シロフミ 2020/08/05 21:45

シローとユイの話 その1

 都内、郊外の一軒家の、2階。
 階段から向かって一番奥、西向きの部屋には、ほの淡い11月の西日が差し込んでいた。秋と呼ぶには少し肌寒い気候も、閉じられた窓と薄いカーテンを超した陽射しの中で和らげられ、穏やかなものとなっている。
 部屋の中は、机に小さなテーブル、カーペットにクローゼットがふたつ。机には教科書とノートと参考書。クローゼットの扉には制服が掛けられ、床には数冊の雑誌が積まれている。絵に描いたかのような典型的な学生の部屋であった。
 だが、その中で行なわれている事はいささか様子を異にしていた。
 部屋にひとつしかないドアには固く鍵が掛けられ、その中に篭った熱気と匂いを閉じ込めている。シングルベッドが軽く軋み、その上で小さな肢体が跳ねあがる。
「ふぁああ……」
 こぼれるのは幼い声。まだ舌足らずな甘い響きは、それでも確かに快感を紡ぐ嬌声だ。ベッドの上に組み敷かれた少女は、下腹部からじんわりと広がる甘い快感に身体を震わせ、切ない吐息を繰り返す。
 スカートは太腿の上までめくれ上がり、幼い下着はくるりと丸まって足首に引っかかっているのみ。露になった白い肌のなか、小さなおなかは少女の吐息に併せて上下し、しっとりと汗に濡れた細い腰がくねる。
「っ、……シローっ、……キモチ、いいよぉ……っ」
 とうとう堪えきれなくなった甘い疼きに、自分を押さえ付ける愛しい相手の名が少女の口を付く。

 わぉんっ!!

 尻尾を振り立て、すっかり冬毛に生え変わった真っ白な毛皮を震わせて。体長170cmの(犬の種類)は、力強く少女に答えた。
 シローがユイの家にやってきたのは、今から3年前の冬。
 妹が欲しい、とねだっては両親を困らせ続けていたユイのもとに、ちょうどクリスマスイブに父親が連れてきた子犬は、まるで本当のサンタクロースが冬という季節を運んできてくれたかのように、真っ白な毛並みをしていた。
 ダンボールの中に敷かれた毛布に包まって、昏々と眠っていた小さな小さな生命は、惜しみない白瀬家全員の愛情を一身に受けて育った。あっという間に大きくなってしまったシローは、いまではユイをその背中に乗せられるほどだ。
 小さかった頃とまるで同じ、無垢な黒い瞳をきらきらと輝かせて、シローはユイの身体をベッドの上に組み敷いていた。

 わふ、わふぉ!!

「ふぁああ!?」
 シローはすっかり露になった生殖器を滾らせて、ユイの大切なところに擦り付けてくる。我を忘れたように腰を振る愛犬は、熱く尖った生殖器にもたらされる少女の快感に夢中になっていた。
 閉じ合わされた少女の幼い脚の間にはたっぷりと蜜が塗れ、そこを前後する赤黒い生殖器をリズミカルに締め付ける。一方で綻び始めたユイの幼い花弁は熱い滾りに擦られ、幾重もの快感を紡ぎだしていた。
 折り重なる快感がお互いの行為を加速させ、ユイはまるで本当にシローを受け入れてしまったような錯覚さえ覚える。
「ぁふ……にゃぁ……っく」
(キモ、チ、いいようぅ……っ) 
 ユイもえっちなことには興味津々な年頃だ。自分が寝た後にお父さんとお母さんが何をしているのかは知っているし、こっそりとインターネットで男の子についている“それ”の写真を見たこともある。
 形こそ違え、シローの股間にそそり立つ怒張はそれに勝るとも劣らないサイズに膨張していた。その根元にはぱんぱんに膨れ上がった子袋がくっついて、シローの腰の前後に合わせて揺れていた。
 もう何ヶ月もお預け状態を続けられたシローの子袋には、夜毎姉の胎内に流しこまれていた子種がはちきれんばかりに詰まっているのだろう。
「シロー、苦しいの? ……え、えっちできなくてっ、苦しいの……?」
 熱い息を堪えながら、背中を捻って問うユイには答えず、シローはぐっと少女の背中に深く覆い被さると、生暖かい舌でユイの顔を舐めまわす。
 さっきまで自分の大切なところを責めなぶっていた舌だ。自分の匂いが染みついてしまっているようで、ユイは真っ赤になって顔を反らした。
(…………んむ、っ……)
 羞恥を堪え、ちゅぶちゅぶと顔に塗りたくられる獣臭い唾液をユイが小さな舌で舐めとると、ぞくぞくと甘い痺れが少女の背を震わせる。
 体勢が変わったことで、シローの突き上げが一段と激しくなる。シローの逞しい生殖器はよりいっそう深い角度でユイの内腿を突き上げ、下腹部にぺちぺちとぶつかる。前後運動のたびに包皮に埋もれた最も敏感な部分を擦りあげられ、ユイはびく、と背中を仰け反らせた。
「ひゃうぁっ、あ、ぁあ……シローっ、シローっ……!!!」
 ぐちゅん、ぐちゅん、とシローの逞しい剛直が突き上げられるたび、ユイはシーツに爪を立てて込み上げる快感を飲み込む。
 脚の付け根を行き来する硬く熱い生殖器から発された熱が、じんわりと全身に染み込み、伝播していくかのよう。頭の奥までをじんと痺れさせるピンク色の刺激に、ユイは口のなかに溜まった唾液をこくりと飲み下す。
「お……ねえちゃん……っ」
 何年も前からずっとずっと、ドアの隙間に覗き見ていた姉の部屋での光景がユイの脳裏をよぎる。
 ちょうど今のユイと同じ格好で、シローの熱い滾りを受け入れていた、姉の姿を。
(お姉ちゃん……こんなにキモチいいコトしてたんだ……っ)
 それは、ユイだけしか知らない姉とシローの秘密。
 娘のプライバシーを尊重するという名目でつくられた完全防音の部屋の中で、マイは毎夜のようにシローを自分の部屋に招き、まだ熟しきっていない瑞々しい身体をシローの獣欲に捧げていた。
 時に四つん這いになって膝を付き、時に愛しい相手を受け入れるように仰向けになって。マイはシローの逞しい背中を抱き締め、その白い身体を受け止めていた。
 シローのてらてらと光る太く赤黒い生殖器が、たっぷりと蜜を滴らせた姉の薄い桜色の花弁を掻き分けながら激しく出入りし、やがてその奥底に煮え滾るほどの白濁液をマグマのように噴出させる。
  力強くも猛々しい雄の表情でシローが力強く腰を叩きつけるたびに、ピンク色を覗かせる女の子の部分からは蜜が噴きこぼれ、シーツの上に散ってゆく。指なん かとは比べ物にならない太く長い肉の塊。限界まで硬く大きくなったそれが、じゅぷじゅぶといやらしい音を立てて、大切な場所からおなかの奥深くまで沈み込 み、ぬめる肉孔を深々と掻き回す。
 顔を真っ赤にしながら枕を噛む姉は、逞しいシローの身体の下で腰をくねらせて大きな生殖器を根元までくわえこみ、押し殺した悲鳴をあげながら、何度も何度も絶頂に達していた。
 そこには言葉や性別、そして種族すらも超越し、打算もなく純粋に想い合う二人の愛の姿があった。
(ふぁ……っ)
 姉とシローの恥態を思い出し、ユイのおなかの奥がきゅんと切ない悲鳴を上げる。とく、とく、と高まる鼓動は、心と身体の両方をもどかしいキモチで満たしていく。
(シロー……、すっごく、苦しそう……)
 1年以上に渡った姉とシローの蜜月も、この春――マイが都内の私立の学校に進学を決め、通学のため寮での生活をはじめるようになってからは途切れている。
 自分を受け入れてくれるパートナーを失ったまま秋を迎えたシローは、これまでにない頻度で暴れ、犬小屋や塀に当り散らすようになった。豹変した彼を見て、ただただ困惑するばかりの両親のそばで、ユイだけがその真実の理由に気付いていたのだ。
「シロー、お、お姉ちゃんいなくて、寂しいよね……? ずっとずっと、苦しかったんだよね……? えっち、できなくて……苦しいんだよね……」

 わぉぅんっ!!!

 答えの代わりとばかりに、シローの生殖器がひときわ強くユイの秘所の入り口、もっとも敏感な部分に押し付けられる。
「ひぁああああ!? ……っく、ぁ、ふぁ、だめ、だめぇ……それダメ…っ、ヘンになっちゃうっ、だめえぇっ……!!」
 断続的な快感に少女の肉芽はすっかり縮こまり、包皮の中に埋まっていた。その上を前後するシローの生殖器はぴちぴちと跳ねながら透明な先走りを吹き出している。姉との夜毎の営みで巧緻な愛撫を覚えたシローは、ユイの身体を徹底的に責めなぶる術を心得ていた。
「ぁ、あっ、あ、あ♪、あ…っ♪」
 いつしかオクターブを越えて高まるユイの喘ぎに応えるように、シローは執拗なまでにぐいぐいと腰を押し付けてきた。
 押し広げられた無毛のスリットの奥では、粘度の高い愛液にぬめる柔襞が小さくほころびて内側に溜まった蜜を覗かせている。まだ誰の侵入も許したことのない処女粘膜の内側では、すっかり準備の整った瑞々しい柔襞が、さらなる刺激を求めて小さく蠕動していた。
「シローっ、シロー、シロぉ……っ」
 きゅんきゅんと、少女の胎内で純潔に護られた子宮が疼く。もっと深く、もっと強い繋がりを、少女は本能で求めていた。
 激しく尻尾を振りたて、溢れんばかりの好意をぶつけてくるシローに、いつしかユイも本当のいとおしさを覚え始めている。シーツを掴む手に力が篭る。耳元で響くシローの熱く荒い息がぞくぞくと背筋を震わせる。
「ぁ、あ、あ、あっ、ぁっ、あっ、ぁーっ!!」
 こりっ、と尖ったシロ-の肉槍が、ユイの肉芽を突き上げる。
 跳ねあがる嬌声のオクターブは、かき鳴らされる天使の竪琴のよう。
 最後のひと擦りに突き上げられて、ユイはびくっとベッドの上に手足を突っ張った。腰がじんわりと甘く痺れ、おなかがふわふわと宙に浮かぶようだ。下腹部のさらに奥深くから湧き上がった熱が、こぽり、と大きく少女の蜜口から溢れ落ちる。
(ふわぁ……っ)
 甘い吐息がユイの唇から溢れ出す。
 かつて一度も経験したことのない、あまりにも高い快楽の頂き。ユイの拙い一人遊びではとても到達することのできない悦楽の境地だった。
 脱力した少女の身体がベッドに沈む込むと同時、シローはユイの身体の下から生殖器を引き抜いた。いまだ満足に至らないそれは、ぺちんと勢い良くシローの腹の下で跳ね回る。
「ぁふ……」
 心も体も溶かしてしまうような絶頂の余韻に浸りながら、ユイは力の入らない身体をもぞもぞと入れ替えた。
 シーツの上に背中を推しつけ、両足をぐっと広げ、仰向けになってシローを見上げる。
(シロー……、すっごく、キモチよかったよぉ…っ)
 さくら色を覗かせてほころびた花片から、なおも間断的にとろとろと甘い蜜を吹き、ユイはまだ興奮覚めやらぬ様子のシローの首に手を伸ばした。舌を出して息を荒げている愛しいパートナーに、甘く囁きかける。
「……ね、シロー、わかる? ……わたし、シローにイかされちゃったんだよ……?」
 まだ、とくとくと疼く股間を晒すように、ユイは大きく脚を広げて、シローの身体を迎え入れる。逞しい肩をぎゅっと抱き締め、お日様の匂いをさせる毛皮に顔を埋めて深呼吸すると、ユイの背中にぞくぞくと甘い痺れが走った。
(シローの匂いだ……っ)
 安堵感をたっぷりと与えてくれる、枯草とお日様の匂い。大切な家族として2年半を共に過ごした、自分をどこまでもキモチ良くさせてくれる相手の存在感が、幼い少女の胸いっぱいに広がってゆく。
 快感の余韻に身を委ね、幸せに浸るユイは、ゆっくりとシローの鼻先に顔を近付け、目を閉じてキスをした。
 すぐに応じて舌を伸ばしてくるシローを受け入れ、唾液を飲み下す。
「んぅ…っ、んむ、れるっ……ちゅ」
 ゆっくりと舌を絡め、粘度の高い唾液を啜る。
 事後の余韻に浸る優しいキス――ユイはそのつもりでいたが、シローはそうではなかったらしい。逞しい四肢をベッドの上に踏ん張らせ、シローはユイの腕を振り解いて、ぐいと腰を持ち上げる。
「きゃうっ?!」
 たちまちユイはシローの下に組み伏せられてしまった。
 まるで見せつけるように、シローは猛々しくそそり立つ生殖器を少女の眼前に突き付ける。ほこほこと湯気を立てて、ユイの蜜にぬめる肉色の巨槍は、まだまるで満足していないとばかりに先走りの粘液の飛沫をユイの顔に飛ばした。
(し、シローの、おちんちん……っ)
 目の前にはっきりと晒される、シローの雄性、獣欲の塊。いつもの元気いっぱいでやんちゃなシローとはまるで結び付かない、恐ろしいまでもの迫力を伴ってグロテスクにびくびくとのたうつそれが、ユイの柔頬へと押しつけられた。
 交合の相手を求め、その内側に呆れるほどの子種を蓄えた凶悪な生殖器――肌に触れるペニスの先端は熱く脈打ち、灼けるほどのすさまじい熱量が少女の胸を高鳴らせる。
 早鐘のような心臓の鼓動に突き動かされるように、ユイは両の手を熱く尖る肉槍の先端へと伸ばす。
「シロー、イってないんだ……よね」
 細い指が、びくびくと跳ねる生殖器を包む。柔らかくも熱く蠢く巨大な肉の槍は、少女の手のひらには遥かに余る。粘膜におっかなびっくり触れながらも、次第に大胆に。小さな手のひらから大きくこぼれ出すシローの生殖器を、ユイはやさしくしごき始めた。
 ちゅ、くちゅ、ちゅぷ……
  硬くはりつめた、火傷しそうに熱い生殖器をくねらせ、シローが小さく吠える。腰にダイレクトに伝わる刺激が、シローの獣の官能を呼び覚ましているかのよう だ。落ちつきなく腰を左右に振りたて、しきりに生殖器を揺する。ユイは手の中から暴れて飛び出しそうになるシローの肉槍をそっと握るので精一杯だった。
「……シロー…? こ、これ、してると……キモチいいの……?」
 様子の変わりだしたシローに、驚きながら、おずおずとユイは指の動きを繰り返す。
  手指を持たない獣同士の交わりでは、こうした手淫など未体験の感覚のはずだ。それを甘んじて受け入れているのは、やはり姉も同じようにシローを悦ばせたこ とがあるからだろう。自分の手のひらでシローが気持ち良くなっていることに感動を覚え、ユイはやわらかく白い手を使って、精一杯シローに奉仕する。
 ほどなく、シローの生殖器先端から滲む粘液に変化が現れた。さっきまでは比較的さらさらして水のようだった先走りが、徐々に粘りを増し、色も白く濁り始めたのだ。
(うわぁ……こ、これ……シローの……せーえき…かな?)
 むっと立ち込める雄の匂いに、頭がくらくらとする。指の間をこぼれ落ちる粘液が、ユイのはだけた胸の間にぽたぽたと散った。まだブラの必要もない薄い胸、それでも尖ったピンクの先端に、シローの先走りが垂れ落ちる。
「シロー……もっと、してあげる…よ……♪」
 とうとう我慢できなくなり、ユイは興奮に震える小さな唇で、赤黒い生殖器の先端をくわえた。
 クラスメイトが持ってきたえっちな雑誌で覚えた知識。その行為をなんと呼ぶのかは知らなかったが、グラビアの中の男の子は、やっぱりとても気持ちよさそうにお姉さんの口でおちんちんをしゃぶられていた。
「んぅっ!?」
 小さな唇が触れた途端、ぴゅぅ、と吹き出した粘液がユイの口の中に広がる。圧倒的な存在感で喉奥から食道までをも占領するシローの味とシローの匂いに、ユイの股間が再び熱く疼き始めた。
「シロー、……ちゅ……む……お姉ちゃんはしてくれなかったよね。……んむっ……れるっ……お、姉ちゃん、自分が……キモチ良くなるだけで、んっ、んんっ……し、シローのこと、…ちゅ…・…こんな風に……してくれなかった…あむっ……よね?」
 自ら仰向けになり、無防備な腹を晒して、犬の生殖器を口に含む――それは獣に屈服するのと同義の行為だ。人としての尊厳も無くす行為とそしられかねないだろう。しかし、ユイに有るのは愛しい相手に尽くしたいという一心のみだった。
 あるいは、それもまた歪んだ姉への反発心――あるいは嫉妬なのかもしれない。
 自分は姉とは違う。あんなにたくさん、好きだと言ってくれていたシローをあっさり見捨てて、どこかに行ってしまった姉とは違うのだと。ユイはただ、そう言いたかったのかもしれない。
 なおも強く脈動するシローの生殖器に、小さな舌を絡め、唇を押しつけて前後させ、指をさらに大きくスライドさせる。シローの動きが次第に早まり、息が荒くなってゆく。ユイはいつしか全身を使い、シローの快感を高める事に夢中になっていた。
 口腔に拡がる生臭く苦い味を堪え、精一杯の動作で溢れ出す半透明の白濁を舐め取り、飲み下してゆく。唇を大きく広げ、熱い剛直の先端を口に含んで、奉仕を繰り返す。
「んむっ……ねぇ、……シロー、キモチいい? ……あたし、うまくできてる、かな?」
 本当なら、もっと根元まで、全部を口の中、喉の奥まで含んで慰めてあげたい――けれどユイの唇ではどうしてもそれは叶わなかった。精一杯の口腔奉仕に、シローは激しく声を荒げる。
 尻尾を激しく振りたてながら吠え、それでもぐいぐいと腰を押しつけてくる。何度も喉の入り口を熱い生殖器の先端で擦られ、そのたびに咳き込みそうになりながら、ユイは生殖器への愛撫を止めなかった。
「んぅ…っ!!!」

 うぉ、おぉおんっっ!!

 シローが腰を止め、大きく吠える。同時に、爆発するように、シローの生殖器が先走りを噴き上げた。
 それをも全て唇の中に受け止め、ユイは小さな喉を動かして飲み込んでゆく。
「ん……じゅるっ……んくっ……ぁふ……すごいよ……シローの、熱くて、おっきくて……シローの、味が、いっぱい……んっ」
 じゅるっ、と先端に詰まった粘液を吸い上げて嚥下する。すると、ユイの胃や食道までもがかぁっ、と熱を持って疼くのだ。少しでもシローを受け入れたい、そんな想いでユイの頭はいっぱいになり、同時に少女の下腹部は切なく甘い疼きを繰り返す。
 とうとう最後の一滴まで、ほとんど残さずに飲み下し、ユイはおおきく息をついた。
「はあっ……」
 シローの獣欲の爆発がおさまるのを見届け、なおもたらたらと粘液をこぼすシローの生殖器から口を離す。
 そうして、ユイは正面からぎゅっとシローを抱き締めた。
「シロー……」
 そっと、愛しい相手の名を――もはやペットと飼い主、という枠では括れない思いをこめて、ユイはシローの名を囁く。
 ぉん? と首を振るシローの耳にぐっと唇を押しつけ、ほほを当て、決意を込めるように先を続けた。
「……あたしなら、……いいよ?」
 こつん、とシローの頭に額を寄せて、荒い息をゆっくりと押さえながら、ユイは胸に溢れそうになる想いを口にする。
 じっと、ただ真摯に。
 精一杯の言葉で、シローを抱き締めた。
「お姉ちゃんはしてくれなかったこと、シローにしてあげたいよ……」
 ゆっくりと、確認するように一語一語を区切りながら、ユイはシローに訊ねる。そうすることで、本当にシローと意志を通じ合わせることができるというように。
 ユイは、一人の少女としてシローを愛していた。
 心に満ちる甘く切ない思いを、かすかに震える唇に乗せて言葉にしてゆく。それは悪魔の誘惑のように、あるいは天使のもたらす福音のように、産まれてからずっと家族同然に過ごしてきた愛犬に囁かれていった。
「あたし……」
 こくり、と緊張で再び渇いた喉に、粘つく唾を飲みこんで。

「――あたし、シローの赤ちゃん、産んであげたい」

 ユイは、はっきりとそう告げた。
 姉とシローの、あまりにも倒錯的な行為を覗き見て、火照る身体を持て余すように拙い自慰に耽るようになった頃から、ずっと心に秘めてきた願いだった。
 種族の壁を超え、遺伝子と、生命としての尊厳の境界すら破壊せんとする、甘くも切ない懇願。おなかの奥で疼く子宮の求めるままに、シローの子供を孕み、産みたいと――ユイは偽りなくそう思っている。
「シローは、嫌? あたしとの赤ちゃん、欲しくない……の?」
 なによりも、シローを置き去りにしてどこかにいってしまった姉なんかよりもずっとずっと、シローを愛しているのだと。少しでも多く伝えたい。
 情欲に濡れ、半裸の身体を粘液と汗でとろとろに濡らし、蕩けるような笑顔ですがるような少女の問いに、シローまっすぐな視線で答えを返す。
 ――ぉんっ。
 低く響いたその吠え声は、了承、の合図だった。



 (続)

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

最新の記事

記事のタグから探す

月別アーカイブ

限定特典から探す

記事を検索