ぶるがり屋 2022/10/03 00:30

鎌倉殿の13人 38話 の感想

鎌倉殿の13人 38話
「時を継ぐ者」の感想です。


見逃し・同時配信 - 鎌倉殿の13人 - NHK

【作】三谷幸喜
【音楽】エバン・コール
【出演】小栗旬、新垣結衣、菅田将暉、小池栄子、片岡愛之助/坂東彌十郎、宮沢りえ、大泉洋、西田敏行 ほか
(C)NHK

鎌倉殿の13人

 鎌倉幕府二代目執権、北条義時誕生
ついに、ついにここまで来てしまいましたね……。
でも、思っていた虚無の魔王誕生より、はるかに人間らしい誕生でした。

初代執権、北条時政

 ああ、やっぱり孫の源実朝を傷つけられないし、何より妻・りくが大事で大好きで、敵対しても義時を息子として愛していたんだなぁ。
みんな大好きで、それでもやっぱり一番はりくで。
りくを喜ばす為に鎌倉の頂点を奪って、りくを止める為に死を選ぶんだ。
同時に、「自分が死ぬと見せればりくは止まってくれる」とも考えているのですよね。
合っているけど、切ないけれど、まぁ良い夫婦ですよ。

 ホトトギスのくだりは、時政が言葉に詰まって絞り出した下手な話であり、すれ違いと未来の家族の話でもあった。
そんな風に感じました。

 疲れ切った老人が、男の顔侍の顔になり、夫の顔になり、晴れ晴れとした上人の顔に、そして父の顔になり、舞台を去る。
生き様そのものが顔を深く彩る。
素敵な、寂しくも晴れ晴れしい終幕でした。

北条家の別れ

 泣いて恨んで、笑顔での別れ。
こういうの、こういう別れが良いよ、権力闘争で追いやられても、死なないで舞台から去って行ってくれ……!
同士の戦友の幼馴染の殺し合いは嫌なんだよーッ!!!!

史実なので言っても仕方ないのですが、気持ち的には切実です。

 一度は殺し合う状態になっても、語らう時は家族のままで。
いや、権力の座から転げ落ちたからこそ、ただの家族として語り、笑い、そして憎しみも野望も正直に託せたのでしょう。

 りく政子実衣の語らいは何処を取っても最高でしたが、実衣がみすぼらしいりくを見たくないと、華やかな母をりくらしさと愛していたこと。
そして見事にりくも華やかに自分を飾って見せたことが本当に最高でした。
 また、殺されかけたと分かって野望と責任を託す姿も美しい、
いやぁ、本当に格好良いよりくさん。
 喧嘩して、嫌って、愚痴を言って、笑い合って、愛し合っているんだ。
家族だから。

 やっと昔の、"口喧嘩とトラブルばかりの仲良い北条一家"に戻った気がします。
ああ、本当に、本当に遠くへ来てしまったんだなぁ。

 死罪にならなかったのは、敵味方が同族だったのも大きいでしょうけど、殺さなければいけない対抗勢力がなくなってきて、権力が安定してきたのも有るようにも思います。
そして何より、北条義時が父を殺す正しさを見せ、北条政子が父を許してと土下座して情に縋った。
この両輪ならばと許したようにも思えます。
 文官勢が意見を違えながらも流罪にまとめたのは、きっとだからなのだと。

誕生、執権北条義時

 キービジュアルの通り、真っ黒な衣装に身を包んだ
執権 北条義時が、誕生した。
多くの者たちを看取り、見殺し、殺し、追放して。
多くの者たちの願いを、無念を、憎悪を、そして彼らへの悔恨まで背負って、真っ黒に染まって。
奪うでなく君臨するでなく、深い闇と暴力の檻に、独り残った。
背負ったものがあまりに重たくて、過酷に苛烈に進むだろう、義時は。

 でもちょっとだけ、私は嬉しく思っているのです。
時政パパを殺すでなく、涙ながらの別れとなって、ギリギリのところで虚無の魔王に墜ちずに済んだのだと。
大好きな父を看取ることが出来ないと、操作せた父が憎いと視線を泳がせ、涙をこぼし続けた義時が。
片田舎の不器用で心優しい青年、小四郎が。
柔らかい心をまだ保ったまま、支えられて望まれて執権になったことが。
嬉しいのです。

 そして同時に、後鳥羽上皇に意識され、名を覚えられる。
北条義時最大の戦いが、始まってしまう。

新政権の始まりと

 ついに権力を握った、握ってしまった主人公・北条義時。
阿野時元や長沼宗政の存在が不穏ですし、情を切り捨てる義時だからこそ、今まで義時を担いで来た武士たちには不満が出るように感じます。
ただそれでもきっと、義時の統率と政子の情け、この両輪が鎌倉時代をつなげていくだろう、そう思えるのです。

鎌倉殿の13人と北条義時

 主家を断絶、父追放、天皇・朝廷政権の打倒。
こう考えると、まぁ不義不道徳の暴君ですね(笑
ただどう考えても武力と血統以外で御家人たちに支持された訳で、その人間性も確かだったのでしょう。

 この複雑で恐ろしい時代を、生き抜いた人間たちを、見せてくれたことに感謝です。
まだ1/4残ってますが!
これはちょっと怖く思っています(笑

今週の三浦義村

 今回は主人公、執権北条義時の誕生回であり、三浦義村劇場でもありました。
時政和田どのを振り回して、死神の鎌トウを翻弄して、義時を執権の座につける。
 特にね、トウとの戦いとかもー、
三浦義村があんまりに三浦義村で笑うしかないでしょ!
 今までの描写から
八重>>>りく>>巴>それ以外
が好みだったと思うのだけど、そうすると「芯の強い、気の強い女」が好みだよね。
そりゃトウが好みだわ(笑
トウを目で追う笑顔の義村らしさよ!
この三浦義村ァ!

北条と三浦

 最後の執権就任の小芝居も見事な息の合いっぷりでしたが、私は北条泰時と初の夫婦の中の方が心ときめきました。
あまりに思い闇を担いだ父・義時を理解できず苦しむあまりに真っ直ぐな泰時と、その視野の狭さをしっかりと叱って説ける初の、愛と知恵の深さよ。
3代続く、しっかりと支え合う絆、でも少しづつ違う絆。
ええなぁ。

他、ちょこちょこ。

 和田義盛殿の「難しいこと分かんねぇ」レベルが上がっている…!?
「りくさん千客万来で殺せない」「承知つかまつった→忘れたのか」が今回ベストコントでした(笑

 おかげで源実朝様の有能さ、優しさ、正しさが燦然と輝いてました(笑
これから千代様との仲も深まるようで、何よりですよ。
報われて… 報われて欲しい……!

 八田知家どの、今回も色気ムンムン格好良過ぎる。
泰時に説いて、義時に殺せと唆して、時政を助ける。
いやホントちょっと格好良過ぎますよ。
なんだその色気。惚れる。

 大江広元、二階堂行政、三善康信。
文官3人の、刑と政子&義時への接し方が、各々人柄、正しさと優しさを感じて和みます。
好きですよ、3人とも。

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