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へうげものの記事 (142)

ぶるがり屋 2018/04/14 20:36

ちょっと前の へうげもの 感想 20171116

あらすじ

 古田織部の、最後の茶会。


へうげもの(25) (モーニング KC)

山田芳裕
講談社
2018-01-23

感想

 ああ、汚くて格好悪くて、煩悩まみれで未練がましくて、感情豊かで洗練さが欠け欠けで。
私の大好きな、織部だ。
織部らしい生き様、死に様だ。

 千利休の拳骨は、「まだ来るな」「それがあなたではない」だったのでしょう。
と考えると、家康との殴り合いは計算ではなく、感情そのままの本気だったんだなぁ(笑
豊徳合体や笑いのある世や、おせんや子供たちのことも超えて。
「この頑固で意地っ張りの、笑いを忘れた爺さんを、自分が笑かしてやる!」
の気持ちの方が強くなったのでしょう。

 ずっとずっと、「あじか売り」に勝ちたかったんだ。
織部にとって、利休も、秀吉も、家康も、友でライバルなんだ。
本気の殴り合い、素の感情のぶつかり合いだからこそ、家康の腹の栓が緩んだのか。
 誰もが呆然とする中、ただ一人、家康だけを笑わせて。

 利休の死以降、ずっと遠くに行ってしまった織部が、やっと目の前に戻ってきたような。
悩んで苦しんでキラキラしたものにひしゃげた笑顔を振りまく、いつも全力な、
古田左介が。

 そして、振り落とされる刃ー

 唯一気がかりなのは、この喧嘩&茶会で、家康は織部の弟子に、数寄の継承者になってしまったようにも取れる事。
そうだとすると、織部が苦しんだ「師匠を殺し、天下を取る」の連鎖は続いてしまうことになるのですがー

 はてさて、次回最終回。
どんな風景が私たちをひょうげさせてくれるのでしょうか。

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ぶるがり屋 2017/11/28 01:12

ちょっと前の へうげもの 感想 20171102

あらすじ

 古田織部と徳川家康。
時代を作った2人の英傑の、最後の対面は。


へうげもの(25) (モーニング KC)

山田芳裕
講談社
2018-01-23

感想

 なぐり愛、宇宙
歴史に名を遺す老境の英雄、傑物が、本気の殴り合いの喧嘩しやがった(笑

 古田織部は家康を笑いに導くのが最終目的だとは思いますが、この喧嘩はどこまで本気の怒りなのかな。
家族を殺される怒り、無念までは本当の気持ちで、同時に家康の心の凝り固まりをほぐすのも目的で、どれもあるがままの、本気の殴り、なように感じます。
多分(笑

 徳川家康は、完全に個人的な怒りですねこれは…!(笑
今まで生きてきた、全てを捧げてきた建国の全てがぽっきりと折られた、怒り。
同時に世の為公の為に捨て、封じてきた「私」がやっと顔を出してきた、
それは、あるがままに楽しんで生きようという織部の数寄の、入口なように感じます。

 それでもやっぱり、お互い
一斬りで済ませられるか、この拳で痛めつけずにおられるか!
で間違いないでしょーけど(笑

 うん、日本一の茶頭と天下人の本気の喧嘩、並みの武士はもちろん、
柳生宗矩や小堀遠州もただ見るしか出来ないですよ。
宗矩なんて、昔の時代劇では日本一の権力者だったりするのに(笑

 と思ったら小堀遠州吠えた!
すごいなぁ、尊敬しますよこの天下無双無敵最強の餓鬼2人相手に。
子供のように若く羞恥心を思い起こさせるだけでなく、小堀遠州は、誰よりもこの2人の数寄に一番近くにいるから、そんなふうに感じます。

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ぶるがり屋 2017/09/10 16:28

今週の へうげもの 感想 20170907

あらすじ

 ついに古田織部、処刑当日。
覚悟を通り越え、処刑そのものを見せると決めた織部の前に。
師を殺し、受け継ぐ連鎖はー


へうげもの(24) (モーニング KC)

山田 芳裕
講談社
2017-06-23

感想

 もう処刑日当日!?
おや、とんがったような裃はこの時代からのものなのですか。
まーいわゆる「日本古来のもの」の多くは江戸時代から、一部の武士の文化ですしね。
さらに模様に手を袴に入れ込み、ロックででも武士らしい装い、織部らしいかもしれません。

 でもやっぱり「無理な命令には抗う」のを美学として死ぬのは、今まで見てきた織部とは違う気がするなー。

 そして、徳川家康の固まりきった心をほぐすのが織部の仕事なのではないか。
今まで作中でずっと続いてきた「師匠を殺し、天下を取る」の連鎖はどうなるのか。
豊臣秀吉が織田信長を殺し、古田織部が千利休を殺してきた連鎖は。
その答え、お見事でした。

 徳川家康を、世の中を、笑い声に満たす。
それがやっぱり、私の大好きな織部です。
織部らしい生き方の末に、織部らしい死に様が見られると、そう確信できました。
そして、我慢ばかりして得たもの全て失い、誰からも顧みられなくなってしまった、
庭仕事も国づくりでも笑えなくなってしまった家康の心を救ってくれると。

 本来の、秀忠が命じた介錯役は小堀遠州。
頑張った、頑張ったよ小堀くん…!
大恩ある主君、天下人に殴られても役を務めようとするなんて。
手向かいなんてよもや、聞かないだけでも主命に背いた形なのでお家断絶も有りえる状態。
それでも織部の介錯役を貫こうとした姿、
悲鳴も見た目も格好悪いけど、男だよ!

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ぶるがり屋 2017/08/27 18:05

今週の へうげもの 感想 20170824

あらすじ

 儀式? 犠牲?
It's エンターテイメント!


へうげもの(24) (モーニング KC)

山田 芳裕
講談社
2017-06-23

感想

 徳川家康と秀忠の対立。
本多正信・正純親子は家康派、そして圧倒的少数派ですか。
家康が進めた盤石な幕府体制、そして最後に陥った性急で頑なな排他的世界の希求。
全てが家康自身の行動の結果なのですよね…
 久々登場の天海が秀忠派だったのは驚きましたが、確かに明智光秀は安らかな数寄を愛していました。
今の家康とは目指す道が違うのも当然です。

 織部を介錯すべき人物の筆頭・小堀遠州か、
やすらぎの象徴ねねか、死すべき運命の家康の最後の面会者か…
と思ったら、目を覚ました家康を待っていたのは三浦按針
家康に高い忠誠心を持っていたのも事実で、同時に秀忠の目指す世界への賛同者だからこそ、この場を許されたのでしょう。
でもやっぱり、一寸たりとも家康の心が動くことなく。
これでこそ徳川家康!
であると同時に、織部が救ってあげて欲しいです。

 そんな古田織部が思い起こし悩むは松永久秀。
今までも何度も反芻した。「己の数寄を曲げて生きるか、死ぬか」の問いを悩む…のではなく、
死装束かよ!(笑
弟子の秀忠は世を改めるための大事な犠牲、神聖な儀式のように捉えてるのに、良くも悪くもと言うか、正直悪いばかりの悪趣味なエンターテイナーだなぁ!(笑

 死出の旅路、己の切腹を同じくエンターテイメントに仕立てた千利休でしたが。
今の織部なら、同じく心の師匠とした織田信長の死をネタに、柳生宗矩が胴を断って、一時くっついて
「それ、ノォン!」とか言う妄想をしてしまいました(笑

 いやおかげで暗い気持ちがカラッと明るくなったけどさ!

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ぶるがり屋 2017/08/05 22:19

今週の へうげもの 感想 20170803

あらすじ

 時代を作る者、時代を担う者。


へうげもの(24) (モーニング KC)

山田 芳裕
講談社
2017-06-23

感想

 まさかこんな幕切れだとは。
古田織部の処罰を前に、徳川家康と秀忠の、最初にして最後の対決。
頑なに、閉じ篭るように凝り固まった家康の心は変わらず、対する秀忠も決して曲がらず、家康を殺して影武者を立てる覚悟まで持って挑むとは。
二人とも、個人的な感情含みなものの、これからの泰平の世の為にという大義、願いが込められたものなのですよね…
同じ願いのもとに、同じ夢を見た者同士が、しかも血を分けた親子が。

 そこに投げ込まれる、古田織部の死の覚悟。
父のように、もうこの世にいない同じ時代を生きた武将たちのように、
もしかしたら、千利休のように。
自分が死ぬことで、意味ある世、思う数寄が残るように。

 しかも、織部が現世を諦める最後の理由は、秀忠のおかげなのですよね…

 父を殺すと決めた覚悟が潰えた秀忠も、泰平の世のために一生を捧げ、天下人にもなりながら、
その果てに息子に抹消されかけ、誰一人にすら見守られない、孤独に倒れたままの家康が。
切ない。

 千利休を殺し看取った古田織部のように、
織部を斬るのは直弟子の上田宗箇か小堀遠州かと思いましたが、もしかしたら秀忠かもしれないなぁ。

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