フリーセンテンス 2023/08/08 08:53

体験版 師匠と弟子の触獄狂喜の肉宴

こんにちは、フリーセンテンスです。

こちら、現在販売中の「師匠と弟子の触獄狂喜の肉宴」の体験版となっております。
もし、よろしければ読んでいただけると幸いです。
そして、買っていただけますと、なお嬉しいです(*´ω`)

少し公開が遅れてしまいましたが、どうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m

 ・・・・・・魔族による支配が終わりを迎えて約一〇〇〇年。地上の新たなる支配者となった人間は、その本能赴くまま増殖を続け、他種族を圧倒しながら支配領域の拡大を続けていた。国という単位で分かれ、同種族間で醜悪な争いを繰り広げながら。
 クレアル・アルケウスがこの世に生を受けたのは、そんな時代であった。

 クレアル・アルケウスが若くして魔術を極めた魔導師であることは周知の事実である。わずか三歳で複数の言語を習得したという逸話を持つ彼は、たった一〇歳で国中から選りすぐられた天才たちが集まるベリル王立魔導学院に特別待遇での入学を果たすと、わずか三年で全ての学位を習得し、一三歳という若さで学園を首席卒業するにいたる。これは現在も破られていない最年少卒業記録であり、それまでの記録を五年八カ月も縮めての新記録であった。
 王立魔導学園を卒業したアルケウスは、その才能を高く評価され、推薦によって国家直営の王立研究所に就職すると、そこで人間と魔族の生殖に関する研究を任された。まだ若く、人生経験も乏しく、物事の善悪にもうとかった彼は、深く考えることなくこの研究を進め、類稀なる才能を発揮して研究に一定の成果を出すにいたる。だが、この研究の成果が、のちに幾つもの悲劇を生むことになろうとは、この時はまだ、アルケウスの知るところではなかった。
 アルケウスが王立研究所を退職したのは一七の時であった。研究所内における不毛な派閥争いと権力闘争に嫌気が差しての行動であり、かなり頑なに引き留められたものの、当人の意思はそれ以上に硬く、退職は研究所側が折れる形で認められたのだった。
 研究所を離れた後、アルケウスはあてもなく放浪する旅に出た。まったく使っていなかった給料は、銀行で利子を産んで増殖しており、退職金と合わせると、半世紀は遊んで暮らせる額になっていた。懐の余裕はそのまま心のゆとりに直結するとはよくいったもので、アルケウス生来の気質と相まって、彼の旅は最初から慈善事業めいていた。もちろん、アルケウスは別に最初から慈善事業をするために旅をはじめたわけではなかったのだが、あてもなく旅をしているうちに、地方の貧しさを知った彼は、半ば無意識のうちに救いの手を差し伸べずにいられなかったのである。
 アルケウスが生まれ育った国――ベリル王国は、五か国と国境を接する国だ。総合的な国力は中の上といったところで、周辺国との仲は良好というよりは悪い方に天秤が傾いており、どの国とも大小幾つかの問題を抱えていた。同盟国はなく、友好国の数も少なく、このような状況で国の優位性を保つためには軍事力に頼るしか他に道がなかったため、ベリル王国は軍を強化するために、国民にはかなり重い負担を課していた。それはすなわち重税と、徴兵と、社会基盤の未整備であり、特に地方の状況がよくなかった。
地方の村々は、国の農業政策によって特定作物の栽培を強要されたり、穀物を安く買いたたかれたり、働き手を徴兵されて慢性的な労働者不足に陥っているにも関わらず、生活に必要な社会基盤は未整備のままで、学校もなければ医者が常駐する診療所もなく、かなり大きな町に行かなければ魔術師も居ないという有り様で、盗賊や野盗に襲われても軍が出動してくれることもなかった。それなのに、取り立てる税の額だけは重く、支払わなければきっちり罰を受けるという理不尽さなのだ。ゆえに村単位での暴動や一揆はたびたび発生していたのだが、このような場合のみ、軍が出動するという状況のため、地方在住者は半ば諦めの境地で日々を送る他なかったのだった。
 アルケウスは旅の先々で、魔術を使って困っている人々を助けた。雨を降らせたり、農作物の生育を促したり、害獣を駆除したり、野盗や盗賊を退治したり、害虫の発生を未然に防いだり、一か所に長く滞在して子どもたちに文字や学問を教えたり、貧しい者に無料で治療を施すなどしたりして、気がつけば五年の月日が経っていた。
 アルケウスが突然、放浪の旅を止め、地方の奥地にあった小さな古城を買い取ると、まるで隠遁するようにその城に引きこもったのは、彼が二三歳の時であった。そのきっかけは、彼が引き取った弟子にあった。
 アルケウスがその弟子と出会ったのは、とある地方を訪れた時だった。出会った時の弟子の年齢は、おそらく四歳か五歳ほど。路上に、鎖で繋がれていた。みすぼらしい姿をしており、外見から性別を見極めることは不可能に近かった。着ていた衣服はボロボロで、手足は酷く痩せ細っており、あばらは骨が浮き出るほどガリガリだった。長く伸びた髪がこけた顔のほとんどを隠してしまっていたが、ただ、長く尖った耳だけははっきりと露出しており、それが鎖で繋がれている理由であることは疑いようがなかった。
 アルケウスは近くにいた男にたずねた。これはほとんど興味本位の行動であったのだが、この出来事が、アルケウスのその後の運命を大きく変えることになる。
「ああ、あのガキか。あのガキは、どこぞの哀れな女が産んだ娘だよ。なんでもその女、親の借金で身売りされたらしくてね、どこぞの研究施設で、なんでも魔族の子を孕まされたらしい。人間と魔族の合いの子なんて聞いたこともなかったが、どうもどっかの頭がイカれた魔導師が、人間と魔族の間で子どもが作れる技術を開発しちまったらしくてさ、その犠牲者だよ。人間なんて肌の色が違う子どもを産んだだけでも精神を病んじまうってのに、よりにもよって魔族の子どもなんて孕まされちまったら、そら狂うわな。ま、あの年齢まで育てただけ、少しは愛情があったのかもしれないが、あのガキの有り様をみれば最初から死なせてやったほうがまだマシだったかもしれないね」
男は付け加えた。魔族の子を産んだ哀れな女は、不幸な娘を鎖で繋いだ後、油をかぶって自らに火を放ち、娘の前で焼け死んだことを。
「ほら、あの場所だよ。まだ黒く焼け焦げているだろう? あの場所で母親は死んだのさ。最後、娘を呪う言葉を吐きながらね」
「・・・・・・」
話を聞き終えたアルケウスは、無言で男の前から離れると、○女を繋いでいた鎖を断ち切ったのだった。そして、彼女を連れて、いずこかへと姿を消したのである。彼が古城を買ったのは、この少し後のことだった。
 アルケウスが全ての事情を知ったのは、それからほどなくしてのことだった。
 国が、周辺諸国との力関係で有利な状況を作り出すべく、軍事力を強化していることは周知の事実である。重税も、徴兵も、食料生産能力の向上もその一環であったが、水面下では、もっとおぞましい政策が、国家計画として進行していたのだった。それが魔族を利用した「半魔製造計画」である。
 この計画の目的は、魔族の力を有した人間を量産することである。魔族が人間を遥かに超越した存在であることは誰もが知っている。強大な魔力はもちろん、身体能力、寿命、治癒・再生能力、そして肉体の強靭さなど、どれをとっても人間よりも遥かに優れた存在であって、過去、世界が魔族によって支配されていたことは歴史的な事実である。その当時の人間が、一部、魔族の家畜にされて食料にされていたことは、いまも恐怖をともなって語られているほどだ。魔族は人間との争いに敗れ、数を減らした現在も、その脅威は勢威を保ったままで、ベリル王国の隣国には魔族と同盟を結んで生け贄を捧げて協力関係を築いている国もあるのだ。
 魔族の力は軍事利用できる――しかし、純血種の魔族をそのまま活用することは不可能に近い。彼らは強いし、自尊心が高く、非従順・非協力的であり、なによりも数が少ない。ベリル国内に棲息している魔族の数は、確認されているだけで雌雄合わせて数体という希少さである。軍事力として活用するためには数を揃えなければならなず、そこで考えだされたのが「半魔製造計画」というわけであった。
 人間と魔族のハーフを量産し、魔法と薬物で洗脳して国家に従順な兵に仕立て上げることができれば、強大な軍事力となる。問題は、生物として異なる種族間で、どう「子」を成すかであった。なにせ、人間と魔族は見た目こそ「人」に似てはいるものの、両者の間で子どもを作ることはほとんど不可能に近く、妊娠する確率だけでも万分の一であり、さらに流産することなく出産にいたり、生まれた子が無事育つ確率となると、それはもう、天文学的な希少確率でしかなかった。それでも、この「半魔製造計画」が実行に移された理由は、過去の歴史には、人間と魔族のハーフが何人か実在していたからであった。
 しかし、ひとりの天才的な魔導師のせいで、不可能が可能になってしまったのだった。その天才は、名をクレアル・アルケウスといった。
「あの、研究か・・・・・・」
アルケウスは唸った。彼は国から受けた命令に対して、なんの疑問も抱くことなく着手していた。自らが進めている研究が、どのような結果をもたらすかを考えもせずに。
 アルケウスの研究は、幾種類かの薬物の生成によって成功をみた。それは母胎となる人間の女性に投与する薬物で、受精率と子宮内着床率を向上させ、拒絶反応を大幅に減退させるというものであった。
 この薬物の完成を受け、国は即座に行動に移す。軍を動員して雄の魔族を確保すると、さまざまな理由をつけて国中から若い女性たちを集めたのだった。
 かくして計画は実行に移された。捕獲された雄の魔族は拘束されて機械的に精液を搾取され、ソレは「母胎」にされた女たちの卵巣に直接、注入されて、彼女たちは「産む機械」にされて望まぬ妊娠と出産を強要されたのだった。
 女たちが監禁されている施設からは、彼女たちの悲痛なる叫び声が絶え間なく響き続けていたというが、その哀れな声が彼女たちの不幸を作った男に届くことはなかった。
 国は強力な戦力の確保にメドがつき、心の中でほくそ笑んでいたのだが、破滅は予想外の方向からやってきた。施設が、魔族の襲撃を受けたのである。
 魔族からすれば当然の行動だった。仲間が捕らわれておぞましい行為の犠牲者にされているだけでなく、この行為が成功したならば、次は自分たちが狙われるかもしれないのだ。魔族たちの攻撃は熾烈を極め、施設は徹底的に破壊された。おぞましい設備や薬品は灰塵に帰し、施設の研究員や魔術師にも甚大な被害が出た。ほとんど皆殺しにされてしまったのだ。中には命乞いをする者もいたが、許されることはなかった。
 施設に監禁されて「産む機械」にされていた女性たちも魔族の攻撃の巻き添えを受けて死亡する者が多かったが、それでも、生きて逃走できた女性も少なくなかった。それは運がよかったというよりは、魔族たちが彼女たちに同情し、故意に攻撃の手を緩め、逃がす手助けをしたからであった。
 すべての事態はアルケウスの預かり知らぬところで起こった出来事ではあったが、事情を知って、アルケウスは心に深い傷を負った。買い取った古城に弟子と共に引きこもり、そこで隠遁した生活をはじめたことが、そのなによりの証拠である。
 アルケウスは引き取った弟子にラピスという名前を与え、彼女を大切に育てた。愛情をもって接し、優しい言葉をかけ、彼女が幸福な人生を送れるよう、自分が持つすべての知識と技術を彼女に与えた。おそらくそれは、償いめいた気持ちを根底にした行動であるに違いなかったが、アルケウスが真意を口にすることは決してなかった。
 師匠からの惜しみない愛を受け、ラピスは健やかに育った。美しく、健康的に。その顔からは笑みが絶えることがなく、不幸な出自や哀れな生い立ちを微塵も感じさせずに振る舞えるようになったところに、アルケウスの育ての努力が垣間見えるというものであった。
 ラピスの存在はアルケウスにとっても心の清涼剤になっていたに違いない。明るく健やかに育った弟子をみて、アルケウスの表情は自然とほころび、日々を心穏やかに過ごすことができていたのだから。
 だが、多くの事象がそうであるように、幸せな時間がいつまでも続くことはなかった。
国からの使者がアルケウスのもとを訪れたのは、彼が弟子と共に城にこもってから五年目のことだった。使者は、アルケウスに国家の危機を伝えると、彼に召集令状を手渡したのだった。
「これはいったい、どういうことだ?」
 目を丸くして驚くアルケウスに、使者は姿勢を正して伝えた。
「戦争です、閣下。戦争が始まったのです」
「戦争だって? いったい、何処とだ?」
「全てです」
「は?」
「全ての周辺国と戦争がはじまったのです」
「・・・・・・!?」
 アルケウスが城にこもっている間に、ベリル王国と周辺諸国との関係は悪化の一途を辿っていた。ナタル川を水源とする農耕用水を巡る問題、輸出入にかかる関税の問題、ナルタル湖における漁業権を巡る係争や、カルカナ島の領有権を巡る対立、分離を宣言したラハ地方の帰属問題、ベリル王国が発行する金貨の質の問題など、抱えていた複数の問題が連続して破局するにいたり、そこに積年の恨みや憎しみが加わって、ついに複数の国境で同時多発的に軍事衝突が発生し、そのままベリル王国は全面戦争に突入したのだった。
「すでに国家総動員令が発令されました。一六歳以上のすべての国民が対象です。アルケウス殿は国より国家最重要戦力の位置づけを受けておりますので、四八時間以内に身辺整理を済ませ、所定の軍務局へ参上してください。なお、逃亡は連座での死刑が適用されますゆえ、どうか行使なさらぬようお願いします」
使者の言葉は極めて丁寧であったが、最後のひと言は、アルケウスに扶養家族がいることを把握したうえでの脅迫であることは疑いようがなかった。ただ、どうやらラピスの素性と才能までは把握されていないようだったので、だとしたら、アルケウスが取るべき選択はひとつしかなかった。
 翌日、支度を整えたアルケウスは、弟子に別れの言葉を告げた。しんみりと悲しくからないよう、極簡単に、短めに。
「それじゃあ、少しの間、留守を頼む。ゴーレムたちにさせる庭の手入れは怠らないようにな。それと、書庫の掃除だけは欠かさず頼むぞ。埃が積もると本が傷んでしまうからな」
「わかりました、お師匠さま。ですが、どうか無理だけはしないでくださいね。それと、お身体には気をつけて。あと怪我と、病気と、それから・・・・・・と、とにかく、無事に帰ってきてくださいね! ボク、いつまでも待っていますからっ!」
事が事だけに、発する言葉の数は多く、いつもと違って不安そうな瞳で師匠を見つめ返すラピス。ぎゅっと握られている手は、彼女の内心を表すかのように小さく震えていた。
 そんな弟子の頭に、アルケウスはぽんっと優しく手を置いた。
「そう心配するな、戦争なんてすぐ終わるさ。あんな無駄な行為、そんなに長く続くものじゃなからな」
そう言ってアルケウスは出立した。いつまでも見送るラピスに手を振りながら。

 ・・・・・・戦争が終結したのは、勃発から一年八カ月後のことだった。人間のみならず、魔族や亜人族、さらには巨人族やドラゴン族まで巻き込んだ総力戦は、おびただしい数の犠牲者を出しながらも勝敗がつかず、疲弊の末、停戦合意にいたったのだった。戦争に参加した六か国の犠牲者の数は、死者・行方不明者の数は二五〇万人を数え、負傷者の数はその一〇倍にも昇ったのだった。負傷者のなかには敵の呪術攻撃を受けたことで「人間性」を喪失した者が少なからずおり、その中には、敵対諸国から脅威と見なされて、最優先で排除対象にされたクレアル・アルケウスも含まれていたのだった。

     *

 ・・・・・・魔導師アルケウスが、弟子と共に隠遁めいた生活を送るため購入した城は、建てられてからおよそ二五〇年が経過した古い城で、ほとんど廃墟同然で放置されていた。
この城は、とある貴族が別荘として建てたもので、規模はそれほど広くはない。地上四階、地下二階、部屋の数は大小合わせて三〇ほどで、天を貫くような高い塔がひとつある。防御のためというよりは、外界との境を明確にするための壁が城の周りを囲んでおり、壁の外は見渡す限り深い森が広がっている。この森には狼や羆が多数生息しているのだが、城に通じる一本道だけは、半月に一度、食料や生活必需品を届けてくれる業者のため、魔法による見えない防護壁が構築されていて安全に通ることができるのだった。
 古城への配達を担う業者は名をハンナといって、アルケウスたちと知り合って五年になる年配の女性だ。当然、ラピスのこともよく知っており、ゆえに、アルケウスが戦争に出かけたことを知ると、ひとり残されたラピスのことを心配していろいろと気にかけてくれたものだった。
「ラピスちゃん、困ったことがあったらなんでも言っておくれよ。あんたのお師匠さまは命の恩人なんだ、恩を恩で返さなきゃ罰が当たるってもんだからね、遠慮せずになんでも言っておくれよね」
ハンナは、馬車の事故で瀕死の重傷を負った娘と孫をアルケウスに助けてもらったことがあった。娘と孫は転倒した馬車の下敷きになってしまい、幾つかの臓器を損傷して当人たちの生命力で辛うじて生きている状態だった。村の医者には匙を投げられ、街の魔術師には大金を要求されて途方に暮れていたところ、たまたま、城に越してきたばかりのアルケウスが事情を知って治してくれたのだった。アルケウスにとっては呼吸をするよりも容易い行為であったのだが、彼女は感謝して、それ以来、物資の納品とは別に、いろいろと世話を焼いてくれているのだった。戦争中も、戦争が終わって物資が不足している現在も、注文した品物を滞りなく届けてくれるところに、彼女の感謝の深さが伺い知れた。
 そんな彼女が、最近、城で留守を任されたラピスに関して、気になったことがあった。
 ひとつは、ラピスの表情がやたらと明るくなったことだ。師匠のアルケウスが戦争に出かけて以来、笑っていても、ずっと影がある表情をしていたのに、ここ最近、また以前のように明るく快達になったような気がするのだ。まだ師匠であるアルケウスが帰還した気配はないのだが。
 それともうひとつ、最近、ラピスの身体つきが、やたらと発達してきたような気がするのだ。いや、これは気のせいではない。目に見える形で、明らかに肉体が変化しているのである。背丈はそれほど変わっていないものの、胸の乳房が人の頭よりも大きく膨らんできたり、太腿やお尻の肉づきも発達して、首から下が成熟した女性のソレとなっているようなのだ。少女から大人へと変化した、と言ってしまえばそれまでなのだが、それにしても大変な性的変化だと言わざるを得ない。
「でもまぁ、これに関しては個人差もあるからねぇ。それにしても・・・・・・」
ハンナは納入伝票に目を落とした。そこには、少女ひとりが暮らすにしては、明らかに量が多い食料品の数々が記載されていた。肉、野菜、魚、乳製品、それに小麦粉など、尋常ではない量だ。お金はしっかりと払ってくれているのだが、このご時世、これだけの量を仕入れるのに、ハンナは少なからぬ苦労をしたことを思い出した。
「食料品だけで以前の一〇倍の量になっているよ。あの娘、なにか飼いはじめたのかねぇ」


「んふふ~、んんふふ~♪」
城の厨房に、上機嫌な鼻歌が響く。それは雑務のゴーレムたちと共に料理を作るラピスが奏でる音色だ。
腰に手をあてながら、ラピスがグツグツと煮立つ大鍋の中身を掻き混ぜる。料理を作る彼女の動作は実に軽快であり、そして愉しげだ。彼女の名はラピス。まだあどけなさが残る端麗な顔には喜びの色が翼を広げており、その名の由来となった大きな瞳はこの日も青く美しく輝いていた。
物事を表現する時に、しばしば「美の体現者」という言葉が使われる。立ち振る舞いや動作など、どのような時であっても優雅で美しくあるからこそ、そう呼ばれるのである。いまのラピスがまさにソレだった。彼女はただ料理を作っているだけなのに、その端麗な容姿と相まって、優雅にして優美だった。
調理器具を動かしている華奢な手は、彼女が奏でる鼻歌に合わせるかたちでしなやかに動いている。味つけから食材の投入にいたるまで、その動作には無駄というものが一切なく、まるで音楽の指揮者のように滑らかだ。ただし、その身体の動きは、蠱惑的な肉感に満ち溢れた豊満恵体と相まって、性的色香に富んでおり、若さ由来の生命力と相まって、実に官能的だった。
「んふふ~っ、んふふっ、んふふ~~♪」
 相も変わらず奏でられている鼻歌から官能的要素を感じることは、ほぼ不可能に近い。しかし、料理の動作に合わせて揺れ動く彼女の肉体は、雄の本能を刺激するほど雌としての魅力に満ち溢れていると言ってよい。端麗な容姿にはまだ若干の幼さが残っており、背丈も低く、身体つきは小柄な部類に属するものの、その肉体は成熟した「雌」そのものといってよかった。胸に重々しく実っている乳房は、人の頭よりも大きく、張りがあって、これでもかというくらい存在感を強調してやまない。お尻の肉付きも見事のひと言に尽き、むっちりとしていて、大人の掌でもワシ掴みにすることが不可能と思えるほど大きかった。腰のくびれも、太腿の肉感も、ほっそりとした白い首筋も、すべてが性的魅力に富んでいるのだ。
そんな豊満恵体が、身体が動くつど、連動するようにして艶めかしく動くのだ。胸に実っている大きな乳房が重々しくゆさゆさと上下に揺れ動き、腰を左右に振るたびに、大きくて肉付きのよい安産型のお尻が躍動的に動いて存在感を強調してやまない。着ている服が薄着のため、滲んだ汗とスープの熱気が彼女の衣服を透かしてしまい、薄桃色の下着を浮かび上がらせてしまっているのも、彼女の性的魅力を増幅させる効果を産んでいるようだ。生命力に富んだ瑞々しい肌が天窓から降り注ぐ陽光を浴びて白く輝いており、ただ料理を作っているだけなのに、一種の宗教画のような官能的情景を醸し出していることも、前述の言葉を追随しているようだった。美の体現者とは、まさにいまの彼女に相応しい言葉であるだろう。少し、性的に過ぎるかもしれないが。
 それにしても、なぜ、彼女はこれほどまで愉しげなのか。生命力に富み、躍動感に溢れているのか。その理由は、彼女がスープの味見をした時、何気なく口にした言葉で明らかになった。
「うん、いい味。これならきっとお師匠さまも喜んでくれるはず」
そう、そうなのだ。彼女がこれほど愉しげに料理を作っていた理由は、自分自身が食べるためではなく、彼女の師匠であるアルケウスに振る舞うためであるのだ。
 料理の大半は、すでに完成している。特大の大皿に載せられた分厚いベーコンのステーキは何枚も重なって層を厚くしており、数十個のジャガイモを使ったハッシュドポテトは巨大なボールに山盛りになっている。海藻と城で採れた夏野菜を使ったゼリーサラダの量も、ハチミツをふんだんに使ったパンケーキも、そしていま完成した白身魚と香辛料のスープも、やはり大量だ。おそらくは、軽く見積もっても一〇人前はあるだろう。これらすべての料理が、ラピスの師匠であるクレアル・アルケウスのために用意されたものなのでであった。そして、デザートが用意されていないことには、ある思惑と理由があった。
「よし、それじゃあみんな、作った料理を運んでちょうだい。冷めないうちに、お師匠さまに食べてもらわないとね」
「「ウー」」
ラピスの明るい声を受け、雑務のゴーレムたちが忠実に命令に従った。ゴーレムの大きさは、それぞれ子どもほど。粘土製で、額に「真理」を意味する文字が刻まれている。数は一〇体ほどで、それぞれが単体で、あるいは複数体で、料理が山盛りに乗った大皿や鍋を持って行進を開始した。彼らの造物主であるアルケウスの下へ向かって、ラピスを先頭に隊列を成し、規則的な動作で進んでゆく。食堂ではなく地下へ向かって。
「んふふ~、ふふふふ~♪」
「「ウー、ウー、ウー」」
まるでサーカスの一団のような行列は、ラピスが奏でる鼻歌に導かれるようにして城の中を進み、書庫の前を通り、地下へ通じる階段を降り、歩数にしてちょうど三〇〇ほど歩いたところで、重厚な扉の前に辿り着いた。この扉には、魔術によって封印がなされており、解除の呪文を唱えなければ開かない仕組みになっていた。万が一、誰かに無断で侵入されたとしても、決して開けられないようにするための措置だった。
「レ、アレア、ル、オマール、レオローラ」
ラピスが解除の呪文を唱えると、ガチャッという音がして、ギィ~と扉が左右に開いた。その中に、「ソレ」がいた。
「ギシュアアアアアア、ギギシュアアアアアアアアア・・・・・・」
おぞましい声で鳴く「ソレ」は、醜悪な姿形をした肉塊生物だった。身を縮めて動こうとする芋虫のような、あるいは深海に棲息する名もなき軟体生物のような、もしくは宇宙の果てに存在する未知の存在のような、とても言葉では形容し難いおぞましい姿形をした生命体が、うずくまるようにして、そこにいた。
 この肉塊生命体の大きさは、長径四メートル、短径二メートル、最大体高三メートルほどで、全身が赤黒い肉で形成されており、手はなく、足もなく、まるで発芽した種芋のように全身のいたるところからおぞましい形をした触手が無数に生えて伸びており、それらがゆらゆらと揺れ動いていた。口はなく、目玉はあるが、左右非対称の場所にあり、その瞳には、意思ではなく虚無の光が宿っているようだった。
 まるで悪夢の世界からやってきたとしか思えないこのおぞましき肉塊触手生命体を目の当たりにしたならば、どんなに心が強い者であっても、悲鳴を上げて逃げ出してしまうに違いない。
 しかし、ラピスは違った。
 この醜悪なまでに気持ちの悪い生命体を前にしても、悲鳴をあげるどころか嫌な顔ひとつせず、むしろ自ら進んで近づくと、自然体の笑みを浮かべて話しかけたのだった。
「お食事をお持ちしましたよ、お師匠さま。今日もお師匠さまのために、ボクが腕によりをかけて作りましたから、たくさん食べてくださいね。さぁさぁ、冷めないうちにどうぞ」
それは決して聞き間違いなどではなかった。ラピスは、この醜悪な肉塊触手生命体を「師匠」と呼んだのである。驚くべきことに、ラピスはこの化け物を、師匠である「アルケウス」と認識しているのだった。師匠であるアルケウスが戦争に向かった孤独から、頭がおかしくなってしまったのだろうか。
 むろん、そうではない。
 彼女が認識している通り、このおぞましい肉塊触手生命体こそが、彼女の師匠であるクレアル・アルケウスその人であり、その「慣れ果て」の姿なのであった。
「ギシュアアアアア。ギシュ、ギシュアアアアア・・・・・・」
 醜悪なる肉塊触手生命体がまた鳴いた。哀しみからではなく、おそらくは、漂う料理の匂いに刺激されたのだ。
「「ウー、ウー、ウー」」
雑務のゴーレムたちが大量の料理が載った大皿や鍋をかつてアルケウスだった肉塊触手生命体の前に並べてゆく。その料理に向かって、赤黒い肉塊の胴体から生えている触手が伸びていった。よく見ると、その先端は、まるでヤツメウナギの「口」のようになっていた。
 グチャグチャ、グチャア、グチャグチャグチャ・・・・・・。
 グチャグチャグチャグチャグチャ・・・・・・。
 無数の触手が料理を貪り食べる咀嚼音が辺りに響く。汚らしく、耳障りこの上なく、見ているだけで吐き気を催すほど醜悪な食事風景だ。料理の汁や残骸が、床に飛び散っているのも負の感情を増幅させる。食べ散らかすとはまさにこのことだ。犬や猫のほうがもっと上品に食べることができるだろう。
 自分が丹精込めて作った料理を食い散らかされたなら、普通の者であれば嫌な気持ちになるに違いない。しかし、ラピス当人の感想は、肉塊触手生命体の食事風景を見て、怒ではなく、嬉のほうに、ほぼすべての比重が傾いているようだった。
「んふふ~♪ 美味しいですか、お師匠さま? たくさん作りましたから、いっぱい、いいっぱい食べてくださいね♪」
「ギシュアア、ギュアアアアアア・・・・・・」
 まるで「承知した」と言わんばかりのタイミングで鳴き声をあげたアルケウス。おそらくはただの偶然であろうが、それでも、気持ちが通じ合ったのだと思わざるおえないほど絶妙なタイミングであった。
クレアル・アルケウスがこのような状態になってしまった理由は、むろん、彼が参加した戦争のせいである。アルケウスが属するベリル王国が、抱えていた数々の問題を同時多発的に破局させた末、周辺五か国と同時に戦争に突入したのは周知の事実である。それは国家総力戦の様相をていした全面戦争であって、ベリル王国は、国家存亡を賭け、死力を尽くして戦った。
 そのような状況において、国家戦力の位置づけを受けたアルケウスの存在は巨大だった。魔導師として優れている彼は、戦略面においても戦術面においても、ひとりで一個軍団に匹敵する活躍をみせ、少数精鋭を率いて敵一国の侵攻を防ぐ活躍ぶりを示したのである。十万を超える敵軍の大侵攻を食い止めること合計八度、そのつど、大魔法を連発して何千、何万という敵兵を葬り、敵軍に大量出血を強いただけでなく、時には国境を越えて逆進し、敵国の後方に大打撃を与えたりもした。
 この戦争において、ベリル王国側は、彼ほど頼れる戦力は他にいなかったに違いない。
 ゆえに、だからこそアルケウスは、敵国から畏怖と同等の憎悪を買わずにはいられなかったのである。
 アルケウスが「極大呪法」による「呪い」の攻撃を受けたのは、和平合意がなされる間際のことだった。それはアルケウスの活躍によって身内を失った何千、何万という遺族たちの「命」と引き換えに発動された最大級の「呪い」であって、対象に、死ではなく、もっと恐ろしい事態を生じさせる攻撃だった。
 それが、人間性の喪失である。
憎き存在であるアルケウスを、苦しめて、苦しめて、苦しめて苦しめて苦しめて、ただひたすら苦しめて、死を願っても死ねない恐怖を味あわせ、絶望を無限に感じさせるため、彼から人間としての意思と理性を奪い、肉体を人からおぞましき生き物に変貌させるべく、大勢の命と引き換えにした「極大呪法」が放たれたのであった。
 この「呪い」攻撃は、さすがのアルケウスをもってしても防ぐことはできなかった。彼の身体に流れ込んできた大量の恨みと憎しみの「力」は、強大な魔力を誇る彼をしても対抗できるものではなく、変貌の進行を少し遅らせることしかできなかった。
「もはや、これまでか・・・・・・」
人間として「死ぬ」ならば、呪いが完全に蔓延するまえに自死するしかない。それしか、もはや「人」として死ぬことはできないからだ。だが、アルケウスは死ぬ前に、やりたいことがあった。
それは弟子が待つ城への帰還だった。アルケウスは最後にひと目だけ、弟子の姿をみてから死にたかったのだ。そして、自らの過ちも懺悔したかった。
ラピスが待つ城に帰った時、アルケウスはまだ「人」としての姿を保っていた。すでに四肢の先端は変わりつつあったものの、彼はまだ理性を保っており、「人」として思考し、言葉を放つことが可能だった。
師匠の帰還を喜ぶ弟子に対して、アルケウスはラピスを抱きしめた。そして、自らの身体の内側で生じている事態を説明すると、驚き、それでも励ましてくれる弟子に対して、自らの「罪」を告白したのだった。そして、許しを乞うたのである。
「すまなかったな、ラピス。おまえに、不幸をもたらしてしまって。本当に、本当に・・・・・・すまなかった」
涙を流し、謝罪の言葉を口にするアルケウス。
弟子の反応は鋭かった。
「それがなんだっていうんですかっ!」
宝石のような碧い瞳に溢れんばかりの涙を浮かべながらラピスは叫んだ。
「ボクはお師匠さまに出会って幸せでした! とっても、とっても、言葉では言い表せないくらい幸せだったんです! だから死なないでください、お師匠さま! ボクが、ボクが絶対にお師匠さまにかかっている呪いを解いてみせますからっ! だから、だからどうか、希望を捨てないでください!」
「だが・・・・・・」
アルケウスは暗い表情をした。それが如何に困難であるか、承知していたからだ。魔術にも、呪術にも、あるいはすべての分野に精通しているアルケウスだからこそ、いま、自分の肉体を蝕んでいる呪いを解くことが極めて難しいことであると判っているのに、そのような海の水を抜くような困難を弟子に託してよいはずがなかったからだ。
 しかし、結局、アルケウスは弟子の説得に根負けし、自分の運命を弟子の手に委ね、自らの命を断つことを断念したのだった。
「わかった、あとのことはすべておまえに任せよう。だが、これだけは覚えておいてくれ。もし、困難になり、呪いによって変わり果てた私を重荷に思ったならば、躊躇わず棄て去ってくれてかまわない。そして、おまえはおまえの道を進むんだ。それが私にとっても一番の幸せなのだから」
そう言葉を残した数日後、アルケウスは呪いの力によって「人」ではなくなってしまったのだった。完全に。
 人から肉塊触手生命体へと変貌した師匠の存在を、ラピスは地下に秘匿した。決して人目に触れぬようにするために。そしてラピスは書庫にあるありとあらゆる書物を読み漁り、呪術や呪いに関する知識のすべてを吸収すると、アルケウスにかかっている呪いを解く方法を見出すにいたったのだった。
 その方法は、あまりにもおぞましく、人によっては実行することを躊躇わずにはいられない方法であったが、ラピスに実行を躊躇う気持ちは生じなかった。一切、微塵も。
 そして、現在にいたる。
「ゲエエエェェェップ・・・・・・」
かつてアルケウスだった肉塊触手生命体は、彼のために用意された大量の料理を貪り食べ終わると、口となっている触手から、料理と一緒に飲み込んだ空気を吐きだした。その汚らしい音といったらなく、他人が聴けば、顔をしかめずにはいられない。しかし、師匠の食事の様子を見守っていた弟子の表情は、いささかも崩れることなく微笑が保たれたままだった。
「んふふふ~♡ 美味しかったですか、お師匠さま? お腹、いっぱいになりましたか?」
「アアア、アアアア・・・・・・」
「それは良かったです♪ 全部食べてくれて、ボクもとっても嬉しいですよ」
「アアアアアアアアアアアア・・・・・・」
なんとも会話が成立してしまっているが、実際のところ、肉塊触手生命体に成り果てたアルケウスに、人としての会話が成立するだけの知能などありはしない。いまの彼にあるのは、原始的な欲求に過ぎないからだ。それは「食べる」ことと、「寝る」ことと、そして「出す」ことだけである。特に最後の欲求こそが、アルケウスにかかっている呪いを解く手段なのであった。
「それではお師匠さま、お腹がいっぱいになったところで、デザートを堪能していただきましょうかね。ボクというデザートを。んふふふふ~♪」
そう妖艶な目つきをしながら言うと、ラピスは顔をわずかに赤らめて、細くしなやかな象牙細工のような指を動かした。そしてボタンを外すと、おもむろに、着ている衣服を脱ぎはじめたのである。
するするっ、ぱさ・・・・・・。
衣服を脱ぎ、肌を晒す。さらに下着も脱ぎ捨てると、ラピスはあっという間に生まれたままの姿になってしまった。
「んんふふふふ~♪ さぁお師匠さま、デザートですよぉ♡ ボクのカラダ、おいしくいただいてくださいね。んふふふふ~♡」
妖艶な眼差しを向けながら、重々しくずしりと実った大きな乳房を細い腕で抱きかかえるラピス。綺麗なピンク色をした乳首が、ツンと高く尖っている。
丸出しだ。くびれた腰が、熟れた朝桃のように瑞々しい白いお尻が、そして貝のようにピタリと閉じているアソコが、なにもかも、すべてが白日の下に曝け出されて、それが肉塊触手生命体と化した師匠の前に曝け出されたのである。それはさながら、邪神に生け贄として捧げられた乙女を彷彿とさせる情景であった。
「アアアアア、アアアアアアア・・・・・・」
弟子の見事なまでの裸体を前にして、肉塊触手生命体と化した師匠が鳴き声をあげた。音程が、一オクターブほど上がっているのは、おそらくは、性的に興奮しているからに違いない。三大欲求の化身となっている現在、「出す」という生理的な欲求には、排泄だけでなく射精の概念も含まれている。そして、これほど見事な肉体を持つ雌を目の当たりにしたならば、雄として興奮しないはずがなく、アルケウスの身体から生えている無数の触手たちは狂喜乱舞するかのごとく揺らめき動いて、その先端からは、まるで先走り汁のようにドロドロとした茶色の液体が分泌されていた。それを見て、ラピスは舌なめずりをした。そして、自らの乳房をぎゅむっと掴むと、おっぱいを自分の方に引き寄せて、ツンと尖った乳首を唾液が滴る舌でペロッと舐めとったのである。
「んっ、ちゅぱあぁぁ~っ。んふふふふふ~、興奮してますねぇ、お師匠さまぁ。ボクの裸を見て、興奮しちゃっているんですかぁ? んんん?」
「アアア、アアアアアア・・・・・・」
「んふふぅっ、お師匠さまは正直ですねぇ。ボクも気持ちが高ぶって、心臓がドキドキしてきちゃいましたよ。お師匠さま、ボクの身体を、好きにしたいですか?」
「アアアアア、アアアアアアア・・・・・・」
「めちゃくちゃの、ぐっちゃぐちゃにしたいですかぁ?」
「オアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
また、発する鳴き声が一オクターブ上がった。それを聞いて、ラピスは自分のアソコが、ジュクッと濡れたことに気づいた。
「んふっ、うふふふふ・・・・・・♡」
本能的に股間に手を伸ばし、熱く濡れているアソコの中に指を突っ込む。指に、ねちょっとした蜜が触れた。雌の匂いが凝縮された淫ら汁である。手についたソレを、ラピスは自分の口元へと運んだ。
そして――。
「んふぅっ、んっ、ちゅぱっ、んべろぉ・・・・・・」
自分の指に付着した、自分由来の淫ら汁を、舌を使って美味しそうに舐め取りながら、ラピスは、まだ幼さが残る端麗な顔に、雌の表情を浮かべて妖艶な視線を師匠の方に向けた。そして、口腔から、雌の匂いがする吐息を出しながら、薄桃色の声をだしたのだった。
「いいですよ、お師匠さま♡ ボクのカラダは、髪の毛一本から唾液の一滴にいたるまで、すべてお師匠さまのモノ。ボクはお師匠さまの所有物なんです♡ ですから、ボクを使って好きなことをしちゃってくださいね。その触手を使って、いっぱい、いいいっぱい、触って、嬲って、貪って、ボクのカラダ、隅々までいっぱい、いいっぱい堪能してくださいね。んんふふふふふ~♪」
そう、妖艶な声でもって誘惑した直後だった。
「アアアアア、アアアアアアアアアア・・・・・・!」
弟子から蹂躙の許可が下りたことを喜んだのか、アルケウスが興奮の声を上げながら、ラピスに向けて無数の触手を伸ばしてきた。粘液を滴らせながら、おぞましき音を響かせて。


 ・・・・・・続きは本編でお愉しみください。




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