フリーセンテンス 2024/01/21 09:26

こそこそと書いております(;´∀`)

こんにちは、フリーセンテンスです。

以前、今年は更新頻度うんぬんと書いていたにも関わらず、ブログをあまり更新できていない今日この頃です。(;´∀`)

ちょっとパソコンの調子が悪かったり、勤務が続いたりして、なんやかんやりあったりしたからです。申し訳ございません。

それでも、こそこそと書いておりまして、新作の方も進んでおります。

とりあえず、今作の犠牲者紹介パートを掲載しておきますので、もしよろしければ暇つぶしにでもお読みください。

それではどうぞ(*´ω`)


 カチュア・トゥレントには、コミュニティを支配するファーガソン一族に反逆するに充分過ぎる理由が存在していた。
 世が世であれば、カチュア・トゥレントは薔薇色の人生を歩んでいるはずの娘である。ハーバード大学を首席で卒業するほど優秀な頭脳を持った父親と、ミス・ユニバース代表に選ばれるほど美しい容姿と抜群のプロポーションを誇る母親のもとに生を受けた彼女は、産まれた時からモデルとしてのキャリアを進め、四歳になる頃には稀代の美○女として全米の注目を集める存在となっていた。アメリカ全土で開催される数々の美少女コンテストで優勝したことから「ジョンベネの再来」と揶揄されることもあったが、それでもカチュアの美貌には非の打ち所がなく、彼女を知る者は、誰もが将来、カチュアが世界的スターになると信じて疑わなかった。
 だが、最終戦争が勃発したことで、他の多くの者たちと同様に、彼女の将来は暗く閉ざされてしまったのだった。
 核攻撃による即死は免れたものの、住む場所を失った彼女は、両親に連れられて他の避難者たちと共に徒歩で北上し、放射能による脅威が比較的少ないアパラチア山脈の麓に辿り着いた。幸運にも、そこにはアーミッシュの小さな集落があって、カチュアら避難民たちは、彼らの助けを借りて第二の人生をスタートさせたのだった。
 不幸だったのは、彼女たちが住みついたすぐ近くに、ファーガソン一族が潜む地下シェルターがあったことである。邪神の復活のごとく現れたファーガソン一族は、瞬く間に人々を制圧して、彼らを自分たちの支配下に置いた。
 この時、カチュアの父親を含め、一部の者たちは勇敢に抵抗したのだが、強力な重火器で武装したファーガソン一族の私兵に勝てるわけがなかった。抵抗虚しく敗れた男たちは、捕まり、妻や子どもたちの目の前で惨たらしく殺された。顔を殴られ、腹を蹴られ、眼球にタバコの火を押し付けられて、軍用ナイフで生きたまま局部を切り取られた後、縛り首にされて吊るされて、その死体に尿をかけられたのである。カチュアは、その悪夢のような有り様を、母親と共に最前列で見せつけられたのだった。
 すでにこれだけで、カチュアがファーガソン一族に怒りを覚えるには充分すぎたが、彼女の反逆の意思を確固たるものにしたのは、その二年後に起こった出来事だった。
 父親が殺されて二か月後、妊娠していたカチュアの母親が出産した。生まれた赤ん坊は男の子だった。カチュアは喜び、弟を溺愛した。暇があれば片時も離れず一緒に過ごし、母親以上の愛を注いで弟を大切に育てたが、その二年後、悲劇が襲う。弟が、視力を失ってしまったのだ。病気によるものか、それとも放射能による影響かは定かではなかったが、ファーガソン・コミュニティに障害を患った者が生きれる場所はない。先天的であれ、後天的であれ、障害の発覚は、即、死に繋がる。これまでがそうだったように、カチュアの弟もこの非道なる運命から逃れることはできなかった。
 取り上げられた弟は、カチュアや母親の他、コミュニティの住民たちが見ている目の前で、頭を岩に打ちつけられて殺された。足を掴まれた状態でフルスイングされたのだ。爆ぜる音がして、飛び散った脳ミソがカチュアの頬に付着した。現実を受け入れることができず、カチュアが呆然としていた時、その耳に届いたのは、弟を殺した男が放った嗤い声だった。
「ふはははは。いい音だ。気持ちがいい! 最高だ! こんなことをしても罪にならないとは、なんといい時代になったことか。ふははははは!」
そう嗤ったのは、コミュニティの支配者にして、ファーガソン一族の当代当主ガレドラ・ファーガソンであった。彼はこの時、三五歳。屈強な体格の男で、背も高いし顔も嶮しい。しかし、嗤うその顔は、実年齢よりも遥かに幼く見え、まるで子どもが虫を殺す時に見せるような、残酷な無邪気さを醸し出していた。
 カチュアは、とめどなく溢れる涙をこらえながら、歯を食いしばり、邪悪に嗤うガレドラを睨みつけていた。憤怒と憎悪の呪詛を心のなかで叫びながら。
(殺してやる・・・・・・絶対ッ、絶対にッッ、絶っ対に殺してやるぅぅぅぅぅッッッ!)
 その日から、カチュアはガレドラを殺すことを目的として生きるようになった。
 すでに承知の通り、ファーガソン・コミュニティには「処女税」というものが存在している。これは中世に存在した「初夜権」を模したもので、未経験の女性が、コミュニティの支配者であるファーガソン一族の男に初体験を献上するというシステムである。容姿の美しさやスタイルによって宛がわれる順位が決定するため、必然的にもっとも容姿端麗でスタイル抜群の女性が当主であるガレドラの相手をすることになるのだ。ゆえに、カチュアは自らの美を磨きに磨きあげた。
 貧しい暮らしのなか、カチュアは食べる物に気を使い、髪や肌や歯の手入れを怠らず、乳房や尻が大きくなるよう自分で揉みほぐして刺激を与えた。遺伝的な素質も手伝って、その努力は身を結んだ。カチュアは、一七歳になる頃には絶世と称されるほどの美少女となっており、コミュニティでは異性同性問わず誰もが一目置く存在になっていたのだ。
 カチュアは、容姿が端麗なだけでなく、肌は透き通るように白くて美しく、髪は長い豪奢な金髪で、細く華奢な手足はすらりとしており、白い歯は並びもよく、瞳はサファイアのように美しかった。背丈はやや低いものの、その分、乳房は大きく、お尻の肉付きも素晴らしい。みすぼらしい身なりや姿の女性が多いコミュニティのなかで、カチュアの存在は特段の異質さを醸し出しており、それはまるで石ころの山で輝く大粒の宝石のようであった。ゆえに、カチュアがガレドラの相手をすることになったのは、もはや必然という他なかった。
 ――その夜、「税」を支払うため、カチュアはガレドラの館に招かれた。石造りの館で、館のどこかに恐ろしい○問部屋があると噂されていた。コミュニティで粗相をした者はその部屋に連れ込まれ、そこで酷い○問を受けて殺されるのだと言われていた。事実、館に連れて行かれた後、永遠に姿を消す者は少なくなかった。
 湯浴みをして身体を綺麗にした後、カチュアは薄いガウンのような服に身を包み、ガレドラが待つ部屋へと通された。この時、カチュアは凶器や毒物を隠し持っていないか入念なチェックを受けたのだが、その際、カチュアは内心でせせら笑っていた。
(ふん、なんて臆病なのかしら。自分は平気で他人の命を奪う癖に、自分は命を失うことが恐ろしいなんて! まるで怯えふためくネズミみたいで滑稽だわ。それだけ自分たちが憎まれて恨まれている自覚があるのなら、最初から悪政なんか敷かなければいいものを!)
もちろん、どれだけ入念に身体を調べられても、凶器や毒物が出てくるはずがなかった。それもそのはずだ。カチュアは最初から、武器や毒に頼るつもりがなかったからだ。
 ガレドラを殺すため、カチュアが「武器」に選んだモノは、自らの歯だった。健康な歯であれば、舌でも男性器でも噛み千切ることができる。それは、獣を使ってすでに実証済みだった。だが、それでは生温い。それに、惨たらしくもない。ゆえに、カチュアはガレドラを辱めて殺すため、彼を殺す方法として睾丸を噛み潰してやるつもりだった。そのために、今日の今日まで人知れず牙を研ぎ澄ましてきたのだから。
 ・・・・・・だが、カチュアの目的は、彼女が想像もしなかった理由によって阻まれてしまう。そのことを、この時はまだ、カチュアは知る由もなかった。


完成まで、もう少しお待ちください(*´ω`)

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