フリーセンテンス 2022/12/14 00:00

苗床聖女の受胎獄痴 暗黒の襲撃編3

「ギ、ギィ・・・・・・、ギィィ・・・・・・」
まだ小さな暗黒生物の幼体が、青い血を流しながら、死体の山から這いずり出てきた。膿爛れた奇形の犬のような醜悪な姿形をしていたが、それでも必死に、そして懸命に生きようとしていたのである。
それを、ティリエルが見つけた。
「ん? こいつ、まだ生きていたのか」
ティエルが剣を抜いた。白刃がギラリと光る。そして、その鋭い剣先で、幼体の胴を貫いたのだった。
グサッ・・・・・・。
「ギィィィィ・・・・・・!」
幼体が苦しげな悲鳴をあげた。その悲鳴を聞きながら、ティリエルは引き抜いた剣で再度、幼体を貫いた。
「醜いおまえたちに生きる価値はない。これまでの報いを受けながら死ぬがいい!」
グサッ、グサッ、グサッ、グサッ・・・・・・。
「死ね、死ね、死ね、死ね・・・・・・」
「ギィ、ギィィィ〜・・・・・・」
ティリエルに剣で何度も何度も刺突され、暗黒生物の幼体はもがき苦しんだ。それでもなお、生きようと――逃げようとしていたが、目的を果たすことはできなかった。暗黒生物の幼体は、ティリエルに何度も何度も剣で突き刺された後、弱々しく身体を震わせて、その小さな命を儚く散らしたのだった。
「ふん、死んだか。他愛ない」
ティリエルの必要以上に残酷な行為を咎める兵士は誰もいなかった。兵士たちもティリエル同様に血に酔っていたからだ。
「おい、この野郎、まだ息があるぞ。心臓を抉りだしてやる」
「へっ、哀れな目つきをしてやがる。死にかけたジジイみたいな目だ」
「ふふふん、恐ろしいのは見た目だけか。とんだ見かけ倒しの連中ばかりだぜ」
 兵士たちもティリエル同様に、狩った暗黒生物の命を断つ時、必要以上に傷つけ、苦しめていた。生きたまま目玉を抉り、皮を剥ぎ、牙をへし折って、内臓を引きずりだしたのであった。
「グガ、グウガアアアア・・・・・・」
暗黒生物たちがあげる断末魔の叫び声を、より長く聞くために。その哀れな鳴き声を聞いて、兵士たちは不気味に笑うのだった。
「ふふふふふ・・・・・・」
「はは、あはははは・・・・・・」
「わははははははは・・・・・・」
暗黒生物を傷つけ殺すという行為は、きっと気持ちがよかったに違いない。その証拠に、兵士たちは暗黒生物たちを殺す時、顔に愉悦の笑みを浮かべて、目をギラギラと輝かせながら、口から涎を垂らしていたのだから。
 そんな兵士たちに向かって、ティリエルは高らかに声をかけた。


お読みくださって、本当にありがとうございます(´ω`)

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