25歳無職、彼氏居ない歴25年女vsイケイケ11歳意地悪妹

今日も今日とて、ネットとアプリで罵詈雑言をぶつけ合う。
現実世界では全く話せない私でも、ネットの世界なら饒舌なんだ。
部屋からは一歩も出たくない。
やっと学校に行かなくて良くなったんだから、残りの人生は孤独に静かに暮らしたいのだ。

私がレスバを楽しんでいると、明るい笑い声が隣の部屋から響いてくる。
母親が再婚して出来た、15歳近くも離れた妹だ。
ある日突然、一人っ子だった私の帝国に飛び込んできた侵略者。
おまけに、味方だと思っていた母まで寝返ってしまった。

「神も仏もないのか」と嘆いたのは言うまでもないだろう。
そんなわけで、部屋に籠り家族とは疎遠になっている。
しかし、向こうはそうではないらしい。
壁越しに聞こえてくる妹の話す内容は「無職、穀潰し、役立たず」といった感じの悪口ばかりだ。
どうやら私は嫌われているらしい。
まあ当然だろうな。
学校にもロクに行ってない引きこもりの姉なんて、両親にとっては恥ずかしくて仕方がないはずだ。
それでも両親は、毎日ご飯を作ってくれる。
部屋のドアの前に置いてあるご飯を頂こうとドアを開けると、そこには妹と母がいた。

「大事な話があるわ」
母は真剣な眼差しでそう言った。
「何? 私には話すことなんか何も無いけど?」
私は目を逸らし、早口で言う。
しかし、二人は怯むことなく話し出した。
「もう、この家には住めないの」
「はぁ!?」
思わず素っ頓狂な声を出してしまった。
「なんでよ!」
「お父さんの仕事の都合でね……お父さんとお母さん引っ越すことになったのよ。それで、せっかくだから家も売っちゃおうって」
「だからって急すぎるでしょ! この子の学校は?」
「それでね、この子のおばあちゃんの家に二人で引っ越してもらうことになったのよ」
母は申し訳なさそうな顔をしながら笑いながら言う。
「えーっと……つまりどういうこと?」
「あなたはこの子とこの子のおばあちゃんとド田舎で暮らすことになるの」
「はああああああ!!!!????」
再び大声で叫んでしまった。
「ちょっと待ってよ!! いきなり過ぎて意味分かんないんだけど!!」
「ごめんなさい。でも、もう決めたことだから🎶」
母は楽しそうに答える。

私が食い下がろうとすると妹が私の前に出てくる。
「あんたが黙ってたら済む話でしょ!おばあちゃんとこ行ったら、農業の仕事手伝うんだからね!働かざるもの食うべからずだよ!」
「私が…労働を…?」
思わず目がシロクロする。
「あんたさ、何か勘違いしてるかもしれないけど、私はあんたのこと嫌いじゃないんだよ?お姉さん欲しいって思ってたし。だからさ、これを機会に大人になって、社会復帰して、立派なお姉ちゃんになってよ!よろしくね!」
妹は笑顔で語りかけてきた。
「…………」
言葉が出なかった。
そして、次の瞬間―――
「無理ゃあああ!!!!!」
私は泣き叫びながら部屋へと逃げ込んだ。
ベッドの上で枕に顔を押し付け、「イヤイヤ」と駄々をこねる子供のように頭を振った。
そして私は、妹と一緒に強○的に実家を追い出されたのである。

翌日。

私は妹と一緒に何時間も電車に揺られ、見知らぬ山の中のボロ屋敷に辿り着いた。
築100年は経っているであろう木造建築で、とても人が住んでいるとは思えないほど古ぼけていた。
庭には雑草が伸び放題だし、壁にもヒビが見えてちょっとした幽霊屋敷。
本当にこんなところに人がいるのか疑ってしまうほどだった。
「ここに住んでるのはね、私の母方の祖母なの。今は一人暮らしだけど、昔は息子夫婦と同居してたんだって。結構いい人だったらしいけど、数年前に病気で亡くなっちゃったみたい」
妹は慣れた様子で玄関の戸をガラガラと開ける。
中に入りおばあちゃんという人間に挨拶をする。白髪頭のお婆さんだ。
「おお、よく来たねぇ。ささ、上がってちょうだい。狭いところだけど、ゆっくりしていってな」
おばあちゃんは優しげな口調で言う。
私は早速おばあちゃんに大事な質問をする。
「おばあちゃん!Wi-Fi繋げて!有線でもいいです!」
しかし、返ってきた答えは残酷だった。
「そんなもんないよ」
「えっ……」
「この村、ネット環境ないの。ケーブルすら引いてないんだから」
その言葉を聞いた瞬間に私の眼の前は真っ暗になった。
これから、ネット無しで生きていく…

ふて寝をしていたらすぐに夕方になった。
するとおばあちゃんは台所に立ち、晩御飯の準備を始める。
私は起き上がり、それを手伝う。
1日中家に引きこもり続けてきた私だが野菜を洗うくらいなら出来る。
自分の出来る事だけはして、やりたくないことはしない。
これが私の性格なのだ。
ふと見ると妹がスマホを触っているのが見えた…私も持っていないのに?
「それ…!スマホ!なんであんたが持ってんのよ!!」
「え、お母さんが外は危ないからっていうから貰った」
妹は何でもないような顔で言う。
「私、まだ貰えないのに!?」
「お姉は家から出ないからいらないじゃん。バカみたいに高いパソコンあるんだし。お母さんは心配性なんだよねー」
妹はそう言いながらスマホを操作し続ける。
「あと、お姉がちゃんと社会復帰できるか、毎日夜に報告するのも私の仕事なんだよね。」

私は理解した。

母は私が妹よりも劣っていると思っていて、年長者として見てもらえていないということを、妹からの仕打ちによって気付かされたのだ。
この時私は、この田舎生活で立派に心を入れ替え、完璧な姉になり、母からスマホを買ってもらうことを決意した。

「妹…私の活躍、ちゃんと母に報告してよ?」
ドヤ顔で指差し、私は自室へ移動した。

「こら、今日は朝6時に起きて草抜きだって言われてたでしょ!」
妹の大きな声で意識が覚醒する。
24時前に眠りについたのは何年ぶりだろうか…いつの間にか私は眠りについていたようだ。
目を擦りながら身体を起こそうとする。

が、そこで自分の布団の中で起きている違和感に気がついた。
(なんか…湿ってるというか…濡れてる?…汗にしてはやたらと水っぽいというか…)
私は毛布を被ったまま、右手をおしりの方へ持っていく。

そこには予想通り「何か」があった。
恐る恐る股間を触ると、案の定、ベッタリとした感触があった。
「えーっと……」
状況を理解しようと思考を巡らせる。
まず、昨日の記憶を思い起こす。
確かおばあちゃんに出されたスイカをいっぱい食べて、夜寝て、深夜に軽い尿意で目が冷めて、我慢できそうだったからまた寝て…
そして今に至る。

(マズい…おねしょなんてずっとしてなかったから油断した…こんな失態、妹だけにはばれるわけにはいかない…!)
私は布団の中で思考をフル回転させる。
まずは、なんとか妹を追い出さなければ!
「お姉!もう6時過ぎだよ!早くしないと!」
妹は私の枕元で上から大声で言う。
「ちょ、ちょっと待って!すぐ行くから!部屋から出ていってくれる?」
私が慌てて言うと妹は変な表情をする。
「なんで女同士で、しかも姉妹なのにそんな事気にするのよ…あれ…何…この変な匂い…?」

妹がスンスンと匂いを嗅ぐ
マズい…!私は焦って妹を部屋から追い出すために必死に説得を試みる。
「ごめん!ちょっと部屋の中に用事があって!」
「何意味わかんないこと言ってんの、ってゆうか、この匂い…?お姉まさか……?」
「違うよ!全然違うから!とりあえず出てって!お願いだから!!」
「はぁ!?何が違うのよ!もう絶対そうじゃん!」
妹が私の毛布に手をかける。

「ち・が・うー!」
私は両手両足で毛布を必死に抑え込む。
「じゃあ見せてみなさいよ!!」
妹は私の掛けていた毛布を剥ぎ取った。
「やゃあああ!」
静かな田舎の朝に私の悲鳴が響き渡った。
それから数分後―
おばあちゃんが部屋に入ってきた。
「おはよう。ご飯食べようか。おや、どうしたんだい?その格好は」
私は上半身パジャマ下半身にタオルケットを巻いて、布団の横で正座をしている。


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