フリーセンテンス 2022/12/13 00:00

苗床聖女の受胎獄痴 暗黒の襲撃編2

「「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!」」
「いやああああああああああああああああああああああああああああッッッ! 助けてッッ、誰か助けてッッッ! 誰かッッ、だれかああああぁあぁあぁぁああぁぁあぁあぁぁぁぁぁあッッッ! 誰かあぁあぁぁあぁあぁあぁぁぁあぁあぁぁぁぁあッッッ! いやあああああああああああああああああああああああッッッ!」
深い絶望が迫ってくる光景を目の当たりにして、ティリエルの美しい顔面に恐怖が翼を拡げた。それと同時に、股間も黄色く濡れはじめた。情けなくも失禁してしまったのである。「な、なんでッ、どうしてッッ、どうしてこんなことにぃぃぃッッ! なんであたしがこんな目にぃいぃいぃぃぃッッッ!」
強いアンモニアの臭いを放ちながら、ティリエルはなおも全力で駆け続け、なぜ自分が、どうしてこんな目に遭っているのかについてを声に出して自問した。自問せずにはいられなかったからだ。
 彼女がこんな目に遭っている理由を知るためには、時間を少し遡らねばならない。
 レスター暦六四〇年七月一〇日、リプロ川の渡河に成功した一万八〇〇〇人の討伐部隊は、その日のうちから暗黒生物たちの駆逐を開始し、最初の三日間で大小合わせて五〇〇〇匹の暗黒生物を討つことに成功した。その数は日を追うごとに増えてゆき、一週間で三万匹を超えるにいたった。しかもその間、討伐部隊の犠牲は少なく、死傷者の数は合計で千人に満たなかったのである。
「魔物どもめ、見たか我らの強さを、力のほどを! われわれ人間を苦しめてきた報いをその身をもって思い知るがいい!」
築かれた暗黒生物たちの死体の山を前にして、ティリエルは上機嫌だった。圧倒的な勝利は心地よかったし、達成感もあった。そしてなにより、醜くて恐ろしい化け物たちが命を断たれて死んでゆく様を見るのは性的絶頂に似た快感を彼女にもたらしていた。そう、ティリエルは、暗黒生物たちが流す血に酔っていたのだ。ゆえに、彼女はより一層、暗黒生物たちに対して無慈悲に振る舞った。
 築かれた死体の山の中で、微かに蠢くモノがいた。


お読みくださって、本当にありがとうございます(´ω`)

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