フリーセンテンス 2024/01/06 18:30

執筆中のビフォーとアフター

こんばんは、フリーセンテンスです。

10連勤がようやく終わり、まともな休日となったので、新作を書き進めることにしました。いつまでもしんみりしていても、前に進みませんしね。
前々回の記事でも書いたように、最初から書き直すことにしたため、世界観やらヒロインの立ち位置も大幅に変わることになりましたので、当初の予定とは少し異なりますが、ヒロインに対する責め苦の内容に変更はありませんのでご安心ください(´∀`)

とりあえず、新作冒頭のビフォー・アフターを掲載いたしますので、もしよろしければ読んでいただけると幸いです。
それでは、暇つぶしにどうぞ(*´ω`)


ビフォーバージョン
 ・・・・・・資本主義社会において、資本収益率が経済成長率よりも大きいことは、いまを生きる人間であれば誰もが実感として認識していることだろう。
 資本とはなにか。それは事業活動をおこなう元手のことであり、「人的資本」、「物的資本」、そして「金融資本」のことを指す。人的資本は労働者、物的資本は土地や建物、金融資本は株式や債券に置き換えれば、より想像が容易いだろうか。
資本主義社会では、それら資本を「道具」として活用し、個人や集団が利潤を追求することで経済が成り立ち、結果、社会が発展してゆくとされていた。これは一面としては正しい。利潤追求の過程で発生した競争や市場原理の働きは、つど、社会の構造や技術の進歩に大きく貢献し、人類という種を何段階にもわたって進化させてきたからだ。
 だが、資本主義社会には、致命的な欠陥があった。それは経年による資本の劣化が考慮されていなかったことと、蓄積されていく富が長期に及ぶと偏在していくということである。前者は主に人的資本のことを指し、後者は金融資本のことを指すのだが、この時、認識しなければならない点は、同じ資本というくくりであるにも関わらず、一方は生物由来の資本であり、もう一方は非生物由来の資本であるという点である。そして後者には「資産」という別名が存在することも、覚えておく必要があるだろう。
人的資本を提供する労働者は、生物である以上、永劫に渡って労働力を提供することはできず、富を産み出す能力も減衰してゆき、やがて「死」によって無に帰してしまう。だが非生物である金融資本は、存在している限り、半永久的に富を産み出すだけでなく、産み出した富を増殖させていくことが可能なのだ。そして金融資本は、相続という形で継承することができるのである。親から子に、子から孫に、先祖から子孫に代々と。「資産家」の、これが発生である。
 金融資産によって生じる富は、労働によって発生する富を凌駕する。それも、年月の経過と共にその差を広げていく一方なのだ。その結果、何事が生じるのか。それは格差と、不平等と、貧困が渦巻く暗黒の理想郷の誕生である。そこに強弱の差はあれど、資本主義を導入する全ての国と地域に、分け隔てなく平等に誕生するのである。
 そのなかに「資産家たちの天国」と称される場所があった。
そこは東レメア大陸の東海岸――かつては奴○産業によって栄え、現在は世界経済の中枢として富むその都市の名は、カクサシティといった。現在、世界でもっとも貧富の差が激しい場所であり、不平等の極みを体現している場所でもあるのだ。


書き直したアフターバージョン
 ・・・・・・古来より人類は、いつか世界が終わりを迎えることを意識して、常に破滅的な終末論に取り憑かれてきた。巨大地震、火山の噴火、疫病の流行、天体の衝突など、世界に終焉をもたらす要素は無数にあるとされ、人類はつど、世代を超えて破滅の到来を恐れてきたのだった。
 だが、結局のところ、世界に破滅をもたらした原因は、自然災害でもなければ外的要因でもなく、他ならぬ人類自身の手によってそれはもたらされたのだった。
 熱核兵器による応酬――通称「最終戦争」の勃発は、大国の侵略戦争に端を発して勃発した世界戦争の総称であり、最終的に発射された数千発もの戦術・戦略核ミサイルの豪雨は、世界中の都市という都市を破壊して、一度に五〇億という人間を殺し尽くしたのであった。そしてその後に訪れた核の冬は、動物も、植物も、海洋生物も、さらには昆虫すらも死滅させ、地球を文字通りの意味で死の星に変えてしまったのであった。
 最終戦争後の地球には、核兵器による即死を免れた人々がまだ二五億人ほど生き残っていたが、飢えと、寒さと、病の蔓延と、なにより放射能汚染によって徐々に死に絶えてゆき、戦後の三年間でさらに二〇億人が死者の列に加わったのであった。
 その結果、地球は死に覆い尽くされることになり、おびただしい数の白骨で地表は埋め尽くされてしまうのだった。その荒涼たる光景は陰惨を極め、まだ辛うじて生命を維持している者たちは、地獄と化した世界に絶望を抱かずにはいられなかった。
 だが、地上がこのような状況にいたるなか、地下で安寧と享楽の生活を送る者たちがいた。地下のシェルターに逃げ込んで、核の地獄をやり過ごしていた者たちである。それは旧世界の富豪たち――いわゆる資本主義の支配者たちであった。
 彼ら資本主義の支配者たちは、世界がいつか終焉を迎えることを真剣に考え、その時に備えて秘密裏に準備を進めていた。そのひとつが、地下シェルターであった。彼らは鋼鉄製の分厚い扉と、コンクリートの頑強な壁と、空気浄化装置と、強力な私兵に護られた広大な地下シェルターを世界のいたるところに準備して、核戦争の勃発と共にそこに逃げ込んだのであった。
 彼らが築いた地下シェルターは、まさに地下の楽園であった。そこに逃げ込んだ者たちは、水にも、食料にも、酒にも女にも不自由することなく過ごすことができ、地上が地獄と化すなか、それを肴に、平和と快楽を享受し続けたのであった。
 彼らが再び地上に姿を現したのは、最終戦争が終わって三年後のことであった。備蓄していた水や食料が尽きたからではない。かつてのように世界を支配するため、まるで邪神の復活のごとく地下より這い出てきた旧世界の富裕層たちは、隠匿していた知識と技術、ため込んでいた金属資産、植物の種子、匿っていた家畜、そして重火器で武装した私兵たちを武器として、地上で生き残っていた人々を支配下に置くことに成功したのだった。
 自分たちにとって有利な世界――資本主義の理想郷を、もう一度、築き直すために。
 かくして世界には、幾つもの小規模な集団が形成されることになる。それは村や町といった類のものではなく、決して覆ることがない厳然とした格差と階級によって成立したコミュニティであった。
 持つ者が、持たざる者の生命も人生も支配する暗黒の楽園。倫理も、道徳も、戒めの教えも、弱者を守る法律もない強者の理想郷が、世界の各地の点々と出現したのであった。
 この物語は、鬼畜の資本主義によって支配された世界と、その支配に抗った美しき少女が辿る哀れな末路の物語である。


・・・・・・個人的には書き直してよかったと思っておりますので、このまま書き進めていきたいと思います(*´ω`)


追伸
今年も頑張って書きますので、どうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m

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