ぶるがり屋 2021/09/19 22:08

青天を衝け 27話 の感想

青天を衝け 27話
「篤太夫、駿府で励む」の感想です。

青天を衝け | NHKオンデマンド
大森美香
2021/2/14〜
(C)NHK

青天を衝け

 前回は「このドラマを見続けてきて良かった…」でしたが、
今回は「"この"ドラマを見て良かった!」でした。
死に損なった、生き延びてしまった、敗者、非為政者の国造り。
死んでいった仲間たちの想いを背に、生きる。
そして生きるには、金と生きがいが無ければ。
共に生きるために、そこから産むんだ。
 この『青天を衝け』だからこそのドラマ、面白い!

 武力による勝者の物語は華々しく格好良いものですが、年をとり幾らか人生というものを知ると、こういう物語の良さも味わえる様になるものですね。

 今回も名演技に惹かれ、心震わされました。
頬の筋の動きだけで、人は心を映し、理解出来るのですね。
 栄一を遠く見て、薄暗い部屋で影る慶喜の面持ち。
おそらくは命そのものだった刀を預け、生きると決めた川村様の、横顔。
過去の、今の、死に行く者たちの声と砲音の中の中を泣き叫び進む喜作。

 生きて、生き延びて、ああ、ああ。

 栄一は人の生き様を見て、喜作は死に様を見てしまったか。
どちらも同じものの一側面ですが、あんなに凄まじく鋭く美しい死の数々、喜作は幸せになれるのですか…?
 土方歳三の言う通り、確かに歳三には影を、喜助には溢れ出る熱を感じました。
でもその喜作の情熱を、生き汚なさを、喜作は邪と弱さと断じてしまうのではないのか。
誰よりも喜作を愛し帰りを待つ妻子はもちろん、同じく生き残ってしまった栄一や惇忠たちが癒してあげられたら、良いなぁ。

 古い時代、それも愚かな面の象徴だった菊池平八郎も、昭武の寂しさを受け止める役柄なのが良いなぁ。
斉彬を、幼き慶喜を、今目の前を生きる昭武に仕える水戸の志士。
無念の重さは筆舌に尽くせないでしょうからね…
 負け続けて、生き残って、彼もまた新しい時代を栄一と共に生きるのか。

 だからこそ大隈重信邸での「函館がやっと落ちたぞ!」の楽しげな雰囲気にムカつくわけですが、彼らも仲間たちを多く失って、藩を挙げての宿願がやっと叶った訳ですからね…
 勝者と敗者、分けるは武力、外交、金。
五代友厚は主人公・渋沢栄一のライバルキャラですね。

 今回も土方歳三と五代友厚は底抜けに格好良くて、
うたちゃんがべらぼうに可愛かった。
いやぁ、救われます。

 負けて、死に損なって、重なる犠牲と痛みの中、それでも、大事な者たちのために生きて。
ここで渋沢栄一が一矢報いる、注目される、それだけで希望がむくむくと立ち上る、小気味良さ!
いいなぁ、こんなの来週見逃せないでしょ!

https://twitter.com/385_mnkd/status/1439559784328413188

 なるほどと感じました。
平岡円四郎に導かれ徳川慶喜に惹かれた渋沢栄一が今、人を導き惹きつけていくのですね。

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