ぶるがり屋 2020/09/02 22:56

フルーツバスケット 2期18話の感想

フルーツバスケット 2nd season 18話(計43話)
「キスしよっか」 の感想です。


フルーツバスケット 2nd season Vol.3 BD Blu-ray
井端義秀 (監督), 石見舞菜香 (出演), 島崎信長 (出演), 内田雄馬 (出演)
エイベックス・ピクチャーズ
2020/9/25

フルーツバスケット

 今まで物語の影で孤独に動いていた依鈴の目的と理由、その半生。
…重い。
重苦しいが過ぎる。

 幸せは壊れ、願いは踏みにじられ、たった一つ叶った恋も呪いに塗り潰されて。
潑春が死のうかといった時以外、今までやさぐれていた依鈴しか見ていませんでしたが、今の依鈴はやつれ今にも壊れそうで、家庭が壊れる前は本当に無垢な子供で、あきとに落とされる前までも儚げないたいけな少女で。
変わってしまった、無理を押しているのだと、誰もが分かる痛々しさで。
こんなの、潑春じゃなくても、燈路も楽羅も、よく知らない由希だって心配しますよ。

 過去、壊れた家庭にそれでも願う依鈴の叫びも涙も痛々しく。
依鈴の両親が大罪を犯し悔いてもいない、依鈴の気持ちも考えず残酷な言葉を吐き続けたのは間違いない事実なのですが、あの時点ではもう心が壊れて尽くしていますからね…
 今はまともに見える楽羅の母も随分と過保護だったと聞いた覚えがありますし(間違いだったらすみません!)、天然で優しさの塊な燈路ママを除くと、由希ママの感受性の乏しさは、反対に良かった方なのだなぁ、と思えます。

 依鈴と潑春。
いきなりの事後シーンで驚きましたが、そこへ繋がる2人の絆。
依鈴を守り依鈴の代わりに怒る潑春と、自分でも気づけなかった痛みに寄り添ってくれる潑春に救われる依鈴。
潑春の恥ずかしいほどに真っ直ぐな、受け止めざるを得ない愛が、傷だらけの依鈴を包んで癒していく様が熱くて。
だからこそ、その救いを壊すあきとの残酷さも傷口を見抜いて拡げる悪辣さも。
自分を捨てても潑春の幸せばかり願う依鈴の独白も。
うう、全てが…重い…。

 ただ、潑春は優しくて依鈴も由希も夾も紅葉も杞紗も、きっともっと皆大好きだから、大好きな人から離れないで。
依鈴が願うように自由にはならず、大好きな人たちの為に頑張るのじゃないかな。
そして、一番大好きなのはずっと依鈴で。

 そんな、一人闇へ落ちていくばかりだった依鈴を。
抱き止める、見守る透くんの、優しく力強い姿よ…!
もうこれで大丈夫、依鈴が救われると確信できましたからね!
ありがとう透くん、ありがとう30分にここまでまとめてくれた脚本!
 他にも草摩唯一の優しい大人・藉真師匠の存在と、自分勝手から成長して他人を思いやれるようになってきた燈路くんにも、ほっと優しい気持ちになれましたよ。

 無垢な子供、愛を求めるいたいけな少女、周りを傷つけてしまう傷だらけのミステリアスな美少女。
依鈴役の豊崎愛生さん、心に刺さる、名演でした。



(以下ネタバレ注意!)



 原作読了で全部の流れや目的が分かっていると今回は色々考えさせられますね。
潑春が傷ついた依鈴と出会ったのは、夾や由希と触れ合った後なので、噂や見た目ではなく、他人を客観的でそのままに見るようになっていたり。
きっとこの依鈴を救えたのもあって潑春は由希を救いたいけど、依鈴はそんな事知らないから潑春に大事なされる由希が憎かったり(笑

 まだ何も知らない依鈴を褒めたのは楝さんでしたか…
確かに見た目も長い髪も、重い愛も依存度も似てますね(笑
依鈴がもし「潑春が自分に優しかったのは愛じゃなくて違う理由」かもと誤解しちゃったら、同じぐらい狂ったのじゃないかな。
 完全にとばっちりで八つ当たりですが、あきとが依鈴を嫌い、虐めるのに快感を覚えるのも納得しちゃいます。
いや悪いことなのだけど!

 依鈴の願いを断る紫呉、依鈴が思うようにはぐらかしに聞こえますが、紫呉にしてはかなり真実で本心なのですよね。
依鈴に無理をさせていると恥じ、自分の無力とあきとに愛され信頼されていないこと、性格の悪さを自嘲して。
 この時点だと紅野が十二支の呪いが解けていることも可能性程度しか把握してないでしょうし、唯一の証拠もおぼろげな「きっとこの代で十二支の呪いは終わる」という予感だけ。
 きっとこれまで何年も、様々に掛けて、叶わないで。
本当に引っ掻き回して解ける可能性を増やすことしか出来ないのだろうなぁ…

(ネタバレ終了)

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