茶飲み話71 CG制作時のヒロインの表情をどう考えてきたか

 皆さま、明けましておめでとうございます。
 一鉄工房管理人のOIGUMO(老雲)です。

 新年は元日から大きな、そして不安なニュースが続きましたね。被災された皆さまに、1日でも早く平穏な日々が戻りますよう、謹んでお見舞い申し上げます。

 さて、本日の茶飲み話は、先月に引き続き「ヒロインの表情」をお茶請けに進めていきたいと思います。ネタにするのは自作のゲームである「淫魔戦記マリカ」と「被虐闘姫シスカ」です。久しぶりに自分のゲームについて話していきましょう。
 管理人がヒロインのCGを制作する際に、どんなことを考えてきたのか。もう8年も前の作品ですが、過去の資料を引っ張り出して振り返っていきますね。


▲まずは「淫魔戦記マリカ」から

 このゲームのCGは、全て▼この作者様のCG素材集から作成しました。
ヒロインが3人いますが、全て同じ素材集が元になっています。


▲見比べると、髪型・髪色以外はベースが同じです

 黄髪のヒロイン「レン」の胸がまな板(笑)ですが、それはこのCG素材集に対応した差し分があるためで、管理人が修正を施したわけではありません。ピンク髪の「マリカ」、青髪の「ファム」は、全く同じ身体ですね。立ち絵ではファムの方が明らかにおっぱいが大きいので、CGは少しガッカリ仕様(?)になっています。

 この作品は、さらに前作「魔法剣士アリサ」と同系列の発展版として企画され、「複数のヒロインがヤられていく」ことを表現するのがテーマになっていました。
 そこでネックとなったのは、ヒロインは複数で、立ち絵制作の素材集は複数あれど、エロCG制作のための素材集は1つしかないことでした。当然、CGは似たり寄ったりの感じになります。
 さて、どうゴマかすか(笑)。

 ここで出てきた案が、ヒロインの表情に違いを出したらどうか、ということでした。
 ヒロインの性格には差があるので、それがHシーンの表情に反映されることは自然なことです。さらにこのゲームでは、ヒロインの絶頂回数に応じて「堕落度」が設定され、これに応じてCGが変化します。
 それぞれのヒロインの「堕ち方」も性格に応じたものになると楽しいかな、と考えたわけです。


▲データが残っていた当時の自分用資料

 こんな感じでざっくりと表情変化のイメージを固め、後は素材集でそれらしいパーツを組み合わせてCGを作成していきました。
 ちなみに、先月の記事で管理人好みの表情パターンをご紹介しましたが、それを一番反映したのは「マリカ」です。堕落度の低い最初の方は、驚きや恥ずかしさが前面に出て、次第に快感に翻弄されるようになって、最後はアヘ顔でされるがままになる、そんなイメージですかね。
 「レン」は最初は「何をするんだっ!」というな感じで、怒りや拒否といった抵抗感を強めに出しますが、最後は快感を貪るように求めてしまうような、一番「壊れる」イメージが強い傾向で。
 そして「ファム」は、最初は戸惑い、弱気、次に泣きながらただ耐えるだけ、そして最後は目のハイライトを消したりして、諦めから無反応になってしまうようなキャラをイメージしました。

 まあ、実際にCGを作成する場面では、パーツの制限もあるので、このイメージどおりに作ることができたか、あるいはプレイヤーがそう受け取ってくれたかはわかりません。あと、管理人の記憶では、ファムの堕落度の最後の方である「諦め」や「無反応」の表情を表現するためのパーツが少なくて苦労したようなイメージがあります。


▲作成した表情の一例を並べてみました

 全てのキャラクターで同じ表情を採用せず、それぞれで堕ち方が変わる、というのは結構良い案だったと思っていますが、それが実行できたかな? プレイヤーはどう受け止めてくれたかな?今でも気になっているポイントです。
 ちなみに、上記の一例は比較的イメージどおりに作成できたものを抜粋しました。いろいろ見返してみると、イメージとは違う表情も多く、かなり苦戦した跡が見て取れます(笑)。

 …これから出会うゲームでも、Hシーンでのいろいろな反応(表情)を楽しみたいな、そんなことを考える今日この頃です。


さて、では話題を次に進めましょう。


▲こちらはリョナをテーマにした「被虐闘姫シスカ」

 このゲームにも若干ですがHシーンがありますが、ここではリョナ、つまりはヒロインがダメージを受けている表情を見ていきましょう。
 こちらはCGを外注した作品です。そして、発注の際には、指示書、仕様書などと呼ぶ「こんなCGを描いてください」という説明の文書をこちらから送ります。

 さて、「淫魔戦記マリカ」では、Hな攻撃で「堕落度」が進行して表情が変わっていきますが、「被虐闘姫シスカ」ではダメージを受けてダウン回数が累積すると「ダメージレベル」が進行して表情が変わります。そして、その表情は、絵師様に全てお任せしたのではなく、自分からダメージレベルに応じた「表情の傾向」をお願いしていました。


▲当時、絵師様に送った指示書の一部

 これを見ると、当時の管理人が「どんな表情を見たがっていたのか」がわかりますね。こんな性癖を見せつけられた絵師様は、一体どんな気分になっていたのでしょうか(笑)。
 まあ、依頼人がどんなに変態でも、その要望に応えるのが、さすがプロです。CGはどれも期待以上の完成度で、当時は絵師様からのデータをドキドキしながら待ちわびていました。今から思えば、かなり幸福な時間だったと思います。

 さて、リョナにおけるヒロインの表情ですが、一般的にイメージされるのは、苦痛に歪んだ顔でしょう。
 もちろん、物理的にダメージを受けているときの顔なので、苦痛が第一に感じられる表情なのは当然ですが、その中に奥深い分岐があるように管理人は感じています。「戦うヒロイン」がテーマであれば、戦う理由も表情に反映されるでしょう。怒りか、哀しみか、正義感か、嗜虐か、ライバルと戦える悦びなのか。
 状況はどうか、有利さを感じさせる余裕か、不利な焦りか、互角の必死さか。他にも、ストーリーから推測されるさまざまなヒロインの感情が絡んでくるはずです。
 その上で、受けたダメージの大きさ、残された体力の量、戦う意志の強さなども表情に影響を及ぼすことでしょう。

 管理人がこのゲームの中で見たかったヒロインの表情は、ダメージレベル別に以下の3種類だったようです。

◆ヒロインが敵ヒロインの強さを理解しておらず、予想を超えるスピードとパワーに不意を突かれ、攻撃を喰らった自分がどんな状態かわかっていない驚きや空白(「えっ!?なに?」みたいな)の表情

◆ヒロインが圧倒的不利を悟り、抵抗を試みるも次々とダメージを浴びせられ、絶望と苦痛が積み重なっていく表情

◆ヒロインが戦意を失いかけ、ただ身を守ることに必死だが、容赦ない攻撃が続き、なされるがままになっている表情


▲表情差し分の一例。管理人のイメージはプレイヤーに伝わったかなあ?

 ちなみに、管理人は現在でも、この自作のゲームで自家発電をすることがあるのですが、その時は自分がシスカになったつもりで、ギャラリー内の「カットイン再生機能」を使い、敵ヒロインのCGをイメージしながら、「ああ、今、フェンリル様にボコられているんだなあ」と、うっとりしながら果てています。

 えっ? 「お前は変態かっ!」って?
 ふん、そんなのわかりきったことじゃねえか!(開き直り)

 というわけで、今宵、皆さまもご一緒にボコられてみませんか?
 「被虐闘姫シスカ」、8年前からお値段据え置きで好評発売中です(唐突な宣伝)。
 ・・・というか、物価上がったよねえ(遠い目)。

 あと、余談ですが、管理人は前回の記事で「ヒロインが一貫してエロシーンを嫌悪し、拒絶し、苦しみながら果てていくという展開は、どうも自分には合わないようです」と書いたのですが、リョナについても同様で、ただただ恐怖や苦痛でパニックに陥り、泣き叫んでいるような描写は守備範囲外です。というか、気の毒で目をそらしたくなります。
 たとえヒロインと敵ヒロインの間に絶望的な実力差があったとしても、最初はヒロインに戦う意思と能力があり、一方的に叩きのめされて意識や戦意を喪失してダウンするまでの描写で十分です。
 だから、例えば弱ったヒロインが手足の自由を奪われてさらに痛めつけられるとか、磔などで処刑されるような描写には、あまり萌えないんですよね。
 やっぱり萌えるのは戦いが終わるまで。敗北後のシーンは管理人は関心がありません。今後作るゲームでも、敗北後の描写があっても、あまり力を入れて作り込むことはないはずです(笑)。

 さて、先月今月と、管理人の表情に対する無駄に細かいこだわりについて、無駄に熱く、無駄に長く語って参りました。

 ・・・そう何回も無駄って言わなくてもいいじゃん(自己ツッコミ)。

 でも、やっぱりヒロインのCGは表情が命なんだよ!
 自分でCG作るときは、やっぱりできる限りこだわりたいんだよ!
 そう無駄に固く誓った冬の夜なのでした(4回目)。

 というわけで、今回は、管理人の存在は無駄だ(?)という帰納法のお話でした。
 それでは、また。

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