カスカナ文庫 2023/06/27 16:51

【AI/技術解説】現段階のイラスト制作過程

Ci-enでの画像生成の利用は、「サークルの活動の主体が「生成」に依存しているか」で許容されるかどうかが決まるそうです。(AI生成コンテンツの投稿制限について

実際にはこの「依存」が何を指すのか曖昧ですが(これは定義しきれないので仕方がない)、先月の解説記事は注意されていないので、単純な生成でないなら、許容されるようです。

そういうわけで、私なりに「画像生成AIは使用していても、その依存度は低い」ことを示すためのアリバイ工作として、定期的に現段階の作業工程を残しておきます。

1. VRoidStudioでキャラを作成

3Dアバターを作成するVRoidStudioを使って、キャラクターを作成します。

細部まで作り込んでも、AIによる加筆段階で消えてしまうので、むしろ余計な要素を省くようにテクスチャを調整します。(今回は最終的に脱がせていますが)

前は巨乳の女の子だったので、今回の娘はお胸を控えめにしておきます。

2. VRM Doll Playerでポーズを作成

VRoidStudioでもポーズの指定はできるのですが、とても使いにくいので、別のソフトでポーズを取らせます。

最終結果を見ると分かる通り、ここで取らせたポーズがほぼそのまま適用されるので慎重に操作します。

ポーズを設定できたら単純にスクリーンショットとして書き出します。

3. 画像編集ソフトで画像を調整

上で書き出した画像をAIにかける前に調整します。

3Dモデルは動かすためのものなので、2Dの静止画になると不自然な点が目立ちます。このままAIにかけると、余計な情報が伝わってしまうので、今の段階で修正しておきます。

例えば、肘や膝には点状の輪郭線が残っていますが、これがほくろと認識されたりします。同様に、肩にある不自然な光沢は精液判定になりますね。

逆に性器部分もこれくらい単純な記号で問題ありません。

4. StableDiffusionで細部を書き込み

元画像をAI(StableDiffusion)にかけて、一気に描き込んでいきます。

見ての通り、指先が簡単に崩れ去ります。
AIが苦手な部分として有名ですね。

他には顔の角度や表情が少し無難なものに補正されてしまっています。AIは学習量の少ない特殊な構図がとても苦手なので、どんなものでも上手く生成してくれるわけではありません。

5. 画像編集ソフトで加筆修正

指を中心に、不自然な箇所を加筆修正します。

直接描かない場合は、自然なものが出るまで、部分的な生成ガチャを繰り返すことになりますが、いつ終わるかわからないというのは想像以上のストレスです。

自分で描けるなら直接描き込んでしまった方が早いです。

6. 追加要素を書き込み

構図次第ですが、男性器などは3Dモデルではなく直接書き込む方が簡単です。

実際に男モデルを自然な形で配置すると女の子が全く見えなくなるので、上手くやらないと邪魔なだけです。半透明化は特殊すぎてAIがうまく認識できません。

念の為モザイクをかけていますが、実際に書き込んでいるのは茶色い円筒形の物体です。平面上の長方形でも認識されるかもしれません。わかりやすい位置にある、わかりやすい物体なら、それくらい適当でもAIは認識してくれます。

6. AIと画像編集ソフトで背景を削除

背景は使い方次第ですが、今回の場合はゲーム画面をそのまま背景として使う形式にしたいので、背景を削除して透過させます。

AIはどの部分が背景かを認識してくれるので、おおよその部分を自動で透過してくれます。あとは残った不自然な箇所を手で調整して人物だけ切り出します。(今回は記事用の画像なので完璧に除去し切っていません)

7. ゲームに画像を組み込み

最後に画像をゲーム用の大きさに調整して、ゲームに組み込みます。

これで普段よく見るゲーム画面になりました。

3Dモデルとポーズのデータが作成済みで、指問題を上手く回避できれば、おそらく30分以内で安定して作れますね。今回の場合は挿入前後の差分がついでに出来上がっています。

普通の画像生成はランダム要素が強い

画像生成は一瞬でイラストが作れて便利だと思われるかもしれません。実際にはランダム要素がとても強く、狙ったイラスト、特に同一人物を生成するのはかなり難しいです。

生成のみで狙ったキャラと構図を出そうとすると、いつ終わるかわからない無限ガチャ地獄に陥るので、仮に生成だけでも、それはそれでで苦労があります。

ControlNetという新技術により、おおよそのポーズを取らせることができるにしても、細部までは指定できず、依然としてガチャ要素が残り続けています。

AIには一部の工程だけを担当させることでランダム性を減らす

今回のような手法を取ることで、可能な限りランダム要素を省くことができるようになりました。より手間がかかっているように見えるかもしれませんが、少なくとも私の場合は、このやり方の方がイラスト作成にかかる時間の期待値を大幅に減らすことができます。

この手法では、全て生成AIに依存したイラストではなく、AIはあくまでも細部の書き込み部分を担当しているだけであり、依然として人間である私が作画監督として全体の工程を制御しています。そのためAIへの依存度が低い、という理屈になりますが、さて、どうでしょうか。

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