whisp 2020/05/31 22:02

【収録台本】まいてつ:真闇読み聞かせ『ネコ岳のネコ』(進行豹

こんばんわです! 進行豹でございます!!!

あやかし郷愁譚の購入特典で
https://www.dlsite.com/maniax/promo/ayakashinostalgia

『まいてつ読み聞かせボイスドラマ』 全7話

が、18作品コンプリート特典としてついてくることになりました!!!

内訳は以下の通りです!

・日々姫 「長靴をはいたネコ」
・ポーレット 「犬が言葉をなくしたおはなし」
・れいな 「炭鉱の白犬」
・ふかみ 「うさぎのもちつき」
・凪 「清柾公(せいしょこ)さんの虎退治」
・真闇 「ネコ岳の猫」
・稀咲 「きつねのみそしる」



というわけで、本日も台本をご紹介させていただきます!

前回は凪さま! 『清柾公(せいしょこ)さんの虎退治』でございました!
本日はうってかわって大人の魅力! 真闇姉の『ネコ岳のネコ』をご紹介申し上げます!

こちらは実際 熊本県は阿蘇の「根子岳」につたわる民話をアレンジしたものでございます!

読み聞かせ中の真闇姉の思い出話とか、ひーちゃんへの思いとか聞き所結構たくさんかと思うので、ぜひぜひぜひぜひできればお耳で!

それが無理ならこの台本で! お楽しみいただけましたらうれしいです!!!


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;真闇、黒猫ランジェリー特典ボイスドラマ
;『真闇の読み聞かせ「ネコ岳の猫』
;進行豹 v100_2016/12/23


;以下、セリフは全て真闇
;タイトルコール

「右田真闇、黒猫ランジェリー抱きまくら特典ボイスドラマ
『真闇の読み聞かせ「ネコ[岳'だけ]の猫」』」


;本編

「ごめんねぇ、遅ぉなってしもうたねぇ」

「まだ起きとってくれて、よかったあ。
もう寝とったら、おこさんよーにって、
気ぃ付けてお布団入らねばいけんでしょお?」

「そいば、ちょこーっとさみしかけんね。
起きとってくれて、うれしかと」

「本も、ちゃあんともってきたとよ?
読み聞かせば、してあげるための本」

「ほんとはね? もー一冊、
読み聞かせてあげたい本もあったんよ」

「ばってん、その本ば、ひーちゃんにも大事な本やけん。
ひーちゃんが、読み聞かせばすることあったら、
きっとその本、選ぶだろうなって思うたけん」

「やけん、ウチは、
ウチひとりだけの思い出の本――選んできたと」

「この本はねぇ、ウチがこどもだったころ、
父さんからも母さんからも、じーさまにも読み聞かせてもらいよった本」

「そん中でもね? じーさまに読んでもらうんが、
ウチは、一番好きだったとよ」

「じーさまみたいには絶対には読めんけど。
でも、楽しさば、きっと伝わるって思うけん」

「そうしたかったら、目ば閉じて。
想像しながら、聞いてみて?」

「ほんなら、読むとね」

「『ネコ岳の猫』」



;以下の『』で始まる部分は、読み聞かせ
;「」ではじまる部分は、その間の会話です

『むかしむかし、クマ川のほとりの小屋に、
新三郎という若い漁師が、年老いた母と、クロという名の黒猫と、
つましく暮らしておりました。』

『母が病に倒れてしまい、薬がいるようになりました。
新三郎のつましい暮らしは、みるみる苦しくなりました』

『クロはネズミを毎晩のようにとってきますが、自分で食べるはのお魚ばかり。
もちろん新三郎の方でも、ネズミをごはんにはできません』

『おかずを減らして、漁に出る日を増やして、それでも。
もとから乏しい蓄えは、ついに無くなってしまいました』

『その晩、新三郎は決心しました。
「クロやクロ。お前をこれ以上飼っておけない。
船頭さんがもらってくださるとのことだから、
舟のネズミを退治して、そこで幸せになってくれ」』

『あくる朝、
耳の後ろの毛をていねいになでつけてやり、
新三郎は船頭さんに、クロを渡してしまいました』

『夜が更け、ひどくさみしい思いでおりますと、
「にゃあん」と甘えた声がします。
まさかと思って戸を開けたなら、クロがちょこんと座っております』

『クロやクロ、帰ってきてはいけないよ。
船頭さんのところで、新鮮なお魚をいただきなさい』

『けれどもクロはそのまま眠ってしまいます。
仕方がないので、一晩泊めて、
船頭さんのところに送りとどけますと、
船頭さんはかんかんに怒っていいました』

『「この猫ときたらネズミの一匹もとりゃしない。
無駄飯ぐらいをおいとく余裕はウチにもない」』

『「クロやクロ。
お前は家に帰ってきたくて、わざとネズミをとらなかったのか」』

『聞いてものんきに毛づくろい。
新三郎はクロをかわいく思いましたが、
やはり養ってはおけません』

『あくる朝、新三郎はクロをつかまえ、言いました。
「クロやクロ。焼酎蔵の杜氏さんが、お前のことをほしがっている。
焼酎蔵なら、猫がいるだけでネズミは逃げる。仕事もせずに、居るだけでいい」』

『今度こそはお別れだと、
耳の後ろの毛をていねいになでつけてやり、
新三郎は焼酎蔵の杜氏さんに、クロを渡してしまいました』

『夜が更け、ひどくさみしい思いでおりますと、
「にゃあん」と甘えた声がします。
まさかと思って戸を開けたなら、クロがちょこんと座っております』

『「クロやクロ、帰ってきてはいけないよ。
杜氏さんのところで、お米のおまんまいただきなさい」』

『けれどもクロはそのまま眠ってしまいます。
仕方がないので、一晩泊めて、
杜氏さんのところに送りとどけますと、
杜氏さんはかんかんに怒っていいました』

『居つかぬ猫ならおらぬも同じ。
おまんま喰わせる義理もなし』

『「クロやクロ。お前は家に帰ってきたくて、
ひとときもじっとしなかったのか?」』

『聞いてもにおいをかぐばかり。
新三郎はクロをけなげに思いましたが、
やはり養ってはおけません』

『あくる朝、新三郎はクロをつかまえ、言いました。
「クロやクロ。いよいよ遠くお別れだ。
山のお寺の住職さまがもらってくれるとおっしゃるから、そこでお世話になってくれ』

『山を越えては帰ってこれまいと、
耳の後ろの毛をていねいになでつけてやり、
新三郎は山のお寺の住職さまに、クロを渡してしまいました』

『その晩も、その次の晩も、さみしい気持ちでおりますと、
「にゃあん」と甘えた声がします。
まさかと思って戸を開けたなら、葉っぱだらけになったクロが、ちょこんと座っております』

『「クロやクロ、帰ってきてはいけないよ。
ご住職さまのところでたんと、ありがたいごはんをいただきなさい』

『けれどもクロはそのまま眠ってしまいます。
仕方がないので、一晩泊めて、
山のお寺に送りとどけますと、ご住職さまはクロにいいました』

『お前さんほど賢い猫ならわかっておろう。
今のままでは新三郎の暮らしは立たぬ。
お前さんは[安蘇'あそ]のネコ岳で修行して、
一人で暮らしを立てられるようになりなさい』

『するとクロは、ご住職様の話がわかったように、
新三郎の手を抜け出して、ちょこりと頭をさげました』

『そのまますたすた、安蘇の方へと歩きますので、
思わず新三郎は追いかけました』

『「クロやクロ。安蘇のネコ岳はずいぶん遠い」
新三郎は、売り物の魚が入ったカゴを開いて、
鮎を三尾、てぬぐいに包んでやりました』

『「この手ぬぐいと、三尾の鮎がはなむけだ。
無事にネコ岳にたどりつき、立派な暮らしをたてるのだぞ」』

『鮎を包んだ手ぬぐい背中にしょわせてもらい、
クロは「にゃあん」と一声ないて、すたすた、すたすた。
すぐに見えなくなりました』


「あー……」

;すん=鼻すする
「ちょっと……ちょこぉっと、ごめんねぇ。
(すんっ――)」

「あ~……おねーちゃん、ここんとこ――
こぎゃん話ば――思い出しちゃって、弱かとよ」

「猫ね? 右田の蔵にじゃなくて。
右田の家にもおったんよ。
ひーちゃんが、まだ学園に入園もしとらんような、そぎゃんころ」

「ウチがものごころついたときには、
もーずいぶんなおじいちゃんネコで。
けど、ウチにとっては、おにいちゃんみたいな存在で」

「遊んでもろうて、添い寝してもろうて、
怖か犬、追い払ってくれたこともあって」

「木登りも、トムさん待っとってくれるんよ。
先に登って、こっち見て、
『まだ来ないのか?』って感じの顔で」

「あ、トムさんって、猫の名前。
ハイカラでしょ。じーさまがつけよったって」

「オールド・トム・オブ・ミギタが、フルネーム。
[詠国'えいこく]かなにかの、お話にでてくる猫の名前って、
オールド・トムば」

「それこそ、絵本とかもね? ぜーったいに邪魔したりせんの。
いっしょうけんめい読んどるとなりで、寒か季節には、
ぴったりくっついてくれたりもして」

「あったかかったなぁ、トムさん。
おとなになっても、いつかお嫁さんになるときだって、
すうっと一緒って思うとった」

「ばってん――ずうっと一緒には、いれんよね。
だんだん、トムさん遊んでくれんよーになって」

「猫が遊ばんよーになるって、相当よね。
けど、こどもだったけん。
そぎゃんこつの意味もまだわからんで――
いつもみたいに、その日もふつーに学園ば、いって」

「かえってきたら……トムさん、亡くなっとったんよ。
毛布にすっぽりくるまれて、寝てるのかなぁって思ったら。
冷たくなっとって」

「その日はじいさま、おらなくて。
父さんと母さん、ふたりして泣いとって。
びっくりしてびっくりして――悲しいよりもびっくりしちゃって」

「話ね? 聞かんでも、聞かせてくれるんよ。
母さんも、父さんも。トムさんのこと、ぽつり、ぽつりて」

「だんだん弱って、最近寝たきりだったとか。
痛いとこあって、にゃーにゃー悲鳴あげとったとか」

「その悲鳴も、最近は細ぉなってきとったとか。
……ウチはそれでも、ビックリしすぎとったから、
ふーんて、なんとなーく聞いとって」

「それでね? 次の日も学園、ネコで[忌引'きび]きはできんもんね。
ふつーにあるけん、ふつーに行って」

「算数の授業で、『わかる人』って先生おっしゃって、
『はい』って手ばあげて、黒板の前いって、チョークもって」

「式ば、書きよるときにね? ふうって、
ほんとにふうって思ったんよ。
“あれれ? おかしいな”って」

「トムさん、寝たきりだったって――
ばってん、ウチが学園ばいくときには、
ふつーに見送ってくれとったんよ」

「玄関のとこまでのこのこ来て、
振り返ってもいてくれて」

「そん光景ば思い出してね?
思い出したら――ぶわーーーーって。
悲しいの、一気にきちゃって」

「トムさん、無理してくれてたんだって、思うて。
ウチに心配かけんよう、平気なふりばしてくれてたって」

「ウチが一緒にいるときは、どぎゃんと痛い思いしてても、我慢して。
ウチが不安になるような鳴き声、
ただの一度だって、聞かせんでいてくれたって」

「わかっちゃったら、もうダメで。
泣いて泣いて、人生であれほど泣いたことって無いくらい泣いて」

「そうしたら先生、『わからないなら無理しなくてもいいですよ』とかいうんよ。
それがまた、悔しいみたいで悲しいみたいで――って、あ」

「いけんねぇ、うち。なぁんの話ばしとるんかねぇ」

「読み聞かせばしてほしい、だなんて……
疲れてるってことでしょお?
やけん、クスっできるお話、選んだつもりだったとに」

「いけんいけん! 仕切りなおし、ね?
おねーちゃん、今度はちゃんと、
ちゃんと、最後まで読み切るけん」

;息吸う
「(すうっ)――うんっ!」


『三年が過ぎ。新三郎の母の病気が癒えました。
暮らしもだいぶん上向きになり、たくわえもいくらかできました』

『「安蘇のネコ岳にいってくる。
クロがいたなら、連れ戻してくる」
そう言って、新三郎は安蘇への旅に出かけます』

『ネコ岳に登りしばらくすると、霧がたれこめてまいります。
霧はみるみる濃くなって、新三郎は道に迷ってしまいます』

『「これは困った。どうしよう」
あてなくトボトボ歩いていると、遠くに灯りが見えました。
灯りを頼りに進んでいくと、古いお屋敷が見えました』

『ごめんください。ごめんください。
道に迷ってしまいました。霧が晴れるまで、休ませてはくれませんか』

『すると奥から、女の人が出てきました。
「ネコ岳の霧はあたたかくなるまで晴れません。
今夜は泊まっておいきなさい」』

『「それはありがたいお話ですが、猫の修行[場'ば]を探しています。
いっこくも早く着きたいのです」』

『「猫の修行場なら近くです。霧が晴れたら案内しましょう。
この霧では地元のものとて、ガケから落ちてしまいます」
そこまで言われてしまっては、出かけることはできません』

『「そういうことなら、一晩泊めていただきたい」
「こまったときはお互い様です。お風呂も食事もご遠慮なさらず」』

『長い長い廊下を通り、奥の座敷に通されます。
まずは風呂でも、と、長い長い廊下を歩くと、
すれ違った女中さんが、ひどく驚いた顔をします』

『「あらお懐かしや、新三郎さん」
「はて、どこかでお会いしましたか」
「鮎を三尾、この手ぬぐいに包んでいただきましたものです」』

『「なんと、クロか!
人間の姿になるとは、修行がうまくいったのか」
そう尋ねると、クロはきょろきょろ、あたりを伺い、囁きます』

『「修行がうまくいきまして、今はすっかりネコマタです。
名前も姿も変わってしまいました。もう人の世には戻れません。
新三郎さんはお逃げください」』

『「逃げるとは?」
「このお屋敷のものを食べたり湯につかったりした人間は、[窯猫'カマネコ]にされてしまいます。
窯猫にされてしまったら死ぬまで働かされるのです」』

『クロは新三郎を裏口から出し、手ぬぐいを一本渡します』

『「この手ぬぐいをお返しします。ネコマタのまじないをしておきました。
この手ぬぐいで口をふさげば、ネコ岳の霧には迷いません」』

『「もう人の世に戻れぬのなら、さよならか」
「さようならです、新三郎さん。
最後に一度、『クロや』と呼んでくださいな」』

『「クロやクロ。ネコマタの決まりが変わったら、
いつでも帰ってくるのだぞ」』

『耳の後ろなでてやり、新三郎はクロと別れて、
てぬぐいで口をしっかりおおい、ネコ岳をひたすら降りておきました』

『「お待ちなさい」
「おとまりなさい」
追いかけてくる声が近づきます』

『もちろん、待ちも止まりもしません。
新三郎は必死になって駆け続けます』

『「逃げ切られます、猫旦那様」
「えい仕方がない湯をかけろ!」』

『湯につかったら、窯猫にされて働かされる。
クロの言葉を思い出し、
新三郎は、てぬぐいかざして傘にします』


『ざばあっ!』


『しぶきがいくらかかかりましたが、
ネコマタのまじないのおかげでしょうか、ほとんど濡れずに済みました』

『新三郎は、そのままふもとの村におり、
ひとごこちつき、やれやれと顔をぬぐいます』

『「あ」。
手ぬぐいはまだネコマタの湯で濡れたままです』

『ぬぐってしまった口元からは、
猫の毛が、ぼうぼう生えてきましたとさ』

『そいばっかり!』



「はい、おしまい。
『そいばっかり』は、『それで全部』っていう意味やけん」

「ばってん、じいさまが朗読ばしてくれるときには、
『そいばっかり』がね?
もーちょっとだけ、先だったんよ」

「じいさまはねぇ、読み聞かせばしてくれるおき。
ほんとに手ぬぐいば用意して、
口のまわりば、つかれたーって感じにぬぐって」

「そいで『あ!』って、おおきな声で言いなさるんよ」

「『ぬぐってしまった口元からが、
猫の毛が、ぼう生えてきましたとさ』って。
そこまで読んで、手ぬぐいば口からはずして」

「『こおんな風にな!』って、あのおひげ!
ぼうぼうなおヒゲを見せるもんやけん、
ウチもう、おかしくて楽しくて!」

「それからしばらくは。
男の人のおひげみるたび、
『ネコ岳いってきたとかなぁ?』って、思うとったと」

「実際あるんよ? 安蘇に、ネコ岳。
寝る子供の山岳、って書いて、ねこ岳」

「じいさまにお願いして、
ウチもいっかいだけいったことあると」

「そんときも霧がでたばってん、
ネコの修行場――みつからなくて」

「見つかったら……ね?
トムさんに会えるかなぁ、とか。
こどもやったけん、ちこょーっと、本気で思とったかも」

「……いつか、いこうね? ネコ岳にも、ほかのとこにも。
ふたりで一緒に」

「思い出の場所、ぜぇめぐって、新しか思い出の場所ばつくって」

「ふふっ、ウチは杜氏やけん。
そぎゃんと旅ができるころには――
杜氏ば、引退しよるころには、もうおばあちゃんになっとろーけど」

「ああ……ゆーやらなーんか、もうおねーちゃん年なのかなぁ?
読み聞かせしとったときにへ?
昔のことば、どんどん思い出してきちゃって」

「思い出とかは、傘やけんねぇ。
冷たか雨ば、しのぐ分には便利のよかけど――」

「ばってん、さしすぎてたら、
おひさんば照りだしてきたことにも気づきそこなうけん」

「やけん。思い出話ばもうおしまい!
夜もずいぶん、更けてきとるし」

「ん……んーーーー、んっ!
そぎゃん思うたら、急に眠たくなってきたとよ」

「だっこ、おふとんの中でしてあげよおね。
だっこして、いいこいいこして」

「遠慮せんで、おいで?
毎日毎日がんばっとるんも、
疲れとるんも、わかっとるけん」

「うふふ、かわゆか。
いいこいいこ。いいこいいこ」

「たーっぷりゆっくり甘えてよかとよー。
あ、そうだ。ね、まぶた、ちょこーっと触るねぇ」

「ん……よいしょ」」

「ど? おねーちゃんの手、あったたかとでしょ?
こいで、まぶたば軽ぅく押して――」

「気持ちよかよねー? 
おねーちゃんも知っとるんよ? そん気持ちよさ。
してもらうけんね、ひーちゃんに。
あの子も手、ぽかぽかやけん」

「他のところも、ぽかぽかの手でさわってあげる。
つかれてるとこ、たくさんたくさん、なでなでしてあげる」

「いいこいいこ、なでなで、なでなで。
がんばっとるねー。なでなで、なでなで」

「あたまもなでなで、おかおもなでなで、
おてても、おなかも、あんよもなでなで」

「ん……ふ。んふふ。
すっごく、しあわせ、
なでとるおねーちゃんの方が、癒されちゃってる」

「良かね、恋って。
好きな人といっしょにいるって、すごかこととね」

「しあわせ、ぽかぽか。
このしあわせにくるまれたまま――眠りたかと」

「ん……」

「ぎゅうってすると、あったかとねー、眠たかとねー、
ふたりでおるんは、しあわせとねー」

;あくび
「ふぁ……あ……あー」

「あー、しあわせすぎて、おねーちゃん、結構本気でねむたかと。
やけん、いっしょに――このまま寝ようねぇ」

「手。つなご? つないだまま寝て……
うふふっ、起きたときにもつながっとったら、すごかとねぇ」

「それじゃあ、眠るね? 
手ばつないだまま。このまま、このまま――」

「おやすみなさい」

;終


///////////////


ご堪能いただけましたでしょうか!

これを! 真闇姉が読み聞かせしてくれる!!!

破壊力抜群すぎるかと思います!!!


というわけで、いよいよ次回は7本中の7本目! 大トリ! 稀咲先輩でございます!

ご期待ください!!!

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