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2020年 05月の記事 (49)

whisp 2020/05/31 22:45

【完成イラスト】まいてつLR_ポーレット&稀咲_メイド


本日はアニメイト様の専売タペストリーの完成版です。
金髪と銀髪が並んで合成な雰囲気が出てますね。

こちらのイラストはHシーンを元にしているのですが、
ルートなんと意外にも稀咲ルート!
どんな内容になるのかご期待下さい!

アニメイト様だとタペストリー単体ではなく、本編とのセット版のみとなります。
ASMRボイスドラマ「金と銀」の他、
特典として稀咲ED曲「Indivisible Love」稀咲ver
も付属しますので、希少な稀咲好きな方にこれしかないという感じです。

https://www.animate-onlineshop.jp/pn//pd/1754461/?nrdp=1&man_view=1&adult_view=1

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whisp 2020/05/31 22:02

【収録台本】まいてつ:真闇読み聞かせ『ネコ岳のネコ』(進行豹

こんばんわです! 進行豹でございます!!!

あやかし郷愁譚の購入特典で
https://www.dlsite.com/maniax/promo/ayakashinostalgia

『まいてつ読み聞かせボイスドラマ』 全7話

が、18作品コンプリート特典としてついてくることになりました!!!

内訳は以下の通りです!

・日々姫 「長靴をはいたネコ」
・ポーレット 「犬が言葉をなくしたおはなし」
・れいな 「炭鉱の白犬」
・ふかみ 「うさぎのもちつき」
・凪 「清柾公(せいしょこ)さんの虎退治」
・真闇 「ネコ岳の猫」
・稀咲 「きつねのみそしる」



というわけで、本日も台本をご紹介させていただきます!

前回は凪さま! 『清柾公(せいしょこ)さんの虎退治』でございました!
本日はうってかわって大人の魅力! 真闇姉の『ネコ岳のネコ』をご紹介申し上げます!

こちらは実際 熊本県は阿蘇の「根子岳」につたわる民話をアレンジしたものでございます!

読み聞かせ中の真闇姉の思い出話とか、ひーちゃんへの思いとか聞き所結構たくさんかと思うので、ぜひぜひぜひぜひできればお耳で!

それが無理ならこの台本で! お楽しみいただけましたらうれしいです!!!


///////////////

;真闇、黒猫ランジェリー特典ボイスドラマ
;『真闇の読み聞かせ「ネコ岳の猫』
;進行豹 v100_2016/12/23


;以下、セリフは全て真闇
;タイトルコール

「右田真闇、黒猫ランジェリー抱きまくら特典ボイスドラマ
『真闇の読み聞かせ「ネコ[岳'だけ]の猫」』」


;本編

「ごめんねぇ、遅ぉなってしもうたねぇ」

「まだ起きとってくれて、よかったあ。
もう寝とったら、おこさんよーにって、
気ぃ付けてお布団入らねばいけんでしょお?」

「そいば、ちょこーっとさみしかけんね。
起きとってくれて、うれしかと」

「本も、ちゃあんともってきたとよ?
読み聞かせば、してあげるための本」

「ほんとはね? もー一冊、
読み聞かせてあげたい本もあったんよ」

「ばってん、その本ば、ひーちゃんにも大事な本やけん。
ひーちゃんが、読み聞かせばすることあったら、
きっとその本、選ぶだろうなって思うたけん」

「やけん、ウチは、
ウチひとりだけの思い出の本――選んできたと」

「この本はねぇ、ウチがこどもだったころ、
父さんからも母さんからも、じーさまにも読み聞かせてもらいよった本」

「そん中でもね? じーさまに読んでもらうんが、
ウチは、一番好きだったとよ」

「じーさまみたいには絶対には読めんけど。
でも、楽しさば、きっと伝わるって思うけん」

「そうしたかったら、目ば閉じて。
想像しながら、聞いてみて?」

「ほんなら、読むとね」

「『ネコ岳の猫』」



;以下の『』で始まる部分は、読み聞かせ
;「」ではじまる部分は、その間の会話です

『むかしむかし、クマ川のほとりの小屋に、
新三郎という若い漁師が、年老いた母と、クロという名の黒猫と、
つましく暮らしておりました。』

『母が病に倒れてしまい、薬がいるようになりました。
新三郎のつましい暮らしは、みるみる苦しくなりました』

『クロはネズミを毎晩のようにとってきますが、自分で食べるはのお魚ばかり。
もちろん新三郎の方でも、ネズミをごはんにはできません』

『おかずを減らして、漁に出る日を増やして、それでも。
もとから乏しい蓄えは、ついに無くなってしまいました』

『その晩、新三郎は決心しました。
「クロやクロ。お前をこれ以上飼っておけない。
船頭さんがもらってくださるとのことだから、
舟のネズミを退治して、そこで幸せになってくれ」』

『あくる朝、
耳の後ろの毛をていねいになでつけてやり、
新三郎は船頭さんに、クロを渡してしまいました』

『夜が更け、ひどくさみしい思いでおりますと、
「にゃあん」と甘えた声がします。
まさかと思って戸を開けたなら、クロがちょこんと座っております』

『クロやクロ、帰ってきてはいけないよ。
船頭さんのところで、新鮮なお魚をいただきなさい』

『けれどもクロはそのまま眠ってしまいます。
仕方がないので、一晩泊めて、
船頭さんのところに送りとどけますと、
船頭さんはかんかんに怒っていいました』

『「この猫ときたらネズミの一匹もとりゃしない。
無駄飯ぐらいをおいとく余裕はウチにもない」』

『「クロやクロ。
お前は家に帰ってきたくて、わざとネズミをとらなかったのか」』

『聞いてものんきに毛づくろい。
新三郎はクロをかわいく思いましたが、
やはり養ってはおけません』

『あくる朝、新三郎はクロをつかまえ、言いました。
「クロやクロ。焼酎蔵の杜氏さんが、お前のことをほしがっている。
焼酎蔵なら、猫がいるだけでネズミは逃げる。仕事もせずに、居るだけでいい」』

『今度こそはお別れだと、
耳の後ろの毛をていねいになでつけてやり、
新三郎は焼酎蔵の杜氏さんに、クロを渡してしまいました』

『夜が更け、ひどくさみしい思いでおりますと、
「にゃあん」と甘えた声がします。
まさかと思って戸を開けたなら、クロがちょこんと座っております』

『「クロやクロ、帰ってきてはいけないよ。
杜氏さんのところで、お米のおまんまいただきなさい」』

『けれどもクロはそのまま眠ってしまいます。
仕方がないので、一晩泊めて、
杜氏さんのところに送りとどけますと、
杜氏さんはかんかんに怒っていいました』

『居つかぬ猫ならおらぬも同じ。
おまんま喰わせる義理もなし』

『「クロやクロ。お前は家に帰ってきたくて、
ひとときもじっとしなかったのか?」』

『聞いてもにおいをかぐばかり。
新三郎はクロをけなげに思いましたが、
やはり養ってはおけません』

『あくる朝、新三郎はクロをつかまえ、言いました。
「クロやクロ。いよいよ遠くお別れだ。
山のお寺の住職さまがもらってくれるとおっしゃるから、そこでお世話になってくれ』

『山を越えては帰ってこれまいと、
耳の後ろの毛をていねいになでつけてやり、
新三郎は山のお寺の住職さまに、クロを渡してしまいました』

『その晩も、その次の晩も、さみしい気持ちでおりますと、
「にゃあん」と甘えた声がします。
まさかと思って戸を開けたなら、葉っぱだらけになったクロが、ちょこんと座っております』

『「クロやクロ、帰ってきてはいけないよ。
ご住職さまのところでたんと、ありがたいごはんをいただきなさい』

『けれどもクロはそのまま眠ってしまいます。
仕方がないので、一晩泊めて、
山のお寺に送りとどけますと、ご住職さまはクロにいいました』

『お前さんほど賢い猫ならわかっておろう。
今のままでは新三郎の暮らしは立たぬ。
お前さんは[安蘇'あそ]のネコ岳で修行して、
一人で暮らしを立てられるようになりなさい』

『するとクロは、ご住職様の話がわかったように、
新三郎の手を抜け出して、ちょこりと頭をさげました』

『そのまますたすた、安蘇の方へと歩きますので、
思わず新三郎は追いかけました』

『「クロやクロ。安蘇のネコ岳はずいぶん遠い」
新三郎は、売り物の魚が入ったカゴを開いて、
鮎を三尾、てぬぐいに包んでやりました』

『「この手ぬぐいと、三尾の鮎がはなむけだ。
無事にネコ岳にたどりつき、立派な暮らしをたてるのだぞ」』

『鮎を包んだ手ぬぐい背中にしょわせてもらい、
クロは「にゃあん」と一声ないて、すたすた、すたすた。
すぐに見えなくなりました』


「あー……」

;すん=鼻すする
「ちょっと……ちょこぉっと、ごめんねぇ。
(すんっ――)」

「あ~……おねーちゃん、ここんとこ――
こぎゃん話ば――思い出しちゃって、弱かとよ」

「猫ね? 右田の蔵にじゃなくて。
右田の家にもおったんよ。
ひーちゃんが、まだ学園に入園もしとらんような、そぎゃんころ」

「ウチがものごころついたときには、
もーずいぶんなおじいちゃんネコで。
けど、ウチにとっては、おにいちゃんみたいな存在で」

「遊んでもろうて、添い寝してもろうて、
怖か犬、追い払ってくれたこともあって」

「木登りも、トムさん待っとってくれるんよ。
先に登って、こっち見て、
『まだ来ないのか?』って感じの顔で」

「あ、トムさんって、猫の名前。
ハイカラでしょ。じーさまがつけよったって」

「オールド・トム・オブ・ミギタが、フルネーム。
[詠国'えいこく]かなにかの、お話にでてくる猫の名前って、
オールド・トムば」

「それこそ、絵本とかもね? ぜーったいに邪魔したりせんの。
いっしょうけんめい読んどるとなりで、寒か季節には、
ぴったりくっついてくれたりもして」

「あったかかったなぁ、トムさん。
おとなになっても、いつかお嫁さんになるときだって、
すうっと一緒って思うとった」

「ばってん――ずうっと一緒には、いれんよね。
だんだん、トムさん遊んでくれんよーになって」

「猫が遊ばんよーになるって、相当よね。
けど、こどもだったけん。
そぎゃんこつの意味もまだわからんで――
いつもみたいに、その日もふつーに学園ば、いって」

「かえってきたら……トムさん、亡くなっとったんよ。
毛布にすっぽりくるまれて、寝てるのかなぁって思ったら。
冷たくなっとって」

「その日はじいさま、おらなくて。
父さんと母さん、ふたりして泣いとって。
びっくりしてびっくりして――悲しいよりもびっくりしちゃって」

「話ね? 聞かんでも、聞かせてくれるんよ。
母さんも、父さんも。トムさんのこと、ぽつり、ぽつりて」

「だんだん弱って、最近寝たきりだったとか。
痛いとこあって、にゃーにゃー悲鳴あげとったとか」

「その悲鳴も、最近は細ぉなってきとったとか。
……ウチはそれでも、ビックリしすぎとったから、
ふーんて、なんとなーく聞いとって」

「それでね? 次の日も学園、ネコで[忌引'きび]きはできんもんね。
ふつーにあるけん、ふつーに行って」

「算数の授業で、『わかる人』って先生おっしゃって、
『はい』って手ばあげて、黒板の前いって、チョークもって」

「式ば、書きよるときにね? ふうって、
ほんとにふうって思ったんよ。
“あれれ? おかしいな”って」

「トムさん、寝たきりだったって――
ばってん、ウチが学園ばいくときには、
ふつーに見送ってくれとったんよ」

「玄関のとこまでのこのこ来て、
振り返ってもいてくれて」

「そん光景ば思い出してね?
思い出したら――ぶわーーーーって。
悲しいの、一気にきちゃって」

「トムさん、無理してくれてたんだって、思うて。
ウチに心配かけんよう、平気なふりばしてくれてたって」

「ウチが一緒にいるときは、どぎゃんと痛い思いしてても、我慢して。
ウチが不安になるような鳴き声、
ただの一度だって、聞かせんでいてくれたって」

「わかっちゃったら、もうダメで。
泣いて泣いて、人生であれほど泣いたことって無いくらい泣いて」

「そうしたら先生、『わからないなら無理しなくてもいいですよ』とかいうんよ。
それがまた、悔しいみたいで悲しいみたいで――って、あ」

「いけんねぇ、うち。なぁんの話ばしとるんかねぇ」

「読み聞かせばしてほしい、だなんて……
疲れてるってことでしょお?
やけん、クスっできるお話、選んだつもりだったとに」

「いけんいけん! 仕切りなおし、ね?
おねーちゃん、今度はちゃんと、
ちゃんと、最後まで読み切るけん」

;息吸う
「(すうっ)――うんっ!」


『三年が過ぎ。新三郎の母の病気が癒えました。
暮らしもだいぶん上向きになり、たくわえもいくらかできました』

『「安蘇のネコ岳にいってくる。
クロがいたなら、連れ戻してくる」
そう言って、新三郎は安蘇への旅に出かけます』

『ネコ岳に登りしばらくすると、霧がたれこめてまいります。
霧はみるみる濃くなって、新三郎は道に迷ってしまいます』

『「これは困った。どうしよう」
あてなくトボトボ歩いていると、遠くに灯りが見えました。
灯りを頼りに進んでいくと、古いお屋敷が見えました』

『ごめんください。ごめんください。
道に迷ってしまいました。霧が晴れるまで、休ませてはくれませんか』

『すると奥から、女の人が出てきました。
「ネコ岳の霧はあたたかくなるまで晴れません。
今夜は泊まっておいきなさい」』

『「それはありがたいお話ですが、猫の修行[場'ば]を探しています。
いっこくも早く着きたいのです」』

『「猫の修行場なら近くです。霧が晴れたら案内しましょう。
この霧では地元のものとて、ガケから落ちてしまいます」
そこまで言われてしまっては、出かけることはできません』

『「そういうことなら、一晩泊めていただきたい」
「こまったときはお互い様です。お風呂も食事もご遠慮なさらず」』

『長い長い廊下を通り、奥の座敷に通されます。
まずは風呂でも、と、長い長い廊下を歩くと、
すれ違った女中さんが、ひどく驚いた顔をします』

『「あらお懐かしや、新三郎さん」
「はて、どこかでお会いしましたか」
「鮎を三尾、この手ぬぐいに包んでいただきましたものです」』

『「なんと、クロか!
人間の姿になるとは、修行がうまくいったのか」
そう尋ねると、クロはきょろきょろ、あたりを伺い、囁きます』

『「修行がうまくいきまして、今はすっかりネコマタです。
名前も姿も変わってしまいました。もう人の世には戻れません。
新三郎さんはお逃げください」』

『「逃げるとは?」
「このお屋敷のものを食べたり湯につかったりした人間は、[窯猫'カマネコ]にされてしまいます。
窯猫にされてしまったら死ぬまで働かされるのです」』

『クロは新三郎を裏口から出し、手ぬぐいを一本渡します』

『「この手ぬぐいをお返しします。ネコマタのまじないをしておきました。
この手ぬぐいで口をふさげば、ネコ岳の霧には迷いません」』

『「もう人の世に戻れぬのなら、さよならか」
「さようならです、新三郎さん。
最後に一度、『クロや』と呼んでくださいな」』

『「クロやクロ。ネコマタの決まりが変わったら、
いつでも帰ってくるのだぞ」』

『耳の後ろなでてやり、新三郎はクロと別れて、
てぬぐいで口をしっかりおおい、ネコ岳をひたすら降りておきました』

『「お待ちなさい」
「おとまりなさい」
追いかけてくる声が近づきます』

『もちろん、待ちも止まりもしません。
新三郎は必死になって駆け続けます』

『「逃げ切られます、猫旦那様」
「えい仕方がない湯をかけろ!」』

『湯につかったら、窯猫にされて働かされる。
クロの言葉を思い出し、
新三郎は、てぬぐいかざして傘にします』


『ざばあっ!』


『しぶきがいくらかかかりましたが、
ネコマタのまじないのおかげでしょうか、ほとんど濡れずに済みました』

『新三郎は、そのままふもとの村におり、
ひとごこちつき、やれやれと顔をぬぐいます』

『「あ」。
手ぬぐいはまだネコマタの湯で濡れたままです』

『ぬぐってしまった口元からは、
猫の毛が、ぼうぼう生えてきましたとさ』

『そいばっかり!』



「はい、おしまい。
『そいばっかり』は、『それで全部』っていう意味やけん」

「ばってん、じいさまが朗読ばしてくれるときには、
『そいばっかり』がね?
もーちょっとだけ、先だったんよ」

「じいさまはねぇ、読み聞かせばしてくれるおき。
ほんとに手ぬぐいば用意して、
口のまわりば、つかれたーって感じにぬぐって」

「そいで『あ!』って、おおきな声で言いなさるんよ」

「『ぬぐってしまった口元からが、
猫の毛が、ぼう生えてきましたとさ』って。
そこまで読んで、手ぬぐいば口からはずして」

「『こおんな風にな!』って、あのおひげ!
ぼうぼうなおヒゲを見せるもんやけん、
ウチもう、おかしくて楽しくて!」

「それからしばらくは。
男の人のおひげみるたび、
『ネコ岳いってきたとかなぁ?』って、思うとったと」

「実際あるんよ? 安蘇に、ネコ岳。
寝る子供の山岳、って書いて、ねこ岳」

「じいさまにお願いして、
ウチもいっかいだけいったことあると」

「そんときも霧がでたばってん、
ネコの修行場――みつからなくて」

「見つかったら……ね?
トムさんに会えるかなぁ、とか。
こどもやったけん、ちこょーっと、本気で思とったかも」

「……いつか、いこうね? ネコ岳にも、ほかのとこにも。
ふたりで一緒に」

「思い出の場所、ぜぇめぐって、新しか思い出の場所ばつくって」

「ふふっ、ウチは杜氏やけん。
そぎゃんと旅ができるころには――
杜氏ば、引退しよるころには、もうおばあちゃんになっとろーけど」

「ああ……ゆーやらなーんか、もうおねーちゃん年なのかなぁ?
読み聞かせしとったときにへ?
昔のことば、どんどん思い出してきちゃって」

「思い出とかは、傘やけんねぇ。
冷たか雨ば、しのぐ分には便利のよかけど――」

「ばってん、さしすぎてたら、
おひさんば照りだしてきたことにも気づきそこなうけん」

「やけん。思い出話ばもうおしまい!
夜もずいぶん、更けてきとるし」

「ん……んーーーー、んっ!
そぎゃん思うたら、急に眠たくなってきたとよ」

「だっこ、おふとんの中でしてあげよおね。
だっこして、いいこいいこして」

「遠慮せんで、おいで?
毎日毎日がんばっとるんも、
疲れとるんも、わかっとるけん」

「うふふ、かわゆか。
いいこいいこ。いいこいいこ」

「たーっぷりゆっくり甘えてよかとよー。
あ、そうだ。ね、まぶた、ちょこーっと触るねぇ」

「ん……よいしょ」」

「ど? おねーちゃんの手、あったたかとでしょ?
こいで、まぶたば軽ぅく押して――」

「気持ちよかよねー? 
おねーちゃんも知っとるんよ? そん気持ちよさ。
してもらうけんね、ひーちゃんに。
あの子も手、ぽかぽかやけん」

「他のところも、ぽかぽかの手でさわってあげる。
つかれてるとこ、たくさんたくさん、なでなでしてあげる」

「いいこいいこ、なでなで、なでなで。
がんばっとるねー。なでなで、なでなで」

「あたまもなでなで、おかおもなでなで、
おてても、おなかも、あんよもなでなで」

「ん……ふ。んふふ。
すっごく、しあわせ、
なでとるおねーちゃんの方が、癒されちゃってる」

「良かね、恋って。
好きな人といっしょにいるって、すごかこととね」

「しあわせ、ぽかぽか。
このしあわせにくるまれたまま――眠りたかと」

「ん……」

「ぎゅうってすると、あったかとねー、眠たかとねー、
ふたりでおるんは、しあわせとねー」

;あくび
「ふぁ……あ……あー」

「あー、しあわせすぎて、おねーちゃん、結構本気でねむたかと。
やけん、いっしょに――このまま寝ようねぇ」

「手。つなご? つないだまま寝て……
うふふっ、起きたときにもつながっとったら、すごかとねぇ」

「それじゃあ、眠るね? 
手ばつないだまま。このまま、このまま――」

「おやすみなさい」

;終


///////////////


ご堪能いただけましたでしょうか!

これを! 真闇姉が読み聞かせしてくれる!!!

破壊力抜群すぎるかと思います!!!


というわけで、いよいよ次回は7本中の7本目! 大トリ! 稀咲先輩でございます!

ご期待ください!!!

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whisp 2020/05/31 18:11

RaRo新作 『桜木学園癒やし部』シリーズ最新作のご案内です。

『桜木学園癒やし部~3年A組・金切静之編。耳かき&身だしなみケア編~』

「私は立派なレディなんだからね。あなたよりもお姉さんなんだから」

金切静之はちびっこい近所に住むお姉さん。
年上ぶりたい彼女は、あなたに自分がレディであることを証明することに。
甘く優しく散髪や耳かきをしてもらって、最後は安らかに眠らせて貰えます。


【ヒロイン・キャスト】
金切静之
CV.永井真衣

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
いつもたくさんの皆様よりwhispへのご支援ご声援を頂き、
誠にありがとうございます。
良い作品を皆様にお届けできますよう頑張ってまいりますので、
よろしければ、お気に入り登録を宜しくお願い致します。

※作品予告ページはこちら
https://www.dlsite.com/maniax/announce/=/product_id/RJ289537.html

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whisp 2020/05/30 20:25

【完成イラスト】まいてつLR_電車姫&ひよこ_水着

本日はメロンブックス様の専売タペストリーから
レイルロオドビーチシリーズから電車姫様とひよこのコンビです。
2人とも違う理由で恥ずかしがっていないのが、キャラクターをあらわしていると思います。
この2人はヒロイン枠ではないですが、主にハチロクルートafterでオブザーバー的な役割を果たしますのでご期待いただけますと幸いです。
(電車姫はそうでもないですが、ひよこは登場シーン少ない割りに話し始めると長く感じます)

今回のタペストリーは3シリーズなのですが、3枚ともB2~B0までサイズを選んで購入できるようになっています。

B2単体
https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=625778

B1単体
https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=625780

B0単体
https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=625781

本体とのセットは3枚セットのみとなります。

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=625774&adult_view=1

こちらには、かなり豪華なミニアルバムがつきまして、
CSなどで知って、エロはちょっとという人にはお勧めできると思います。

『桜咲千依さんが歌う「まいてつ Last Run!! ボーカルカバーミニアルバム」5曲入り』
①ハチロクafterOP「ロオド・ラスト」
②ハチロクafterED「明日へと」
③ハチロク劇中テーマ曲1「思い出の結晶」
④ハチロク劇中テーマ曲2「The road we belong」
⑤ハチロク劇中テーマ曲3「hello! new world」

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whisp 2020/05/29 23:02

【収録台本】まいてつ:凪読み聞かせ『清柾公(せいしょこ)さんの虎退治』(進行豹

こんばんわです! 進行豹でございます!!!

あやかし郷愁譚の購入特典で
https://www.dlsite.com/maniax/promo/ayakashinostalgia

『まいてつ読み聞かせボイスドラマ』 全7話

が、18作品コンプリート特典としてついてくることになりました!!!

内訳は以下の通りです!

・日々姫 「長靴をはいたネコ」
・ポーレット 「犬が言葉をなくしたおはなし」
・れいな 「炭鉱の白犬」
・ふかみ 「うさぎのもちつき」
・凪 「清柾公(せいしょこ)さんの虎退治」
・真闇 「ネコ岳の猫」
・稀咲 「きつねのみそしる」



というわけで、本日も台本をご紹介させていただきます!

前回はふかみちゃんによる 『うさぎのもちつき』をご紹介いたしましたので、
今回はもちろん凪様! 『清柾公(せいしょこ)さんの虎退治』をご紹介申し上げます!

このだきまくらカバーの凪さまのおしっぽ。ラフのときには虎縞あったんですよね~!
製品版でなくなった理由はめっちゃわかる(警戒色なんで目が引っ張られちゃって邪魔)のですけれど、そこも含めて凪さまっぽいのになぁ、と、わたくしは惜しく思っておりました!

ということ(?)で、台本です!

ぜひぜひ!!!

///////////////////////////////////

;以下、セリフは全て凪
;タイトルコール

「蓑笠凪、とらランジェリー抱きまくら特典ボイスドラマ
『凪の読み聞かせ「[清柾公'せいしょこ]さんの虎退治』」

;*きよまさこう、とルビあるところ以外は、すべて「せいしょこさん」でお願いします


;本編


「にーさん、もちょっとつめるばい。
凪さまこれじゃあ はみ出しちゃうけん」

「ん――しょ、よいしょ!
ん。こいならばっちり、心地よかとよ」

「にーさんの体、ぽかぽかやけんね。
どぎゃんとお布団よりも、ぬくかばい!」

「ふあーあ、あんまり気持ちよかけん。
このまま、寝ちゃいたい気になってきたばい!」

「えへへへー! 、ウソばい! 冗談ばい!
まだまだ凪さま寝たりせんとよ?
約束の読み聞かせ、ちゃあんと用意してきたけんね!」

「じゃじゃん! こいばい!!
『清柾公さんの[虎退治'とらたいじ]!』」

「年季ば入っておるでしょー!
とーちゃんも読んでもらっとった、ってご本やけん。
古かとよねー。ボロボロばい」

「ばってん、凪さまもこのご本大好きやけん、
じーちゃんに習って、自分でボロかとこ直したとばい!」

「ここんとこ、ね? 補強してあるのわかるとよ?
こいば、凪さま自分でなおしたとこばい」

「そんくらい、何度も何度も読んでる本ばい。
最近も、ときどき――ひと月に一回くらいは読んどるばい!」

「いまはおおきくなったけん、自分で読むばってん……
ちいちゃかころは、
それこそ、読み聞かせしてもらっとったばい」

「とーちゃんもじーちゃん、こんご本読み聞かせてくれよったと。
かーちゃんやばーちゃんは、いろんなお話読み聞かせてくれたばい」

「とーちゃんとじーちゃん、ぜーぜん読み方違って、
そしたら、おはなしのおもしろいとこも変わって聞こえて、
ふしぎで、おもしろかったばい」

「ふっふーん。今日は凪さま、凪さま流で読むけんね!
にーさんがどこば面白がるか、とってもとっても興味あるばい」

「それじゃあ、読むとよー!
『清柾公さんの虎退治!』ばい!!」



;以下の『』で始まる部分は、読み聞かせ
;「」ではじまる部分は、その間の会話です

『[清柾公'せいしょこ]さんは、隈元のお城を建てた殿様です』

『本当の名前は[清柾公'きよまさこう]。
でも、男の人も女の人も、みんなが殿様を、
「せいしょこさん」と呼んで親しんでおりました』

『それがなぜかといいますと、清柾公さんは、
シラかわとツボイがわの流れを良くして、
隈元の洪水をとても少なくしてくれたからです』

『川の流れを変えるのは、大変な難工事でした。
男の人も女の人も、お仕事がないときにはかりだされ、
来る日も来る日も来る日も工事を手伝いました』

『だけれど、工事のお手伝いをいやがる人はいませんでした。
おいしいごはんと、よい手間賃が出たからです』

『そのうえときどき、本当にときどきですけれど、
清柾公さんがみまわりをして、声をかけてくれることまであったのです』

『シラ川とツボイ川の流れがよくなって、
隈元のお城がたって、みんな、安心して、
ゆたかな暮らしができるようになりました』



「にーさん、知っとる?
シラ川とツボイ川って、今の隈元城があるあたりで、
もともとは合流ばしとったんだって」

「けど、清柾公さんが川の流れをかえて、
シラ川を、もっと上流の方からまっすぐな流れにしよったって」

「そしたらシラ川、お城の守りになるでしょお。
川の流れば変えて、洪水ば減らしよるのと一緒に、
お堀ば掘るかわりにもしよったとよ!」

「そんついでに、田んぼの水路もぜぇんぶ整え直したって。
いまでも隈元の田んぼの水路、清柾公さんがつくったの、
もとのまーんまで、たくさんつかわれとるって話ばい!」

「清柾公さん、すごかとよねー! あったま良かとよねー!
やけん、清柾公さんは、隈元だけじゃなく、
[日ノ本'ひのもと]のいろーんなとこで、『土木の神様』っても
呼ばれとるってって、じーちゃん教えてくれたばい!」

「いまもきっと、隈元のあちこち、清柾公さんが見守ってくれとるばい!
凪さまときどき、そういうふうにかんじるばい!」

「でもでも、清柾公さんが神様なんは、
土木の話だけじゃなかとばい!」

「そこんところば、これから読むけん。
寝たらいけんよ? 耳の穴ほじって、よぉ聞くばい!」



『そんな優しい清柾公さんも、戦になるとガラリと話が変わります。
お仕えしていた[太閤'たいこう]様の大いくさに、いくつもいくつもくわわって、
大きな手柄をあげました』

『[題目旗'だいもくばた]は鮮やかな「南無妙法蓮華経」の白抜き文字。
またがる馬は[帝釈栗毛'たいしゃくくりげ]、かぶるは[長烏帽子形'ながえぼしなり]兜』

『手には[十文字'じゅうもんじ]三日月槍をさげ、
まとうは[金小札色々威片肌脱胴具足'きんこざねいろいろおどしかたはだぬぎどうぐそく]』

『金小札色々威片肌脱胴具足は、その名のとおり、
片肌がべろりと脱げている具足――よろいです』

『片肌がべろりと脱げているために、
骨や肉が、まるで丸見えのように作られています』

『大男の清柾公さんが、骨や肉が見えるような具足をまとう姿は恐ろしく、
足軽たちはもちろんのこと、名だたる武将も震え上がってしまったほどです』

『日ノ本にはもう、清柾公さんの敵はいません。
太閤様は清柾公さんに命令をして、よその国へと攻め込ませました』

『よその国では、虎が暴れて人々を困らせておりました。
清柾公さんは、ならば虎退治をしてやろうと考えました』

『清柾公さんが十文字三日月槍を引っ提げて、虎退治に出かけようとすると、
鉄砲名人の[太郎左衛門'たろうざえもん]が止めました』

『「[清柾'きよまさ]公 [御自'おんみずか]らがお出になることはありませぬ。
それがしのこの鉄砲で、虎めを退治してご覧にいれましょう』

『そこで清柾公さんは、太郎左衛門に虎退治するよう命令しました。
山に入って、[一晩、二晩'ひとばんふたばん]。
虎はなかなか出てきません』

『太郎左衛門はかんかんに怒って、
「虎め虎め、この太郎左衛門に臆したか」と、ののしりますが出てきません』

『清柾公さんは、火薬のにおいを虎がいやがっているのかもしれぬと気が付きました。
そこでかおりの強いはっぱで、しけらないよう気を付けて、火薬を全部包ませました』

『するとノッソリ、大きな虎があらわれました。
[十尺'じゅっしゃく]もある大きな虎です。目方も[百貫'ひゃっかん]ありそうです』

『太郎左衛門は[臆'おく]しません。
「おまかせあれ」と一声発し、火薬を詰めてほくちを切って、鉄砲を慎重に構えます』

『じりじり、虎が近づきます。
太郎左衛門はじっと待ちます。
一撃ちで眉間を撃ち抜かねば、こちらの命がありません』

『あと[一間'ひとま]。太郎左衛門は引き金に指をかけます。
そのとき、「ごおおおおおおおお」
虎が大声で吠えました』

『(ぱあん!)
思わず太郎左衛門は、引き金を引いてしまいます。
鉄砲の弾がかすりましたが、虎はものともせずにごうごう走り寄ってきます』

『「南無阿弥陀仏」。太郎左衛門は転んでしまってもう動けません。
虎はぱっくり口を開けます。』

『「虎めが、この[清柾'きよまさ]の槍を恐れぬか!」
清柾公さんが一喝すると、虎はびくりと退きました。
太郎左衛門もびくりとし、体が動くようになりました』

『その機をのがさず、
太郎左衛門は鉄砲を捨て、命からがら逃げ出しました』

『「面目次第もございません」
頭を下げる太郎左衛門を、清柾公さんはほめました』

『「おかげで虎めの戦い方を見て取った。
知らずにもしも戦っていたら、ワシとて危うかったやもしれぬ」』

『太郎左衛門は感激[至極'しごく]。
お尻をうった傷の薬もいただいて、屋敷に帰っていきました』


『太郎左衛門の[敵'かたき]も討たねばなりません。
清柾公さんが、虎退治に出かけようとすると、
刀の達人、[次郎左衛門'じろうざえもん]が止めました』

『「[清柾'きよまさ]公 御自らがお出になることはありませぬ。
それがしのこの名刀で、虎めを退治してご覧にいれましょう」』

『そこで清柾公さんは、
「虎は大声で脅してくるゆえ、気をつけよ」
と伝えたうえで、次郎左衛門に虎を退治するよう、命令しました』

『山に入れば、今度は一晩も探さずぬうちに、虎の方から出てきます。
「虎めが、人を甘く見たか」
次郎左衛門は刀を構え、じりじり虎に近づきます』

『あと一間。
「ごおおおおおおおお」
虎が大声で吠えました』

『けれども次郎座衛門は、清柾公さんの教えを聞いておりました。
ひるまず進んで、刀を一閃。
虎をしとめたかと思った刀は、けれども空を切っています』

『「なんと虎めは、頭を引くのか」
驚く間もなく、虎は次郎左衛門にガブリかみつき、
ぶん、と体を投げ飛ばします』

『「南無阿弥陀仏」。次郎左衛門はもう動けません。
虎はぱっくり口を開けます』

『虎めが、この[清柾'きよまさ]の槍を恐れぬか!」
清柾公さんが一喝すると、虎はぎくりと止まりました。
次郎左衛門もぎくりとし、体が動くようになりました』

『その機をのがさず、
次郎左衛門は名刀を捨て、命からがら逃げ出しました』

『「面目次第もございません」
頭を下げる次郎左衛門を、清柾公さんはほめました』

『「おかげで虎めの戦い方を見て取った。
知らずにもしも戦っていたら、ワシとて危うかったやもしれぬ」』

『次郎左衛門は感激[至極'しごく]。
虎につけられた傷の薬もいただいて、屋敷に帰っていきました』


『太郎左衛門の敵にくわえ、次郎左衛門の敵も討たねばなりません。
清柾公さんが、虎退治に出かけようとすると、
「虎めに勝つるは[清正公'きよまさこう]のみと、
家臣たちは揃って清柾公さんについていき、応援をすることに決めました』

『山に入ろうすればそこには、虎がいます。
「虎めが、人を舐めきったか」』

『清柾公さんは、十文字三日月槍を構えます。
じりじりと、虎をにらんで間合いを詰めます』

『「ごおおおおおおおお」
虎が大声で吠えました』

『けれども清柾公さんは、太郎左衛門の失敗を覚えておりました。
ひるまず前に突き進み、十文字三日月槍をひと薙ぎします』

『薙いだかと思った槍は、けれども空を切っています。
「虎めが頭をひくことも、次郎左衛門に習い知ったぞ!」
清柾公さんは慌てず槍を小回しし、引いた頭にえいやと突きます!!』

『「虎めが、この[清柾'きよまさ]の槍に恐れいったか!」
虎はもう、吠えることも逃げることもできません。
口をぐっさり、十文字三日月槍に貫かれています』

『けれども虎も、さすがは十尺百貫です。
どうせ死ぬならせめて一噛み咬み返そうと、
十文字三日月槍に噛みついて、片刃をバキリと咬み折ります』

『「もがき苦しませるも哀れよ」と、
清柾公さんは腰から刀をずらりと抜いて、虎の[素首'そくび]を掻っ切って、
見事に退治を果たしました』

『息絶えた虎の口から十文字三日月槍を引き抜けば、
咬み折られた片刃は虎に呑まれてしまっています。
十文字から片刃が消えて、[片鎌槍'かたかまやり]となりました』

『清柾公さんは、「この片鎌こそ[武門'ぶもん]の[誉'ほまれ]」と喜んで、
虎の毛皮と一緒に大事に、[日ノ本'ひのもと]の国に持ち帰りました』


『片鎌槍と虎の毛皮を太閤様は大いに喜び、
褒美をたぁんとくれましたとさ』

「『めでたしめでたし』――ばい!」

「にーさん、わかったと? 
清柾公さんは、槍を使こぉて虎退治ばしよったけん、
土木の神様だけじゃなく、槍の神様でもあるとばい!」

「清柾公さんのつかっとった槍ば、
帝都の帝立博物館に飾られてるって話ばい。
とーちゃんば、『見たことある』って、自慢しよるばい!」

「虎の歯のあとかもしれん、
おっきなおっきなえぐられきずが、
片鎌になったとこん根元に、今も残ってるって話ばい」

「やけん、凪さま、帝都にいったら、
絶対に帝立博物館、ふかみちゃんさそっていくって
むかしから決めとるばい!」

「もちろん。にーさんも一緒ばい!
にーさんと凪さま……だって……だって、その……
恋人同士、……やけん。ねぇ?」

「うひゃー!
てれるばい! てれまくるばい! てれくさかとばーい!」

「……こんお話ば、何度も何度も聞かせてもらって、
ちっちゃかころの凪さまは、おっきくなったら、
絶対絶対、槍ば習うって思うとったばい」

「けど、槍ん道場、御一夜にはなかったとばい。
クマの方にもなかったとばい」

「隈元の方も、鹿兒島の方も、
とーちゃんが探してくれたばってんも、
結局は見つからんかったばい」

「やけん、ちっちゃかころの凪さまは、
清柾公さんが十尺百貫の虎ににとどめばさした、
刀の方でだきょーすることに決めたばい!」

「ばってん、清柾公さんがどぎゃん剣術場ならっとったか、
とーちゃんにきーても、じーちゃんに聞いてもわからんかったけん、
そこは、凪さまいっしょうけんめい考えたいばい」

「清柾公さんは、隈元の殿様やけん。
隈元で一番さかんな剣術が、きっと、清柾公さまの剣術ばい!」

「そいで凪さま、バイシャ流剣術習うことにしたとよ。
道場ば、ご近所にあったのも都合よかったけん」

「道場のお師匠さんば、そんときはよぼよぼのおばあちゃんだったばい。
けど、めっちゃくっちゃ強くて、凪さま、一本もとれんかったばい」

「そんばーちゃんが亡くなって、いまのお師匠さんになったばってん、
いまのお師匠さんからも、凪さま、まだ一本もとれとらんばい」

「お師匠さんにも、清柾公さんにも、
なかなかなかなか近づけんとねー」

「近づくどころか、まだまだ凪さま、
ウサギのいっぴきも捕まえられんとよ」

「ウサギ、学園の校庭に紛れ込んできたことがあると。
ふかみちゃんと、体育の授業ば受けとったとき」

「先生すっごくはりきって、『兎をつかまえたら、体育の成績を5にしてやるぞ』
ってゆうたけん、みいんな、めちゃくちゃ走って追っかけまわしよったばい」

「ばってん凪さま、体育だけはずーっと5ばもらっとるけんね。
最初はだまってみとったと」

「ばってん――ふかみちゃんの目がキラキラ凪様のこと見よるけん……
捕まえてあげよーって思ったとばい」

「それに、『もがき苦しませるのも哀れよ』って、
清柾公さんもゆーとったけんねー」

「凪さまが、さくってウサギば捕まえて、
それでお山に離してやって、騒動さっさっとおわらさえたげよーって、
思ったとばい」

「ばってん――ウサギもやっぱり、野の獣なんねぇ。
凪さま、本気でおっかけたけど、しっぽにも触れんかったばい」

「あと一歩、ってところで急に方向かえよるばい!
耳とか、もうちょっとでさわれそうなのに、
ぜったいぜったいさわれんとばい!」

「それが残念でくやしくてまた修行して――
えへへ――
修行のおかげで、にーさんとあえて、こおんなに仲良くなれたけん」

「清柾公さんにも。お師匠さんにも、ウサギにも、
凪さま、大感謝せんといけんとねー」

「……にーさんと会えて毎日が、、とっても、とっても楽しかばい!
楽しかばってん、ときどき、ちょっと苦しくなるばい」

「剣術の試合のときの、胸ばキューっとするのより、
にーさんといるとときどき、ずっと、もっと胸ばキューってして」

「そいば、すっごく苦しかばってん、
甘かとちょこっと混じっとるばい。
甘かとを、凪さま、強ぉにしたかけん――」

「やけん、凪さま――――えいっ!」

「こぎゃんして、にーさんに抱きついて、
顔ば、すりすりってしたりして。
胸、そうしたら、キューって苦しいが弱くなって
ふわふわ甘いのが強ぉなって来よるばい」

「それしたら今度は、甘いのばもっとほしくて、
ものたりないって思っちゃうけん。
やけん――凪さま――凪さま――っ!!!」

:リップ音
(ちゅっ!))

「うひゃああ! なんでも、なんでもなかばい!
凪さまなーんもしとらんばい!
お布団、ばふーってかぶっちゃうばい!!」

「……………………あ」

「お布団のなか、にーさんのにおいでいっぱいばい。
にーさんのからだで、ぽかぽかばい」

「……凪さまちょっと、はりきって、
しゃべりすぎたかもしれんばい。
すこぉし、眠たくなってきたばい」

「思い出したと……
ちっちゃかころにも、こおんな風にねむくなったばい」

「じーちゃんが読んでくれたときにも。
とーちゃんが読んでくれたときにも。
ぽかぽかあったか、しあわせに眠くなったばい」

「……凪さまにもいつか、にーさんとの赤ちゃんばできたら。
凪さまがいつか、にーさんとの赤ちゃんのおかーさんになったら」

「赤ちゃんのこと、こおんなふうにしあわせな、
ぽかぽかあったかねむたい気持ちに――
ちゃあんとしてあげられるように、なりたかと」

「そいも、きっと修行ばいね。
剣術の修行とおんなじくらい――
もしかしたらもっとむつかしい、おんなのこの修行ばい」

「そしたら、ふかみちゃんをお師匠さんに――
あ! だめばい! そいば、よしとくばい!!」

「だって、ふかみちゃんにおしえてもらったら。
そいば……そいば、ふかみちゃんの、おんなのこの気持ちでしょお」

「凪さまだって、おんなのこばい。
ちゃあんと自分のおんなのこの気持ち、もっとるけんね」

「ばってん、そいば……
まだまだ凪さま、どぎゃんかたちかよぅわからんけん。
ようわからんけん、あつかいようも、しれんけん」

「やけん――
にーさんに、にーさんだけに、見てもらえたら、うれしかと」

「凪さまのおんなのこの気持ちば、
どぎゃん形か、どぎゃんと色か、
にーさんが見て、教えてくれたら」

「そしたら凪さま、いまよりきっと。
――もう少しだけ、おんなのこらしくなれるけん」

「凪さまの恋のお師匠さんは……
やけん、たったひとりでよかとよ」

「じーちゃんもとーちゃんも、
最初のお師匠さんも今のお師匠さんも、
ふかみちゃんだって、こればっかりはごめんばい」

「恋の修行ばつけてもらうの、にーさんの他はいやばってん。
凪さまの恋の修行の相手なら、
にーさんの他には、おらんけん」

「やけん、ずっと、ずっと、ずうっと。
にーさんと一緒に修行して、くたくたになって一緒にねむって。
そぎゃんして、いまより大人に、なっていきたいって――思うばい」

「ふぁ――あ――ああああ。
わわわ、おーっきかあくびがでちゃったばい」

「しゃべりすぎで、はしゃぎすぎばい。
凪さま、ちょこーっとつかれてしまって……眠たかと」

「……やけん――ねるけん――
ねるまえに、もう一本だけ――
おんなのこの修行、がんばるばい」

「あんね?  にーさん。凪さま……ウチ、ね?」

「にーさんのこと。
前よりずっと、昨日よりもっと、好いとーよ?」

「やけん、明日は、ねむっておきたら、
今日よりもっと絶対に、にーさんのこと、好きになるけん!」

「うわわ、こいば、照れくさかとねー!
照れくさいのが、しあわせばい!」

「しあわせいっぱいで眠るばい!
えへへ、おふとん、さっきよりももーっとあったかばい!」

「……あんね? にーさん」

「にーさんが、眠って起きて、むかえた明日に。
にーさんも、今日よりもっと、隣でねてる凪さまのこと――
あの、えっと……す、好き……好いて……ふわわ!」

「なんでもなかばい! ねごとばい!
これ以上おきとったらなにゆっちゃうかわからんけん。
ほんとに、ほんとに、ほんとにねるばい!」

「それじゃあにーさん、凪さま、ねるけん。
にーさんのとなりで、眠るけん」

「やけん……ね?」

「明日のあさも、そのつぎのあさも、
きっと、いっしょにおはよう――しよーと?」


「おしまい。
やけん!
『それじゃあまたねで、おやすみばーい!!』」



;終


///////////////////////////////////

「それじゃあまたねでばいばいばーい!」という凪さまのお別れの挨拶、わたくし大好きでございますのですが、
ここではお休みばーい、ですね! 安眠誘導!!!


と、いうわけで次回は真闇姉をご紹介できればと思います!

ご期待ください!!!

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