シロフミ 2020/08/05 21:46

シローとユイの話・その2

 ベッドの上に仰向けになり、脚を大きく開いて、無防備な腹を晒す。服従を示す姿勢で相手を受け入れ、どこまでも深く身体を接する――もっともポピュラーで、もっとも有名な交合の体位だ。
  正常位――対面の臥位がそう名付けられているのは、この体位が人間にとってもっとも相応しい交わりのカタチだということを示している。こうして女性の側が 仰向けに相手を迎え入れるのは、人間のみが行なう性交の姿勢。番う相手を対等なパートナーと認め、心から受け入れる事の証なのだ。
 ユイは、その姿勢でシローを受け入れようとしていた。
「……シロー……、いいよ……?」
 ごくっ、と緊張の唾を飲みこみ、ユイは押し付けられる生殖器をそっと脚の間に導く。蜜に塗れた下腹部ではなく、その大元の柔らかく桜色をのぞかせる部分に。
 ユイの腰の下には枕が差し込まれ、程良い高さまで持ち上げられている。姉との交わりを覗き見て覚えた、シローとの交わる為の工夫の一つだ。
 これから、ユイは“はじめて”を経験する。
 シローのおちんちんで、処女を失うのだ。
「っ……」
 覚悟はしていても、犬のペニスで処女膜を貫かれるのは、予想以上の恐怖と興奮をユイにもたらした。
 いまだ驚くほどの硬度を保ち、はちきれんばかりに子種を溜めこんだ肉の塊。ただひとつの望みである“受胎”を待ちわびて猛り狂うシローの生殖器をぐっと股の間に挟み、ユイは緊張で震える指をそっとシローの首へと回す。
「平気だよ……? あたしなら……だいじょうぶだから……。お願い、お姉ちゃんみたいに……して?」
 パートナーの耳元へ、そっと唇を寄せ、甘く蕩けた声で囁きかけた。
 ぉうんっ!!!
  応えるように一吠えしたシローは、弾かれるようにユイの腰を押さえ付け、びくびくと跳ね回る生殖器を少女のふっくらとした丘に突き立てた。姉との蜜月を過 ごした愛犬の手際は驚くほど素晴らしく、種族の壁など感じさせない洗練された動作で、幼い丸みを残した柔肌が獣欲に滾る怒張に侵食されてゆく。
「ぅあ……あぁ、あっ、ああっ、っはぅっ、んぅっ!!」
 激しく腰を振りたてるシローだが、いくら柔らかくほぐれ蜜を溢れさせていても、ユイの処女孔は一息に貫かれるほど深くはない。ぬぷ、ぬぷと浅い抽挿を繰り返されながら、桜色の秘肉は甘い蜜をこぼす。
 焼けた鋼のように熱い感触が少しずつ幼い秘孔をこじ開け、生命を繋ぐ肉杭がユイの身体に撃ちこまれてゆく。
「ぁ、あぅっ……し、シローっ……シローっ!! ぁああぅっ!!」
 もはや言葉は意味をなさない。逞しく突き立てられる雄の証を精一杯受けとめることが、交尾の上で雌に許された自由だ。番う相手を心行くまで満足させ、ありったけの遺伝子を受け取る――そのために、ユイの身体はシローを拒まない。
「っ、……お姉ちゃんっ、おねえちゃあんっ……」
 我知らず姉を呼びながら、ユイはぎゅっとシローの首に回した手に力を込める。愛犬の激しい息遣いが少女の鼓動を高め、切なく疼く胸をいっそう加速させる。
 シローがぐいと腰を前に突き出した。挿入を試みる角度が変わり、ユイはまた別の場所をえぐられる快感に声を上げる。
 同時に、ユイは自分の腰がゆっくりとシローの動きに同調して持ち上がるのを、どこか他人事のように自覚していた。
(ぁ、あ、あっ……シローのが、おっきいのが入ってきちゃうっ……お姉ちゃんと同じに、初めて、シローにあげちゃうんだ……っ)
 その想像は、ユイの幼い心をぞくりと撫で上げた。
 華奢な身体がしなやかに反り、獣欲に滾る破瓜の衝撃を受け止めようともがく。
 少女の胎内に繋がる細い道を探り当てたシローは、ゆっくりと角度を合わせて腰を振るい立てた。
 ずんっ、と情け容赦ない突き上げが少女を襲う。
「ぁ、ああーっ、あああっ、あーーーっ!!」
  容赦のない圧迫感がユイの小さな孔にねじ込まれる。圧倒的な大きさの灼熱の塊が、入るはずのない孔の奥底めがけて侵入を試みてくる。細く狭い膣口を無理矢 理押し広げ、シローの生殖器が突き込まれる。何度かしたことのある一人遊びよりもはるかに深くまで、容赦なく、強引に。
 胎内を引き裂くぷちぷちという幻聴は、無垢な少女の内側が初めての相手を受け入れる証拠。血を滲ませながらも健気に、ユイの柔襞はシローの生殖器を包み込む。
 じゅぶり、と淫らな音をたてて薄赤い蜜をこぼし、ユイはとうとう無垢なる乙女の証を、愛しいパートナーに捧げた。
「あ……ぁ、か、は……っ」
 シローの生殖器は加減を知らぬまま、幼い肢体をそのままの勢いで深々と貫いてゆく。あっという間に幼膣を最奥部まで貫かれ、ユイは肺の中の空気を絞り出されてかはっ、と呻いた。
 途方もない存在感。頭のてっぺんから爪先までを熱く大きな衝撃が貫き、何度も波のように寄せては押し返す。
「ぁ……く…ん……はっ…ふ」
 あまりの衝撃になにも言葉にならなかった。愛おしさと快感と、悲しさと痛さと心地よさ。言語には変換不可能な、もっと原始的な感情が少女の心を満たしてゆく。
 破瓜の衝撃にいまだ引きつり、麻痺したようにびりびりと疼くユイの柔孔は、わずかに身じろぎするだけで、その奥深くにまで受け入れたシローの生殖器の存在を感じさせる。
 ぎちぎちと今にも裂けてしまいそうに張り詰めながらも、蜜にぬめる柔襞はゆっくりと蠢き、シローの滾りをきつく締めつけていた。
「っは、……はふっ……シロー……、わかる? ……ッ……あたし、シローに、…はじめて、……奪われちゃったんだよっ……?」
 ユイはいつしか目元に涙を浮かべ、荒い息を堪えながらシローを呼ぶ。
 びく、びく、と絡まり合ったふたつの肉が、激しく反応し蠢いている。じぃんと麻痺した下半身からは、どこからどこまでが自分の身体で、シローの身体なのか解らないほどだ。
 少女の無垢な胎内が猛り狂う犬の生殖器と交合し、熱く滾った粘液を互いに分泌して混ぜ合わせている。わずかにシローが腰を揺すり、生殖器がほんの数ミリ単位で前後するたび、白く泡立った交合部から粘液がこぼれ、シーツの上でずり上がるユイの下腹部を汚した。
「すご……っ、っは、ぁあっ、シローの、おっきいのが、いっぱいぃっ……」
 まるぜ串刺しに貫かれてしまったかのような、圧倒的な満足感がユイを襲う。
 シローの抽挿が次第に大きくなり、ユイの処女孔も徐々にではあるが滑らかにそれを受け入れだしていた。
 大人向けのコミックで読んだ事のあるセリフを真似しながら、ユイは自身の興奮を促して身体のテンションを高める。はちきれそうなシローの生殖器は力強くうねり、ピンク色の肉槍自身にほぐされてユイの身体も“そこ”で紡がれる快感を貪るコツを覚えだしていた。
 引きぬかれては押しこまれる動作の一往復ごとに、ユイの小柄な身体はシーツの上をずり上がってはずり落ちる。ぬぷりゅっ、と吐き出される蜜と粘液の混じり合ったものが、わずかな赤色を伴ってシーツを汚す。
「ぁ、あっ、あ、あっ、あっ、シロー、シローっ、お、おなか、ヘンになっちゃう……っ、熱いの、熱いのいっぱいっ……」
 逞しい四肢でユイの下半身を持ち上げながら処女孔を犯し、シローはすでに射精の体勢に入っていた。軟骨の隆起と共に先走りから変じた犬の射精は、一次射精液となる白濁を伴って激しくユイの胎内に注ぎ込まれる。
「シローっ、いっぱい……いっぱいでてるっ……すごいよぉ……しろーの赤ちゃん、できちゃうっ……」
 途方もない熱量が、まるでポンプで押し込まれるようにユイの狭い孔に満たされてゆく。狭く細い孔を押し上げる先端が激しく白濁を噴き上げて、ユイの子宮口に直接叩き付けられる。長い『おあずけ』を食った、大量の半粘性の塊が少女の胎奥を突き上げた。
「ふぁあああああああぅぅぅっ!?」
 十月十日をかけ、赤ちゃんを育ててゆく大切な場所に、その“赤ちゃんの素”を容赦なく注ぎ込まれるという初体験。未知の感覚にユイはたまらずシローの肩に縋り付いた。腰が勝手に浮き上がり、意志とは別に動いてシローの生殖器に絡みつく。
 びくびくと痙攣する腰をシローの身体に押しつけ、ユイは少しでもこの歓喜を受け止めようとしていた。あれほど巨大だったシローの生殖器が、根元までずぶりとユイの幼孔に埋まり込む。
 それでもなお、納まりきらない射精の白濁粘液が少女の孔から次々と吹き出してゆく。
「シロー…っ、すご…、こ、こんなに、熱いの、いっぱい…っ♪」
 未経験の快楽に打ち震えるユイ。
 しかし、シローにとってこんなものは最初の射精、ただの準備段階にすぎない。
 犬の交尾はひたすらに長く、射精も果てしなく続く。最初の抽挿は、雌の身体が交尾できる状態であるかどうか確認すると同時に、排卵を誘発させ受精を促すための準備。そして他の雄が注ぎ込んだであろう子種を柔孔から残らず掻き出し押し流すためのものだ。
 たっぷりと注ぎ込んだ白濁で、ユイの幼膣がすっかり満たされたことを確認したシローは、さらに息を荒げユイの下半身に深く腰を押し付けてきた。
 生殖器の根元には、いつのまにか大きく膨れ上がった巨大な瘤が浮き上がっている。シローはそれをユイの胎内に押し込もうとしているのだ。
「え……な、なにっ!? シローっ、何するのっ!? や、やだっ、やめてえっ!!」
 ユイ自身の拳にも近いサイズの巨大な圧迫感に、ユイは悲鳴を上げる。こんなものは姉との交わりでも見たことがなかった。
 これは、より深く雌と交合するためにシローの種が持つ獣性の一つ。完全に雌を己のものとする仕組みだった。
  パートナーの乱心に暴れ出すユイだが、すでに深く発情し、獣の生殖本能に支配されたシローはそれを聞き入れることはない。マイとのような遊び半分の交合で はなく、ユイは本物の生殖を――シローの遺伝子を身体の奥底で受け取り、受精し、受胎し、子を孕み、産む事を望んでいるのだ。
 賢くも聡いシローは、パートナーの意志をはっきりと汲み取り、この小さな雌の胎内に己の遺伝子を遺す事を最優先する。
「シローっ、だめ、い、痛……っ、さ、裂けちゃうぅ……っ だめ、それだめぇ!!」
 熱く滾った生殖器を迎え入れるだけで精一杯の狭い処女孔に、ユイ自身の拳に近いサイズの精瘤がむりやりにねじ込まれてゆく。目前に迫った受胎を前に、シローは本能のまま小さな雌をしっかりと組み伏せ、押さえ付け、逞しい腰を激しく打ち付けて狭くきつい柔腹を蹂躙した。
「ぁ、あ、あ、あぁーーッ!!?」
 ぐぷ、とくぐもった音が響く。
 背筋を仰け反らせ大きく口を開いて、ユイは全身を貫く衝撃に翻弄される。
 先端から根元まで、ユイの両手で握っても遥かに余る巨大な生殖器。それが、とうとう余さず少女の胎内に埋め込まれる。
 本来なら小さな身体を引き裂いてしまいかねない暴挙だったが、たっぷりと時間をかけてほぐされていたユイの秘肉は柔軟に伸縮して、雌を孕まさんと凶悪に変貌したシローの生殖器を飲み込んでいた。
 ありえないほど深く、ちょうど幼い孔の奥底までをシローの生殖器に貫かれ、ユイは悲鳴を上げる。
 とは言え、少女の孔もそれが限界だ。限界まで広がった柔襞は、まるであつらえたようにぴったりとシローの生殖器と噛み合い、隙間なくひとつに繋がってゆく。同時に鋭い生殖器の先端はまだ未発達の子宮口を突き刺していた。
「か……はっ」
 横隔膜が押し上げられ、肺が中に残った空気を吐き出そうとする。その呼吸だけで
内臓が蠢き、胎内を埋めているシローの生殖器を感じ取る。
 まるで、全身を串刺しにされてしまったかのような途方もない存在感。ついに本当の意味でシローとひとつになり、ユイはお腹の中全てに愛しい相手の生殖器を感じていた。
「ま、まって……だめ、ダメ、シローっ……」
 猶予を求めるユイの懇願は、届かない。
 びく!びく! と生殖器を跳ねさせ、シローが体を揺すり脚踏みをはじめる。
 これは犬に特有の射精のポーズだ。熱くうねる肉棒は大きく膨らみ、ポンプのようにたった今作ったばかりの白濁液を注ぎ込み始める。第二次射精液は、雌の胎内に直接注ぎ込まれ、受精を促すためのさらに濃い子種の塊だ。
 子宮口に食いこんだシローの先端が噴き上げる灼熱のマグマに、ユイはシーツを握り締めて激しく首を振りたてた。少女の細い腰がうねり、滾る獣欲を一滴残らず白濁を絞り取らんばかりに蠢く。
 ユイの身体もまた、シローの猛りに影響されるように、愛しい相手の仔を孕もうとしていた。倫理や優生学の既存概念を残らず叩き壊すように、二人の交わりは美しかった。まるで――ふたりが本来そんな雄雌の番いであるかのように。
 奇跡のように神々しくさえある、無垢な少女と逞しい雄犬の交合。吹きこぼすこともできぬ程の奥深くに子種を流し込まれ、針のように細い子宮口の奥へと、似え滾る白濁が殺到する。
「ぁ、あっ、かは、っう、あ、あああぅぅっ!!!」
 同時、ユイの胎内でも変化が起きていた。繰り返される興奮に、急遽の成熟を余儀なくされた卵巣が激しく脈動し、対となるべき生命の卵を吐き出したのだ。
 その衝撃をはっきりと感じ取り、跳ねまわるユイの腰を押さえ付け、シローはさらに深く生殖器を押し込む。これが幼いユイに許された数少ない受精のチャンスだと、シローは知っているのだ。
 だが、その巨大な精瘤を身体の中に埋めこみ、先端を子宮口にがっちりと嵌めこんだ状態では、わずかな前後運動でさえ悶え狂わんばかりの快楽をユイにもたらす。
 シローはそんなユイを励ますように長い舌でべちゃべちゃと火照った顔を舐め回し、そのまま少女の桜色の唇を奪った。深く舌を差し入れ、少女にも舌を使うように促す。
「んむっ、んぅっ……ひぐっ……ぁ、ふっ……」
 溢れんばかりの愛で、種族と倫理の壁を突き崩すかのような行為だった。煮え滾る情欲が、少女の細い身体に手加減抜きで叩き付けられていた。
 まるで、人との交わりかたを理解しているかのような行為。
 あるいは、それもまたシローがマイとの間で得た手管のひとつかもしれない。少年が夢中になって恋人を抱くように。シローはユイの細く小さな身体を組み伏せて、一心不乱に腰を振る。
 大きくねじられる腰の動きにユイの処女孔はふかく捩れ、折り重なった襞を使って猛りを締め付ける。逆栓のように胎内に押し込まれた精瘤がくねり、ユイの下腹部に緩やかな盛り上がりを見せる。
「ぁ、あ、だめ、こわれ……ちゃうっ、……シロー、あたし、もうだめぇ……っ!!!」
 限界を訴えるユイに対し、間髪入れずに激しく噴き上げた白濁液が狭い膣内を満たす。栓を越えて溢れ出した粘液がベッドの上にこぼれ、大きな染みをつくり、さらにその上にどろどろと濃く煮詰められた生命のスープをぶち撒けてゆく。
 ユイは悲鳴を上げて子宮を貫く衝撃に翻弄された。
「ぁ、あ、シローっ、しろー、おナカ、熱い……シローのが、どろどろっていっぱいになって、できちゃう、シローの赤ちゃん、できちゃうぅ……っ」
 遺伝子の壁など、誰が知ろう。犬と人とが子を成すことができぬという事実など妄言とばかり、万に一つの失敗もなくこの機会を生かすため、少女の胎内を、1%の可能性も残さず完全に受胎させんとばかりに執拗に執拗に白濁が注ぎ込まれてゆく。
 少女の身体を完全に征服し蹂躙するために、いつまでもシローの射精は止まらない。それが大自然の摂理、生存競走の果てに作り出された獣の交わりだ。
「ぁ、あふぅ、か、くぁ、ひぐぅうううっ!?」
 シローが不意に腰を持ち上げ、ぐりん、とユイの身体をまたいで後ろ向きになった。狭い膣内を無理矢理捻じ曲げられた生殖器が回転し、ユイはシーツを引きちぎらんばかりに掴む。
 これがシローの獣としての交わりの第3段階。
 ちょうど股間同士をくっつけ合い、互い違いに向き合った格好。専門用語で『ジョイント』と呼ばれる体位だ。本来は雌も同じ四つん這いになってお尻をくっつけ合うのだが、ユイが仰向けになっているため些か変則的な格好となる。
 しかし、シローが反対を向いてしまったため狭く小さな膣内に納められた生殖器の角度はありえないほどにねじれ、柔襞をよじられたユイの官能は立て続けに爆発する。
「……あぐ……っ、シロー、まだ……まだそんなに、いっぱいっ……もうだめ、もう……おなか、こわれちゃう……しろーので、しろーのアツいので、おなか、ホントに……こ、こわれちゃうよぉ……っ!!!」
 ユイは知る由もないが、これこそが犬の交尾におけるクライマックスだった。雌が受胎を終えるまで徹底的に精液を注ぎ続ける体勢なのだ。既にどうしようもないほどにユイの柔孔に子種を注ぎこんでおきながら、シローはまったく満足していない。
 シローは感じているのだ。ユイの胎内に、いままさに番いとなる卵子が放出されていることを。そして、いまだそこに自分の遺伝子がたどり着けていない事を。
 枕にしがみ付こうとするユイに対し、シローはベッドの上に四肢を踏ん張らせて前に進もうとする。
「ひぁぐっ!? あ、ぐ、ぅ、あ、あ!!」
  そのままでは交合部が外れ、生殖器が抜け去ってしまうだろう。しかしユイの狭い穴の中で一層大きく充血し膨らんだシローの生殖器は、がっちりと噛みあって まるで一つの器官のように連結していた。ユイの抵抗を振りほどかんばかりに、シローはベッドから身を乗り出して、前脚を床に下ろした。
 ずむっ、と激しい一撃がユイの脳髄を揺らす。同時にまたも爆発するような射精が起こり、ユイの子宮にさらに濃密な白濁が叩き込まれる。
 人間どうしでは決して味わうことのできない、身体のなかが相手の遺伝子でたっぷりと満たされてゆく感覚。ユイは全身でそれを感じている。
 ユイの小さな身体を引きずり下ろすように、シローは前進を止めない。
 ベッドにしがみ付いて必死に抵抗するユイだが、所詮は体格が違う。力強く一歩を踏み出すシローに引きずられ、少女は甲高い悲鳴を上げた。
「ぁう、あ、あ、あっ、あ、あぁあああああ!! ふぁあああああっ!!!」
 またも激しい射精がユイの奥底に叩き付けられる。
 灼熱に溶け合った交合部が、激しく脈動し暴れ回る。途方もない絶頂が立て続けに襲い、快感は天井知らずに止まらず、たとえようもな愛しさが下腹部から全身へと広がってゆく。
 ユイはいつしか言葉も理性も思考も失って、シローの番いとなっていた。愛しいパートナーの子供を宿し、産み落とすための大切な交わりを、心の底から歓び受け入れてゆく。
 そして――とうとう、限界を超えて注ぎ込まれたシローの似え滾る生殖細胞が、少女の揺り篭を突っ切り、生命の神秘を産みだす卵巣への道へと堰を切ったように流れこむ。
 狭い子宮口をこじ開けて流し込まれた精子の群れは、本来とは違う雌生殖器の状態に戸惑いながらも、力強く粘液の中を泳ぎ続けた。
 まだ生殖には未成熟のはずの胎内は、執拗な交合によってパートナーの遺伝子を受け入れるのに最高の状態に高まっており、流れ込んだ子種を余すところなく、赤ちゃんを育てるための神秘の揺り篭の奥へと招いている。
 そこには既に排卵を起こしたユイの処女卵子が待ち受けていた。
 いまだユイは初潮を迎えていないため、真実これが一番最初の排卵となる。文字通りの処女地を蹂躙するシローの生殖細胞はそれを察知し、徒党を組んでなだれこんだ。
 己の遺伝子を繋ぎ、子孫を残す。ただその一点のためだけに生み出されたシローの精細胞は、凶暴なまでに猛り狂い、生殖のゴールとなるべき生命の素、ユイの処女卵子に殺到する。
 その数は、人間同士の交わりなどではありえないほどに多い。
 本来、熾烈な生存競走を勝ち抜くために発達した、完璧な受精を可能とする獣の生殖行為の仕組みがこれだ。
 精瘤を使ったジョイントも、何十分にもわたる大量射精もすべてそう。
 他の雄が入りこめぬよう、雌の膣に栓をして、自分の遺伝子が卵子を残らず蹂躙するまで精子を注ぎ込むようにプログラムされているのだ。雌もそれに応えるため、一度に多数の卵子を排出して少しでも多くの遺伝子を受け入れるのだ。犬はそうして数多くの子供を孕む。
 しかしまだ未成熟なユイの身体が生み出せる卵子の数など限られている。5~12頭という犬の出産に比べて、ユイの作り出した生命の卵は圧倒的に少なく、わずかな数でシローの注ぎ込んだ膨大な精子を受けとめねばならなかった。
  それゆえに、あまりに過酷な条件が引き起こした受精の瞬間は、まさに陵○と呼ぶに相応しいものだった。本来は一対一で結び付くはずの精子と卵子の番いは、 そのルールをかなぐり捨て、無垢な生命の卵に白濁の群れが殺到する。少しでも強い因子を、少しでも強い生命を残すための、凶悪なまでの受精。無垢な卵子に 所構わず集り、食い破り、引き裂く――まさに生命の蹂躙だった。
 そのすさまじさたるや、母体たる少女にまで届くほど。
 無数の精子に啄ばまれ、その柔らかな細胞を徹底的に犯し尽くされた処女卵子が、激しく暴れまわって卵管を転がり回る。シローの隠された獣性のまま、柔らかな粘膜を食い破るかのようだ。
 そしてとうとう、ふっくらと柔らかな子宮まで辿り着いた受精卵が、十月十日を過ごす揺り篭に飛びこむ――その瞬間。
 胎内の最奥部に広がる途方もない歓びは、波のように寄せては返し、ユイを何度となく法悦の頂きへと突き上げる。
 半ば気を失いながら、夢のように茫洋とした意識の中で、ユイはその瞬間を感じ取っていたのだった。




「ちょっとユイちゃん、またそんなの食べちゃって!!」
 居間に響くのは鋭い声。床に寝そべっていたユイを母親は目ざとく見とがめて、目を吊り上げていた。
「あーっ!? なにするの、ママっ」
「お休みだからってそんなにごろごろして……おやつは3時までがまんしなさい!!」
 空になりかけていたポテトチップの袋を取り上げられ、ユイはむぅーっ、と頬を膨らませる。
「……おなかすいたんだもん」
「ウソおっしゃい。さっきお昼食べたばっかりでしょう。おかわりまでして。あんまり食べてばっかりだとおなか壊すわよ?」
「ふーんだ。いいもん。……そんなにイジワルするんだったら、ママには抱っこさせてあげないから。この子だってママのこと嫌いになっちゃうんだからね」
 ユイはこっそりと服の上からおなかを撫でる。
「……なあに? 何か言った?」
「別に。なんでもないよ。いこ、シロー」
 独り言が大きすぎて母親が何かを聞きとがめたようだったが、ユイはぷいと顔を背けると、口うるさい母親にべーっ、と舌を出して、シローを連れて部屋に戻る。
 2階のユイの部屋は、完全防音の一個建てだ。小さくても女の子ならプライバシーの尊重を、といういかにもな理由で作られたこの部屋を、母親はあまりよく思っていないのをユイは知っている。
 後ろ手にドアの鍵を掛けると、ユイはぼん、と仰向けにベッドに身体を投げ出して、シローを招いた。
 先に部屋に入って尻尾を振っていたシローは、わぉん、といい返事をしてベッドに上がってくる。のしかかるような勢いで寄ってきた大きな白い身体を、ユイはぎゅっと抱き締める。
「ん……シロー、いい匂い……」
 その言葉は、無垢な少女としてではなく、既に甘く蕩けた恋する乙女のもの。
 愛しいパートナーと抱き合いながら、ユイのもう片方の手は、そっと膨らみはじめた小さな腹部をいとおしげに撫でる。


 種族が違えども、受精そのものは起こりうる。
 卵子と精子が結び付く、その作用そのものは哺乳類であればさして変わることがない生命誕生の一過程だ。たとえ適合しない結び付きでも、番いとなることまでは許されていると言えるかもしれない。
 しかしその先――結び付いた生殖細胞が、遺伝子を交換し、ふたりの子孫たる生命を紡ぎ上げるかどうかは違う。
 適合しない染色体は決して結合することなく、遺伝子の壁は厳然と種族を越える愛を否定するのだ。そうして出来損なった不完全な生命の卵は、決して芽吹くことなく、孵ることなく壊死し、やがては雌の胎内から排出される。
 ユイとシローの愛が作り出した受精卵――それもまた不完全な命の素。同じように残酷な結末を辿る運命にあった。

 ……そのはずだった。

 それは果たしていかなる奇跡か、あるいは悪魔の業か、生命への冒涜か。
 あるいは、二人の想い合う心が、世界の箍を外したのだろうか。
 胎の奥で静かに息づく小さな鼓動。確かな生命の存在。
 あれから4週間。種族と倫理の壁を叩き壊して、少女の胎内には確かに、熱く疼き続ける子宮の存在感があった。
 ぴく、とおなかの奥で蠢く感触を聞き取った気がして、ユイは陶酔の吐息をこぼす。
「あは……また動いた……ほら、分かる? シローの赤ちゃんだよ?」
 ユイはシローによく聞こえるようにと、彼の頭をぎゅっと抱え、小さなおなかをシローの耳に押し付けた。
 こちらもまた、新たな生命の父親となった歓びで、ユイの胎内に息づく我が子の生命を感じ取ったのか、シローは楽しげにおぅんっ、と鳴く。
「……赤ちゃん、すっごく元気なんだ。毎日いっぱい動いて、あたしのおなかけとばすの。きっととっても可愛くて元気に産まれるよね」
 おなかを撫でながら、ユイはまだ見ぬ我が子の姿に思いを馳せる。
 自分の身体と繋がった生命が、確かに胎内に育ちつつある。その静かな興奮に、ユイの身体はじんわりと火照り、せつない程の愛しさが込み上げてくる。
 粘液にまみれた胎胞に包まれ、こんこんと眠るようにすくすく育ち続けるシローの子。
 それがいつしか、すっかり大きくなって、ふっくらとお腹を膨らませる――
 愛しい愛しい相手との愛の結晶が身体を満たしてゆく、その歓び。少女から一足飛びに母へと続く歓び。あまりに倒錯的な快感に、ユイは込み上げてくる愛しさを、すこしでもパートナーと分け合いたくて、ぎゅっとシローの身体に抱きついた。
 それに反応するように、シローもまた小さく腰を震わせ、眼を細めてユイの顔を舐めた。
 ユイもその舌を迎え入れ、二人の顔はあっというまに互いの唾液でべたべたになった。耳や首筋までたっぷりとかわいがられてしまい、すっかり赤くなった頬をしずかに俯かせ、
「……シロー、……えっち、する?」
 ユイがゆっくりとその耳に囁くと、シローも力強く『おぅんっ!!』と吠え、尻尾を振ったのだった。




 (続)

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