ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 28話の感想
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 28話 の感想ですよー。
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 Vol.5 (17~20話/初回仕様版) Blu-ray
小野賢章
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2019-05-15
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風
「今にも落ちて来そうな空の下で」
ファンの期待に真正面からスタッフが応えてくれました。
悲しくて、切なくて、熱いものが胸いっぱいに広がって……
ああ、幸せだ。
リゾットの覚悟と執念、凄まじいものでしたが、やっぱりキングクリムゾンは強い。
体を押さえつけて死亡レベルの攻撃を加えても、完全無効化されるとは。
ただ、この期に及んでリゾットの覚悟の方向性も読めないところに、力で抑え付けられたものの心が分からないところが、ボスの欠点なのじゃないかな。
アバッキオを残して探索するブチャラティの判断は…
もし有るとすれば、ジョルノたちの到着を待たずアバッキオを一人にしたこと、ボスの証拠がある故郷なので親衛隊さえ呼べなかった(私予想)ことを読めなかったこと、ですが、結果論ですよね。
もう一つ、アバッキオが生来の良き兄貴っぷりを取り戻して、子供達に気軽に手助けしてしまたこと、これが一番の失敗かもしれませんが、これはブチャラティの"正しい選択"に付いて来たからだと思えるのです。
一瞬の交差で失われる命。
アバッキオの表情が目まぐるしく変化して。
この数秒、驚き、考え、理解して、後悔し、その先を選び、託したのでしょう。
ブチャラティに、そしてずっと厳しく当たっていたジョルノに。
ナランチャは良い子で、そしてブチャラティたちもその慌てっぷりを最後まで怒らなかったのは、自分たちも泣き出したくて、それを代わりにしてくれたから、なように思えます。
もう滅多に感情を見せないジョルノすら「アバッキオともあろう者が……!」に悔しさが満ち満ちて。
死者の国の食べ物を口にするということは、もうその国の民になるということ。
もうこの時点で、ジョルノは間に合わなかったのでしょう。
虚飾を脱ぎ捨てたアバッキオは、真面目で、不器用で、ずっと自分を諦めていて、それでも捨てられなくて。
その弱さが愛おしく、それでも最後まで貫いた覚悟が、何より真実へ向かう信念が、相棒の警官の記憶と色とともに光が差して。
初期から丁寧に丁寧に描かれていたアバッキオの、過去の無念と悔恨と、その奥底に溢れる正義を求める心が、
アバッキオ自身ももう叶えられることはないだろうと思っていたその想いが、誰でもない相棒に認められた、救われた。
アバッキオは生き直せたのだと、そう思えるのです。
「真実」とはボスの正体ではなく、正しく生きたい、自分らしく生きたい、そんな願いが叶えられなかったブチャラティ、アバッキオ、ナランチャ、ミスタたちの心の中の「真実」なのだと、今回でやっと気付けた気がします。
重く吸い込まれそうな空の下。
その死に捧げられたかのように生い茂る黄色い花。
Twitter情報ですが、ルドベキアに見えるそうで、花言葉は「正義」「公平」「あなたを見つめる」なのですね。
元相棒の警官役、野瀬育二さん。
静かな言葉の中に揺るぎない信念と優しさに救われる、素晴らしい演技でした。
キャスト紹介でアバッキオがトップでしたが、次に彼を置いて欲しかったぐらいです。
男たちの執念、野望、覚悟、そして生き様が静かに、熱く。
最高の時間でした……