時 自若 2022/11/19 20:47

今生のローダンセ 第26話 好き

ちょっと暑い日であった。
普段はすぐに食べれるものと言ったメニューであるが、彼女が時間があったのでと何か作ったところ。
「かき氷だ」
見た目イチゴのシロップとか作っていたんだなって思うじゃないか。
あれ?
香りがイチゴじゃない?
その前に解けそうだったのでパクッと食べるが。
「イチゴかと思ったけども、イチゴじゃなかった」
「ああごめん、イチゴの方が良かったかな」
シャリシャリ
「これ氷かと思ったところ、飴?」
葡萄をキャラメリゼしたものをかき氷に一筋の流れのように盛り付けたもの。
「好き」
「ああ、美味しかったの、良かった」
「…」
こんなことをしてくれる君が好き。
シャリシャリ
訂正しないのは照れてしまったせいである。
「そういえばね、昨日ね」
「どうしたのさ」
「覚えてる?昔、私を亡くした娘さんだと思っていた」
「ああ、居られたな、お会いしたのか?」
「見た瞬間泣かれたわ」
「そうか」
「そして聞かれた、寒いことはないか、お腹は減ってはいないか、今度はお母さん守るからねって」
「そうか、君が苦しんでいると知ったら力になりそうだ」
「そうかもね」
「否定はしないのか、俺のように関わるなと」
「言わないわね、もうあの方は復讐だけが生き甲斐で、それこそ、私以外にも似た面影を見つけると世話を焼くという話だったわ」
子供を亡くして財産が残っても、失意に苦しむ日々だった。
「そこで変換なしの奨学金制度を作って、様々な子供たちを支援したまでは知ってる」
「うちの兄弟がその制度が出来上がって、すぐかな、数年目にお世話になって、養子になるって話をして、お金を一括で返済して、それをまた別の子にしてやってほしいっていうことにしたときにかな」
義父の元に突撃来たという。
「この子を不幸にしたら、許さないからな」
義父はそれを見て、にっこり微笑み。
「見なさい、君に幸せになってほしいとこんなにも強く願っている人がいる、君が幸せにならなきゃ僕は刺されちゃうから、幸せになるんだよ」
ジョークでその場を丸く納めた。
「丸くおさめなかったら、あの奨学金制度今は存在してないかもしれないな」
「そうだね、それでうちからも養子組から年に一回まとまったお金を向こうに出しているだよね、魔法使い側のお金の価値と一般社会のお金の価値、もしくは価値観は違うから結構な額が集まったりするよ」
中には食事が必要にではなくなった魔法使いになったものが食費分としていれてくれたりする。
「子供の頃、それこそ親に虐○されて食べることができなかったから、魔法使いになったら、いや、それこそこれは仙人なんだけども、霞を食べて生きるようになりたかった、今は食事は必須ではなく嗜好品になってるんだ」
特に今は食料事情が悪いから、自分が食べるぶんを誰かに回してくれという意味で、熱心にお金をわたしてる一人でもあった。

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