時 自若 2022/11/15 18:17

今生のローダンセ第21話葡萄ラーメン

仕事が終わり次第待ち合わせということになったので、どこかで軽く何かを食べたい、そういう話になっても、土地勘はないため。
「もしもし、この辺で…」
連絡先を交換したばかりの知り合いは、びっくりしながらも、それなら…と店を教えてくれたが。
こんなところにあるなんて、そういった店構えであった。
「地元のお昼に繁盛しているお店は美味しいわね」
「じゃあ何するか」
と今日のランチというのを頼んでみたが。
「ラーメンで」
「ラーメン一つ」
ラーメンを頼むお客さんが多かった。
しかしメニューには、「葡萄ラーメン」とあるので、さすがにそれを最初から頼むというのは勇気がいることである。
「すごいいい匂いがする」
「頼んで半分づつ食べましょうか」
と追加注文した。
ラーメンが今日のランチを食べている途中で出てきたのだが、丼の中を見るとスープは赤かった、これが葡萄由来なのだろうか。
かちゃ
彼女が先にスープをもらう。
(あっ、なるほどフランス料理なのか、これは)
頭の中で今まで食べてきたものと結びつける。
フランス料理の赤ワインのソースというものがある、これは肉料理なんかに合わせるものであるが、その技法をこのラーメンは使っている。
麺によく合う赤ワインのソースを使った料理が葡萄ラーメンとして売り出されているのであった。
トッピングともよく合うので、かなりの技法がこの丼の中には使われていると思うのだが、名前で大きく損をしているタイプといえる。
「ワインみたいに、赤と白とかぐらいのネーミングにすれば、お客さんもっと来そう」
そう、過去に何度も他のお客さんは名前変えたらいいんじゃない?といったものの。
「うちは葡萄ラーメンなの!」
店の主人は頑なにそのままで来てしまったらしい。

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