赤羽決亭@木東有稀 2020/10/16 18:55

【ノベル】フシギナパラダイス1話:〜不思議な道〜5/9

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「じゃあ先生、入学式の準備で職員室行くけど…何かあったら呼んでね」

「はい、ありがとうございます。」

そういうと先生は保健室を出て行った。
出血コブなし、でも体調不良ってわけじゃないし大丈夫そうだけど…
保健室じゃ精密な検査できないから、少し寝てなさいという指示があったので
お言葉に甘えてベットで横になることにした。

はぁ、まだ1日始まったばっかりなのに…どっと疲れた…
体感時間はなんかもっと長かったような気がする。
…まぁ、昨日の夕方から記憶が繋がってるんだから当然か

私は他にやることもないので、今朝の出来事を振り返る。

…やっぱ私の考えすぎだったのかな
冷静に考えたらそうだよね、道も神社も突然現れない。
私の記憶がおかしかっただけなんだよね…
これ以上変なこと言って、みんな困らせても行けないし…忘れよ。
あ、でもその前に…

私はポケットの中を弄る。
そこには透明の勾玉があった、さっき神社で会った少年の忘れ物。
あそこの神社が元からあったものなら、あそこに行けば会えるかな…
その時に返せばいいか。

…今頃みんな何してるのかな…クラスに入って、席の確認終わったくらいかな…
まぁ、それは後でいけばわかることだからいいけど…

あ、いけない…なんかだんだん眠たくなってきた。

そういえば、私自分の記憶では丸一日寝てないことになるんだよね。
寝たんだろうけど、寝た記憶がないって意味で。
…先生も、式の時間には呼びに来てくれるって言ってたし、
寝てもいいって言ってたし…入学式でどうせ校長先生の話で眠たくなるし…

少しだけ仮眠取ろうかな。

私はふわぁ…とあくびをすると、1分も経たないうちにスヤスヤと眠りに落ちた。

辺りは真っ暗になった。
当然だ、目を閉じているのだから。
体がなんだかとてもふわふわして…浮いている気分。
当然だ、ふかふかのベッドの上で気持ちよく眠っているんだから。

でも…このチリーンという音はなんだろう。
学校のチャイムではないような…
あぁ、でもこれも当然か…だって寝てるってことは夢なんだもん。

しばらくすると、どこからともなく声が聞こえてきた。
男性の声だ。

「ー、ーこ!」

必死に誰かの名前を呼んでいる…
知らない名前だけど…どうやら私のことらしい。

その声に、私はうっすら目を開ける。


誰だろうと必死に目を凝らすけど、視界がぼやけてよく見えない。
よくわからないけど…多分この声は…男の人。
成人前って感じかな…わかんないけど。

「ーで………ーーーたのに、ーーー、かってーーーー」

必死に何か言ってる、それだけはわかる。
でも、うまく聞き取ることはできなかった。
気がつくと、さっきまではふわふわと心地よかった体が、
ドーンと重くなり、指一本動かすのにすごく苦労した。

なんでだろうと、ゆっくりなんとか指を動かして、自分の体に触れた時
濡れていることに気がついた。

水?

…違う

…これは多分血だ。

なるほど…状況はわかった…
多分、今私は死にそうなんだろう。
だからこんなに体が重くていうこと聞かないんだ。

「ーーー」

相変わらず、相手は何かを言ってる。
でも、もう声を発する力もなくて…
次第にまた辺りは暗くなり、男性の声は聞こえなくなった。

それと同時に、さっきまでの重さはなくなり、
体が軽くなって自由も聞くようになった
どうやら、私は死んだらしい。

こんな夢を見るなんて…よっぽど疲れが溜まってるのか…
頭を打ったことで、体にストレスがかかっていたのか…
どっちにしろ、こんな夢を見るほど疲れてる自分の体をいたわったほうがよさそうだ。

しばらくそうしていると、
またチリーンという音が聞こえてきた。


ふと、音のする方向を見ると、そこには人影があった。
顔どころか姿も見えないけど…
彼女に対して懐かしさというか…親近感というか…既視感というか…
会うのは初めてなのに…とても不思議な感覚だった。

私はあなたは誰かと聞こうとした。
でも私は自分が声をかける前に、向こうから話しかけてきた。

「…もうすぐ」

「え?」

「…時は…きた。」

「…時って…なんの?」

「すぐに…わかるわ…」

そういうと、辺りはだんだん明るくなってその光とともにその人影は消えていく

「待って!」

その声も虚しく、相手には届かない…
そして…目が覚めた。

「…」

私は保健室の天井を見つめた。
夢?なんて聞かなくても、今のが夢であることは自覚できていた。
夢以外の何物でもあるはずがないのだから。

「変な夢だった。」

私は上半身を起こして時計を見ると、結構いい時間になっていることに気がついた。
もうあと少ししないうちに入学式が始まる。
先生まだきてないけど、そろそろ教室に行こうかな…
一応職員室に行って先生に声をかけて…

そんなことを頭で考えていると、突然ポケットが緑色に光り始めた。

「うわっ!な、なにこれ!?」

携帯?懐中電灯?そんな光るもの、私ポケットの中に入れてたっけ?
私は慌ててその光をなんとかしようとした。

ポケットから取り出した光っているそれは、
携帯でも懐中電灯でもなく、まさかの勾玉だった。

「え、これ、あの男の子のやつ…もしかして、これ光るおもちゃとかだったのかな?
どうしよう…もしかして壊しちゃった?大変!」

どのみちこのままにしておけないし、光を止めないと
そう思ってスイッチを探す、でもそんなものはどこにもない。
あたふたして数秒後…その勾玉から、すうっと光が消えた。

「…なんだったんだろう…」

とりあえずホッとしたのもつかの間。
今度は突然、ドーンという大きな音とともに学校が揺れた。
保健室内にある機材や棚、薬品などが賑やかにカタカタと音を鳴らして揺れている。
私はベッドからちょうど降りようとしていたところだったので、
体制を崩さないようベッドの手すりにつかまっていた。

「な、なに今の…地震?」

保健室内は幸いタンスが倒れることはなかったけど、
薬品や小物は倒れて散らばっていた。
結構大きな地震だった…震度いくつくらいだろう。
…余震もあるかもしれないし、ここにとどまっていても仕方ない。
避難指示は出るだろうけど、逃げる準備を…

バーン。

地震の後の行動について必死に考えていると、また大きな音が聞こえた。
でも、今度は揺れがない。
しかも音がさっきと違う…地震…というより、なんか爆発音みたいな…

でも…なんで爆発音なんか聞こえるんだろう、こんな平和な日本で…爆弾なんか…
私は保健室の窓から校庭のの様子を見た


砂埃だろうか、、、それとも霧だろうか、、、、
さっきまであんなに晴れていたはずなのに、あたりは薄暗くなっている上に
曇っていて何も見えない

いや、よく見ると中央あたりに人影が見える
なんか聞こえ続ける爆発音と連動しているようにみえる、
もしかして、あの人が、、、?

「あなた、大丈夫!?今の地震で怪我してない?」

いろいろ考えを巡らせていると、保健室の先生は慌てた様子で私を心配してくれた
とてもありがたいことだけど、今はそれどころではない

「せ、先生、警察を呼んでください!」

「ど、どうしたの急に」

「さっきのは地震じゃありません、校庭にいる人が爆だっんか何かdれ攻撃を!」

私は必死だった、なんとか先生に緊急事態を伝えないとと、、、
でも、先生はポカンとした表情を浮かべた

「、、、どうしたの?、、、もしかして、夢の話?」

「違います!校庭見てください!人がいるんです!」

先生はピンとこない顔だったので、私は窓まで引っ張って人影が見える方を指差して伝えた、でも先生はそれを見ても困惑を浮かべるだけだった

「うーん、、、酷い砂埃だから、私には見えないけど、、、なんかの影じゃない?」

「本当なんです!この爆発音の原因はぜったい、、、」

「爆発音?そんなの聞こえないけど」

「、、、え?」

そのセリフを聞いて今度は私が固まった
聞こえない?聞こえないってどう言うこと?

そんなに小さな爆発音じゃない、普通に聞こえる、耳を塞いでも振動でわかるくらいには、、、

なのに、、、なんで、、、

「、、、頭打ったのよね?、、、やっぱ念のためお医者様に、あ、ちょっと!?」

気づけば私は、保健室を飛び出していた

聞こえないなんて、、、ありえない

でも、じゃあなんで?

先生には聞こえないの?
それとも、、、


「あれ?ルイ、どこいくのさ!」

廊下を走っていると、心矢に呼び止められる
私は勢いを止められず、彼の目の前を通り過ぎてから体に急ブレーキをかけて顔を向ける

「心矢?どうしてここに?」

「様子どうかなと思って、保健室行こうとしてたんだよ、その様子なら大丈夫そうだね」

「うん、おかげさまで、、、心矢だけ?」

「そう、二人ともさっきから見当たらなくてさ、僕でごめんね」

「別にそれはいいけど、、、」

あ、そうだ、心矢に聞いてみれば解決じゃん
この爆発音が心矢にきこえるなら、先生が聞こえないだけ、、、
他の人に訴えれば、誰かが、、、大人が対応してくれるはず

「ねえ心矢!その地震の後から爆発音聞こえるよね?」

半ば同調圧力をあたえて聞く

これで心矢にも聞こえてれば、一緒に説得を、、、

「なに言ってるの?そんなの聞こえないよ?」

残念な事に、やっぱり聞こえるのは私だけ、、、
じゃあ、これは幻聴?
だったら気にすることはない、、、放っておけばいつか止まる。
少なくとも現実に何かおこおることはない、おかしいのは頭をぶつけた影響

でも、、、なんでだろう
すごい胸騒ぎがする、、、なんでかはわかんないけど、、、
放って置いてはいけない、、、そんな気が

「心矢、ありがとう、先戻ってて」

「どこいくのさ」

「ちょっと」

私はもう一度校庭に向かって走り出した、ちゃんと自分の目でなにが起きているのか確かめるために

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