クロムちゃんはいいにおい
もんむす・くえすと!のクロムちゃんのやつ書いたからここにも載せます。
クロムちゃんはいいにおい
ノックしても返事がなかったから、ノブに手をかけた。
鍵はかかっていない。
扉を開けた瞬間、薬臭く冷たい空気が鼻を刺激した。
「……クロム、いるか?」
採光窓もない薄暗い部屋だったが、足を踏み入れると自動で照明具が灯った。
机の上にはビーカーやフラスコ、秤や匙や拡大鏡、何に使うのかわからない道具が綺麗に並べられている。部屋の隅には数体の木偶人形が黙して立っている。今にも動き出しそうでかなり不気味だ。
壁際に並ぶ戸棚には、古びた怪しげな本や瓶に入った薬品や幾種類もの薬草が並んでいるだけでなく、液体に浮いた目玉や牙や骨の標本、ミイラ化した人に近い生き物の手などが収蔵されている。
ここはポケット魔王城にあるクロムの実験室だ。他に迷惑をかけない範囲という条件付きで、彼女はここでゾンビ娘や薬学、自動人形や心霊術などの実験を行っている。
だが、部屋の中にちんちくりんなツインテールの姿はない。フレデリカもいないから、用を足しに行ったわけではないのだろう。
「クロム……いないのか。鍵もかけずに不用心だな」
盗みに入るようなやつはここに居ないから問題はないけど困ったな。そう思いつつ、少し心の中で安堵する。僕がここに持ってきたのは、少し言いづらい話だから。
というのもクロムが臭いと、苦情があったのである。
最初にその話を僕にしたのは、ポチやアマラやバーニー、つまりは嗅覚の鋭敏な魔獣系のモンスター娘たちだった。
彼女らの訴えによると、ここ一週間くらいクロムの体臭がきつくて困っているらしい。オーク娘のヒップなんかは「スメルハラスメント許すまじ」と本人の前では絶対見せないような威勢の良さで息巻いていた。
心当たりのない話ではなかった。
確かにクロムは臭う。
人間の僕でさえ、ちょっと距離を置きたくなる時があるのだから、鼻の効く種族にとっては暴力とさえ言えるだろう。
僕らの話をたまたま聞いていたソニアも、
「女の子にこういうこというのはあれだけど、最近ちょっときついわよね」
と彼女らに同意していた。
アリスなんかは、鼻がいいからより被害を受けているらしく、
「鼻面を引き回して風呂に突き落としてやれ。さもなくば余がカニ娘共に皮がズルズルに剥けるまで洗うように命令してやる」
などと剣呑なことを言っていた。
臭いの原因は単純だった。クロムはいつも研究室に籠って怪しげな実験に耽っていて、ろくに風呂に入らないばかりか、服もあんまり着替えていないらしいのである。
つまり、ズボラで不潔という次第で。
研究熱心なのはいいことだけれど、集団で生活している以上は最低限気を付けてもらわなければならない。ここに居るのはゾンビ娘やゴースト娘だけではないのだ。
だから、僕は責任者として彼女を説得しに来た、つまり面倒事を押し付けられたのであったが、留守なのは予想外だ。
「まいったな。いつもみたいに研究室にいると思ったのに」
話にくいこととはいえ、会えなかったから保留というわけにもいかない。
クロムが帰ってくるまで待つべきか、探しに行くべきか。書き置きを残すという手もあるか、なんて考えながら部屋の中をうろうろと徘徊し、奥の部屋へ続くドアの前で立ち止まる。その先はクロムの寝室だ。
「流石に、ここに入るのは……いや、でも寝てるだけかもしれないし……」
自分に言い訳しながら、ノックしてみた。
返事はない、ノブに手をかける。
「ここも鍵かけてないのか、不用心なやつ」
とか言いながら僕はプライベートな空間に足を踏み入れていた。
「うっ……何だこの臭い……」
思わず鼻を覆う。薬臭さと生活の澱がない交ぜになったような独特の淀んだ空気が部屋の中を満たしていた。窓も無いし、ほとんど換気もしていないのだろう。
部屋に入った僕を感知したのか、天井から吊り下げられたランプに火が灯った。おんもらとした光が物置ほどの狭い室内を照らし出す。
「うっわ……きったな……」
最悪だ。床には本やがらくたやゴミが散乱し、足の踏み場もない。物の隙間から見えるカーペットの上にはシミが出来ている。
クローゼットは開きっぱなしで、きちんと畳まれていない服が突っ込んである。
極めつけはベッドだ。毛布はくちゃくちゃのヨレヨレだし。元々白かったはずのシーツは全体的に黄ばんで、得体のしれない染みがまだら模様を描きだしている。多分、一度も洗濯したことがないんだろう。
あの整頓された研究室と同じ人物が管理しているとは思えないほど汚い。一言で述べるなら汚部屋だ。
「動物の巣みたいだな……後で掃除させないと」
だが、ここにもクロムはいない。やっぱりどこかへ出かけているみたいだ。
勝手に部屋に入ったのがばれたらまずいし、研究室に戻った方がいいよな。
そう思いつつも、僕はベッドに腰を下ろしてしまっていた。
「うっ、くっさいなあ……」
ほこりが舞い上がり、シーツに染みついたむっとするような臭気が鼻腔を刺激する。
嫌な臭いのはずなのに、鼻からそれを大きく吸い込んでしまっていた。
なんだか、すごくドキドキする。これ、まずいよな。
「クロムのベッド……こんなとこで、よく寝られるよな」
シーツは黄ばんでいるし、毛布もなんか変にカピカピしているところがある。よだれのあとかもしれない。空気も淀んでいるし、こんなところで寝ていたら病気になりそうだ。
そんなことを考えながら、僕の手は何故か毛布に伸びていた。
薄汚く毛羽立った布は若干湿気て重たかった。それを、鼻先に持っていく。
「すん……すん……うっ、くっさ……」
わかっていたけどやっぱり臭い。だけど、なぜか嗅ぎ続けてしまう。
花とか果物とかのいい匂いじゃない。汗とか皮脂が凝ったような、そこに薬品臭さが加わったような快いとは言えない匂いなのに。なんだか、クセになる。
鼻を押し付けて息を吸う度に、匂いが鼻腔の粘膜をツンと刺激して、頭の芯が甘く痺れる。クラクラするような恍惚感。
「はー……くっさ……ちゃんと洗濯とかしろよな……すん、すんすん……」
クロムの毛布に顔を突っ込んで、何してるんだろう、僕……。
こんなところを誰かに見られたらまずい。それに、クロムだってすぐ帰ってくるかもしれないのに。そんなことを考えながら、僕はその変態な行為をやめられなくなっていた。
「ああ……クロムの匂い……臭くて、すごいよぉ……」
ベッドに横になって夢中で染み付いた匂いを嗅ぎたくる。毛布だけでなく、シーツからも変な匂いがする。呼吸できるのはクロムの匂いの染み付いた空気だけ。息をする度に、頭がジンジンしてくる。まるで、匂いで犯されているみたいだった。
「はぁ……すん、すん……くっさ……クロム、クロム……うう、くっさぁ……♡」
発情していた。興奮していた。僕のモノはズボンのなかでガチガチに勃起していた。
それも当然なのかもしれない。クロムはあんなんだけど淫魔族なのである。その体臭には男を狂わせる催淫効果が秘められているのだ。
鈍った頭で考えながら、僕はしかし、その匂いを嗅ぐのを止めることができなかった。
シーツと毛布にくるまってそこに染みついた匂いに浸っていると、まるでクロムに全身を包み込まれているみたいだった。
ちんちくりんで、悪戯好きで、ろくでもないやつなんだけど、どこか憎めないクロム。あんなやつに欲情していると思うと悔しい。だけど、僕はもうハマってしまっていた。
腰をせわしなく動かして、毛布に勃起を擦り付ける。それだけで、匂いで発情した身体が心地よい官能に震えた。
「ううぅ……くっさいのに……なんで、こんな……ん?」
毛布の下にあった何かに手が当たる。湿った布きれ。摘まみ上げてみると、それは黒と紫のボーダー模様の――。
「これ……クロムの、く、靴下……」
間違いない。彼女がいつも履いている靴下だ。
ベッドに脱ぎっぱなしにしていたのだ。
ものぐさなやつだな。そう考えながらも、僕は靴下を鼻先にもっていってしまう。
どんな匂いがするんだろう。ドキドキしつつ、鼻から息を吸い込む。
「すん、すん……むうっ……く、くっさぁ……♡」
毛布に染みついているものより一段と強烈な匂いが鼻腔に襲い掛かってきた。ガンと、頭を殴られたような衝撃が脳を打つ。
臭い。けれど、僕はもうその臭い匂いの虜になっていた。
「こ、これやばい……すん、すんすん……クロム、クロム……ああ、くっさぁ……♡」
靴下を鼻に押し当て、荒い呼吸を繰り返しながら、強張った欲望をズボンの上から擦りたてる。嗅覚から流れ込んでくる快感と、ペニスの快感が身体の中で結び付いてさらに大きな快感となって背筋を這いあがり、痺れた脳を一層痺れさせていく。
「ああ、もう、こんなことしちゃダメなのに……クロムのせいで……くうぅ……♡」
僕はズボンをズリ下げ、硬くなったそれを取り出し、直接扱き出してしまっていた。クロムのくっさい匂いを嗅ぐうちに我慢できなくなってしまったのである。
ペニスをしっかりと握り込んで、シコシコとリズミカルに扱き立てる。頭の中ではクロムのちっちゃい足で顔を踏まれ、その匂いを嗅がされる妄想をしながら。
「くううぅ……クロムぅ……」
クロムの足の下で、蒸れた靴下の匂いに興奮して、見下され嘲笑われながらも、鼻と下腹部から流れ込んでくる快感に抗えず惨めな行為を止められない――そんな被虐的な妄想に没頭しているうちに、甘く疼くような感覚が腰の奥に溜まってきた。
「うう、クロム……クロムぅ……はあ、匂い、いいよぉ……♡」
僕は身勝手な欲望に任せて、そのまま精を吐き出そうと手の動きを早めた。
その時突然、ガチャ……ドアが開く音が聞こえた。
「電気がついておるな……誰かおるのか……?」
入ってきたのは紫色の肌の黒い髪をツインテールにした小柄な少女――クロムが帰ってきたのだである。
「く、クロ――なんっ!?」
慌てて跳ね起きた。寸前のそれを手の中に握りしめたまま。
「……は?」
クロムと目が合う。大きな眼を一層大きく瞠って、信じられないと言ったような表情を浮かべていた。
彼女の顔から驚きが薄れ、代わりに色濃く表出したのは軽蔑だった。
「へ、変態なのじゃ……」
ドン引きって感じの表情と共に呟いた一言が胸に突き刺さる。
同時に、背筋はゾクゾクと震えてしまっていた。恥ずかしくってたまらないのに、それが却って心地いい、被虐の快感。
そして最悪なことにそれが僕にトドメを刺した。
「いや、こ、これはちが……あ……ううぅ……」
手の中で快感が弾けていた。腰が小刻みに痙攣し、激しい脈動と共に熱い欲望の液汁がドクドクと漏れ出してくる。甘い絶頂感が皮膚の下を這いまわり、全身に広がっていく。
「ああ、で、出ちゃった……」
白く汚れた手のひらをじっと見つめる。
射精して少し冷静になった頭で、自分のやらかしたことを改めて考える。最低だ。
「でちゃった、じゃないだろ。儂のベッドで何をしておるのじゃ、変態なのじゃ!」
「こ、これはだから……違うんだ、その……」
「違うもクソもあるか! ばっちりオナっておるではないか!」
「あう……」
返す言葉もない。頭がおかしくなっていたとしか思えない。
「……ほれ。まあ、その汚い手を拭け」
クロムがハンカチを差し出してきた。
「あ、ありがとう……」
持ち歩いてるんだそんなの、と思ったけど口に出さずにそれを受け取って、精液で汚れた手を拭う。
「で、お前はなんで儂のベッドに潜り込んで、オナニーしておったのじゃ?」
「えと……それは、その……」
僕は言葉に詰まった。体臭の苦情を訴えに来たのに、ベッドの中でその匂いに夢中になってオナニーしていたなんて、あまりにも恥ずかし過ぎる。
「……儂の匂いで興奮したんじゃろ?」
「えっ! あ、う……」
ズバリその通りだ。恥ずかし過ぎて、俯いてしまう。
「ククク……毛布にくるまって、靴下を顔に押し付けていたのだから、そう考える他あるまい。やはりお前は変態ではないか。しょうがないやつじゃのう」
いいながらクロムは僕の隣に腰を下ろし、身を寄せてきた。
「ちょ……クロム、何を……」
長い髪の毛から、毛布に染みついていたのと同じ種類の匂いがむっと漂ってきた。
鼻の奥が痺れる。頭がクラっとなる。
顔を寄せて匂いを嗅ぎたい。
つむじやうなじに鼻を押し当てて濃い匂いを堪能したい。
そんな欲求が、ムラムラと湧き上がってくる。
「まあ、儂とて淫魔のはしくれじゃからのう……儂の匂いを嗅げば、そうなってしまうのは当たり前のこと……」
クロムは悪戯っぽい笑みを浮かべながら、僕の顎をそっと撫でてきた。ゴム手袋の冷たく心地いい感触に鳥肌が立ってしまう。
「儂の匂い、もっと味わってみるか?」
「え……?」
「儂の体臭を直接嗅がせてやるといっておるのじゃ」
クロムは少し身体を離すと、上着の裾を前に引っ張った。
籠った熱気がむわぁ……と緩やかに溢れ出してきたように見えた。
「この中に頭を突っ込んで、蒸れた匂いを思いっきりな……くくく」
服の中でクロムの匂いを直接――そう考えただけで、身体が熱くなった。
毛布であれだけ凄かったんだ、絶対もっと気持ちよくなれるだろう。
だけど、そんなことをしてしまったら、僕はどうなっちゃうんだろう。
「さっきまで、少しバタバタしておったからのう、ちょっと汗をかいてしまっておるが……その方が嬉しかろう?」
「い、いや、僕はそんなこと……」
「ここには儂とお前の二人きりなんだから、意地を張らずとも良いぞ」
優越感に口元を歪ませ、クロムが膝の上に乗ってくる。
お互い正面を向き合う形。
クロムは小さくて軽いのに、僕は押しのけることすら出来なかった。いや、しなかった。
さらに、クロムは僕の耳元に唇を寄せて、揶揄うような口調で囁いてくる。
「匂いを嗅がせてとおねだりしてみろ。そうすれば、服で頭を包んで、儂の胸で一杯可愛がってやるぞ♡」
熱い吐息と共に耳朶に染み入る甘い言葉。
妖しい誘惑に胸が高鳴る。衣服や髪から、濃厚な体臭が漂ってくる。
クロムの小さなお尻に下敷きにされたペニスがピクピクと痙攣する。
こんなの、我慢できるわけがない。僕の口は独りでに動いていた。
「く、クロムの匂い……嗅がせてぇ……」
「くふふふふっ……よいぞ……さあ、存分に堪能するがいい♡」
満足したようにそう言うと、クロムは服の裾を引っ張って、僕の頭に被せてきた。
服の中に取り込まれる。じっとりと汗で濡れたクロムの胸に顔が押し付けられる。
おせじにも肉付きは良いとはいえないけれど、控えめに膨らんでいて柔らかい。熱を感じさせない色をしているのに、肌は温かく、スベスベしていた。
服の内側に籠ったむわぁ……と湯気の立ちそうなくらい温もった空気が肌を撫で、鼻腔の入り口をくすぐる。
「ふあ……く、クロム……」
「くく……さあ、息を吸え。鼻から思いっきりな」
僕はその命令を無意識に待っていたのかもしれない。
クロムの許しを得ると同時に、僕は深呼吸する時みたいに息を吐いて、それから一気に服の中に籠った空気を吸い込んだ。
「すう……ん、んんんんっ……っ!?」
その瞬間、強烈な匂いが鼻の奥から脳に抜けた。ガンと、殴られたような衝撃。
頭の内側に甘美な痺れが広がっていく。汗や脂が凝ったような、薬品のような、饐えた果実のような、様々な匂いがない交ぜになった複雑な匂い。粘膜に絡み付くほどに濃厚で、ヤバイやつだと一呼吸で理解できた。
「こ、この匂いすっご……♡ すん、すんすん……ふああぁ……」
僕はたった一呼吸でクロムの匂いの虜になっていた。
頭の中にピンク色の靄がかかったみたいだった。
くらくらして、だけど表情がふやけそうなくらい心地いい。
恍惚とした感覚に浸りながら、僕は服の内側に籠った空気を全部体内に取り入れる勢いで呼吸を繰り返した。
「おっと……一瞬で蕩けたな♡ そんなに良いか? 儂の匂いは」
「うう……うん、いいよぉ……クロムの、におい……ああ、頭おかしくなりそ……」
匂いで犯されているみたいだった。一呼吸ごとに鼻腔粘膜が痺れ、脳が蕩けていく。
それは言うなれば、嗅覚で感じる匂いの快楽だった。理性ではどうにもできない、根本的な部分に作用し男を狂わせる魔性のフェロモン。
「くくく……可愛いやつめ。ほら、もっと吸え、嗅げ、儂の匂いが鼻の奥にこびりついて、取れなくなるくらいにな♡」
クロムは僕の頭に手を回すと、マーキングするみたいに汗まみれの胸を擦り付けてきた。性格に反して控えめな膨らみは、しかし、押し付けられると柔らかかった。硬くしこった乳首がほっぺたに当たって、小さいくせに思いのほか心地良い。
「ううぅ……クロムぅ……クロムのおっぱい……」
思わず腰に手を回して、頬ずりしてしまう。蒸れた汗の匂いを嗅ぎたくってしまう。
普段は全然そんな風に見ていないのに、今の僕にとって、クロムの全てがあまりにも魅力的だった。
「ヘコヘコと腰を動かしおって……儂の匂い……相当ちんちんに効いておるようじゃのう」
指摘されて思わず顔が熱くなる。
僕は腰を忙しなく動かして、硬くなった欲望をクロムの小ぶりなお尻に擦り付けてしまっていた。肉付きは悪そうなのにぷにぷにと柔らかくって、ズボン越しでも気持ちいい。
「え、あ……こ、これは、腰が、かってに……んんっ、ううぅ……」
「勝手なのはお前の性欲じゃろうが、いい加減素直になれ」
呆れたような口調だったが、僕の身勝手な行為を咎めているわけでなさそうだった。
「うう……ごめん、我慢できなくて……ふうぅ、擦り付けてたぁ……」
「そう。それでよいのじゃ♡ ご褒美に、ほれ、こちらからも押し付けてやろう……♡」
クロムは僕の情けない答えに満足すると、ぐりぐりと腰を動かしてきた。
張り詰めた亀頭がぷにっとしたお尻に押し潰され、竿が太ももとの間で圧迫される。
ペニスの芯にジンジンと浸透し、腰全体に広がっていく甘い快感に、僕の口から蕩け切った声が上がる。
「ふあ、ああぁ……そ、それ、いい……もっとしてぇ……」
「くく……ようやく素直になってきたな♡ ほうれ、ほれほれ……儂が与える快楽と儂の匂いを脳に刻み込め♡」
僕の膝の上で跳ねる小さな身体をギュッと抱き締め、甘えるように胸に顔を擦り付け、濃厚の匂いで鼻腔を一杯にする。快感と興奮と匂いで頭がますます蕩けていく。
気持ちいい。もっと、ずっとこうしていたい。
「クロム、クロムぅ……すん、すんすん……あっ、あっ……」
ほっぺたを押し当てた薄い肉の向こうから、トクントクンと早鐘を打つような鼓動が伝わってくる。
「切なそうな声を出しおって……勇者様もこうなってしまっては形無しだな……くっ、くくくっ……汗も舐めていいんじゃぞ。さあ、もっと儂に溺れるがいい……」
そう言って僕を嘲る彼女の息は荒く、声は少し上擦っている。
クロムも僕とこんなことをして、興奮しているのかもしれない。
そう考えると、僕の身体はますます熱くなっていくのだった。
僕はクロムの言葉に従い薄い胸に舌を這わせて汗を舐め始める。おいしいとは言えないしょっぱい味、だけれど何故だかもっと欲しくなってしまう。クロムの体臭と同じだ。
やめられない。止まらない。舐める度に興奮が高まっていく。
「んんっ、くすぐったい……くく……おいしいか?」
「んれろ……んううぅ……う、うん……ふぅ、んんっ……クロムぅ……」
クロムの匂い、味、声、温もり……五官の全てがクロムで埋め尽くされる。
まるで、自分という存在の隅々までクロムに包み込まれているような錯覚に浸りながら、僕は夢中になってクロムを求め続けた。
全身の感覚器官から、気持ちいいが絶え間なく流れ込んでくる。
射精感が否応なく高められていく。
クロムのお尻に下敷きにされたペニスが限界を訴えてビクビクと痙攣する。
「くう、ううぅ……く、クロムぅ……こ、このままじゃ……イ、いっちゃうよぉ……」
「我慢せずともよいぞ。このまま、儂の匂いに包まれながら、果てるがいい……ほりゃ♡」
トドメとばかりにクロムが強くお尻を押し付けてきた。今にも破裂しそうなほどに膨らんだペニスが強く圧迫される。それが絶頂の引き金になった。
「あ、んんっ……ふうぅ、ううぅ……イ、いくぅ……♡」
下腹部で快感が弾ける。
クロムのお尻の下でペニスが小刻みに痙攣し、ドクドクと精液を吐き出していく。
全身が震える。僕はクロムを抱き締めながら、精液が尿道を駆け上る快感刺激にうっとりとため息を吐いた。濃厚な匂いに蕩け切った脳内に絶頂感が充溢し、心地良い脱力感が全身に広がっていく。
「あ、あ、ああぁ……♡」
「くくく……さっき自分で出していたというのに、盛大に漏らしおって……♡」
頭の上で何かを啜るような音が聞こえた。クロムが精液を指で掬い取って舐めたのだろうと、ぼんやり考える。
と、不意に視界が明るくなった。クロムが僕の上から退いたのである。服の中が熱すぎたせいで、室内の空気が冷たく感じられた。
「呆けた顔を晒しおって……そんなに気持ちよかったのか?」
「う、うん……すごい、よかった……」
こんなに気持ちいい射精、初めてと言っていいくらいだ。まだ、鼻の奥にクロムの匂いが残っている。内側まで彼女に染められてしまったみたいに思えた。
「くくく……だが、ちんちんはまだまだ元気そうじゃのう。どれ、次は儂も楽しませてもらうとするか」
そう言いながらクロムは精液で汚れたズボンを脱ぎ散らかすとベッドの上に仰向けになった。下着は意外にも白だった、リボンのワンポイントのある可愛らしいやつだ。
クロムは、挑発的な笑みを僕に向けたままパンツから脚を抜いていく。
僕はその様子をじっと凝視し、無意識に生唾を飲み込んでいた。
ボーダーのソックスに包まれた細い足がくねる。太ももは胸に比べて肉がついていて、むちっとして柔らかそうだった。その、両脚の奥に小さな割れ目が見える。
これから、クロムとセックスするんだ――そう考えた途端、未だに小さくならない股間のモノに血液が流れ込んでいくのが分かった。
「く、クロム……えっと、どうしたらいいかな……はぁ、はぁ……」
僕は自分もズボンとパンツを脱ぎ棄てると、ベッドの上に膝立ちになった。
「くくく、目を血走らせて、今にも飛び掛かってきそうじゃのう……♡ いや~ん、儂、勇者に手籠めにされてしまうのじゃ~♡」
クロムは悩ましく身をくねらせ、はしたなく足を寛げながら、普段は絶対出さないような鼻にかかった猫なで声を出し、自らの秘めやかな割れ目を指先で、つ、つ、つ、となぞった。
「ふ、ふざけないでよクロム……はあ、はあ……そんなこと、されたら……」
見え透いた、僕を馬鹿にしたような挑発だ。けれど、そんな浅はかな誘惑ですら、今の僕には抜群に利いてしまう。そんな切羽詰まった僕の様子に、クロムはいたくご満悦だ。
「ゾンビ娘よりも理性のない顔をしておるぞ♡ じゃが、少し儂の話を聞け、いいか」
「う、うん……な、なに?」
切羽詰まった状態なのに素直に話に耳を傾けていた。クロムの言う通りにすると気持ちよくなれるって、無意識に刷り込まれているのかもしれない。
「今からお前は儂のココにちんちんを挿入するのじゃ……」
言いながらクロムは秘部に指先を突っ込んで、掻き回した。水気と空気が掻き混ぜられるいやらしい音が聞こえてくる。もうすでに、十分に濡れそぼっているらしい。
「儂の膣穴は肉壁にヒダが入り組み、内部を自由自在に動かせる、男を搾るための名器に仕上がっておる……ここにいれたら、お前は天にも昇る快楽を味わえるぞ♡」
「……す、すごい……いれたい……」
クロムの下腹部に釘付けになる。サキュバス族の性器、それも肉体への改造を施したクロムのそこは、いったいどれだけ気持ちいいんだろう。
蕩けた肉襞が絡みつく感触やその窮屈そうな締め付けを想像するだけでお腹に引っ付かんばかりにペニスが反り返る。
「くく、じゃがすぐにイってはならん。ちゃんと、奥まで挿入するのじゃ。それが出来たら、ご褒美に……これを被せてやろう♡」
そう言ってクロムは脱いだばかりの白いパンツを広げた。足の穴に手を突っ込んで、僕に内側の生地を見せつけるように。
その魅惑的な薄布に視線が誘引される。お股に当たっていた部分がうっすらと黄ばんでいる。普段なら汚いって思うはずなのに、僕はそこに鼻を押し付けて息を吸いたいと思ってしまっていた。
「パンツマスクじゃ♡ ここだけの話、三日は穿き替えておらん。儂の一番濃い匂いが染みついたパンツ……嗅いでみたいよな?」
コクコクと首肯する。
一体どんな匂いがするんだろう。
想像しただけで、頭の中が溶けそうになる。
絶対ヤバい。それだけはわかる。だからこそ、嗅ぎたい。
屹立した肉棒の先から透明な汁がトロトロと溢れ出す。
「パンツを被せられたいなんて、とんだ変態じゃな……くくく……欲しいのなら、さっさと来るがよい♡」
「わ、わかった……」
僕はもうクロムのいいなりだ。彼女の両脚を持ち上げて、いきり立ったそれを小さな割れ目に宛がう。くちゅり、亀頭が入口に触れる。艶めかしく濡れた肉ビラが敏感な部分に擦れる、ただそれだけで甘い声を禁じ得ない。
「ん、ああぁ……クロム、い、挿れるからね……」
「はようせい……儂も、もう待ちきれん♡」
「じゃあ、いくよ……んんっ……!」
腰を前に進める。
パンパンになった亀頭で閉じた肉を割り裂いて、熱い欲望を奥へと押し込める。
小さな身体に見合った狭い肉洞。だけど中はすっかり熱く濡れていて、挿入の抵抗感は少しもなかった。それどころか、入り込んできた僕のモノに吸い付き蠕動し、より深いところまで引きずり込もうとしてくる。
「あはぁ……お前の熱さが儂の中に入ってくるぞ……だが、もっと、もっと奥まで来い♡」
「あ、ひああぁ……おく、ひっぱられる……あひいぃ……」
奥へ進むにつれて、複雑に入り組んだ肉襞が裏筋や亀頭を舐め上げ、熱く蕩けた肉壁が竿全体に心地良い締め付けを与えてくる。まさに極上の名器。その腰砕けの快感に喘ぎ声を上げながら、しかし、僕は腰に力を入れてさらにペニスを深く挿入した。
気持ち良過ぎて、今にも暴発してしまいそうだったけれど、ご褒美が欲しかった。ここを我慢すれば、もっとすごい快感を味わうことが出来るのだ。
「いいぞ……いいぞ……その調子じゃ♡」
「はああぁ……う、ふううぅ……はあぁ……き、きもち、いい……♡」
少しずつ、少しずつ。人外の魔膣がもたらす圧倒的な快感刺激に震えながらも、僕は何とか最奥まで漏らさずに到達することができた。肉棒は根元までクロムの小さな穴の中に納まっていた。
「ああぁ……奥まで、きおったなぁ……お前の熱いのを、腹の中に感じるぞ……♡」
クロムは下腹をさすってうっとりとため息を吐いた。彼女も興奮しているらしい。声は震え、肌は熱を帯びて、膣内はしきりに蠢いて僕のモノを離すまいと締め付けてくる。
その切ない蠕動に伴って、熱く蜜濡れた肉壁に竿が圧迫される。
最奥では亀頭が手で握られるみたいに揉み込まれる。
挿入した状態で、少しも動いていないのに、搾り上げられるように腰の奥から精液が上がってくるのがわかる。
「ふうぅ……ううぅ……く、クロム……はやく、か、被せてぇ……こ、このままじゃ……我慢、できなくなるからぁ……」
「くくく……そんなにご褒美が……儂のパンツが欲しかったのか? 変態め♡」
罵りながらもクロムの声の響きは優しくて、どこか嬉しそうだった。クロムは腕を伸ばし、僕の目の前でパンツを大きく広げた。
「ほれ、首を伸ばせ。よい、というまで匂いは嗅ぐなよ」
「う、うん……」
言われるがまま息を止め、自ら顔を近づけていく。小便や愛液や汗の匂いが染みついた黄ばんだ下着に。
鼻先にしっとりとした布地が触れる。と、そのまま顔全体が柔らかくスベスベとしたパンツに覆い包まれた。足を通す穴が丁度両目のところにくるから前は見える。滑らかな生地が緩やかに頭を締め付けてくる。
「くくく、パンツマスクの完成じゃ♡ なんともみっともない姿じゃのう勇者様♡」
クロムの嘲笑に背筋が震える。今の自分の情けない姿を考えると、被虐的な興奮で狭い肉穴の中で僕のモノが一段と大きくなった。
(はやく、はやく、はやく)
僕は息を止めたまま、愉快そうに笑うクロムに縋るような視線を向けた。別に許しが無くても勝手にすればいいはずなのに。それでも僕は、クロムの言いなりになりたかった。
「もう待ちきれないようじゃのう。では、3つ数えるから、0で一気に息を吸え。鼻からな。3、2、1……ゼロ♡」
クロムの合図と同時に僕は思いっきり息を吸い込んだ。その途端――。
「すううぅ……んっ!? ん、んんんんんんんんっ――――♡♡♡」
匂いの衝撃が脳天にまでガンと突き抜けた。
期待以上だった。汗の匂いよりもさらに濃厚で甘美で強烈で複雑な臭気が、鼻腔粘膜を犯し、脳を恍惚感で麻痺させる。
淫魔のフェロモンの精髄。気化した快感そのものを鼻から吸い込んでいるみたいだった。
匂いが肉体に直接作用したかのように、射精感が一気に込み上げる。それを意識した瞬間には、もう放出が始まっていた。
「おっ、おっ、おおっ……おおっ……♡」
クロムの狭い膣内で肉棒が脈動し、熱い液汁を打ち放つ。3回目だというのに勢いは衰えるどころかむしろ今までで一番激しかった。
あまりにもあっけなく、けれど凄まじい絶頂感が匂いに麻痺した脳に流れ込んでくる。気持ちいい感覚が重なり合って混ざり合って、頭がぐちゃぐちゃに蕩けていく。
「くくくくく……パンツの匂いで達するとはな♡ 全く変態じゃのう♡」
クロムの声は興奮で上擦っていた。腰を悩ましくくねらせてくる。その貪欲な魔膣は精の放出に歓喜するかのように蠢動し、脈動を続けるペニスを締め上げてくる。
「ああぁ……くろむぅ……くうぅ……♡」
「ほれほれ、せっかくパンツマスクしてやったのじゃ、まだまだ満足にはほど遠いじゃろう? さっさと腰を動かせ♡ 儂の濃厚な匂いをたっぷりと嗅ぎながらな♡」
「う、うん……すううっ……んんんっ♡ おっ、あへあ……♡」
クロムの言葉に操られるように腰を振り立てる。繋がっているだけでも心地よかったのに、そこに動きが加わったのだ。気持ちいいにきまっていた。
幾重にも肉襞の刻まれた窮屈な膣壁が、入れる時には肉棒全体を抱き締めるように包み込み、引き抜く時には名残惜しそうにカリ首に絡み付いてくる。粘膜同士がいやらしく擦れ合う、蕩けるような快感刺激。
その上、荒くなった呼吸に伴って、濃厚な匂いが襲い掛かってくる。
濾過の逆だ。パンツがフィルターになって、吸い込む空気全てをクロムのフェロモンの混じった淫気に変えるのである。
呼吸するだけで快感。頭がおかしくなりそうなくらい、気持ちがいい。
快感で脳が煮詰めたスープのようにドロドロになっていく。
「ふあ、ああぁ……すんっ……おおおっ♡」
「ほれほれ、もっとヘコヘコ腰を動かせ♡ 儂の匂いを脳の奥に染み込ませるがいい♡ 息をしているだけで、脳が痺れて気持ちいじゃろ? 匂いを嗅げば嗅ぐほど、頭が蕩けて快楽以外の何も考えられなくなっていくからな♡」
身体はほとんど勝手に動いていた。
クロムの腰に手を回して、本能のままに腰を前後に律動させる。
汗ばんだ肌がぶつかって間抜けな音を立てる。結合部から漏れ出る淫らに粘ついた音と混ざり合う。
粘膜同士が擦れ合う。熱く蕩けるような快美感。
息を吸う度に鼻腔粘膜が歓喜し、脳中に色濃い恍惚感が広がる。
気持ちいい。もっとしたい。
「すううぅ、すん……おっ、おおっ……ふあぁ……ふうぅ……♡」
「くくく……その完璧に緩み切った顔、可愛いぞ♡ んんっ、こんな風に乱れるところを見られたのじゃ、しっかり儂も楽しませてもらうぞ♡」
休む間もなく流れ込んでくる快感が、僕を絶頂に押し上げる。
脈動し、痙攣しする。搾り出されるように、クロムの体内に放出し続ける。
だが、イっても、イっても腰は止まらない。まだまだイけそうだった。
圧し掛かるように身体を重ねる。舌を出して生地越しにクロムの顔を舐め回す。
鼻で、肌で、舌で、眼で、耳で、感覚器官の全てでクロムを感じる。クロムで意識が埋め尽くされていく。だけど、もっと彼女を感じたい。
その匂いを、息遣いを、温もりを、声を、クロムのことをもっと。
「んふうぅ……んっ、ふっ……クロム、クロム……ううぅ……すき、すき……くろむ、クロムぅ……おおっ……ほっ、おっ♡」
感情が口から溢れ出したように、喘ぎ喘ぎ。
クロムの名前を呼ぶ度に、好きと言う度に、切なく甘い感覚で心がじわぁ……と溶けていきそうだった。
「うぐっ……そういうのはズルいぞ……♡ 快楽で脳味噌が馬鹿になり始めたとはいえ、甘えすぎじゃぞまったく……♡」
爪が食い込むほど僕を強く抱きしめ、腰に足を絡めるクロム。
僕の動きに合わせて、足で抱き寄せてくる。
そのせいで、より深くまで繋がれる。快感がさらに高まっていく。
「くく……適当なところで加減してやろうと思ったが、もう許さんぞ♡ 出なくなるまで離してやらんからな……♡ 覚悟しろよ、ルカ♡」
「ああぁ……クロムぅ……おおっ、んおっ♡ しゅきいぃ……んおおっ……♡」
クロムは愉快そうに微笑しながら、僕の欲望を受け止めてくれる。
僕は好き、好きと連呼しながら欲望のままに腰を動かし、精を撃ち放つ。
快楽が結び付き、粘膜同士が交わり合い、心まで蕩け合っていくような愉悦に浸りきる。気持ちいい。幸せ。
天にも昇るような素晴らしい快楽に溺れ、僕は疲れ果てて意識を手放すまでクロムを求め続けた。
目を覚ますと、いつもとは違うベッドの中で汚い毛布を掛けて横になっていた。
「おや、起きたか」
ベッドに腰かけ、本を読んでいたクロムが、僕を見て白い歯を見せた。
「クロム……」
彼女の顔を見ると、顔がカッと熱くなった。
あんなにも激しくクロムを求めてしまうなんて、思ってもみなかった。
鼻の奥に、まだ匂いがこびりついているような気がした。股間のモノが甘く疼く。毛布の匂いを嗅ぎたくなったけど、ぐっとこらえて体を起こした。
「その、昨日は……ありがとう」
「ほう……人の寝床に忍び込んで、オナニーした男の言葉とは思えんな」
「あ、その……ごめん……我慢できなくて、つい……」
「くくく……まあ、儂も楽しませてもらったから、怒ってはおらん」
クロムは本を閉じて、口の端を緩めた。
滅多に見せない好色そうな表情に、ドキっとしてしまう。
「だが、ここに何をしにきたのじゃ?」
「えと、それは……」
そういえばまだ説明していなかった。
僕は魔物娘たちから苦情がきたことをクロムに話した。
「なるほどのう……確かに、ここ一週間、忙しくてろくに風呂も入っておらんかった。欲求不満が溜まって、ムラムラしておったしな」
クロムは自分の匂いを嗅いだ。
「自分でも臭いってわかるくらいならなんとかしてよ……」
「じゃが、儂が清潔にしてもいいのかのう?」
「え?」
クロムは意地悪そうな笑みを向け、驚く僕の隣に腰を下ろした。髪の毛や衣服、そして肌から漂ってくる、いい匂いとは言い難い、けれど嗅ぎ続けたくなる種類の濃厚な匂い。
「儂が毎日風呂に入ってみろ。今日みたいな、濃い匂いが味わえなくなってしまうのじゃぞ? それでも、いいのか?」
「あ、ああ……だけど、み、みんな困ってるから……」
「儂はお前の鼻に聞いておるのじゃ。どうじゃ?」
ニヤニヤしながらクロムは身体を密着させてきた。
むわっ……と匂いがこっちに漂ってくる。息を止めればいいのに、僕はわざわざ鼻で息を吸ってしまっていた。
クロムの匂い、それは僕にとっては最高にエッチな催淫剤も同じなのだ。そんなものを嗅がされて、平気でいられるはずはなかった。
頭がくらくらして、意識が恍惚に染まっていく。下半身に篤い血が集まって、毛布を下から押し上げる。
「くっふふふ……ちんちんが答えたな。いやらしいやつじゃ♡」
「あう……こんなの、ずるいよ……」
「匂いに反応するお前が悪いんじゃぞ? ほら、また可愛がってやる……」
こうして僕は、クロムの不潔を見過ごすことになった。
その代わりに、濃く染み付いた体臭を毎日嗅がせてもらえるという条件で。
一日の終わりにクロムの汚部屋に通い、鼻が馬鹿になるくらいクロムの匂いを嗅ぎたくり、精液を漏らす日々――
そんなクロムとの関係は、その後アリスにバレて、クロムがエイミとソープ(カニ娘&ミニカニ娘)の強○洗浄の刑に処されるまで続いたのであった。