたような現象が血流に表れています。と、とても強い気です」
「えーっ、おっぱい触っただけで、そこまで分かるの!?」
「その、胸の健康状態は意外と心に直結してるみたいですので……」
「へぇ~、かなり当たってるかも、それ❤」
「うんうん。本当に頑張って勉強したんだね、翔太君っ!」
「あ、ありがとうございます……」
 凛と里香が翔太を淫靡に見つめる。議論の余地なく、二人の情炎は翔太にて炙られているのだ。いつの間にか、二人の顔も翔太と同様に熱い淫蕩に染まっていた。
「おっぱい占い、ありがとうね。じゃあ、次は唇の占いかな?」
「えっ!?」
「これも、触って確かめるんだよね? これは唇同士でかなぁ?」
「い、いや、唇占いは形だけでも十分ですのでっ!!」
「でも、実際に触れ合った方が確実な診断が出来るんでしょ?」
「と、言う訳で……」
「どうぞ、翔太君っ❤ んーーーっ!!」
「うあぁあああっ!?」
 結婚により失った恋愛感情が、何年振りと久しく萌芽しているのだ。塞き止めていた欲望が津波の如く溢れ出し、よもや勢いを止められる状態にない。凛と里香は、その火照った身体を卓上へと乗り上げると、キスの体勢で翔太に接近した。
「遠慮しなくて良いから❤」
「あの、翔太君。私にも……」
 目を瞑り、軽く顎を傾けて待機する。二人の美女が目の前でキスを待つ光景には、流石の翔太も平静では居られない。とうに股間は火を噴いており、台に敷かれたタロットクロスで隠れてなければ、屹立が明らかな程だった。
 逃げること叶わず、その場から全く動けず固まってしまう。
「あ、あのっ、キスはしなくて良いですからっ!!」
「翔太君のお父さんはキスしてきたよ?」
「そう、こんな風にね……」
 故に、完全に裏返った声で抵抗の意思を見せるも、勢いそのままに顔を寄せる凛に成す術もなく……やがて翔太は占いと称した凛の唇に吸い込まれていった。
「んっ❤」
「ふあぁあっ、あっ……!!」
 ゆっくりと唇同士が重なった。
 翔太のファーストキスである。唇の突端が触れた途端に、それこそ夢のような感覚に陥り、氾濫する脳汁に溺れてしまい、四肢を何度も痙攣させていた。
「ん~、んふふっ、ん~っ❤」
「ん、ぁ、ふぁ…………ぁ……」
「翔太君、白目を剥いてるわね」
「めっちゃ感じてて可愛い~、やっぱり初めてだったのかなぁ❤」
 背筋はエビ反りに、身体は獲れた魚のようにピクピクと身悶えする。
瞳が蕩けて急速に色を失い、意識も虚ろと化す。その様子は、まるで凛が翔太の生気を吸い取っているようだった。
 対する凛も、性的反応を露わにする。胸占いの時点で既に身体中を焦がしていた凛は、翔太とのキスを口火に汗だく状態だ。顔の紅潮はより濃厚に、服の下ではジメジメと汗が滴り、局部も別の反応により濡れそぼっていた。

「……ちょっと、これはやりすぎじゃないかしら?」
「占いだから大丈夫っ!!」
「はぁ、全く……」
「良いなぁ、凛。次は私の番だよ!!」
「…………」
「それとも、陽子が先が良い?」
「……私は、やらなくて良いわ」
「えーっ、なんでえ?」
「私は、ショ、ショタコンじゃないもの」
「陽子ってば、堅物っ!!」
「……いまの凛、きっとビックリするくらい濡れてるわよ」
「やっぱり?」
「あんな凛を見たのは初めてだわ。年下に入れ込む姿は、これまでも何度と見てきたけど、今回は桁が違うわね。翔太君のことを相当気に入ったみたい」
「無理ないよ。あんな、天然記念物の男の娘が相手だもん。私も実は、見てるだけで濡れてるし。あはは」
「ぷはあっ、ああぁあっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……さ、最高……翔太君とのキスっ、思わず別世界に行っちゃう所だったっ……」
 口付けから数分後に、漸く凛が翔太を解放する。唇が離れて透明の糸が紡がれる程に、お互いが唾液塗れだ。相当の体力を消耗したのか、唇が離れるや肩で息を繰り返した。
 目を虚ろにする二人の官能性に、里香が内股で身悶えする。
「ふあ……ディープキスでもないのに、なんか凄い激しさを感じたよ。二人とも、汗びっしょり。しかも顔もエッチで……もう見てるだけで、私まで変になっちゃうよ」
「はあ、はぁ、里香。ヤバいよ、翔太君とのキス❤」
「観てるだけで伝わってきたよ。二人ともエロ過ぎっ! ねえ、次は私の番ってことで良いよねっ? もう我慢できないよ……」
「……ん、勿論っ」
「翔太君っ、良いよねっ!?」
「はあ、はぁ、はぁ……う、ううっ……」
 凛の満面に広がる悦びが程度を物語っている。凛が退くと、続いて里香がテーブルを跨いで翔太に迫る。里香も、とうに情欲が極まっているのだ。いまやキスをしない選択肢など在りはせず、翔太もそれを理解していた。
 バトンを渡すように、凛から里香へと翔太が移る。
「そ、それじゃあ、失礼しま~す……」
 翔太を優しく抱き締める。それだけなのに、有頂天に達しかねない幸せな心地が身に広がってきた。
 年頃の少年を胸へと抱く多幸感や背徳感に酔い痴れる。一通り堪能すると、里香は取って食うような目つきで翔太に舌を伸ばした。
「んっ、ちゅっ、んんんっ……ぐちゅっ、ぶちゅううっ、ぬりゅっ」
「ふあ、ぁ……ちょ、ちょっ、これっ……あぁあああっ!!」
「うあ……里香のキスって、あんな激しいの?」
「ああ、もう滅茶苦茶ね」
「んぢゅるっ……だ、だって止まらないんだもんっ。んっ、わ、私の唾液で翔太君をっ、これでもかってベトベトにしてあげたいっ、あむ、んんんんっ、幸せっ、幸せっ、幸せだよぉおおおおっ❤」
「ふあ、あっ……あああっ……」
 占いという体裁は何処へやら、里香の濃厚なディープキスに塗れる。ディープキスを知らぬ翔太は、先程と同様に下唇を閉ざした受け身の状態を固定している。里香は、その上から舌で満遍なく舐めていた。
 元々、里香は夫以外との行為に飢えていたのだ。結婚後はマンネリ続きで新鮮味の無い夫とのセックスは食傷に他ならず、遂に獲得したこのチャンスは、とにかく里香の飢えに餓えた野性的な欲望を大いに爆発させた。
「んちゅっ、んんっ、んはぁっ、んっ……」
 まず最初に軽くキスを交わし、それから舌を伸ばすも翔太は応じず、歯止めを失った里香の猛攻が満面へと広がる。唇に留まらず、頬や鼻、果ては目にまで触手が伸びる。まるで愛犬のように翔太の顔中に舌を這わせていた。
「里香ってば、激しすぎる。あんな激しいの、見たことないよ。翔太君をべろべろして……うう、エッチすぎるっ……」
「…………」
「べちゃっ、んっ、んちゅっ、はぁっ、はぁ~、幸せっ……陽子、凛、こんな気持ちになったの、初めてだよぉ……もっと、もっと翔太君を穢し尽くしてあげたいっ!!」
 翔太を一目した時から、里香の口中には大量の唾液が湧いていた。
 餓えた獣が御馳走を前に涎を溢れさせない訳がない。里香が惜しみなく涎を塗り付けていく。翔太の顔中にベッタリと満遍なく――。
 忽ち、鼻を曲げかねない臭気が漂った。
 口に溜まった涎の、独特な臭いだ。
 しかし、いまに限っては、それすら興奮の元である。すえた臭気が官能性を帯び、傍観する陽子と凛にまで情欲が伝染する。キスや胸の占いで既に出来上がっている凛は、淫乱な瘴気によって更に情欲を加速し、陽子の目も憚らず、まるで憑りつかれたように己のスカートに腕を突っ込み始めていた。
「ちょ、ちょっと、凛っ、なにオナニー始めてるのよっ」
「はぁああんっ、見てるだけで、私までっ、はぁ、はぁ、はぁっ……陽子ぉ、私っ、いま信じられないくらい興奮してる……なにこれ……こんなの初めてだよ。友達のキスシーンを見て、こんなに濡れちゃうなんてっ、ああぁっ……」
「……気持ちは、分かるけどさ」
「あううっ、あぁあっ、あっ、うあぁあっ!!」
「あぁあっ、翔太君っ、声も可愛い。ほら、翔太君も舌を伸ばしてっ。翔太君も私のこと舐めてっ、もっと、もっとベトベトしたいのぉ」
 べちゃっ、ぴちゃっ、ぬちゅっ、くちゅっ、ぬちゅっ……
 人気の無い商店街に体液の粘る音が響く。翔太の顔面を、とにかく自分の唾液で満たそうとする里香と、そんなシーンに発情して自慰にひた走る凛である。この狂騒の渦を、もう誰にも止められはしない。里香が満足するまでの暫くと、延々に行為は続くのだった。

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ももえもじ 2020/05/20 17:21

【小説】栄耀学園逆輪○事件簿-概要編-

2017年の初夏。偏差値から部活動の功績、立地に至るまで話題性がまるで無いと言われてきた栄耀学園(仮名)に、前代未聞の事件が発生した。

【2年A組在籍の女子20名がクラスメイトの男子一人を集団レ○プか?】
【20名の女子全員が妊娠という報告も!】
【被害の男子が廃人に? 現在も精神病院に入院中?】

渦中の男子は名前を林道 鈴江(りんどう すずえ)という。
整った容姿や繊細な性格から異性に注目されていたが、皮肉なことに鈴江は女性が大の苦手だった。
まともに話せないどころか、女子の視線が掛かるだけで赤面してしまう程であり、2年A組の教室では絶えず身を丸めて過ごしていたという。
対して、鈴江の反応により加虐心を煽られた女性陣は、目の前で故意にスカートを捲りあげたり、不意にハグをしたりと過激なセクハラの温床にあった。

・下着を見せつける
・抱き着く
・耳に息を吹きかける
・股間や臀部を触る
・集団で包囲する

事の発覚により女子20名が書類送検、という形で物語は終了する。


 第一話 三人衆の痴女

「鈴江ちゃん、おはよ~❤」
「あ、ぉ、おはよ……」
「鈴ちゃん、今日も可愛いぃ~っ!」
「おはよう、鈴江ちゃん!」
「鈴江、おはよう❤」
「鈴ちゃ~ん!」

 早朝の教室にて女子達の元気な挨拶が響く。二年A組の女子達は、教室に入るや否や誰もが一直線に鈴江と呼ばれた人物の元に向かい、「おはよう」と声を掛けながら頭を撫でていた。
 一人、二人、三人と続き、最終的に計二十人の女子が鈴江の頭をナデナデする光景は、二年生に進級してから事件発覚まで欠かさず見受けられていた。
「鈴江ちゃん、おはよ。あっ、宿題やった?」
「…………うん」
 しかし、当の本人は、乾いた声で素っ気ない相槌を打つばかりである。授業の課題について話を振るクラスメイトに対し、鈴江は視線を明後日へと逸らして苦い表情を浮かべていた。
 クラスメイトを嫌っているわけではない。これは単に、異性に対する鈴江の免疫が著しく足りないだけだった。

 林道 鈴江(りんどう すずえ)
 栄耀学園二年A組に所属する男子学生である。低身長・気弱・童顔という三拍子の特徴をコンプレックスとしているが、そんな控えめな要素がウケるのか、女子からの人気は意外と高かった。
 だが皮肉なことに、鈴江は女性を大の苦手としている。まともに話せないどころか、視線を交わすだけで顔を茹でタコにしてしまうほどだった。
「ねぇ、鈴江ちゃん、どこ見てるの。私の顔はコッチだよ」
 不意に、クラスの女子が鈴江の頬を両手で押さえ、自分の方へと無理やり向けさせる。
「…………ッ!」
「きゃぁ~っ、お顔真っ赤っか! カワイィ~❤」
 途端に、鈴江の頬が急激に熱を帯びていく。肌を触られ、目を見つめられた鈴江が瞬く間に頬を染めると、教室全体に女子の金切り声が響いた。
「話してる最中でしょ~、顔伏せないでよ~!」
「や、やめ……さ、触んないでっ……」
 クラスメイトが鈴江の性分を知らないハズがない。女子達は、鈴江を揶揄って慌てふためく反応を毎日と愉しんでいるのだ。
「あぁもう、可愛いなぁ❤」
「ぁ~っ、私も鈴ちゃんの頭撫でたい~っ」
 次第に鈴江の周りに女子が集まり出す。机に顔を伏せて耳まで赤くなった鈴江に、女子が手を伸ばして頭を撫でていく。

「…………ッ!」
「あっ、鈴江ちゃんが逃げた! みんな、捕まえて!」
「待ってよぉ~。一緒に遊ぼうよぉ~❤」
 鈴江が逃げるように教室を飛び出すと、それを女子達が楽しそうに挙って追いかけていく。
 これも、いつもの光景だった。


気の毒だけど、少しだけ女の子達の気持ちも分かるかもしれない。幼い顔立ちの鈴江は非常に中性的であり、容姿だけ見ても、とても男子とは思えないほどに可愛いのだ。
 目が合うだけで赤面しては顔を伏せる姿も、さぞ女の子達の心を擽ることだろう。女子は、小動物のような弱々しい様子を晒す男子が大好きだ。正直なところ、私(女性取材班)も鈴江くんのような男子と相対した日にはトキメキを感じてしまうかもしれない。しかし、幼少の頃から嫌と言うほどに女子からちょっかいを受けてきた鈴江だが、クラス替えの運がなかったのか、二年生に進級してからは特に扱いが過激になったという。


「ねぇ、鈴ちゃん。こっち視て!」
「ほら、どぉ~ぞ❤」
「……ッ!」
 廊下を歩いていた鈴江に、妖しい笑みを浮かべた三人組の女子が正面から近づいてきたと思ったら、突然スカートを捲り上げて下着を見せ付けてきたことも。この三人はクラスのカーストでいうと中位に属する存在であり、より積極的な女子達の陰に隠れて鈴江を誘惑していた。
 目の前に並ぶ三人の可愛らしい下着に、鈴江は早速とばかりに顔を背ける。相変わらず紅潮する鈴江だが、自ら露出している三人組も、頬を染めて擽ったそうな表情を浮かべていた。

「だ、だからソレ、や、やめてってば……」
「私達に慣れてもらいたくて❤」
「そうそう。もっと仲良なりたいのに、鈴江ちゃんってば、いっつも私達を無視するじゃん。結構傷つくんだよー?」
「で、でも、僕は本当に女性が苦手……」
「だから、私達が克服の手伝いしてあげるんだってば!」
「ふふふ、ちょっと荒療治になっちゃうけどねぇ~❤」

 そう言ってスカートをひらひらと舞わせてパンツを見せてくるのは如何だろうか。羞恥に耐えられなくなった鈴江が踵を返そうとするも、三方向から包囲され、否応なしに立ち往生してしまう。
 極端に女性を不得手とする鈴江は、こうして数人に囲まれるだけで動くことすら出来なくなるのだった。

「ね、ねぇ、そこ通りたいんだけど……」
「私達のパンツ、じっくり視てくれたら通してあげる」
「出来るわけない……そ、それに、そんなことして……は、恥ずかしくないの?」
「もちろん、恥ずかしいに決まってんじゃん。でも、これは鈴江ちゃんの為だからねぇ? それに、なんか……こうしてると、めちゃくちゃ興奮するし、き、気持ちいいの……❤」


 三人組も赤面して恥ずかしそうにモジモジしている。三人組は、慕情を抱く相手に下着を見せつける羞恥だけでなく、公の場で露出する背徳感にも性的な悦びを感じていた。

「さ、触ってみても良いんだよ? 私、彼氏いるけどさ……鈴江ちゃんなら、触ってくれても全然オッケーだよ❤」
「私も良いよぉ~。興味はあるんでしょ? ほら、触ったり……な、舐めたり……んっ、ぁっ、そ、想像しちゃった……❤」

 進退窮まる状況に鈴江が膝を抱えて両手で顔を隠してしまうも、これまた女子達には逆効果である。鈴江の反応に三人が更にテンションを上げると、スカートを捲りあげたままジリジリと距離を縮めてきた。

「ちょっ、ち、ちかっ、近す、ぎっ……」
 そして、鈴江の頭部に触れるギリギリまで股間が迫る。あと半歩でも踏み込めば、鈴江の頭部を股間が三方向から締め付る距離である。

「ちゃんと視て……ふぅっ、ふぅっ……勿体ないよ? クラスメイトのココ、三人同時に拝めるチャンスなのに❤」
「やだ……これ、すごく興奮する……みんなで鈴ちゃんを囲んで、パンツを見せつけて、誘惑するの……か、身体、すごく熱くなってきちゃった❤」

 パニックで塞ぐ鈴江を尻目に、三人は本格的に情欲を高めていた。その表情はトロトロに蕩けており、口の中は唾液で溢れ、飢えた獣のように涎を垂らさん勢いである。

「ね、ねぇ。これって、どこまで行くの? わ、私、なんかマジでちょっと……その、ぬ、濡れてきちゃったんだけど……」
「う、うん。そろそろ止めないと、引っ込みつかなくなるかも」
「でも、もっと過激なことやってる人もいるよね?」
「優美さんのグループとか? 噂では鈴江ちゃんにクンニさせたり、もっと激しいプレイもやってるって色々噂を聞いてるけど……鈴江ちゃん、それってホントなの?」
「…………」
「否定しないってことはマジか。ん、でもまあ、優美さん達なら、ねぇ? あの人達、いっつも激しいし……」
 優美とはクラスのリーダー的存在であり、骨の髄まで鈴江に心酔していると知られている。大層なお嬢様のようだが「鈴江は私の肉奴○」と身勝手に公言しており、人当たりの良い三人組からも「傲慢に足が生えた存在」と揶揄られる存在だった。
「………………」
 三人組の一人である加菜実は、そんな優美に蟠りを抱き続けていた。持ち前の権力を存分に行使して鈴江を独占し、人目も憚らず教室でイチャイチャとする暴君には負けたくない……と、加菜実が呟く。加菜実は、無言で股間を鈴江の頭部へと押し付けた。
「加菜実っ?」
「私も……もっと鈴ちゃんと深い関係になりたい……」
 そう言って、両手で鈴江の頭部をガッチリ掴んで離さない。
「ンンーーッ、ンッ、ンンンッ!」
 湿りっ気のある下着で顔面を圧迫された鈴江がなにやら抗議をしているが、もはや加菜実の耳には入っていない。炙られた官能と溢れる鈴江への想いにより、加菜実はタカが外れたように正気を失っていた。
「…………」
「…………」
 一呼吸置いて、他の二人も鈴江の後頭部に股間を押し付け始めた。三方向から成る、いわゆる擬似クンニである。

「私も、もっと鈴江ちゃんと触れ合いたい……」
「優美さんにも負けたくないしね!」
 鈴江の頭部を三人の股間が雁字搦めにする。そのまま鈴江の頭を握り潰さんとばかりにギュウギュウに締め付けていた。

「はぁぁ……鈴ちゃんにこんなことしてるなんて、夢みたい❤」
「うんうん。いつも妄想ばっかりだったからね……こんなことなら、もっと早くやってればよかったね」
「一回やっちゃえば、もう恒例行事に出来る?」
「ふふふ、鈴ちゃんになら毎日だってやってあげちゃう!」

 トランス状態に入って異なことを言い続ける三人組に、鈴江が背筋を凍らせて心底怯える。力づくで振り切ろうと頭を振り回そうとするが、三人組のスクラムを決壊するには至らない。

「ぁんっ、ぁっ、ちょっ、鈴江ちゃん❤ そ、そんなに頭振ったら髪の毛が……んっ、股間にスリスリしてっ、んぁっ❤」
「これ、マジで気持ちいいっ……鈴ちゃんの頭で擦るの……癖になっちゃいそう……」
「鈴江ちゃん。次は下着じゃなくて直接オマ○コで擦りつけてあげるからね。今日は、まだちょっと恥ずかしいからこのままで」
「んっ……はぁ……❤ ヤバい、鈴ちゃん可愛すぎるよぉ❤」
「ね~、目ぇ開けてよ。私いまキミの頭に股間を押し付けてるんだよぉ? 私のココ、ちゃんと視てよ。はぁ、はぁ、はぁ。んっ、ふぅっ……❤ こんなに濡れたのって、生まれて初めてだよぉ」

「三人からこんなことされちゃって……究極の荒療治だよね。毎日やってあげるね。これなら、絶対に女を克服できるよ❤」
「ふぅ、ふぅっ、んっ……す、鈴江ちゃんの髪の毛に擦りつけて下着がぐちょぐちょだよぉ……❤」

 理性を失った女子達は、鈴江のガラスな心もお構いなしに局部を押し付けて腰を振りまくり、ひたすら官能を貪っていた。これはもう誰がどう見ても完全な逆レ○プである。茹でタコという表現がピッタリなくらい、鈴江の頬は気の毒に染まっていた。
 なお、鈴江は女性を極めて苦手としているが、性欲がないわけではない。寧ろ、女性陣の日常的なセクハラのせいで、毎晩欠かさず三回は自分を慰めているほどである。
 三人のクラスメイトに濡れた秘部を三方向から押し付けられて無頓着で居られるハズもなく、とうに鈴江の股間は限界まで突っ張って下着の中は我慢汁が氾濫していた。
「ぁ、ぅぅううっ、んっ……」
 亀頭がテントに擦れて快感が高まっていく。加菜実のオマ○コに下着越しでクンニをしながら、後頭部では二つの局部の感触が伝わる淫猥っぷりに、もはや吐精感は限界ギリギリだった。

「ぁんっ、ぁっ、ぁああっ……鈴ちゃんのお顔、赤面してて、超熱いっ……熱が私のアソコに響いてくるっ! なにこれっ、めっちゃ気持ちいいっ! んっ、んんんんんっ! はっ、だ、だめっ、気持ち良くて……も、もうっ……❤」
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……髪の毛、気持ちいい……鈴江ちゃんの髪の毛でっ、クリトリス、じょりじょりするの、すっごく気持ちいいよぉ……❤ イ、イ、イッちゃうぅぅっ……」
「鈴江ちゃん、好きっ、大好きっ❤ こんな、オマ○コでスリスリしてるだけで、幸せだよぉおっ、んぁああああっ❤」

 廊下のど真ん中だというのに、三人組が絶頂の官能を恥ずかしげもなく口にする。女子達の下着は鈴江以上に濡れきっており、大きな染みを作っては、溢れた愛液が太腿を伝って床に滴っていた。
「イクッ、イクッ、イグッ……あっ、んぁあっ、ぁあああっ!」
「イッちゃうぅっ、鈴ちゃんの顔に擦りつけて、イグッ、んっ、はああぁあんっ!」
「ふぁああっ、鈴江ちゃんの髪の毛、気持ちいい……こ、これヤバぁ……脳みそドロドロしてて、全身が熱い……こんなに気持ちいい感覚、生まれて初めてだよぉ……❤」

 そして、絶頂に。三人が空を見上げ、甲高い声を上げてオーガズムへと達した。虚空を捉える瞳は生気を失ったようにトロンとしており、下着の奥で膣口がヒクヒクさせるに連動して、背筋をピクピクと戦慄かせる。
「…………ッ!」
 同時に、三人の与り知らぬ所で、鈴江も射精に至っていた。
 三人から発せられたムンムンとする淫猥な臭いや、押し付けられた股間の弾力で興奮が臨界点に達すると、鈴江は無意識にズボンより盛り上がるテントを慰めていたのだ。

 ドクッ、ドクッ、ドクッ……
 テントを撫でまわして間もなく射精に達する。下着の中が一瞬で不快感に満ちていくが、鈴江は猛烈な快楽に恍惚を味わっていた。
「はぁ、はぁ……ふぅっ。鈴ちゃん、ごめんね。私達だけで盛り上がっちゃって。息苦しくなかった?」
 加菜実の声に鈴江がすぐに意識を取り戻す。三つの股間に埋もれた頭を上に向けると、心配そうに鈴江を見つめる三人が見えた。

 吐精を悟られぬよう、屈みながら鈴江が頷く。
「…………私のこと、嫌いになってない?」
 理性を取り戻した加菜実が一歩距離を取って聞いてくる。パンチラを見せるだけのつもりが、擬似的なクンニまで発展したのだ。流石にやり過ぎたかもしれないと怯えていた。
 そんな表情に、鈴江の胸は別の意味で高鳴っていた。
「……う、うん。だ、大丈夫……」
「ありがと! 大好きだよ❤」
 加菜実が鈴江の言葉に全力で安堵する。
 と、加菜実は鈴江の額にキスをして軽くハグをした。
「ああっ、いいなぁ~。鈴江ちゃん、私のことは嫌ってない?」
「だ、大丈夫」
「ありがとぉ~。私も鈴江ちゃん大好きっ! ……ちゅっ❤」
「私のことは?」

 他の二人も鈴江にキスをする。人知れず射精して多少は落ち着いた鈴江だったが、三人に好意を伝えられてはキスをされ、再びテントを作り上げてしまう。

「…………ッ!」
 これに三人が気付き、もし射精したこともバレたら……と、焦り、鈴江はその場から逃げるように立ち去ってしまうのだった。

「あっ……逃げちゃった……」
「う~ん、さっきので、だいぶ距離が縮まったと思ったのに……まだまだなのかなぁ?」
「でも鈴江ちゃん、可愛かったぁー❤」
「うんうん! あぁーもう、もっと色んなことしてあげたいっ」
「……また、やっちゃう?」
「う~ん……」
「でも、鈴ちゃん、途中からは嫌がってなかったよね?」
「そこ重要だよね! でも、次から廊下はナシで」
「わかった。じゃあ、次は、こういうのはどう――?」

 鈴江が立ち去った後、三人衆は再び鈴江に迫る計画を立てるのだった。



 後の展開があまりにも抜きん出ているせいで印象は薄かったが、出会い頭に女子が集団で股間を擦りつけてくるなんて、これだけみても尋常じゃあない話である。進級してからは、こんな光景も全然珍しくなかったというが……。
 日によっては、下着ではなく局部そのものを見せ付けることもあったらしい。他にも、唇を無理やり奪ったり、自分の体液を鈴江のペットボトルに入れたりもしていたとのこと。

『……あなた達は、何故そんなことを?』
『あなたも、鈴江ちゃ……鈴江くんに会ってみれば、きっと分かると思います。口じゃあ……「堪らなく興奮していたから」としか言えません』
『…………』
 性別が逆なら、似たような事件は山ほどあっただろう。いつまで経っても本件の話題が収まらないのは、女性から男性を集団でレ○プするって事例が珍しいからだ。でも、本能という観点で考えてみれば、今回の件もそんなに囃し立てられるような話じゃないのかもしれない。

 女性の潜在的な性欲は男性より遥かに濃密だという説もある。それでいて女性から男性への性的虐○が比較的に少ないのは、単純に男性を物理的に抑え込むのが難しいからだろう。
 だが、もし女性よりも女性的な気弱な男性がいたら――?
 今回の事件も、ディテールは多分に漏れない例かもしれないと、私は思った。

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