パータ 2020/05/12 19:06

貞操観念逆転世界観

前回の記事、「キーワード分析:欲望と願望」の続きです。

貞操観念とは

極端に言えば、「女性が異性との関わりについて純潔、つまり配偶者以外との交わりをしないことで道徳的な価値を守らせる」という考えです。
起源がわかりませんが、主に女性に強く求められる価値観のようです。昔からそう決められています。

しかしこの考えがあるから恥じらいが生じ、またその禁忌を破ることに興奮を覚えるのだと思います。

性的コンテンツにとって非常に重要な意識です。
少なからず「恥じらい」や「いけないこと」という感情を抱くことが「エロい」ということなのかもしれません。

なので貞操観念を逆転させる場合、考えそのものを反転させてしまうと、「エロい」という感情そのものが崩壊してしまうと思います。


どのように逆転させるかを考える

前回の記事から分かるように、女性の意思に寄り添うことが重要です。
女性が男性に何を求めるかを考える必要があります。
もしかすると男性の性的価値観とは全く異なる別の観点からアプローチする必要があるのかもしれません。

乙女向けのジャンル

DLsiteの乙女向け詳細検索から、女性がどのようなことを男性に求めているかを探りたいと思います。

ジャンル全体を見た印象は、キーワードが少ないものの、男性向けと同じ単語が多く並んでいます。
これを見る限り、貞操観念から生じる「エロい」という考え自体は男性と一致していると感じました。
男性の欲望・願望の対象とされ、羞恥・凌○されることに、女性は嫌悪感を抱いていると私は考えていたのですが、一概にそうとは言えないのかもしれません。


その中でも注目すべきは、最も男性と異なるキーワードが並んでいるジャンルの「キャラクター/衣装」です。
このジャンルでは、女性の好みが強く反映されたキーワードが多く見受けられました。


男性向けのほうは、主に女性の衣装や見た目などの外見を特定する単語が多いのに対し、女性向けでは男性の職業や立場関係を表した役柄や、男性向けでは全く見受けなかった「受け」「攻め」といったキャラクターの性格を表した単語が多く並んでいます。

このことから女性向け作品には、キャラクター性が重視されているようです。


乙女向けキーワード分析

「キャラクター/服装」のジャンルにあるキーワードを「性格」「見た目」「続柄」「役職」で分類してみました。
比較のため男性向けも同様に分類しました。


性格
感情や意思を表したキーワード。(ツンデレ、天然、〇〇受け/攻めなど)
見た目
容姿や服装を表したキーワード。(メガネ、制服、ガテン系など)
続柄
身近な関係を表したキーワード。(兄、同級生、後輩など)
役職
社会的な属性を表したキーワード。(サラリーマン、社長、執事など)

キーワードの数は男性向け85、乙女向け63でした。
約2割ほど男性のキーワード数が多いものの、「続柄」と「役職」に関するキーワードの割合はほとんど同じでした。
それに対し、乙女向けの「性格」に関わるキーワードは男性向けの3倍以上であることがわります。
その分、男性向けには「見た目」に関するキーワードが多く占めており、半分以上が「見た目」に関するキーワードです。


結論

このことから、男性は女性の見た目を重視し、女性は男性の性格を重視していることがわかります。
男性ほど「エロい」という表現を具体的に表現することは求められておらず、その前提となる「続柄」や「役職」も合わせたキャラクターの詳細な情報を具体的に開示することが求められているように思います。

つまり貞操観念逆転世界観とは、単純に女性の貞操観念観念が緩んだり、女性の理想のまま従うことではなく、男性は自身の願望を叶えてくれる・与えてくれる女性が求める「人物像」に寄り添う概念を追加することなのでは…と考えます。

そうすることで既存の「エロい」という概念を損なわずに、お互いの性的な欲求と理想を等価で満たし合うことができる世界観を創ることができると思います。

まとめると、
「男性は女性の理想の人物像に寄り添う」
という観念が社会通念となっている世界観が貞操観念逆転ということにしたいと思います。



次回、さらに乙女向けジャンル「キャラクター/衣装」から理想の男性像を考えていきたいと思います。

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