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2020年 05月の記事 (49)

whisp 2020/05/26 12:00

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whisp 2020/05/25 22:40

【収録台本】まいてつ:れいな読み聞かせ『炭鉱の白犬』(進行豹

こんばんわです! 進行豹でございます!!!

あやかし郷愁譚の購入特典で
https://www.dlsite.com/maniax/promo/ayakashinostalgia

『まいてつ読み聞かせボイスドラマ』 全7話

が、18作品コンプリート特典としてついてくることになりました!!!

内訳は以下の通りです!

・日々姫 「長靴をはいたネコ」
・ポーレット 「犬が言葉をなくしたおはなし」
・れいな 「炭鉱の白犬」
・ふかみ 「うさぎのもちつき」
・凪 「清柾公(せいしょこ)さんの虎退治」
・真闇 「ネコ岳の猫」
・稀咲 「きつねのみそしる」



というわけで、本日も台本紹介まいりましょう!!!

前回はポーレット! 『犬が言葉をなくしたおはなし』をご紹介いたしましたので、
本日はれいな! 『炭鉱の白犬』をご紹介いたします!

これは、実在の炭鉱をイメージモデルとした、創作童話になりますね!

もしよろしければぜひぜひ! ご一読いただけますと幸いです!!!


///////////////////////////////////

;れいな、こいぬランジェリー抱き枕特典ボイスドラマ
;『れいなの読み聞かせ「炭鉱の白犬」』
;進行豹 v100_2016/12/26_v110_161227


;以下、セリフは全てれいな
;タイトルコール

「れいな、こいぬランジェリー抱きまくら特典ボイスドラマ
『れいなの読み聞かせ「炭鉱の[白犬'しろいぬ」』」


;本編


「見てくださぁい。お月さままんまるですよぉ」

「これなら、読み聞かせ。
月のあかりだけでできちゃいますねぇ」

「えっへへー、れいな、レイルロオドですから、
近眼になったりしないんですよぉ」

「だから、今日は月明かりで読みきかせ、
しちゃいますねぇ」

「よいしょ、よいしょ。
おふとん、おとなりはいりますねぇ」

「うふふぅ、とーってもあったかいですぅ。
それに、安心ないいにおい」

「すりすりすり~。
えっへへー、れいなのにおいも混ぜちゃいましたぁ」

「あのですねぇ、れいな。
読み聞かせしてほしいっていわれたとき、
とーってもうれしかったんですよぉ」

「れいな、およめさんになるまえは、
いっつもポーレットに読み聞かせしてもらってて、
ポーレットにも、ときどき読み聞かせしてあげてたんですよぉ」

「でもでも、れいなが一番よんであげたいおはなし、
ポーレットには、一回も読み聞かせしれあげられなかったんですぅ」

「だってポーレット、前までは、れいなが鉱山鉄道のころのおはなしすると、
ちょっぴり、かなしそうな顔になっちゃってたから」

「だけど、れいなが――あ!
うっふふ~ もう『あなた』って呼ばなくちゃだめですよねぇ。
だって、れいな、およめさんになったんですからぁ」

「ええと――うふふぅ、
れいながぁ、あ・な・た の、およめさんになってからは、
ポーレット、むかしのはなしをしても平気になったみたいですけど」

「だけど、もう、夜はあなたと一緒のおふとんだから、
ポーレットに読み聞かせしてあげることなくなったから――」

「だから、このおはなしは、誰にもつたえないままで、
きっと、忘れられていっちゃうんだって、さみしく思ってたんですよぉ」

「忘れられちゃうっていうのは――
あ! わすれたわすれた、取ってきますねぇ」

;SE 足音遠ざかる

;遠い声
「ええとぉ、よむ練習したときに持っていって――あ、ありましたぁ」

;SE 足音戻ってくる。

「よいしょ、もぞもぞ――
えへへ~ またあったかくなりましたぁ」

「忘れてたのは、これですぅ。この雑誌。
『炭鉱ぐらし』っていう、いまはもう無くなっちゃた雑誌なんですよぉ」

「一年に四回でて、れいな、買ってなかったんですけど、
なかに、いろんな炭鉱の情報とか、読み物とかが入ってて」

「それで、この号には『炭鉱の白犬』ってお話がのってて、
れいな、ちっちゃいこたちと一緒にいるとき、
おかみさんに読み聞かせしてもらって――」

「それでれいな、何回も何回もききたくなって、
何回も何回もおかみさんに読み聞かせしてもらったら、
『そんなに気に入ったなら』って、雑誌ごと、お話もらっちゃったんですぅ」

「でも、そのあと――
どこでも、誰の口からも、このおはなしのこと聞いたことなくて――
だから、あなたに聞かせてあげられるの、れいな、とーってもうれしいんですよぉ」

「それじゃあ、読みますねぇ。
れいな、たーくさん練習したから、
きっと上手に読めるって思います。えへへぇ」


「『炭鉱の白犬』」


;以下の『』で始まる部分は、読み聞かせ
;「」ではじまる部分は、その間の会話です

『シガ県に、小さな[炭田'たんでん]がありました。

『小さいといっても炭田です。
四つの炭鉱をかかえ、そこからはたくさんの[木質亜炭'もくしつあたん]が掘り出されました』



「あ、木質亜炭っていうのは……
えっと、石炭って、もともとは木だったって、知ってますかぁ?」

「木が地面にうずもれて、酸素がない状態で、地面の下からの熱とかで燃えて、
長い長い時間がたつと、石炭になるんですよぉ」

「普通の木も、酸素がたりない状態で燃えたら、
灰にならないで、[木炭'もくたん]になるですよねぇ」

「あれが、地面の中で起きて、それで長い時間に圧縮されて固くなったのが
石炭だって、思って下さぁい」

「それでぇ、完全に石炭になるほどの時間がたってなかったり、
なにか他の条件で、石炭化が進まなかった状態の、
なりかけの石炭のことを、亜炭っていうんですよぉ」

「で、木の組織が見えたままに亜炭化されたものが、
木質亜炭って呼ばれます」

「木質亜炭は、[埋れ木細工’うもれぎざいく]っていう工芸品の
材料になるくらい綺麗なのもあって――
もちろん、燃料としてもつかえちゃうんです」

「これだけわかってたら、あとの部分はぜぇんぶわかることって思うですから、
安心してつづき、きいてくださいねぇ――ええっと」



『そこからは、たくさんの木質亜炭が掘り出されました』

『大戦が起き、で海外からの石炭の輸入がとまってしまうと、
木質亜炭の価値も高くなりました』

『小さな小さな炭鉱まちに、100人を超える[鉱夫'こうふ]さんたちが働くようになりました。
北はホッカイドウ、南はオキナワまで、いろんな出身の鉱夫さんたちが集まりました』

『炭鉱には、番頭さんがいました。
いろんな人達が集まるようになりましたため、
番頭さんは用心のため、番犬を飼おうと思いつきました』

『[犬屋'いぬや]さんにいき、わけを話すと、
「番犬にならこの犬がおすすめです」と、
黒くて毛が短い子犬を進められました』

『いかにも賢そうな黒い子犬は、大きく強く育つそうです。
よろこんで買おうとしたとき、
「ヒャン」と甲高い鳴き声がしました』

『鳴き声の方を見てみますと、
まっしろくてふわふわの毛の子犬がいます。
番頭さんは、ひと目でその白い子犬が気に入ってしまいました』

『「この白い犬をくれ」と番頭さんが言いますと、犬屋さんは断りました。
「この犬は大きくならずに力も弱い、とても番犬の役にはたちません」』

『それでも番頭さんの気持ちはかわりませんでした。
「番犬の役にたたないとしても、この犬がいい。この白い犬をくれ」』

『けれど、犬屋さんの気持ちも変わりません。
「この犬は、世話をするのに大変な手間がかかる犬です。
忙しい炭鉱町では、とても暮らしていけますまい」』

『犬屋さんの言葉にも、番頭さんの気持ちはかわりませんでした。
「番頭のワシなら、面倒を見る時間を作れる。
大事にするからこの白い犬をくれ」』

『そう聞かされても、犬屋さんの気持ちもかわりません。
「この犬は体が弱く長生きできそうにありません。
とてもお売りができないのです」』

『どういわれても、番頭さんの気持ちはかわりませんでした。
「決して犬屋さんに文句はいわん。それでもワシは、この白い犬がほしいのだ」』

『そこまで言われては、犬屋さんも断れなくなりました。
「でしたら縁起をかつぐため、[戌'いぬ]の日の夜にこいつを買いに来てください。
そうしてくれれば、一生に一度くらいは、あなたの役にたつことでしょう」』

『番頭さんは、答えました。
「役にたたんでも構わない。
だが、お前さんがそういうのなら、戌の日の夜に買いにくるとしよう」』

『そうして、次の戌の日の夜。
番頭さんは犬屋さんから、まっしろくてふわふわの毛の子犬を買いました。
お値段は、番頭さんのひとつきのお給料よりも高いものでした』

『犬屋さんは、白い子犬を連れ帰る番頭さんに言いました。
「大事に世話してあげてください。
あなたのお役に立つ日を迎えさせてやるためにも」』

『白い犬は、犬屋さんのいったとおりに、番犬の役にたちませんでした。
どんなに怪しい人が来たって、
わんともきゃんとも鳴きもせず、尻尾を振っておでむかえしてしまうのです』

『番頭さんが白い犬に、「知らない人には吠えなさい」と教える様子を見ると、
鉱夫さんたちは笑いました。
「こんなに役立たずの犬は見たことがない。犬屋に返してしまうといいさ」』

『番頭さんは、静かに答えました。
「白い犬のことは放っておいてくれ。
こいつが役にたってくれる日は、まだまだ先のことなのだから」』

『白い犬は、犬屋さんがいったとおりに、大変に手のかかる犬でした。
ほんの一月もしないうち、ふわふわの毛がぐんぐん伸びて、
もこもこの、毛玉の大将のようになってしまうのです』

『番頭さんが、白い犬を犬の床屋につれていく姿をみると、
鉱夫さんたちはまた笑いました。
「こんなに手のかかる犬は見たことがない。犬屋に返してしまうといいさ」』

『番頭さんは、静かに答えました。
「白い犬のことは放っておいてくれ。
こいつが役にたってくれる日は、まだまだ先のことなのだから」』

『白い犬は、犬屋さんがいったとおりに、体の弱い犬でした。
少しでもはしゃぎすぎると、次の日には寝込んでしまうのです』

『番頭さんが、白い犬を犬の病院につれていく姿をみると、
鉱夫さんたちはまた笑いました。
「こんなにあわれな犬は見たことがない。犬屋に返してしまうといいさ」』

『番頭さんは、静かに答えました。
「白い犬のことは放っておいてくれ。
こいつが役にたってくれる日は、まだまだ先のことなのだから」』

『番頭さんは犬屋さんとの約束通りに、白い犬を大切に育てました。
けれども白い犬は、少しも大きくなりませんでした。
立派な大人の犬になっても、子犬のころと変わらぬ見た目のままでした』

『体が大きくならないばかりか、ふるまいも変わりませんでした。
立派な大人の犬になっても、子犬のことろ変わらず甘えて、
番頭さんより遅く起き、番頭さんより早く寝ました』

『そんなある日のこと。
白い犬がふと鼻をあげ、「ヒャンヒャンヒャン!」と狂ったように鳴き出して、
まっしぐらに外へと駆け出しました』

『「白い犬の日が来ちまったのか?」
番頭さんも急いで外へ飛び出しますと、
白い犬は、まっしぐらに[坑道'こうどう]入り口の方へと走っていきます』

『番頭さんの鼻が、ガスの匂いをかぎつけました。
これはいかんと、番頭さんは大声で叫びます。
「鐘を鳴らせ! 退避させろ! 全員退避!!」』

『(ドンっ!)
そのときです。大きな大きな音がして、地面が大きく揺れました』

『すぐに、ガラガラと崩れる音。
[落盤'らくばんです]です。
働いていたたくさんの鉱夫さんたちが、生き埋めになってしまいました』

『「落盤か」「えらいことだ」
[非番'ひばん]の鉱夫さんたちもすぐに飛び出してきて、
番頭さんと一緒に坑道入り口へと駆けつけました』

『坑道入口は完全につぶれていました。
すぐにも掘り出したいところですが、
ガスの匂いがとても強く、二次爆発の危険がありました』

『それに、うかつなところを掘れば、
それがまた落盤を[誘発'ゆうはつ]するかもしれません』

『「とにかく調査するしかない」
番頭さんがいったとき、
「ヒャンヒャンヒャン!」と、遠い鳴き声が聞こえました』

『「白い犬はどこだ!」
番頭さんが大声を出しますと、
また「ヒャンヒャンヒャン!」と、遠い鳴き声が聞こえました』

『「岩の向こうからだ」
「白い犬は中に入ったんだ」
「探せ! どこかに入れるところがある」
真っ青になっていた鉱夫さんたちに顔色がもどり、
いっせいに崩れた坑道入口にとりつきました』

『番頭さんと鉱夫さんたちとで探しますと、
崩れ落ちてきた大きな岩と岩との隙間に、
小さなガレキがまとまっているところがありました』

『白い犬が掘ったのでしょう、
そこには、小さな穴もあいていて、向こうに通じているようでした』

『すぐさま技師が調査して、
「ここになら、人が通れるくらいの穴を開けても大丈夫だ」
と言いました』

『みんなで交代交代に、手掘りで穴を掘りすすみます。
掘れば掘るほど、ガスの匂いは濃くなります。
いっこくの[猶予'ゆうよ]もありません』

『「ひゃん!」
近くから鳴き声が響きましたので手を止めますと、
白い犬が穴の中から飛び出してきました』

『白い犬は、てぬぐいをくくりつけられており、
てぬぐいには血で文字が書かれていました』

『その手紙から、
大勢が避難所に退避できていることと、
一人は足をつぶされてしまい、退避を出来ずにいることがわかりました』

『番頭さんが、沸かさせていたお湯をスキットルにいれました。
「体を暖めさせねば命にかかわる。すまんが、もう一度いってくれ」
白い犬は、スキットルをくくりつけられると、すぐにまた、穴の中へと駆け戻っていきました』

『やがて、なんとか人一人が通れる穴が空きました。
一番小柄な番頭さんが、マスクをつけて穴をくぐっていきました』

『穴をくぐっていきますと、
「ひゃん」とか細い声がします。
その声を頼りにいきますと、足を潰された鉱夫の頬を、白い犬が一生懸命になめていました』

『「もう大丈夫だ」
番頭さんが声をかけると、安心したのか、白い犬はくったりと眠り込みました』

『「ガスから逃してやってくれ。こいつは俺を助けてくれた」
足をつぶされた男は言います。
番頭さんは、白い犬だけ穴の外へと送り出し、またすぐに男のところへ戻り、励ましました』

『手早く処置をできたおかげで、二次爆発も起こることなく、
落盤は小規模で収まりました。
鉱夫の誰ひとり命を落とさず、足をつぶされた一人も骨折ですみました』

『番頭さんは穴から出ると、すぐに白い犬を探しました。
白い犬は、毛布にくるまれ寝かされていました。
番頭さんが病院に連れて行こうと抱き上げると、
うっすらその目をあけました』

『白い犬は口を開けましたが、鳴き声も出せないようでした。
番頭さんは、白い犬の頭をやさしくなでてやりました』

『「あの男は助かった。他にも誰も死なかった。お前のおかげだ」
番頭さんがそういいながら、頭をやっくりなで続けると、
白い犬は安心したように、うっとりと目を閉じました』

『番頭さんが犬の病院についたときにはもう、白い犬は冷たくなっていました。
お医者様の治療も、間に合いませんでした。
白い犬の日が来て、終わったんだと、番頭さんにはわかりました』

『「こんなに役にたってくれた犬はいない」
「こんなに賢い犬はいない」
「こんなに立派な犬はいない」
鉱夫さんたちは、白い犬のなきがらをかこんで泣きました』

『番頭さんと鉱夫さんたちは白い犬を埋めました。
白い犬の話は新聞にのり、
炭鉱の名前は、[白犬'しろいぬ]炭鉱にあらためられることになりました』

『そののちに、記念碑がたてられることになり、
それが、白い犬のお墓になりました』

『大戦が終わり、
亜炭の需要がなくなると、やがて、
丹田にあった他の3つの炭鉱同様、白犬炭鉱も廃坑となりました』

『けれども、今も白犬炭鉱の記念碑は残っています』

『おしまい』



「……ふぅ……れいな、ちゃあんと読めました!」

「このお話、れいな、最初に聞いた時、
白い犬がかわいそうで、ちっちゃいこたちと一緒に、
すごぉく、泣いちゃったんですよぉ」

「読み聞かせのとき、泣いちゃったらだめだから、
れいな、泣かないように、何回も何回も練習して」

「そうしたら、白い犬、かわいそうじゃないのかも――
って、少ぉしだけ、感じてきたんですぅ」

「だって、白い犬は、番頭さんのこと大好きだったって思うですから」

「役立たずっていわれて、なんにもできなくて、
お金も時間もたくさんかけさせちゃって、
体もよわくって、大きくなれなくて」

「それでも、番頭さんは、白い犬を大事にしてくれて。
『白い犬の日なんてこなくていい』って、
きっと、絶対に思ってくれてて」

「だから、白い犬は、白い犬の日を待ってたんだって思うです。
恩返し、絶対に絶対にしたいから」

「もちろん、死んじゃったらダメって、白い犬もわかってたと思うです。
死んじゃったら絶対に、番頭さんだってすごく泣いちゃうってきまってますから」

:後半涙声
「だから、いっしょうけんめいがんばって、
穴の外までちゃんと戻って、番頭さんと一緒――いっしょ――に」

「うぅ……うぅぅぅ~――
やっぱり――やっぱり――かわいそうですよぉっ――」

「れいな、れいな、ないちゃいそうだから。
ぎゅうって、くっついてもいいですかぁ――ううっ」

「うっ――ひっくっ――うっ――うっ――
うぇえ――うっ……ぐすん――ぐすっ」

「あぅ……うっ――っ――んっ――(ずずっ)――
う……ぅぅ……ふ――ふう、ぅ」

「……ん――ぐすっ――ふぇっ、ごめん――
ごめんなさぁい。れいな、泣かないって、思ってたのに」

「泣いちゃったら、いっしょうけんめいがんばって、
自分のお仕事を果たし切った白い犬のこと――
ただ、かわいそうみたいにしちゃって、
それは違うって思ってたのに――」

「だけど……やっぱり――
やっぱり、死んじゃったらダメですよ。
残されたひと、ぜったいぜったい、ずうっとすごく悲しいですよぉ」

「だから、れいなも――
メンテナンス、ちゃんとうけるし、
自分でもすごく気をつけますねぇ」

「だって、いっしょにいたいから。
あなたとずっといっしょがいいから。
あなたを泣かせちゃうなんて、すっごくすっごくいやだから」

「だから、あなたもしんじゃったらダメですよぉ。
れいな、泣いて泣いて、泣いて壊れちゃうにきまってますから」

「ずっと、ずうっと長生きして、
おじいちゃんになっても、もっと長生きして、
ずうっとれいなと、いっしょににこにこくらしてくださいねぇ」

「……大好きって、大変ですねぇ。
あ、ううんと、大好きよりも、もっともっと強い、この気持ち」

「ポーレットのこと、れいな、大好きで、大好きだけど――
ポーレットのことを考えも、こんなふうに、こわくなったり、
かなしくなったりとか、しなくって」

「ポーレットのことかんがえるとぽかぽかしてしあわせで――
あなたのこと考えると、ぎゅうってしたりくるしくなったり
こわくなったりとかもしちゃって」

「だけど、こうしていっしょにいると。
いっしょにいて、いっしょにおふとんのなかにはいって、
頭なでなでとかしてもらえると」

「こころのなかの怖いのとか不安なのとかがぜぇんぶとけて、
とけたのがふわーってして、
ぽかぽかしてしあわせなので、れいな、いっぱいになっちゃうんですぅ」

「恋とか愛とか、そういう気持ちがこれなんでしょうか。
れいな、まだよくわからないですぅ」

「だから、それも、いっしょにわかったらいいなって思うですぅ。
れいな、まだまだ、知らないこともわからないこともたくさんだけど――」

「あなたといっしょに、大事なことは、全部しりたいって思うです。
怖いこととか、苦しいこととか、
そういうことも、あなたといっしょに知るんだったら、大事なことって思うです」

「……なんだか、れいな、あたま、たくさんつかっちゃいましたぁ。
ちょっと、ぽーってする感じですぅ」

「このまま、れいな、ねちゃいたいですぅ。
あなたのとなり、あったかくって安心で、
世界でいちばん、大好きな、ぽかぽかしてる場所だから」

;あくび
「ふぁ……あ――ふぁぁぁぁ」

「ほかにもね? れいな、だいすきで大事なおはなし、
たくさんたくさんあるですよぉ」

「ポーレットが……おしえてくれた……ふらんく、の……いぬ……
おはなし……と、か――…………ふあっ!?」

「あ――あ。れいな、いっしゅんうとうとしちゃってましたぁ」

「ねたいけど、もうちょっとだけがんばったらねますけど。
でも、ねるまえに、大事なこと、ふたつしないと」

「ええと、ひとつめは――
『おやすみなさい』ですよぉ。
えへへ、ごあいさつは大事なのですぅ」

「それでぇ、もうひとつはぁ――」

;リップ音
「(ちゅっ!)」

「うふふぅ、おやすみのキスでしたぁ」

「あんしんしたら、眠たい……ですぅ……
あったかい――し…………いい……にぉ……ぃ……ん……うぅ」

「おやすみ……なさぁい……」

;寝息
「…………………………………………」

;寝息 F.O.

;了
///////////////////////////////////


――いかがでしたでしょうか!?

わたくしは昔、児童文学の作家になりたくて。
とある小さな新人賞の、「准賞」といういいんだか悪いんだかよくわかんないのいただいて。
授賞式にいき、その授賞式の審査員とか他の受賞者さんたちのリア充ぷりと教員率の高さとの圧倒され
「わたくしみたいな生き物は、この世界ではいきていけない」と、すっぱりその道を諦めた過去がございます。

のですが、やはり、創作童話! 書くととっても楽しいですね!!!

いつかまた、そっちの方も書いてみたいなと思います!!!

ということで、次回のご紹介はふかみちゃんです!

ご期待ください!!!

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whisp 2020/05/24 20:34

【完成イラスト】まいてつLR_オリヴィ_水着

本日は、メロンブックス様の専売タペストリーからオリヴィの完成イラストです。
健康的な可愛らしい水着ですが、やはり泳げないのかな?と思われるイラストですね。

オリヴィちゃんはハチロクルートアフターでの最重要ともいえるキャラクターですが、
攻略ヒロインではありません。なんでや?と思う人もいるとは思いますが、
ものべのから追いかけていただいている方には、すみルートのえみのポジションだと考えていただけると納得いただけると思います。
(プレイ後の反応を見る限り、多くの方はえみのHシーンがあるとシナリオが台無しになってしまうと感じたり、一線を越えすぎているとどん引きされてしまうと判断しております)

もちろんストーリー的には、すみルートアフターと同程度かそれ以上の仕上がりになっていると確認してのことですがので、ご期待いただけますと幸いです。

今回のタペストリーは3シリーズなのですが、3枚ともB2~B0までサイズを選んで購入できるようになっています。

B2単体
https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=625777

B1単体
https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=625780

B0単体
https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=625783

本体とのセットは3枚セットのみとなります。

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=625774&adult_view=1

こちらには、かなり豪華なミニアルバムがつきまして、
CSなどで知って、エロはちょっとという人にはお勧めできると思います。

『桜咲千依さんが歌う「まいてつ Last Run!! ボーカルカバーミニアルバム」5曲入り』
①ハチロクafterOP「ロオド・ラスト」
②ハチロクafterED「明日へと」
③ハチロク劇中テーマ曲1「思い出の結晶」
④ハチロク劇中テーマ曲2「The road we belong」
⑤ハチロク劇中テーマ曲3「hello! new world」

フォロワー以上限定無料

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whisp 2020/05/23 22:47

【収録台本】まいてつ:ポーレット読み聞かせ『犬が言葉をなくしたおはなし』(進行豹

こんばんわです! 進行豹でございます!!!

あやかし郷愁譚の購入特典で
https://www.dlsite.com/maniax/promo/ayakashinostalgia

『まいてつ読み聞かせボイスドラマ』 全7話

が、18作品コンプリート特典としてついてくることになりました!!!

内訳は以下の通りです!

・日々姫 「長靴をはいたネコ」
・ポーレット 「犬が言葉をなくしたおはなし」
・れいな 「炭鉱の白犬」
・ふかみ 「うさぎのもちつき」
・凪 「清柾公(せいしょこ)さんの虎退治」
・真闇 「ネコ岳の猫」
・稀咲 「きつねのみそしる」



というわけで、台本紹介まいりましょう!!!

前回はひーちゃん「長靴をはいたネコ」をご紹介しましたので、
本日はポーちゃん! ポーレット! 市長で社長の雛衣ポーレットさんの、『犬が言葉をなくしたおはなし』をご紹介いたします!


実はこの台本、もう一本、とても短いお話も読み聞かせしてもらえちゃうお得作品でございますので、ぜひぜひお楽しみいただけましたらうれしいです!!


///////////////////////////////////


;ポーレット、わんわんランジェリー抱き枕特典ボイスドラマ
;『ポーレットの読み聞かせ「犬が言葉をなくしたおはなし」』
;進行豹 v100_2016/12/24_v110_161226


;以下、セリフは全てポーレット
;タイトルコール

「雛衣ポーレット、わんわんランジェリー抱きまくら特典ボイスドラマ
『ポーレットの読み聞かせ「犬が言葉をなくしたおはなし」』」


;本編

「今日も一日、おつかれさまでした」

「あ……れいな、もう寝ちゃったんですね。
あのこ、すごく楽しみにしてたんですけど」

「あなたにわたしが読み聞かせするの――
『一緒にききたいですぅ』っていって」

「でも。今夜だけじゃないですからね。
次の夜――早く帰ってこれた夜に、
れいなにも一緒に読み聞かせてあげればいいし」

「それに……ほんとはちょっぴり、
嬉しい気持ちも、あるんです」

「だって、初めてじゃないですか。
あなたがわたしに、
読み聞かせをして欲しい、なんて、おねがいしてくれたのって」

「だから、記念すべき一回目だから。
わたしがあなたに、初めてしてあげる読み聞かせだから」

「最初だけは、あなただけに。
あなたのためだけに読みたいな、って、
ちょっとは、思ってたりしたんです」

「でも――
れいながとあなたが一緒ににこにこしてくれるのも、
すっごくすごく見てみたくて」

「だから、うふふ。
本当はどっちでも、わたし、ラッキーになれちゃったんですけど」

「それでですね、いろいろ、悩んだんです。
読み聞かせするお話」

「わたしが一番好きなのは、あっという終わっちゃうお話なんですよ。
だから、あんまり読み聞かせには向いてなくて」

「あ、でも。あっという間に終わっちゃうから、
本番の前の練習にいいかもしれませんね」

「それじゃあ、これは、練習ですから。
“あなたのための、はじめての読み聞かせ”には数えませんからね?」

「ちょっと、練習いってみます。
わたしが一番すきなお話。
フランクの、とってもとっても短い民話」

「『犬が片足をあげるわけ』」


;以下の『』で始まる部分は、読み聞かせ
;「」ではじまる部分は、その間の会話です

『昔は、犬も言葉を話せたもんだった。
これは、そのころのお話だ』

『オス犬たちが大宴会をやっていた。
みんな大いに飲んで食べ、トイレにいきたくなってしまった』

『近くに手頃な壁があった。
みんな、そこに一斉におしっこをした。
みんなが一斉におしっこをしたもんだから。
壁は崩れて、たくさんの犬が下敷きになった』

『それを悲しんだ犬の王様はいいつけた。
「これからは、壁が崩れて来てもいつでもささえられるよう。
おしっこのときは、必ず片足をあげなさい」』

『だから今でもオス犬は、おしっこのとき必ず片足をあげるのさ!』


「――って、いうお話です。
ね? 本当に短くて、読み聞かせ向きじゃないでしょう?」

「あと、フランクの民話って――わりと、
『めでたしめでたし』では終わらないんですよね。
そもそも『めでたしめでたし』みたいに、
お話を締めくくる専門のフランクの言葉って、ないし」

「ちょっと、感じが違うんですよね、多分。
わたしのパパ――日ノ本人のおとうさんがしてくれる読み聞かせって。
『おはなしはこれでおしまい、おやすみなさい』って感じでしたけど」

「なにか、ちょっと心に残るものがあって、
その余韻を抱きしめたり考えたりしながら、眠る感じで」

「で、ママの――フランクのおはなしは。
『おもしろかったでしょ、ドヤ!』って感じで」

「なぁんにも残らないんですよ。からっぽ。
頭の中をぜぇんぶすっからかんにしちゃって、
それでストーンって眠るみたいな感じなのです」

「ウィット? っていうのかな。わたし、半分は日ノ本人だから、
あの独っ特! の感覚は、なかなかわからないんですけど」

「でも、読み聞かせおわってくれたとき、
あのママが、『おもしろかったでしょ。ドヤ!』って顔してくれるのも含めて、
ほんと、好きで」

「日ノ本のお話の読み聞かせ。
むしろ、わたしがあなたにしれもらいたいかな? っても思うから」

「だから、これから読みきかせするお話。
本番用の、あなたへの、初めてのお話も、
フランクのお話にしてみました」

「フランクの。これも――犬のお話」

「『犬が言葉をなくしたおはなし』」



『大昔、神様は人間に言葉を与えました、
人間は、一番の仲良しの犬に言葉を分け与えました』

『人間と犬とは、同じ言葉を使いながら、
仲良く、けれど別々にくらしていました。
人間には人間の王様がいて、犬には犬の王様がいました』

『犬の王様はミロワール王といいました。
ミロワールは、フランクの言葉で“鏡”という意味です』

『ミロワール王はその名のとおり、
とても公平に犬の国を治めました』

良いことをしたものには良いお返しを。悪いことをしたものには悪いお返しを。
それを続けているだけで、国はどんどん平和に、大きくなっていきました』

『いっぽう、人間たちの国は、
青の国と赤の国とにわかれてしまい、
しまいには、ケンカをするようになりました』

『人間たちは、犬の国にも使者を出し。
「青の国に味方してくれ」
「赤の国に味方してくれ」と、頼んできました』

『「このままでは、
青の国に味方した犬たちと、赤の国に味方した犬たちとが、
犬同士、ケンカをすることになってしまう」』

『争いが嫌いなミロワール王は、青の国と赤の国、両方の国に使者を出し、
「仲直りしてはどうでしょう」といってみましたが、
人間たちのケンカは、ますます激しくなるばかりでした』

『自分だけではどうにもできないと思ったミロワール王は、
知恵ものだと評判の二匹の犬を呼び寄せて、
会議を開くことにしました』

『太陽という意味の名前を持つソレイユがまずやってきました。
とても大きな、白い犬です』

『ソレイユはあいさつもそこそこに、
「ケンカばかりの人間たちをひとつこらしめて、やりましょう」
と言いました』

『「子犬のしつけと同じです。
咬みつく犬は、咬まれる痛みをまだ知らない犬。
一度ガブリとやってやれば、
してはいけないことなんだとわかるようになります」』

『「なるほど、それもひとつの考えだ」
王様は慎重に答えます』

『会議の始まる寸前になって、
小さな黒犬が飛び込んできました。
月という意味の名前を持つ、リュヌです』

『呼び寄せたソレイユとリュヌがそろいましたので
王様は、会議を開くことにしました』

『リュヌは王様にうながされてから、、
ゆっくりと口を開きます』

『「われわれ犬に、言葉をわけてくれたのは人間です。
その人間に、言葉が通じぬわけがありません。
ケンカで熱くなってる頭を冷やしてもらい、
それからまた話してみるのはいかがでしょう」』

『「なるほど、それもひとつの考えだ」
ミロワール王はじっくり考え、言いました』

『「犬同志が争いあって傷つくことを防ぐために、
人間と争いあって傷ついてしまっては仕方ない。
ここは、リュヌの考えをとろう」』

『王様の決めたことなら、絶対です。
ソレイユもすぐに従います』

『「それでは、どうやって人間に頭を冷やしてもらうかを決めましょう」
ミロワール王とソレイユとリュヌとで日が沈むまで話しましたが、
いい考えは思いつきません』

『「我々三匹では知恵がたりない。
人間のことをもっとよく知るものを呼び、
次の会議で決めるとしよう」』


『次の日は、
星という意味の名前を持つ、エトワルが会議に加わりました。
エトワルは、人間と一緒に旅をしたことがある犬でした』

『ソレイユはまた、王様の前に出るなり言いました。
「ケンカをしている頭を冷やすには、やはり水浴びがいいでしょう。
人間の王様たちを、水浴びに誘いましょう」』

『「なるほど、それもひとつの考えだ」
王様は慎重にいいました』

『リュヌはまた、王様に求められてから言いました。
「眠たいときには頭がカッカするものです。
人間の王様たちと一緒にぐっすり眠ったならば、必ず頭も冷えましょう。
誘うのであれば、お昼寝です」』

『「なるほど、それもひとつの意見だ」
王様は慎重にいいました』

『ミロワール王は、新しくきたエトワルに意見を聞きました。
ブチの柄をしたエトワルは、しっぽをふりふり答えます』

『「人間もぼくたちも、おいしいものでおなかいっぱいになったら、
おこった気持ちなんてなくなっちゃいます。
人間の王様たちを呼んで、お食事会をひらきましょう」』

『「なるほど、それもひとつの考えだ」
ミロワール王は、じっくり考え、いいました』

『「ケンカをしている者同士で、水浴びもお昼寝もむつかいだろう。
だが、お食事会ならできるかもしれぬ。
ここは、エトワルの考えをとろう」』

『王様の決めたことなら、絶対です。
ソレイユとリュヌも従います』

『「それでは、お食事の内容を決めましょう」
「どこでお食事会をするかも決めましょう」』


『ミロワール王とソレイユとリュヌとエトワルで、日が沈むまで話しましたが、
これという考えは思いつきません』

『「我々四匹では知恵がたりない。
人間のお食事会のことを知るものを呼び、
次の会議で決めるとしよう」』

『次の日は、
空という意味の名前を持つ、シエルが会議に呼ばれました。
シエルは人間と一緒に長くくらしことがある、年老いた犬でした』

『ソレイユはまた一番最初にやってきて、王様の前に出るなりいいました。
「肉を嫌いな犬はいません。スープが嫌いな犬もいません。
肉のスープを出したなら、まず人間も喜ぶでしょう」』

『「なるほど、それもひとつの考えだ」
王様は慎重に言いました。』

『ソレイユの次にエトワル。
エトワルの次には新しくくわわったシエルが会議にやってました。
会議がはじまる寸前には、リュヌも飛び込んできました』

『「さて、今日の会議の全員がそろった」
ミロワール王は、しっぽをぴいんと立てています』

『「青の国と赤の国とのケンカはひどくなる一方で、
いよいよ戦争になるかもしれん」』

『ミロワール王が言った、まさにそのとき。
いっせいに、みんなが顔をしかめます』

『ソレイユもリュヌもエトワルもシエルも。
それどころか、ミロワール王までも』

『「こっそりおならをしたのは誰だ」
王様が、静かに尋ねます。
けれど返事はありません。
お互いの顔を、ちらちらと盗み見るばかりです』

『「おならが出るのは仕方がない。
だが、大事な会議の最中に、こっそりするとはどういうことだ。
『失礼します』とひとこといって、外に出てすればいいだろう」』

『王様の声が、だんだん大きくなってきます。
みんなはしょんぼりうなだれます』

『「あらためて聞く。こっそりおならをしたのは誰だ」』

『けれども、誰も返事をしません。
王様の声はますます大きくなってきます』

『「もう一度だけ聞く。こっそりおならをしたのは誰だ!」』

『やっぱり、誰も返事をしません。
王様はすっかりカンカンになり、おおきな声で怒鳴ります』

『「誰も返事をしないのだったら、もう言葉などいらんだろう。
おならをしたのがいったい誰かわかるまで、言葉を人間に返してしまおう!」』

『王様の決めたことなら、絶対です。
そのときから、犬は言葉を話せなくなってしまいました。
言葉を話せなくなると、犬の国はあっという間になくなりました』

『犬たちはひどく嘆きかなしみ、言葉を返してもらおうと、
おならをしたのがいったいだれかを突き止めようと、
それからずっと、今日のこの日もがんばっています』

『もしも嘘だと思うなら、公園にいってごらんなさい。
見知らぬ犬と犬とがばったりであったときに、
何をするのか見てみなさい』

『「おならをしたのはお前か?」と、
「そっちこそおならをしんじゃないか?」と、
お尻のにおいを、必ずクンクン、かぎあっていますから!』



「はぁい! これでこのお話はおしまいです!」

「って、わたしいまちょっとしちゃってたかもしれませんね。
『ドヤっ!』っていう顔」

「こういうお話、大好きなんです。
まじめな顔して、ほんっとくだらないこといっちゃうみたいな」

「わたし――ねぇ? 残念なことに、
ウィットのセンスも、ユーモアセンスもあんまりないじゃないですか」

「れいななんて、それこそお箸が転がったって笑うのに――
わたしが、『あ、イケてる!?』って思うこといったりしても、
全然笑ってくれないんですよ?」

「こないだ、しょうが焼き作ろうと思って、
だけど、買い置きしてたつもりのしょうがが見つからなくって」

「それで、れいなに、
『生姜焼きにしようと思ってたんだけど、
しょうががないから、赤ワインのソースで焼くわね』
っていってみたいんです」

「ショウガがないから、しょうがない。
わたし、面白いかな? って思ったですけど、
でも、れいな、くすっとも笑ってくれなくて」

「笑ってるのは笑ってるんですけど、
いつもとおんなじニコニコで、
『赤ワインのソースにも、きっととってもおいしいすよぉ』って、
もう、ダジャレのこと気づいてくれてるのか、くれてないのかもわからなくって」

「わりと……れいなだけじゃなく、
みんな、そういう感じなんです。
――あなたもそうですよ?
わたしの精一杯のユーモアを、すごく、流すこと、多いです」

「だから、わたし、
『人を笑わせるセンスみたいなのがないんだなぁ』って、
しょんぼり思ったりもしてるんですけど」

「でも――お話を読んであげたら、
わたしでも、れいなに笑ってもらえるんです」

「れいな、ほんとに大喜びしてくれるんです。
このお話を読んでげたときも、そうでした」

「けらけらわらって、手足ばたばた動かして。
『おならをしたのはポーレットですかぁ?』って、
お尻の匂いをかぐまねまでして!」

「わたしは……ちっちゃかったころのわたしは、
そこまでの反応、ママにも、パパにもできなかったんですよね」

「感情表現。あんまり素直じゃないのかもです。
どこか一枚、壁をつくってるっていうか……」

「遠慮しちゃうっていうか、様子みちゃうっていうか――
笑わせるのが上手じゃないのも、たぶん、その辺の影響ですよね」

「それがむかしは、すごくコンプレックスだったんです。
思ったことをそのまま口から出しちゃいたい。
考えるまえに動いちゃいたい。
そんなことまで、思ったりして」

「でもね? 今は思わないんです。
だって、わたしが感情表現、不器用で――」

「いっつも礼儀正しくて、
礼儀の鎧で自分をまもって、
本当にわたしの近くには、れいなだけしか来てくれなくて」

「それでも、あなたは、わたしを愛してくれたから。
わたしのこの手を、あなたがとってくれたから」

「大逆転です。
端っこの駒をとって、黒かったのが、ぜぇんぶ真っ白になる感じです」

「そのくらい、嬉しかった。
衝撃的だった。
いままで嫌いだったところも全部、
『それでよかったんだ』って、思えるようになった」

「言葉もね? おつきあいとかしたら、
無理矢理にでも、変えたほうがいいのかなって、思ってんです。
タメぐち、でいいんですよね?
凪ちゃんとふかみちゃんの会話みたいな、ああいう感じの」

「だけど、わたし、ヤなんです。
大好きで、尊敬してて、わたしを大事にしてくれるあなたに――
ああいう、乱暴みたいに聞こえる音で、
わたしの気持ちをつたえるの」

「『ちょっとそこのお醤油とってー』って、そういうの。
夫婦っぽいし、仲良さそうだし、近い感じするし、
素敵って、思う気持ちもやっぱりありますよ?」

「でもわたし、あなたのことが大好きだから。
大好きで、尊敬してて、感謝もしてるから」

「だから、同じことでもこういう風にいっちゃうんです。
『よかったら、お醤油をとってくれますか?』って。
それでいいんだって――いまのわたしは、思えるんです」

「だってあなたは知っているから。
わたしとあなたが、体で、こころで、結ばれてること」

「他の誰にどうみられても、だから、全然怖くない。
わたしは、わたしに自然なことばで、
わたしに綺麗って聞こえる音で、
あなたにこころを伝えるんです。絶対に」

「もちろん、これからもずっとずっと一緒で。
ふたりの関係がもっともっと深く、もっともっと近くなって」

「いまわたしがあなたにもってる、尊敬とか、憧れみたいな
気持ちがもしかして変わっていくのなら――」

「そのときはまた、
つかう言葉も変わっていくのかもしれないですけど」

「変わったとしても、絶対、絶対なくならないです。
あなたへのあこがれも、尊敬も」

「それはきっと、もっと深い気持ちにになるんです。
今のわたしが抱いてるのよりもっと豊かな、
いまのわたしには想像もできない、愛情に」

「だって、実際にそうなってますから。
あなたへの、わたしの気持ち」

「初めてあった幼い日にも、
淡い憧れと知りたい気持ちをはっきり感じて」

「それをわたし、『初恋かな?』って思ってて。
だけどあなたに再会して――
そうしたら、違ったんだって、わかったんです」

「『あんな気持ちは恋じゃない。
今抱いているこれこそが本当の恋ごころ。
だから、今、この瞬間が、わたしにとっての初恋だ』って」

「だからね? きっと――
この先も、何回も、そういう風に変化するって。深まっていくって。
わたし、思ってます」

「だからわたしは――
何回だって、あなたに初恋するんです」

「大好きです。愛してます。
モン・プランス――わたしの、王子様」

;ちゅ=リップ音
「ん……(ちゅっ)」

「ありがとうございます。あの日、わたしと出会ってくれて。
ちいさなわたしと、ちゃんとお話してくれて」

「再会したときも、わたしとまっすぐ向き合ってくれて。
市長とか、社長とか、エアクラ誘致反対派とか、そういうのじゃなく」

「初めて出会ったあのときと、少しも変わらないあなたのままで――
わたしを見てくれて、話してくれて、むきあってくれて、ありがとう」

「わたしの中の恋心を、
はずかしがって、一番深くにかくれちゃってたほんとの気持ちを――
見つけ出してくれて、ありがとう」

「好き、です。大好き。
わたしのこころの全部が、あなたのものです。
わたしのからだの全部が、あなたのものです」

「ふふっ、すごいですね。
ひょっとして、読み聞かせのせいなのかな?」

「こんなに近くで、おたがいの鼓動を感じながら――
ことばを、きもちを、ゆっくりつたえてるおかげなのかな?」

「こどものころだってわたし、
こんなに素直になれたことなかったのに。
おねだりだって、おそるおそるしかできなかったのに」

「なのに、今は――
あなたのことが欲しいって、
あなたにわたしを求めてほしいって――
わたし、少しもはずかしくなく、いえちゃってますから」

「うふふ、たくさんおしゃべりしたのも良かったんですね、きっと。
声が喉から出ていくときの、気持ちのハードル。
いまは、なくなっちゃってるんだって思います」

「だけど――ちょっと、
ちょっとだけ、おしゃべりしすぎちゃったみたいです」

「喉、少しだけガラってする感じがします。
あの……喉の、おくすり――
あなたに、わけて――ほしい、です」

;キス
「ん……ちゅっ――ちゅむっ――ちゅっ――
ちゅう――じゅるっ――(ごくっ)――ん……あ――ぷあっ」

「うふふ、ごちそうさまでした」

「こころも、あなたの腕のなかも、あったかいから、ねむたいです」

「このまま一緒に、ねむってください。
わたしを腕にだいたまま、わたしと一緒にねむってください」

「あなたのお顔――じーって見てから。えいっ!」

「あれれ……残念。
閉じたまぶたにも残像が、って、
お話だと見たりしますけど――まっくら」

「だけどきっと、夢の中でもあいますね?
あなたと、わたしなんだから」

「あえなかったら探しにいくから、、
わたしを、待っててくださいね?」

「それじゃあ、寝ましょう?
もう一回だけ――目を閉じたまま――キスをして」

;リップ音
「(ちゅっ!)」


「うふふっ――しあわせ」

「おやすみなさい」

;了

///////////////////////////////////


ポーちゃんはしっとりしてますね~!!!!

台本だけでも、ねむたいときの、あったかくってちょっとしめったような空気感、ほのお感じいただけるのではないかと存じます!
それに、ポーレットの! 声が! 乗る!!!!

その魅力、きっとご期待以上かと存じますので、もしよろしければぜひぜひお聞きくださいましです!


次回はれいなのご紹介! こちらもどうぞご期待ください!

それでは!!!

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