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人妻の記事 (5)

ももえもじ 2024/05/02 00:21

職場で交際発表した途端に、嫉妬深い30人の同僚たちが一変した

プロローグ


 十年振りの男女交際は唐突だった。
 やはり、恋愛に於いて共通点が多いのは重要らしい。高校の同窓会で久しぶりに再会したかと思えば、その日の内に盛り上がり、彼と関係を結んでしまったのだ。
 お酒を飲みながら、高校時代の回顧である。センチな想いを極めていたようだ。
 お互いに「いい歳」なのも理由かもしれない。理想は理想でしかなく、現実的に存在する彼を手に取り、今日も互いに貪り合っていた。
「翠歌ッ、翠歌ッ、んちゅっ、んっ、ぢゅっ、翠歌ッ……!!」
「ひゃぁああっ、そ、それ、最高……巡くん……も、もっとお願い……」
「翠歌は、ホント耳舐められるの好きだな~、んちゅっ、ぢゅっ、ぢゅくっ❤」
「ひぁぁあぁああ……脳みそ掻き回されてるみたいで……幸せなの……!!」
「いくらでもやってあげるけど、手ぇ止まってるよ。俺もう限界だからさ」
「ん、んん……ごめん、巡くんの……凄くドロドロに……ガマン汁が……」
「あぁあ、イクッ、そろそろ出すよっ……!!」
「うん……私も……」
「あぁあっ、あぁああああああッ!!」
「んっ、ひゃぁあああああああッ!!」
 耳元から脳へと直接伝わる、巡くんの断末魔。同時に、私の太腿へと熱い感触が這う。巡くんが絶頂に至ったらしく、宛がわれた亀頭から白濁が満ちていた。
 私も、呼吸を合わせてオーガズムを得る。耳を蹂躙されながら、右手で巡くんを慰撫しつつ、左手で陰核を擦り上げていく。じわりと染みるような快感が昇華していった。
「はあ、はあ、はあ……」
「翠歌……気持ち良かった?」
「え、う、うん。良かったよ。耳舐められるの好きだから。巡くんは?」
「最高だよ。マジで一日中ヤッてたいわ。という訳で今度は俺が下な?」
「ええ~、出したばっかなのに凄いなあ。でもこれから買い物に行くんだよね?」
「なんか買い物はいいや。もっと続きしてたいんだけど、ダメかな……?」
「ん……良いよ。じゃあ、巡くんの……お願い」
「よっし。いやあ、エッチだなぁ~。流石は俺のお嫁さんだぁ」
「……あはは」
 三十代も中盤に拘わらず、二人して男女経験が豊富という訳では無かった。
 私が十年振りな上に、巡くんに至っては私が初めてだったのだ。
 休日なのを良いことに昼間から肉体を交える様子は、まさに思春期の男女である。それ以上かもしれない。これまで抑圧してきた性欲が一気に暴発した感じだ。
 まるで不足した思い出を補うように……必死で異性の肉体を味わい続けていた。
「仕事の調子はどう?」
「えっ!? あぁー、まあ。順調だよ。大きなプロジェクトが終わったから、やっと一息吐けるって所かな。だから、これからは定時で帰れるよ」
「言い寄られたりしてない?」
「あはは、そんなことないってば……」
 余韻に浸る中で巡くんが仕事の話を振る。私は「またか」と内心で溜息を吐いた。
 私は、大手企業の開発部に属している。技術課は私以外の全員が男性だった。
 三十二人が所属する中で三十一人が男性という。女性は、私一人だけ……女性の技術者って珍しいなと、巡くんに突かれて思わず答えてしまったのだ。
 いま考えれば、そんな内情まで話さなくても良かったと思う。
 巡くんは、思いの外に嫉妬深かった。
「そんな男しか居ない職場でホントに言い寄られたりしてないの?」
「当たり前じゃん」
「若い奴らばっかりなんだろ?」
「でも二十代の子は、私のことなんてオバサンくらいにしか思ってないから」
「ホントかよ」
「十年以上も勤めて、そんなの一回も無かった訳だし。私なんか拾ってくれるのは、この世で巡くんくらいなもんだよ?」
「へへ、そっか。じゃ、俺だけのお嫁さんだな」
「あはは」
 ところで……最近は、よく巡くんの口から「お嫁さん」という単語が出てくる。
巡くんも私も、もうすぐ35歳だ。
 巡くんは考えているのかもしれない。私との将来を……
「…………」
 別に不満は無い。寧ろ、私も望む所だ。
 きっと、巡くんを逃したら、もう私に婚期は訪れないと思う。
 巡くんは良いヒトだし、なにより一途だ。私なんかには勿体ないくらい良いヒト。
 ただ……時々、高圧的になる所が玉に瑕である。
 始めの頃は優しくて、寧ろ温和だった。
 日を重ねるに連れて少しずつ口うるさくなったというか……良いんだけども。
 また、私自身ちょっと自己嫌悪に苛まれることがある。心のモヤモヤ……
 間もなく私は三十五歳。もっと、いっぱい恋愛しておけば良かったなあ……
 二十代の頃は本当に無気力で……なんで、なにもしてこなかったのかなぁ……
 と、たま~に思う日があった。
 でも別に良い。巡くんと、これから幸せを作っていけば良いのだ。
 この時は、本心からそう思っていた。

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ももえもじ 2023/01/19 00:52

人妻AVデビュー2

 あらすじ


 松浦 紗友里(まつうら さゆり)
 子持ちの人妻でありながら、裏で多額の借金を抱えていた。
 借金の事実を夫にも打ち明けられず、一人で苦しんでいた際に見つけた求人がインディーズのAV女優である。AV会社による撮影ではなく、飽くまで個人の撮影であり、不安になりながらも紗友里は迷走の果てに応募した。

 ……撮影は大成功だった。
 作品が空前絶後のヒットに達すると、紗友里は瞬く間にアンダーグラウンドの姫として狂い咲く。突出した美人でなければ、36歳の人妻らしいぽっちゃりの紗友里であるも、その凡な潜在性が無量の男を魅了したのだった。
 それは、まるで邪悪な性の神に呪われたように……
 経験の無い童貞も、生業としたAV男優さえも、紗友里を渇望するに至った。
 モテ期というには、あまりに大規模なハーレムだろう。ファンとのセックスを企画とした感謝祭では、紗友里との交配を熱望した輩が何十人と集まり、一人の女を巡って争う乱痴気祭りが勃発した。

 36歳の人妻から放たれる魔的な魅力には、女性の経験が豊富な遊び人さえも一途にさせるチカラがあり、誰彼が紗友里へと依存したのだ。
 紗友里もまた、全身で味わう男達の愛情に絆されては、脳裏でチラついていた旦那の存在を蚊帳の外へと放り、【性】へと骨を埋めてしまう。大勢に愛される快感に、どっぷり溺れた瞬間だった。

 それからの紗友里は、家庭を持つ身でありながら、遅咲きの性欲から抗えずに、男達からの誘いを断れなくなり、或いは嬉々として受け入れていた。目先の愛に没頭する紗友里は、やがて私生活でも見境なく数多の男性と関係を深めるようになるのだった。
 何百、何千、何万人という男に愛される幸せが紗友里を変えたのだ。


 なお、紗友里は借金を既に完済している。膨大な数のファンを囲う紗友里には、大金を貢ぐ輩が多く存在する。最初こそ遠慮していた紗友里も、いつしか金銭を受け取るようになり、いまでは一晩の乱交パーティーで旦那の年収を遥かに凌ぐ金額を手にしていた。


『紗友里さん!! 今日はK9グループとL1グループの合同ですよね!?』
『やっとLグループだよ~!! 紗友里ちゃん待たせすぎ!!』

「K9とL1と……それからL2とL3のグループも一緒ですよ」

『え、えっ!? 今日は4グループの合同なんですか!?』
『らしいな。ちゃんと俺の番が回ってくるか心配だわ』
『俺のことも相手にしてくれよな~? 紗友里~?』

「ふふっ、ちゃんとみんな相手にするから大丈夫ですよ♪」

『いやいや4グループじゃ全員に回ってこないでしょ。百人近くいるじゃん』
『そもそも、紗友里ちゃんの身体は大丈夫なの?』

「大丈夫。一昨日は6グループと合同だったから……」

『凄すぎ』
『あー、早くヤりてぇ。もうそっち行って良い?』

「ええっ!? まだダメだよーーー!! さっきK8グループが終わって帰ってきたばっかりなんだから!!」

『無理。待てない。いまから紗友里ん家に凸する』
『マジかよ。俺も行くわ。仕事抜け出してくる』
『おい、抜け駆けは規則違反だろうが!!』
『じゃあ、お前は時間通りに来れば良い』
『ふざけんな。俺も行くぞ』


「ええーっ!? 何人で来るつもりなの!? 夫が帰ってくるかもしれないじゃん!! 私の家はダメーーーっ!!」

 SNSではファンがグループ化されており、紗友里は平等かつ順番に男性陣の相手をしている。毎晩と大きなラブホテルを借りては、全員と行為が終わるまで宴は終わらない。
 トラブルを避ける為に、コミュニティで規則を設けてはいるものの、最近では殆ど意味を成していない。今日も、規則を破った男達が紗友里の家へと赴こうとしていた。

「ダメったらダメっ!! もう夕方だもん。いつ夫が帰ってきてもおかしくないの。昼間だったら考えたけど、いまは絶対ダメ。約束を破ったら、絶交だからね!!」

 未だ人妻の紗友里が戸惑いのレスポンスを送るも、その表情は紅く蕩けていた。
 そして今夜も、男達の愛情を一身に受け止める……


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ももえもじ 2022/04/18 13:23

【再録】人妻AVデビュー

『36歳です。仕事に興味があります』

 物語は、SNSへと届いた一通のメールにより始まった。
 明らかな捨て垢のオファーに訝しむも、結局と廣峯勇志は誠実な対応で相手を出迎える。話を聞けば、送信者は結構な年上であり、更には現役の人妻だという。人妻相手ではトラブルが多く、そもそも廣峯にはロリコンの嫌いがあり、年上に興味を持った経験すら無い。案件を断ろうと何度も考えた末の、松浦紗友里との出会いだった。

「あっ、もしもし。ユリです。い、いま到着しました……」

「峰岸です。もう隣に居ますよ」

「あっ……!? あはは……は、初めまして」

 約束の日にて廣峯が初めて紗友里と出会う。既に廣峯は待ち合わせの場所にて待機しており、その声に驚いた紗友里が思わずスマホを落としそうになる。

「え、と……早速ホテルでしょうか……?」

「いきなりで良いんですか? 僕としては、打ち解ける為にも、まず軽く食事を考えていました。メールでも、そう伝えていたと思います」

「あっ、そうでしたっ……ごめんなさい」

 互いに偽名で自己紹介を交わす。落ち着いて話す廣峯とは対照的に、紗友里は緊張を極めて何度も口を噛む。異性との会話にすら慣れていない印象だった。
 自分より7つも年上の、なんとも慌てた様子に、廣峯が一先ずホッと息を吐く。経験の豊富な廣峯でも、初めて会う女性には警戒心や不安が拭えず、それだけに紗友里の初々しい態度は、程良いアイスブレイクとなった。

 また、想定よりも整った紗友里の容姿に廣峯が感嘆する。予め紗友里の写真はメールで送られていたものの、写りが悪くてスカを喰らっていたのだ。
(やっぱり、実際に会わないと分からないもんだな……)
 しかし、実際の紗友里は顔立ちがきめ細かく、着痩せしながらも存在感を放つ乳房の膨らみや、僅かに赤み掛かった美しい髪など、写真だけでは分かり得ない魅力を多く備えていた。

 三十代にも拘わらず垢が抜けない雰囲気も、廣峯の扇情を大いに煽る。廣峯の視線が何度も上下に揺れ動き、その度に紗友里が気恥ずかしそうに萎縮していた。

「好きな物を注文して構いませんよ」

「え、えっと……ごめんなさい。結構です」

「要りませんか?」

「正直に申しますと、不安ばかりで何も喉に通りません……」

「そうですか。大丈夫ですよ。じゃあ、自分だけ注文させて頂きますね」

「はい」

 一行は、駅にあるカフェへと足を運んでいた。
 これから二人は、ホテルで身体を重ねなければならない。明らかに性的経験の乏しい紗友里は、緊張と不安で食欲が湧かず、赤面を隠すように俯いてばかりだ。
 空腹の廣峯は、そんな紗友里に構わず次々に軽食を頼んでいく。一息を吐くと、廣峯は本題を切り出した。

「ギャラは10万円です。宜しいですか?」

「……はい」

「こちら契約書と誓約書になります。よく確認した後に、サインを下さい」

「分かりました」

「大丈夫ですか? 顔が真っ赤ですけど……」

「うああ!? ご、ごめんなさいっ!!」

「い、いや、謝らなくて全然良いですけど」

「うう……」

「あの、一つ聞いても良いでしょうか?」

「な、なんでしょうか!?」

「どうしてユリさんはAVに出演する気になったんですか? 失礼ですが、全然そういうタイプには見えません。ユリさんのような淑やかな女性からオファーが来た時はビックリしましたよ」

「…………」

 水耕栽培に携わる廣峯勇志は、副業としてAV制作を営んでいた。
 AVと言ってもメーカーに勤める訳では無く、個人によるインディーズである。素人との行為を撮影しては、それにモザイク等の編集を行い、サイトで販売する。大体の相手は、素人と言えどアダルトを生業とする者であり、こうした仕事にも抵抗が無い女性ばかりだ。

 しかし、明らかに紗友里は違う。異性への耐性は無く、そもそもが人妻である。話から察するに、旦那には確実に秘密にしての、今日という仕事だった。
 アダルトに初心者な上に、旦那には内緒の人妻と来れば、理由は一つしかない。察しは付くものの、廣峯は紗友里の言葉を待った。

「実は、借金があるんです。夫には絶対に知られたくなくて……」

「そうでしたか、すみません。話さなくて大丈夫ですよ」

「ありがとうございます」

 紗友里の指先は震えていた。
 感情を必死に押し殺すように、声も上擦っている。業界とは無縁の人妻が急にアダルト産業へと首を突っ込んだのだ。借金で精神的に追い詰められた末ならば、紗友里の震えも必然だった。

 借金か脅迫か、その辺りを予想していた廣峯に驚きはない。優しい言葉と共に、紗友里の手を握って慰める。この仕事をしていれば、訳アリな女性との出会いも多い。いまにも不安で事切れそうな紗友里に、これでもかと廣峯が慎重に接する。物柔らかい廣峯に、紗友里は初めて笑顔を見せた。

「優しいんですね」

「普通ですよ。どんな僕を想像していたんですか……」

「アダルト関係の仕事には、もっと物騒なイメージがありました」

「なのに、よく来てくれましたね」

「今日の約束を取り付けた時は何度も後悔しました。今朝も後悔で泣いちゃって。だから、峰岸さんが優しい人で本当に良かったです。本当に、本当に……」

 紗友里の借金は、完全に私的な理由による破産だった。
 専業主婦として暮らす傍らに、趣味の買い物が高じた結果である。その内気な性格から、旦那や家族にも破産を打ち明けられず、一人でカードの請求に怯える日々を送っていた。

 そして廣峯がSNSで発信した「高額バイト」のハッシュタグに引っ掛かった次第である。初対面の男と性行為を行い、マスクの着用が可能とは言え、更には撮影もされる不安に、紗友里のストレスは限界に達していた。
 そんな現況での温もりは有難く、紗友里の瞼には涙を浮かべていた。

「それでは、そろそろ行きましょうか」

「は、はい。ホテル……ですよね?」

「勿論です」

「……ッ!!」

 最後のパンケーキを口に放り込んだ廣峯が言う。時刻は、間もなく夕方に差し掛かっている。旦那にはママ友との飲み会だと伝えており、夜間は丸々と廣峯に費やす予定である。紗友里にとっては仕事でも、旦那から見れば不倫でしかない。旦那ではない異性と肩を並べてホテルへと向かう紗友里は、チクチクと罪悪感を感じながら、不安と緊張で心臓を高鳴らせていた。

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ももえもじ 2020/05/22 16:50

【小説】ショタが占い師を始めたら人妻が殺到した-第一話

旧:団地妻の誘惑~辻占ハーレム~

プロローグ

 太齊の一族は、占い師を家業に代々と永らえていた。
 末裔の翔太も例外ではなく、やがて迎える成人の時まで研鑽を積む日々である。昼間は学業を勤しみ、夜は占いの修行に精を出す毎日だ。そして、近くに迎える成人の際に、翔太は占い師として独立を果たす予定だった。
 しかし、師範を務める父が入院してしまい、事態が一変することになる。金銭的な問題が発生したのだ。代々と続く由緒ある占い師とは形ばかりであり、太齊家の実は金詰りの一途だった。
 伝統ばかりを重んじて他に稼ぐ手段の無い眷属は、それでも占いに縋りつくしかなく、生活費も儘ならない父は、急遽に翔太を占い師として稼ぐように指示をする。修行も半ばに、翔太の学業と両立してのデビューとなった。

第一話-初日

「本当に、僕が占い師を務めることになるなんて……ああ、緊張する。自信がないよ。まだ修行も途中だし、上手く行く気がしない……ああ、どうしよう……」
 とある商店街の一角にて翔太が手に汗を握る。言葉の通り、今日が翔太の占い師としての初舞台なのだ。父が使用していた占いの演台に手を付き、不安を露わにしながら客足を待っていた。
「それにしても、天井も壁も無いなんて知らなかった……これじゃあ、周りから丸見えじゃん。声も丸聞こえだろうし、恥ずかしいかも……せめて外じゃなくて部屋だったら良かったなぁ」
 名ばかりの太齊には店舗を構える資金すら無い。翔太に設けられたスペースは遮蔽物の一つも無く、周囲から丸見えだ。慣れない翔太は、とにかく落ち着かなかった。
「…………」
 しかし、そんな不安も時間が経つに連れて和らいでいく。土曜日の午前中だと言うのに、商店街は非常に閑散としており、目に付く人が数える程にも見当たらないのだ。
 今頃になり、商店街がシャッター通りになっていることに気が付く。
開いている店は僅かであり、それらも客足が良いとは到底も言えない状態だった。
「噂には聞いてたけど、この街って本当に廃れていたんだ。こんなに大きい商店街なのに、ウソみたいに人が居ないや」
 翔太の居る商店街は、ここ数年で立派な空洞化現象へと陥っていた。
 シャッター通りという言葉は幾度と耳にしていたものの、こうして実際に目の当たりにしたのは初めてである。不況を身近にした翔太は、シンとした商店街に小さな恐怖を感じていた。
 同時に、安堵感も然り。飽くまで父が退院するまでの繋ぎな翔太は、このまま客足が無ければ……などと、不謹慎なことも考えてしまう。
「お父さんには申し訳ないけど、やっぱ僕に占い師は早いよ。だから、このままお客さんが来ないことを祈ろう。お客が来ないっていうなら、お父さんも怒れないし。あはは」
 ……されど、翔太の淡い願いは露と消える。及び腰で祈りを捧げる傍らにて、既に遠目から翔太を窺っている女性が数人と居た。
「あの子って占い師なのかしら? 初めて見るわね」
「や~ん、めっちゃ可愛い~っ!! 女の子みたーいっ❤」
「えっ、なにあの可愛い子っ。男の子……だよね? いつもはキモいエロ親父だったのに。あのハゲは引退したってことなのかな?」
 近隣に住む三人の人妻である。若いながらも滲む母性を隠しきれず、如何にもママ友と呼ぶべき一行だ。土曜日に集って商店街を歩き回る最中に、占い屋で独り佇む翔太を一人が着目した。
 いつも不気味なオーラを漂わせる陰気な中年とは打って変わっての翔太は、商店街を馴染みとした三人にとって異彩でしかない。一人を惹き付けると、続いて二人も翔太に関心が向けられた。
 太齊翔太――。
 年頃の男子にしては、体格が華奢で顔付きも幼い。未だ声変わりも果たしておらず、中性という言葉がピッタリな存在だ。当然のように人目を惹きやすいタイプであり、家庭を持つ三人組の人妻も例外ではなかった。
「あら、本当に可愛いじゃない」
「えーっ!! 陽子ってば反応薄すぎっ、あんなに可愛いのにっ!!」
「ヤバい。あの子、モロにタイプなんだけど。何歳なのかなぁ……」
「ええ、里香もショタコンだったの?」
「だって、可愛いじゃん~っ!! 陽子はそう思わない?」
「まあ、それは分かるけど…………可愛いわね、とっても」
 三人の内の一人、花田里香が翔太を指差して咲き誇るテンションで騒ぎ出す。矢次陽子の疑問の通り、里香にはショタコンの気があったらしい。翔太を見つけた途端に、まるで人気アイドルに遭遇した時のような黄色い声で燥いでいた。
 また、同じくショタコンの久住凛も騒いでいる。凛と陽子は学生の頃からの知り合いであり、凛が極度の少年愛だと知る陽子は、早々に訝しい顔を浮かべていた。
 この時点で悪寒を抱く辺り、陽子は流石というべきだった。
「何歳なんだろ~」
「学生かしら。バイトで占い師だなんて珍しいわね」
「ねえ、行ってみない?」
「言うと思ったわ。まあ、占ってもらうだけなら別に構わないわよ」
「やったぁ~!! 行こ行こっ♪」
「……占ってもらうだけなら、ね」
 そうして、三人衆が翔太の元へと歩き出す。自分の場所に真っ直ぐ向かってくる集団に気付くと、翔太は軽く心臓を叩いて出迎えた。

「こんにちわーっ!! 占い、やってます?」
「あ、は、はいっ。やっていますっ!!」
「じゃあ、三人分お願いしまーす♪」
「はいっ。あ、ありがとうございますっ」
「ねぇねぇ、バイトしてるの? 君のこと、初めて見たけど」
「……そう、ですね。見習いの身です。で、でも安心してくださいっ。物心が付いた時から訓練されてきたので、も、問題ないと思いますっ。よ、よろしくお願いします!」
「へぇー、もしかして家業だったり? えらーいっ❤」
「それなら腕前も安心ね。よろしくー」
「は、はいっ!!」
「や~ん、可愛い~っ!!」
 三人の来訪者に、とうに翔太の背中は冷や汗でびっしょりだ。なんとか平静を装うも、父子家庭に育った翔太は年の離れた女性に慣れておらず、心の内は緊張感で一杯だった。
(ね~っ、近くで見るとマジで可愛いんだけどっ!!)
(本当っ、こんなに可愛い男の子は初めて見たよっ!)
(ちょっと、二人とも。感想は後にしなさいよ……)
(陽子、なんでそんなに冷静なの!? この可愛さ、ヤバくない!?)
(はぁ……)
 対して女性組はテンションが上がりっ放しである。特に里香と凛は、翔太の甘い容姿に感極まってる様子だ。まずは一番手に凛が椅子へと腰掛け、釈台を挟んで翔太と向き合った。
「まずは私からねっ。凛って言うよ。君の名前も聞いて良い?」
「あ、太齊翔太です」
「わあ、格好良い苗字と可愛い名前っ♪」
「うんうんっ。よく似合ってる~」
「え、待って。太齊って聞いた覚えがあるわ。いつもの占い師と同じ苗字じゃなかったかしら? もしかして、翔太君は血縁者なの?」
「あーっ、そういえば、確かにっ。聞き覚えあるっ!!」
「し、知ってるんですね。太齊陞三は僕の父なんです」
「ええーっ、全然似てないじゃんっ!!」
「前に一度だけ占ってもらったことあるよ。印象的なヒトだったから、つい覚えちゃってた。それにしても、翔太君が息子だなんて。本当に似てないね。うん、遺伝子って不思議……」
 入院した翔太の実父を陞三という。特徴的な禿髪や下品な言動から、悪い意味で印象的だったらしい。陞三を知る三人は、翔太が実子だと知って色んな意味で驚いた。
「父の占いを受けたんですか。それは……プレッシャーですね」
「え、なんで?」
「父に比べたら、僕なんてまだまだですから」
「……翔太君が不安に思う必要は、決して無いと思うわよ」
 翔太も、三人が陞三の占いを体験済みだと分かって驚きを見せる。発言や態度から、翔太が父を尊敬していることは明らかだ。そこからなにかを閃いたのか、凛は一人で密かに唇の端を釣り上げていた。
「それでは、う、占いを始めますっ」
「あははっ。翔太君、早速声が裏返ってるよ?」
「あ、う……ご、ごめんなさいっ」
「お姉さんが緊張を解いてあげよっか?」
「あっ、凛だけズルい。翔太君の手を勝手にっ!」
「うあああっ!? ちょ、ちょっとっ!?」
「ふあぁ……陽子ぉ、翔太君が真っ赤になってて可愛いぃよぉ……」
「凛、里香。そのくらいにしないと、占いが一向に進まないわよ」
「むう」
 三人の若妻に面と向う翔太は、既に顔を火照らせていた。
 テーブルを挟んでいるも、凛が身を乗り出す所為でお互いの距離が近いのだ。両腕を台に乗せながら、凛が蠱惑的に翔太を見つめている。
そして、不意に翔太の手を取り、優しく握り始めた。
 熱を孕んだ視線と、母性の滲んだスキンシップである。これは凛の得意とする無言のナンパ術だった。
 出会い頭でロックオンする凛に、陽子が代わりに謝ってくれる。
「ごめんなさい、翔太君。凛のコレは、もう病気みたいなものだから。ところで、翔太君はどんな占いが出来るのかしら?」
「あ、え、えっと、一般的な占いの知識は網羅してるつもりです。そ、その中でも僕の家庭では、身体の部位から『気』を読むことを得意としています……」
「身体の部位って、つまり手相占いとか?」
「は、はい。そうです。手だけではなく、他にも脚や顔色とかも……そ、それと、その……く、唇や胸などもあります……」
「ええー、胸っ? 翔太君ってば、実はムッツリタイプ?」
「そうやって女の身体を触るのが目的だったりしてー❤」
「ち、違いますよっ! ほ、本当に、そういう占いがあるんですっ! 実際にお父さ……父は成果を挙げていますし、僕も子供の頃からそう訓練を積まされましたっ!」
「まあ、私も聞いたことはあるわね。唇占いなんかは結構有名かも」
「へえ~」
「それよりさ。胸で占うって、実際にどうするの?」
「そ、それは……」
「そりゃ、やっぱ揉むんでしょっ?」
「だよね。翔太君になら、いくらでも胸を揉ませてあげるよ❤」
「い、いや。そんなこと出来ませんっ! 服の上から形状を推測して、その、そこから、う、占っていこうと思っています……」
「えー」
 言葉を紡ぐに連れて翔太の声色が弱くなる。幼少から訓練を積んだ内容とは言え、こうして実際に女性へと説明するのは、かなり抵抗があるようだ。恥ずかしさを極めた翔太は、性的な会話が始まるや否や顔を真っ赤にした。
 なお、部位による占いは、太齊一族の伝統的手法ではない。これは、先代の陞三による独断である。翔太の尊敬とは裏腹に、陞三は占いを建前にセクハラすることを生き甲斐とした下種だったのだ。
 最初に一般的な手相占いから始まり、続いて女性の美脚を弄ったり、或いは唇の形や弾力から「気」を読むという建前でキスに迫ることも多かった。
 占いに託けて女性にセクハラばかり働いていれば、女性から顰蹙を買うのも当たり前だ。ともかく、スキンシップによる占いしか興味を示さなかった不道徳な陞三は、残念なことに代々と続く伝統的な術を捨ててしまい、翔太にも己のセクハラ術しか伝えていなかった。
(なるほど。でも、翔太君のお父さんは、絶対にセクハラ目的だったよね。いつだっけ? あれは、思い出しただけでゾッとするよ)
(一年くらい前かしら。占いとか言って、不意に胸を掴んで来た時は、本当に殴ろうかと思ったわ。ああ、忌々しい嫌な記憶よ……)
(翔太君も……お、同じことしてくるのかな?)
(どうかしらね)
(翔太君は純粋そうだし、お父さんの教えとか全て鵜呑みにしてそう。翔太君がセクハラな占い……これ、利用できるかも)
 無垢な翔太は、父の教えが不適切な占いだと未だに気付いていない。
反対に、勘の鋭い三人は直感的に事情を察知してしまう。凛と里香は、まるで方程式を解いたように頷くと、より濃い妖しい笑みを浮かべて翔太に詰め寄った。

「じゃ、翔太君。どうぞっ❤」
「えっ、な、なにしてるんですかっ!?」
「なにって……触って確かめるのが、お父さんの教えなんでしょ?」
「あ、で、でも……だからと言ってっ、これは……あ、あう……」
 握っていた翔太の繊手を、おもむろに凛が自らの胸部へと寄せる。凛の豊満な胸に翔太の手が吸いつく。翔太は当然のように童貞であり、服越しでも女性の乳房を触ったのは、これが初めてだった。
 初めて触れる生身に、翔太の顔面が一気に熱を上げる。
「遠慮しないで、もっと力を籠めて揉んで良いんだよ?」
「ダ、ダメですよ……こ、これセクハラになっちゃう……」
「セクハラのハラは嫌がらせって意味だよ。私は別に嫌がってないし、これは占いなんだから、本当に遠慮しなくて大丈夫だってば♪」
「ふ、服の上から目で診断も出来ますから……」
「それでお父さん以上の占いが出来るの?」
「あ……い、いえ……」
「凛が良いって言うなら、直接触った方が良いんじゃない?」
「あ、う、あ……あうう……」
 トマトのように赤くなった翔太の顔に苦慮が滲む。実父を敬慕する健気な翔太は、陞三の代理として顧客には満足してもらわなければと心に誓っている。
『ならば、ちゃんと父の教えの通りに占いを執行すべきだろう……』
 という翔太の胸中を見抜いた凛や里香は、ここぞとばかりに翔太に迫り出す。気付けば、里香まで鼻息を荒くして翔太の手を取っていた。
「あ、翔太君。片手が空いてるね。一緒に私のことも占ってっ!!」
「え? ……わああぁあっ!?」
「あっ、里香までっ!!」
「翔太君の左手が暇してるみたいだったから♪」
「そっか。それじゃあ、二人同時に占いお願いしまーす❤」
「あぁあ、ちょっ、ちょ……あぁあっ……」
 右手が凛の谷間に埋もれたまま、空いた片方の手を里香が奪い取り、自分の胸へと押し付ける。これで両手が二人の乳房に埋もれた状態となる。経験の無い翔太には刺激が強すぎたようで、もはや言葉もない。凛と里香は、ドストライクである翔太の面白いくらいに哀れな姿から、予想以上に嗜虐心を擽られて己の理性を剥がしつつあった。
(やだぁ、翔太君ってば可愛すぎだよぉ。真っ赤な顔して、いまにも泣きそうじゃんっ。こんな可愛い男の子、反則すぎるよっ❤)
(こんなことになるなんて。ちょっとヤりすぎかもって思うけど……もう自分を抑えられそうにないや♪)
「あ、あのっ、ここ外ですしっ! 人目に付くので、ちょ、ちょっとマズいですよ……そのっ、胸に手を……」
「ん~、んふふふ❤ 大丈夫、大丈夫。この商店街がどれだけ人通り少ないか、私達が一番よく知ってるから。それに、これはただの占い……でしょ?」
「そうだよ。君のお父さんも同じことしてたよ? 恥ずかしがるのは、翔太君がエッチな期待をしてるからじゃないかなぁ?」
「そ、そんな。ぼ、僕はエッチなことなんて……」
「あぁあ~ん、可愛い可愛い可愛いぃいっ❤」
「はあ……」
 その半歩後ろでは、一人だけ正気の陽子が溜息交じりに肩を竦める。極度のショタコンな凛が暴走するのは常々であるも、里香まで翔太に魅入られたのは意外だと苦笑いする。けれど、然程には驚いておらず、二回りは年上の、二人の人妻に迫られてきりきり舞いな翔太を、寧ろ面映ゆい感情で見つめていた。
 よき大人を演じて居ても、翔太に対して陽子も裏腹では邪な感情を抱いていたのだ。未だに男性として整い切れていない愛らしい翔太の、親友達から辱められる光景が性志向のドツボに嵌り、陽子はジクリと一人で下半身を熱くさせていた。
(ああやって、ズカズカと行動の出来る凛と里香が羨ましいわ……)
 カミングアウトをしないだけで陽子も立派なショタコンだったのだ。
本当は翔太を犯したい。めちゃくちゃにしてやりたい。そんな思いが駆けていた。けど、自身のキャラ的に、一歩が踏み出せずにいた。
溜息も、不甲斐ない自分に対する遺憾である。夫に感じたことのない、身を焦がすような想いが駆ける。眼前の光景を目の当たりに、陽子は人知れず欲情を果たし、姿勢も次第に内股へと変えていた。
「あ、はあっ、はぁ、はぁっ、はぁっ……」
「翔太君、めっちゃ息が荒くてウケる。ねえねえ、おっぱいの感触に夢中になるのは良いけどさ、占いの方もしっかりね。私達は、占いに来てるんだからねぇ❤」
「そうそうっ。まあ、もっと沢山おっぱいを揉まないと占えないって言うんなら、しょうがないけどさぁ?」
「あ、い、いえ。も、もう結構ですっ。すいませんっ!!」
 一方で翔太は、人妻の熟した乳房を両手に放心していた。
 翔太が二人の言葉に我へと返る。占いを前面に立たせる辺り、凛も陽子もちゃっかりしている。翔太は慌てて手を引っ込めると、診断の結果を発した。
「えっと、二人とも、恋愛運が著しく上昇しているように感じました。な、なにか……大きな恋をしたような現象が血流に表れています。と、とても強い気です」
「えーっ、おっぱい触っただけで、そこまで分かるの!?」
「その、胸の健康状態は意外と心に直結してるみたいですので……」
「へぇ~、かなり当たってるかも、それ❤」
「うんうん。本当に頑張って勉強したんだね、翔太君っ!」
「あ、ありがとうございます……」
 凛と里香が翔太を淫靡に見つめる。議論の余地なく、二人の情炎は翔太にて炙られているのだ。いつの間にか、二人の顔も翔太と同様に熱い淫蕩に染まっていた。
「おっぱい占い、ありがとうね。じゃあ、次は唇の占いかな?」
「えっ!?」
「これも、触って確かめるんだよね? これは唇同士でかなぁ?」
「い、いや、唇占いは形だけでも十分ですのでっ!!」
「でも、実際に触れ合った方が確実な診断が出来るんでしょ?」
「と、言う訳で……」
「どうぞ、翔太君っ❤ んーーーっ!!」
「うあぁあああっ!?」
 結婚により失った恋愛感情が、何年振りと久しく萌芽しているのだ。塞き止めていた欲望が津波の如く溢れ出し、よもや勢いを止められる状態にない。凛と里香は、その火照った身体を卓上へと乗り上げると、キスの体勢で翔太に接近した。
「遠慮しなくて良いから❤」
「あの、翔太君。私にも……」
 目を瞑り、軽く顎を傾けて待機する。二人の美女が目の前でキスを待つ光景には、流石の翔太も平静では居られない。とうに股間は火を噴いており、台に敷かれたタロットクロスで隠れてなければ、屹立が明らかな程だった。
 逃げること叶わず、その場から全く動けず固まってしまう。
「あ、あのっ、キスはしなくて良いですからっ!!」
「翔太君のお父さんはキスしてきたよ?」
「そう、こんな風にね……」
 故に、完全に裏返った声で抵抗の意思を見せるも、勢いそのままに顔を寄せる凛に成す術もなく……やがて翔太は占いと称した凛の唇に吸い込まれていった。
「んっ❤」
「ふあぁあっ、あっ……!!」
 ゆっくりと唇同士が重なった。
 翔太のファーストキスである。唇の突端が触れた途端に、それこそ夢のような感覚に陥り、氾濫する脳汁に溺れてしまい、四肢を何度も痙攣させていた。
「ん~、んふふっ、ん~っ❤」
「ん、ぁ、ふぁ…………ぁ……」
「翔太君、白目を剥いてるわね」
「めっちゃ感じてて可愛い~、やっぱり初めてだったのかなぁ❤」
 背筋はエビ反りに、身体は獲れた魚のようにピクピクと身悶えする。
瞳が蕩けて急速に色を失い、意識も虚ろと化す。その様子は、まるで凛が翔太の生気を吸い取っているようだった。
 対する凛も、性的反応を露わにする。胸占いの時点で既に身体中を焦がしていた凛は、翔太とのキスを口火に汗だく状態だ。顔の紅潮はより濃厚に、服の下ではジメジメと汗が滴り、局部も別の反応により濡れそぼっていた。

「……ちょっと、これはやりすぎじゃないかしら?」
「占いだから大丈夫っ!!」
「はぁ、全く……」
「良いなぁ、凛。次は私の番だよ!!」
「…………」
「それとも、陽子が先が良い?」
「……私は、やらなくて良いわ」
「えーっ、なんでえ?」
「私は、ショ、ショタコンじゃないもの」
「陽子ってば、堅物っ!!」
「……いまの凛、きっとビックリするくらい濡れてるわよ」
「やっぱり?」
「あんな凛を見たのは初めてだわ。年下に入れ込む姿は、これまでも何度と見てきたけど、今回は桁が違うわね。翔太君のことを相当気に入ったみたい」
「無理ないよ。あんな、天然記念物の男の娘が相手だもん。私も実は、見てるだけで濡れてるし。あはは」
「ぷはあっ、ああぁあっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……さ、最高……翔太君とのキスっ、思わず別世界に行っちゃう所だったっ……」
 口付けから数分後に、漸く凛が翔太を解放する。唇が離れて透明の糸が紡がれる程に、お互いが唾液塗れだ。相当の体力を消耗したのか、唇が離れるや肩で息を繰り返した。
 目を虚ろにする二人の官能性に、里香が内股で身悶えする。
「ふあ……ディープキスでもないのに、なんか凄い激しさを感じたよ。二人とも、汗びっしょり。しかも顔もエッチで……もう見てるだけで、私まで変になっちゃうよ」
「はあ、はぁ、里香。ヤバいよ、翔太君とのキス❤」
「観てるだけで伝わってきたよ。二人ともエロ過ぎっ! ねえ、次は私の番ってことで良いよねっ? もう我慢できないよ……」
「……ん、勿論っ」
「翔太君っ、良いよねっ!?」
「はあ、はぁ、はぁ……う、ううっ……」
 凛の満面に広がる悦びが程度を物語っている。凛が退くと、続いて里香がテーブルを跨いで翔太に迫る。里香も、とうに情欲が極まっているのだ。いまやキスをしない選択肢など在りはせず、翔太もそれを理解していた。
 バトンを渡すように、凛から里香へと翔太が移る。
「そ、それじゃあ、失礼しま~す……」
 翔太を優しく抱き締める。それだけなのに、有頂天に達しかねない幸せな心地が身に広がってきた。
 年頃の少年を胸へと抱く多幸感や背徳感に酔い痴れる。一通り堪能すると、里香は取って食うような目つきで翔太に舌を伸ばした。
「んっ、ちゅっ、んんんっ……ぐちゅっ、ぶちゅううっ、ぬりゅっ」
「ふあ、ぁ……ちょ、ちょっ、これっ……あぁあああっ!!」
「うあ……里香のキスって、あんな激しいの?」
「ああ、もう滅茶苦茶ね」
「んぢゅるっ……だ、だって止まらないんだもんっ。んっ、わ、私の唾液で翔太君をっ、これでもかってベトベトにしてあげたいっ、あむ、んんんんっ、幸せっ、幸せっ、幸せだよぉおおおおっ❤」
「ふあ、あっ……あああっ……」
 占いという体裁は何処へやら、里香の濃厚なディープキスに塗れる。ディープキスを知らぬ翔太は、先程と同様に下唇を閉ざした受け身の状態を固定している。里香は、その上から舌で満遍なく舐めていた。
 元々、里香は夫以外との行為に飢えていたのだ。結婚後はマンネリ続きで新鮮味の無い夫とのセックスは食傷に他ならず、遂に獲得したこのチャンスは、とにかく里香の飢えに餓えた野性的な欲望を大いに爆発させた。
「んちゅっ、んんっ、んはぁっ、んっ……」
 まず最初に軽くキスを交わし、それから舌を伸ばすも翔太は応じず、歯止めを失った里香の猛攻が満面へと広がる。唇に留まらず、頬や鼻、果ては目にまで触手が伸びる。まるで愛犬のように翔太の顔中に舌を這わせていた。
「里香ってば、激しすぎる。あんな激しいの、見たことないよ。翔太君をべろべろして……うう、エッチすぎるっ……」
「…………」
「べちゃっ、んっ、んちゅっ、はぁっ、はぁ~、幸せっ……陽子、凛、こんな気持ちになったの、初めてだよぉ……もっと、もっと翔太君を穢し尽くしてあげたいっ!!」
 翔太を一目した時から、里香の口中には大量の唾液が湧いていた。
 餓えた獣が御馳走を前に涎を溢れさせない訳がない。里香が惜しみなく涎を塗り付けていく。翔太の顔中にベッタリと満遍なく――。
 忽ち、鼻を曲げかねない臭気が漂った。
 口に溜まった涎の、独特な臭いだ。
 しかし、いまに限っては、それすら興奮の元である。すえた臭気が官能性を帯び、傍観する陽子と凛にまで情欲が伝染する。キスや胸の占いで既に出来上がっている凛は、淫乱な瘴気によって更に情欲を加速し、陽子の目も憚らず、まるで憑りつかれたように己のスカートに腕を突っ込み始めていた。
「ちょ、ちょっと、凛っ、なにオナニー始めてるのよっ」
「はぁああんっ、見てるだけで、私までっ、はぁ、はぁ、はぁっ……陽子ぉ、私っ、いま信じられないくらい興奮してる……なにこれ……こんなの初めてだよ。友達のキスシーンを見て、こんなに濡れちゃうなんてっ、ああぁっ……」
「……気持ちは、分かるけどさ」
「あううっ、あぁあっ、あっ、うあぁあっ!!」
「あぁあっ、翔太君っ、声も可愛い。ほら、翔太君も舌を伸ばしてっ。翔太君も私のこと舐めてっ、もっと、もっとベトベトしたいのぉ」
 べちゃっ、ぴちゃっ、ぬちゅっ、くちゅっ、ぬちゅっ……
 人気の無い商店街に体液の粘る音が響く。翔太の顔面を、とにかく自分の唾液で満たそうとする里香と、そんなシーンに発情して自慰にひた走る凛である。この狂騒の渦を、もう誰にも止められはしない。里香が満足するまでの暫くと、延々に行為は続くのだった。

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ももえもじ 2020/05/22 09:39

【小説】催○アプリで巨乳女教師をコントロール!!

プロローグ-催○アプリの導入

「ふぅっ、ふぅっ……ふぅっ……んっ、はぁっ……」
 消灯された真っ暗な部屋から、押し殺したような声が聞こえる。部屋の中央には布団が無造作に敷かれており、小柄な少年が小型電子機器を眺めながら寝転がっていた。
「はぁっ、はぁっ、はっ、し、しずな……しずな先生ぃっ……!」
 布団に横たわる少年は、小型電子機器ことスマホの画面を食い入るように睨んでいる。画面には、不自然な角度から撮影された女性の写真が映し出されており、先ほどから、その女性の名前を延々と呟きながら、空いた片方の手で自分を慰めているようだった。
 女性の名は羽並しずなという。豊満な乳を持ちつつ、穏やかそうな表情を浮かべた女教師しずなは、少年の通う学園の担当教師であると同時に、想い人でもあった。一目見た瞬間から恋を患ったのだ。
「う、あっ…………!」
 そして堰を切ったような喚声と共に、少年は身体を撓らせて果てた。
 反った亀頭から精液が迸る。白濁液は、そのまま小さな弧を描いて、しずなが映ったスマホに直撃した。少年が慌てて画面を拭こうとしたとき、それは現れた。
「なんだ、これ?」
 スマホの画面が一度プツンと切れたと思ったら、真っ黒な画面の中央に「催○アプリのインストールが完了しました」という文字が浮かび上がる。
「うわっ、ウイルスだっ。なにか怪しいサイトでも踏んだっけか!」
 怪しげなアイコンとアプリ名に少年が焦った。青少年らしく、日々いかがわしいサイトにアクセスしている少年には、原因に心当たりがあり過ぎた。すぐにウイルスと予測した少年は、決してアプリを開いたりはせず、そのまま削除しようと試みた。
 ……しかし、何処を見ても「催○アプリ」と書かれたアイコンを削除するボタンが見当たらない。どんなにアイコンを長押ししても、初期アプリのように、アンインストールするバツ印が出てこなかった。
 再起動しても無意味という。少年はサイトで催○アプリについて調べてみた。すると、ネットの奥深くで、このような興味深い一文が見つかった。

『性に選ばれし者へ。十億人に一人の確率でインストールされるそれは、あらゆる人間を意のままに操れる最強のアプリであり――』

 如何にも怪しげなサイトの、あまりに的を射ない説明文だった。少年は、なんとバカらしいと嘲笑う。……が、こんな文章を見つけたら、どうしても気になってしまうのが青少年というもの。あれこれと時間を無駄にした後、少年は結局アプリに指を伸ばした。

第一話-羽並しずなとの秘め事

 翌日。放課後になると、少年は進路相談という名目で、しずなを進路指導室に呼びつけた。
「早く早く早く。早く来てくれぇ………………」
 どうしても逸る気持ちが抑えられない。その理由には、昨夜のアプリが関係している。「あらゆる人間を意のままに操れる」という言葉……それを鵜呑みにするほど少年は出来上がってはないが、やっぱり可能性は捨てきれないということで、少年は昼間にクラスメイトの女子を使って催○アプリの実験をしてみたのだ。
 本当に色々なことが出来るらしい。かと言って真昼間の学園で大それたことはしたくないので、とりあえず恋心を擽る機能を使用してみた。……すると、どうだろう。瞬く間に、少年を見る女子の視線が増えていく。周りの女子たちが一斉に顔を紅潮させて少年をジッと見つめ始める。やがて告白する女子もポツポツと現れると、少年はアプリの力に恐怖を覚え、慌てて催○機能を停止した。
「僕は、しずな先生とお近づきになれれば、それでいいんだ」
 本当に、思うが儘に世界を変えられる力だと実感するが、欲張ると痛い目を見るのは明らかだろうと少年は自制した。ターゲットを現在片思い中の女教師のみに絞り、アプリを起動させて指導室で待機する次第だった。
 
 コンコン。不意にノックがかかると、ドアが開いて目的のしずなが入ってきた。相変わらずの柔和な微笑みに、少年がドキンと胸を高鳴らせる。ここまでは、いつも通りの光景だが、催○のアプリを起動している今日は一味違っていた。
「あら……待たせちゃったかしら? ごめんなさい……」
 少年を見るや、しずなが否や軽く赤面してしまう。素振りこそ落ち着いているも薄く紅潮させて、それを隠そうと片手を頬に充てる。急にモジモジし始めたりと、まるで女子生徒のような反応を見せていた。
 もちろん、これには少年はアプリが影響している。チカラを用いて、しずなの恋心を少しだけ弄っていたのだ。
 もっともっと過激なことも出来るが、恋愛の過程を尊重したい少年にはこれが限度である。しずなが席に着くと、少年は高鳴る心臓を必死に抑えながら口を開いた。
「まず、謝らなくちゃいけないことがあります。実は進路指導というのはウソでして……今日、しずな先生に話があって呼んだんです」
 少年の言葉一つ一つを、しずながゆっくりと噛みしめていく。少告白しようと決意した少年だが、どうしても口籠って真っ赤になってしまう。核心に近づくに連れて、徐々に広がっていくむず痒い雰囲気から全てを察したしずなも、少年と同じく緊張して頬を染めた。
「それで、あの……その、つ、つ、付き合って下さいっ!」
 流暢に話せず、どもりっぱなしな少年だったが、ようやく告白まで持っていくことに成功する。しずなは、まるで少女のように俯いてしまう。暫く経った後、しずなは首を小さく縦に振った。
「ええ、良いわ。こ、こんな私ですけれど……」
「そんなことないですっ、先生は完璧ですっ!」
「ありがとう……なんだか、心が温かいわ。記念にハグしてもいいかしら?」
「は、はい、もちろ……っ!」
 交際もあっさりと成功する。その記念としてハグを希望する先生ことしずな。少年が赤ら顔で頷いた瞬間、しずなの備える巨大な胸が押し寄せてきた。
 顔を丸ごと包み込んでしまうほどの大きさである。憧れだった相手とハグをしている――。少年は、しずなの胸に埋もれながら、アプリに感謝しつつ脳汁を噴き出しまくっていた。

 それから数日が経過する。
 交際が始まって最初の週末になり、ようやく二人の初めてのデートが始まる。教員と学生の恋愛は世間的に問題となりかねない為、学園内では基本的に接触はしないようにしていた。
「あ、先生っ! こ、こんにちはっ……」
「あら、私ってば待たせてばかりね。これでも早く来たつもりなんだけれど……ごめんなさい。あと、公の場で先生は困るわねぇ」
 学園関係者にバレないよう、デートは学園から駅を三つ挟んだ地域で行うことした。念には念をということなのか、それともそれが休日の格好なのか、しずなは眼鏡からコンタクトに変えて、服装も露出度が比較的に高いセクシーな格好となっていた。
 胸が強調され、谷間も見える魅惑的な衣服であり、健全な青少年の胸を高鳴らせるには十分すぎる破壊力だ。ただでさえ緊張していた少年だが、しずなの美しすぎる格好に、より落ち着きを失ってしまう。
 そんな心境の中、僅かに催○状態にかかった、しずなが――。
「ぁっ……」
 少年の腕を取り、絡めてきた。そこまで密着されたら、しずなの豊かすぎる胸を回避することなど出来はしない。更に、風上にいるせいか、しずなの身体から湧き立つ芳醇な香りも漂ってくる。胸の感触と、大人な女性の匂いにより、少年は既に下半身の限界を感じていた。
(こ、これマズいっ……ちょっと、催○を停止させよう……)
 膨らむズボンを必死に隠しながらスマホを取り出すと、少年はしずなに罹けた催○をオフにする。
 催○アプリの程度には一から十までのレベルが存在するが、これまで一切女性を知らなかった少年には、レベル一でも刺激が強すぎた。催○をオフにすると、間髪を容れずに、しずなの正気が元に戻る。
「あら……流石に腕を組むのは、よくないかもしれないわね」
 催○をオフに戻すと、しずなは体裁を気にしてか、組まれていた腕を解いた。少年はホッと胸をなでおろす。

 学園内でアプリをアレコレと試行錯誤している内に、分かったことがいくつかある。例えば、催○状態に罹った際の記憶について。
 催○アプリを用いれば、如何なる相手も自由自在に操ることが出来るが、相手はその時の記憶の全てを忘れたりはしないらしい。今回の場合で言うと、少年は催○に罹った状態のしずなに告白をして付き合い始めたが、その後に催○をオフにしても、しずなは少年と付き合っている事実を把握しており、それに抗うこともなかった。
 つまり、催○状態で起きたことは全て既成事実として処理され、自然に受け入れられるということだ。
 いま、アプリを停止したが、それでもしずなは少年とのデートを享受して、ごく普通に振る舞ってくれている。交際してデート中という既成事実が成された故の結果であり、少年を想う恋煩いだけが綺麗に消えた状態になっていた。
(本当は恋人関係が良いけど、こうして近くで一緒に居るだけで幸せだからなぁ……)
 アプリを使用せずとも、こうして一緒に肩を並べて街を歩くことができる。現状に大満足をする少年は、もう催○アプリは使用しなくても良いかなとまで考えていた。

 …………。
 しかし、健全な青少年を相手に、そんな健全な感情がいつまでも続くハズもない。日を重ねるにつれて、しずなを想う少年の愛情はどんどん高まっていってしまい、デートを何度か続けていく内に、少年は「ただ一緒に出掛ける」だけでは満足できなくなっていた。

 恋人関係こそ続いているも、催○の罹っていない状態におけるしずなは、教師そのものである。思い切って手を握ろうと誘うも、体裁に問題があるからと断られてしまう。二回目以降のデートからは、もう露出度の高い服装すら見られなかった。

 それでも満足していた頃が懐かしい。そう感じた少年は、スマホの奥底へと追いやった催○のアプリに、再び指を伸ばすのだった。

「ねぇ、しずな先生……」
「どうしたの?」
 ある日のデートにて、下半身を疼かせた少年がしずなに声を掛ける。もう時は夕方へと差し掛かっており、いつもならこの辺で帰る頃だ。
 だが、ただ出掛けることだけでは飽き足らなくなった少年は、これ以上の関係を望もうと試みる。
 一ブロック先はホテル街だ。
 少年は、まず催○の罹っていない状態で、しずなに迫ってみた。
「ごめんなさい。前にも言ったように、教師と学生、一線を越えるのはイケないと思うの。……分かってくれるかしら?」
 案の定、断られてしまう。もう散々聞いた拒否文句だ。しかし、それも想定内。少年は、前日の内に設定しておいた催○アプリを起動させた。
 いままでレベル一しか試してこなかった少年だが、これ以上は断られたくないと釘を刺して、アプリのレベルを三にまで上げていた。

 アプリが起動する。
 すると、スイッチが入ったように、しずなの様子が変わり始める。一見、いつもと変わらない様子に見えるが、急に周りをキョロキョロと見回したりと挙動不審になり、息も絶え絶えというか艶っぽい吐息を漏らし出している。
 そんな様子に、少年は久々に胸をドキドキさせる。これなら断られないと確信して、エッチを誘おうとした、そのとき――。
「ァっ………!」
 しずなが少年を抱きしめたのだ。スイカ並みに大きい二つの乳房に圧迫されて、健全な少年は一気にデレデレになり、しずなに主導権を渡してしまう。これが漫画なら、少年は鼻血を出すところである。
「ねぇ、今日は、もう少しだけ時間をくれないかしら? いつもはこの辺でお別れしてるけど……なんだか今日はもっと一緒に居たいわ」
 少年が口を開く前に、しずなから誘われるのだった。もちろん、断ったりはしない。少年は、顔を真っ赤に染めながら首を縦に振った。

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