時 自若 2022/12/20 21:59

今生のローダンセ 第36話 毎日がもどかしく恋をしている

「お帰りお嬢さん」
「ただいま」
「あれ?」
なんでノッてくれないの?
「ノッてほしかったの?」
「ちょっとね」
いや、結構か。
「他の人が他所でやれよ!って思わずいってしまいたくなるような感じっていいよね」
「それは映画とかでやることじゃない?」
「そうかもね、でもさ、やっぱり」
距離をつめて。
「俺には愛が足りないの、武道の修行をしすぎたせいかもしれない」
「それでいいのよ、人間打ち込めるものがあった方がいいわ」
「ひとつ考えたんだ」
「何を?」
「もしも剣を置くことで、君を守れるのならばそれもまたありかなと」
「面白いこと考えるわね」
「俺は真剣にだな…」
「あなたはあなたのままでいいのよ、変えるなんてとんでもない、変えちゃダメよ、特に私のためだと思うのならば、ダーメ」
「なんでさ」
「なんでもよ、たぶんそれが次の傷になるから、剣を捨てさせてしまったと将来悩みたくもないわ」
「難しいものだな」
「そうだね、面倒くさいわ」
「でも色々と考えてるんだな、そこは安心した」
「何がよ」
「どっかで諦めていると思っていた」
「そんなわけないでしょ、私よ、私が諦めると思う?」
「思わない、思わないが、人間、弱気になるときも…あるさ」
「そうね、それはある、でもがんばる、それだけよ」
「強いな」
「そうかしら?」
「俺にはそこまで出てこない」
「やせ我慢よ、プライドが私を歩かせてるわ」
「俺よりMなのはわかるが」
「あら、わかってるなら、わざわざ言う気?」
「ちょっとね、構ってほしいからかな」
「へぇ」
ゾクゾク
「構ってほしいから、わざとこんなこと言うんだ」
「そこまでじゃないけどもさ、心配もある、うん、本当にそれはある、ただ構ってほしいもあるってだけで」
「思いっきり明け方触ってきたわよね」
「…はい、触りました」
「おっぱいは美味しかったでちゅか?」
「敏感乳首は甘美でございました」
「そう…」
「…」
「たまにはちゃんとオスとして仕事しなさいね、はいこの件おしまい」
えっ?えっ?のままその場では話が終わってしまったが
「さっきのお話の続きなんですけど…」
おおっとこれは、彼氏は逃がさないつもりだぞ。
しっかり退路を塞いで、こっちを見てるではないか!
「はっはっはっ」
「いや、冗談ではないよ、こういうのはさ」
未だにこの二人は夜はこんな感じであった。
「今晩は一緒にいてもいいか?」
「えっ?あの、その…ちょっと」
毎日がもどかしく恋をしている。

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