シロフミ 2020/08/06 22:47

およめさんごっこ

 ノクターンノベルズ掲載分より。


「もーー!! ダメだって言ってるでしょ!? あたし、宿題で忙しいんだからね!! それに、もう本当にダメなんだから!!」
 あそんで、あそんで、とせがむラッキーは、椅子の下で脚にじゃれ付いてくるラッキーに、とうとう我慢の限界に達した伊織は叫んでしまいました。
 ちょっとお間抜けな顔をした飼い犬のラッキーは、もう何年も前から伊織のうちで暮らしています。庭に居るよりも家の中にいるのが好きで、散歩よりも伊織とじゃれるのが大好きという、ちょっと変わった犬なのです。
「わぅ、わうわんっ!!」
 伊織が本気で叱っているのにも気づかずに、尻尾をぱたぱたと振って、ラッキーは伊織の前でべろんと舌を出し、おどけてみせます。ラッキーときたら、伊織よりもずっと大きな身体をしているのに、中身はまるで子供なのでした。
「もぅ……邪魔しないでってばぁ!!」
 大きな机に届くように高く調整した椅子のうえで、伊織はばたばたと脚を振って、ラッキーを追い払おうとします。
 けれどどうやらラッキーはそれを遊びのひとつだと思ったようで、黒いソックスの伊織の脚の先端に飛びついて、そうっと噛み付いてくるのでした。
「ひゃん!?」
 大きな口にぱくりと爪先をくわえられ、さらにはぬるっとした熱い舌で足の裏をぞるるっと舐められて、伊織は思わず叫んでしまいます。
「や、やめ……もう、ばかラッキー、やめなさいよぉっ!!」
 不思議なくすぐったさに顔をちょっと赤くして脚を引く伊織ですが、ラッキーの尖った歯が靴下のさきに引っかかって、思うようにいきません。それどころか、ラッキーはさらに舌を伸ばして、ぢゅるぢゅると爪先を舐めてくるのです。
「っ、ひぁあっ!?」
 さらに、ふかふかの背中の毛皮にふくらはぎをこすられて、伊織は飛び上がります。開いていたノートのページが、計算問題の途中の式ごとくしゃっと握り締められてしまいました。
 確かに、人間の手みたいに前脚を使うことができないラッキーが、伊織にじゃれ付くにはそうやって舌と口をつかったり、身体をこすり付けるしかありません。
 けれど、極度のくすぐったがりやの伊織には、それはとっても危険なことなのです。
「うぅぅ~~~……ッ!! もぉ、バカっ!! バカラッキー!! やめなさいってばっ!!」
「きゃうんっ!?」
 くすぐったさに耐えかねて、伊織はラッキーに当たるのにも構わず思いっきり足を振り回しました。そのうちの一発が見事に頭にぶつかって、ラッキーは目を白黒させながら机の下を飛び出します。
 情けない鳴き声を上げ、たちまち尻尾をお腹の下に入れ、部屋の隅まで避難して『伏せ』の格好をするラッキーを、伊織はぎろっと睨みました。
「ダメって言ってるのに、ほんっと言うこと聞かないのねあんたは!!」
「くぅうん……」
「あーもぉ……靴下べたべたになっちゃったじゃない……」
「わふ?」
「わふ、じゃないわよっ、バカラッキー!!」
 がぁーっ、と八重歯をむき出しにして怒る伊織に、ラッキーはぺたんと耳まで伏せ、ますます部屋の隅で小さくなります。イタズラ好きのクセに、やたらと弱気なのが、ラッキーのたくさんあるダメなところのひとつなのでした。
 大きな身体を縮こまらせ、毛玉のように丸くなって、ラッキーはおどおどとしながら、ちらりちらりと伊織のほうを窺います。ちょっと怒られたくらいですっかり怯えてしまっている情けなさに、伊織ははぁ、と大きな溜息をつきました。
「ったくもぉ、そんなだから女の子にモテないのよ……」
 ラッキーも、もう歳で言えば立派なオトナなのだそうです。伊織なんかよりも年上で、とっくに『およめさん』がいてもいいという話でした。
 けれど、ラッキーにはまるでそんな貫録も、余裕もありません。公園に散歩にいくときも、同じように飼い主に連れられて散歩をしているたくさんの女の子の犬とすれ違うのですが、ラッキーときたら、自分よりもずうっとちっちゃなポメラニアンの子にちょっと吠えられるだけでも、たちまち尻尾をおなかの下に入れて『降参』してしまうのでした。
 ごはんの食べ方もだらしないし、することといったら他愛もないいたずらばかり。庭ではいつもごろんと横になって、居眠りばかりしています。泥棒どころか知らない人が来るだけで吼えることなくすごすごと小屋に逃げ込み、雨なのでたまに部屋にあげてみれば、伊織のこともかんがえずあそんであそんでとじゃれ付いてきます。
 これじゃあ、本当に“お見合い”をしても、結婚できるかどうかわからないと、伊織の両親も嘆いているのでした。
「……ねえ、そんなに遊びたいの?」
 いい加減宿題をする気も失せてしまい、伊織はくるんと椅子を回して、部屋の隅のラッキーに声をかけます。
 すると、現金なラッキーはたちまちきらぁんと目を輝かせ、ぴょこんと飛び上がり、元気良く吼えながら伊織に“がばぁっ”と飛びついてくるのでした。
「わぉんっ、わぅわぅ、わぉんっ!!」
「わわっ……!? ちょ、ちょっとコラ、ラッキーっ……!!」
 まるで椅子ごと蹴り倒さんばかりの勢いで飛びつかれ、椅子がぐらりと傾きます。伊織よりもずっと大きな身体をしているラッキーが、思い切りジャンプして飛び付き、全体重をかけて寄りかかってくるのですから、伊織はバランスを取るので精一杯です。
 そんなこともお構いなしに、ラッキーは後ろ脚で立ち上がり、前脚を伊織の身体に押し付けて、ふかふかの首をぐりぐりと伊織の顔に押し付けてきます。大きく開いた口から涎と一緒に舌を出し、はあはあと荒い息まであげて。
 ずしんと重い身体にのしかかられた伊織はそのままぎゅむうと椅子の上、背もたれに押し付けられてしまいました。
「ちょ、っと、重い、苦しいってばぁ……」
「わぅ、ぅわぅんっ!!」
 大きな身体をなんとか押しのけようとする伊織ですが、すっかり一緒に遊んでくれると思ってしゃにむに突っ込んでくるラッキーの勢いといったらすさまじく、突き飛ばすどころかもがくので精一杯です。
 ラッキーのぬるぬるした舌がぺろぉんと伊織の顔を舐め回し、あっというまにお気に入りのシャツをどろどろにしてゆきます。
「もうっ!! ラッキー、やめな、さいっ……ってのにっ!!」
「あぉん?」
「だ、だから、ちょっとは落ち着いて……ひゃうっ!?」
 顔をねぶりまわすラッキーの頭を、伊織はありったけの力でつかんでぐいっと押し下げます。するとこんどは、ラッキーは椅子の上の伊織のスカートの中へと、ぐりぐりと顔をねじこんできました。
 飛び掛ってきたラッキーを退かせるために夢中になって、伊織は無防備にも大きく脚を広げてしまっていました。そこに、いきなりぐいっと突き込まれた鼻先が、大きくスカートを押し上げ、一番奥の下着を探り当てます。
 慌てて脚を閉じようとした伊織でしたが、それはかえってラッキーの頭を脚の間に押さえ込むのと同じことでした。
「や、ちょ、バカラッキーっ、どこ頭突っ込んで……んぅっ!?」
 もぞもぞと動く濡れた鼻先が敏感な太腿の内側を擦り、熱く荒い吐息が伊織の脚の付け根をくすぐります。顔を真っ赤にしてスカートの上からラッキーの顔を押さえようとする伊織でしたが、ラッキーは構わずぐりぐりと椅子の上にのし上げた鼻先を押し込んできます。
「わふ、わぉんっ……」
「やぅ……な、何してんの……っ、ダメ、だめだってばぁ……っ」
 ラッキーは一心不乱に、まるで何かを確かめるように伊織のスカートの中で匂いを嗅ぎ始めました。ラッキーのおヒゲがつんつんと内腿をくすぐる感触に、伊織の指から力が抜けてしまいます。
 さらにぐうっと伸ばされた鼻先が下着をぐいっと押し上げた瞬間、伊織の腰下を、甘いような、むず痒いような痺れが走り抜けました。
「ふぁぁっ!?」
 たちまち、伊織の全身から抗う力が抜けてしまいます。それを狙い澄ましたかのように、はふはふと息を荒げながら、ラッキーは大きな舌で伊織のあそこを、ぺろんと舐めました。
 伊織の縞模様のぱんつの奥に、そっと覆われた『おんなのこ』の匂い。ラッキーはその大元を探り当てたのでした。いつもだらしなく伸びている長い舌が、べろん、と伊織の下着の上から、大事なところをなぞり上げます。
 下着の上から染みこんでゆくべちゃべちゃと響く粘ついた水音にしたがって、伊織の頭はぼうっと蕩け始めてしまいました。
「う……ぁ」
 ぞくぞくと背中が震え、イケナイ感覚が伊織を支配してゆきます。
 ぜんたい、ラッキーはてんでだらしないペットなのですが、伊織にこの遊びをねだるのだけはとても得意なのでした。たっぷりと唾液にまみれた舌は、伊織のあそこをくちゅくちゅと割りほぐし、あっという間に女の子の敏感なところを探り当ててゆきます。
 ねえ、遊ぼうよ、とせがむラッキーに、伊織はぐっと歯をくいしばって、ほかほかぬるぬるの犬舌の誘惑に耐えようとします。
「ラッキー、もう、ダメだっていってるでしょ……っ!! こ、この前、いっぱい遊んであげたじゃないっ……」
「わう、わうわうわうっ!!」
 けれど、ラッキーは全然、“この前の”では遊び足りてはいないようでした。強く吠え立てる声は、もう待ちきれないことをはっきりと知らせるもので、伊織に遊ぼう遊ぼうとしつこくせがんできます。
(だ、だめ……こんなことしてる場合じゃないのにっ……。だって、今日、ホントに……っ)
 今日はこれから宿題もしなければいけませんし、見たいテレビドラマだってあるのです。けれど、ラッキーの舌にぱんつの奥まで濡れるほどに舐められて、甘く痺れたおなかがきゅうと疼きます。伊織の胸の奥では、いつしか熱く、とくんとくんと激しく鼓動が高鳴ってゆくのでした。
 ふぁ、と甘い声を上げた小さく開いた伊織の唇から、ちらりと八重歯が覗き、ラッキーを叱るためぎゅ、と握られていた拳が、ゆっくりとほどけ、伊織の指がブラウスのボタンへと伸びてゆきます。
「んんぅ……っ」
 とうとう誘惑に負け、ジュニアブラの上から伊織の指がそっと、敏感な胸の先端を擦ります。とたん、ぴりぴりと響く桃色の稲妻に、伊織の背中がぶるると震えました。その間にも、ラッキーのたっぷりと唾液にまみれた舌は、伊織のあそこをくちゅくちゅと割りほぐし、伊織も知らないキモチのいい場所を擦るのです。
「ふぁ……っっ」
 背中を震わせ、伊織は上げてしまいそうになった悲鳴を飲み込みます。
 ラッキーの強引な押しに、伊織はついに観念してしまうしかありませんでした。
「……もぉ、わかったわよぅ……っ」
 なおも吼え続けるラッキーを、そっと抱きかかえるようにして。伊織はそのふかふかの首筋に顔を埋め、そっとキスをしたのでした。





「ちょっとだけよ。ラッキー、いいわね!? ホントのホントにちょっとだけなんだからね……!?」
 椅子から下り、ぽすん、とベッドに腰掛けた伊織は、改めて興奮しっぱなしのラッキーに向かい、念入りに言い聞かせます。とは言え、ラッキーはもうすっかり頭に血を昇らせて、わうわうと吠えるばかり。伊織の声なんかまるで届いていないようでした。
「もう……」
 しょうがないと諦めて、伊織はラッキーを膝の上に招きます。もちろんラッキーは、膝の上にのっかるほど小さな身体をしていませんが、まずはそうやって、そっとラッキーの頭を抱き締めてあげたかったのです。
 ところがラッキーは伊織のそんな気持ちなんかまるで無視して、落ち着きなく腰を揺すって、伊織の肩に大きく前脚をかけ、飛びつくようにそのままどさり、と伊織をベッドの上に押し倒してしました。
「ぅん……っ」
 伊織がふたり飛び乗るよりもさらに重い二人分の体重を受け止めて、ベッドがぎし、と軋みます。せっかくの雰囲気作りまで邪魔されて、伊織はちょっと不満でしたが――いつも眠っている場所で、間近にラッキーの匂いを嗅いでいるうちに、頭の中が熱くなってゆくのを感じ、そんなイライラも遠のいてしまいます。
「わう、わぅんっ!!」
 ラッキーはベッドの上で跳ねながら、腰をかくかくと振っていました。その脚の間、毛むくじゃらのお腹の奥から、粘つく液にまみれたピンク色の塊がちょこんと顔を突き出していました。
 それはラッキーのおちんちんです。伊織がまだ小さかった頃。ママと一緒にラッキーをお風呂に入れてあげることが何度もありました。けれどそのときには、ラッキーの脚の間にはそんなものは見当たりませんでした。ですから伊織は、かなり長い間、ひょっとしてラッキーは女の子なんじゃないかと思っていたりしたのでした。
 もちろん今の伊織は、ラッキーのおちんちんが普段はおなかの中にしまわれていることも、それが必要な時にはにょきにょきと伸びてくることも、知っています。
「……あのね? 何度も言うけど、こんなの、他の女の子なんか、ぜったいしてくれないんだからね? ……ねえ、ラッキーってば、本当にわかってるの……?」
「あぉぉんっ、わおんっ!!」
「んもぅ……」
 返事だけは調子のいいラッキーです。伊織は溜息をついて、そっとラッキーの脚の間から顔を出しかけたおちんちんを、両手で握り締めました。
 ちょっと力を入れるだけで、ラッキーのおなかの奥からせり出すように、太くて熱くて、硬い肉の塊がずるんっと飛び出してきます。
 ぬるぬるとした液にくるまれた、小さな手のひらには余るほどのそれを、伊織は優しく手で包み込み、前後に擦り始めます。とたんラッキーは感極まったように大きく吠え始めました。
「わぉ、わぅんっ……」
「ひゃんッ!? ……ば、ばか、ラッキー、もぉ……じっとしてなさいよぉ!!」
「わう、わうわうわぅっ」
「ああもう、わかったからっ!!」
 にちゅ、にちゅ、と伊織の手が動くたび、ラッキーのおちんちんは太く、硬く、たくましくなってゆきます。ラッキーは気持ち良さそうに何度声を上げ、長い吠え声を繰り返します。
 はじめはまだまだ子供だったそこは、伊織の手によってあっというまに立派なオトナのおちんちんに姿を変えてゆきました。びくびくと脈打ち、先端に小さな突起を膨らませる、いやらしい形になってゆきます。
(……ま、また前よりおっきくなってる……?)
 手のひらでびくびくと震えるラッキーのおちんちんをしごいているうちに、伊織のおなかの奥もすこしずつ、じんわりと痺れてきます。自然、もぞもぞと動いてしまうスカートのお尻を気付かれないように、伊織はラッキーのおちんちんを触り続けました。
「ねえ、ラッキーってば、ちゃんとわかってよね? ふ、ふつうはさ、誰もラッキーにこんなことなんかしてくれないんだよ? あたしがラッキーの、『およめさん』の代わりになってあげてるだけなんだからね?」
 そうです。これは――本当なら、ちゃんとラッキーと、ラッキーの『およめさん』が、するべきことなのです。けれどお馬鹿で臆病なラッキーは、いつまで経ってもちゃんとしたオトナになれないから、伊織は、その代わりをしてあげているのです。
 伊織はこれを、『およめさんごっこ』と呼んでいました。
「そうよ、ただの、ごっこ遊びなんだから。おままごとといっしょなのよ? ……あたし、もうそんな幼稚園の子みたいなの、しないのに……ラッキーがどうしてもっていうから、してあげてるだけなんだからねっ」
 そんな風に言ってしまうのは、素直になれない照れ隠し。伊織だって本当はドキドキしてたまらないのでした。
 はっきりとは分かりませんが、自分がイケナイ事をしているのだという感覚は、伊織にもちゃんとありました。いつも終わるたびに、これで最後! と自分に言い聞かせています。でも、ラッキーがせがんでくるのを良いことに、ふたりの『およめさんごっこ』は、もう半年以上も続いているのでした。
 胸のドキドキを抑えながら、伊織はびくびくとせり出したラッキーのおちんちんを擦る手の動きをはやめます。ラッキーはぶるんぶるんとおちんちんを振り回しながら、腰を震わせました。
「くぅんっ……わふっ、わぅんっ」
「……ラッキー、気持ちいいの……?」
 眼を細めて答えるラッキーの尻尾は、ぱたぱたとリズム良く左右に触れています。自分でもよくわからない、熱くてどろどろとしたキモチが、胸の奥にかあっと拡がっていくのを伊織は感じていました。
 伊織がおとこのこのおちんちんの役割をはじめて知ったのは、3年生の時に、学校であったおとこのことおんなのこの身体のしくみについての授業でのことです。
 それまではなんとなくヘンな格好だな、と思っていただけのお父さんのおちんちんや、同じクラスの男の子たちのおちんちんが、赤ちゃんを作るためにあるのだと知った時の衝撃は、計り知れないものでした。
 それ以来、伊織は一度も、お父さんと一緒にお風呂に入っていません。
(……うわ…ぁ…)
 突然、ラッキーが大きく腰を跳ねさせました。同時に、伊織の手のひらによってどんどんと大きくなってきたラッキーのおちんちんの先端から、ぴゅぴゅっと透明な熱い液が飛び出します。伊織はつい、お父さんのおちんちんとどっちが大きいんだろう、なんてことまで考えてしまいました。
 伊織はどきどきしながらそおっと、両手でラッキーのおちんちんを包みました。ぎゅっと閉じた細い脚の間では、ラッキーに舐められていた女の子の大事なところがすっかり濡れほぐれ、オモラシしたようにぱんつがくちゅくちゅと音を立てています。
 『およめさんごっこ』は、みんなみんな、ラッキーのためにしてあげているはずのことなのに、いつのまにか伊織のほうまでだんだん妙な気持ちになっていくのを押さえられないのです。
「はあ、はっ、……んっ」
 次第に荒くなってきた息を、口の中の唾と一緒に飲み込んで、伊織は硬く反り返ったラッキーのおちんちんをじっと見つめました。
 伊織がいっしょうけんめい触ってあげたために、どんどん複雑でいやらしい格好になったラッキーのおちんちんは、とても複雑でいやらしい格好になって、今にもにゅるるうぅっと伊織の手の中を飛び出してしまいそうです。
 じいっと見ているうちに、伊織はふとこの前のことを思い出してしまいます。
(そ、そうだ……この前のアレ……)
 先週の事です。両親に連れられて親戚の家に言った時、いとこのおねえさんの部屋で、伊織はえっちな雑誌をみつけてしまったのでした。おねえさんも隠していたようなのですが、たまたま広げてしまった雑誌の中には、可愛い女の子と、素敵な男の子――もちろん普通の人間の男の子でしたが――が、裸になって抱き合っている絵がいっぱい載っていたのです。
(ど、どうしよう……“アレ”、やってみようかな……)
 そのなかで、女の子は男の子の大きくなったおちんちんをいっしょうけんめい口にくわえて、ぺろぺろと舐めている絵がたくさんありました。
 最初はとても汚い、と思った伊織でしたが、けれど、絵の中の女の子は、ものすごくえっちな顔で、一生懸命、情熱的に“それ”をしていました。そしてそれを受け入れている男の子も、すごく気持ちよさそうにしていました。伊織にはそれがとても印象にのこっていたのです。
 伊織は恐る恐る、ラッキーのおちんちんを眺めます。
「……………………」
 こうしてまじまじと『これ』見たことは、実はそんなにありません。
 不恰好なバナナのような、ソーセージのような、ピンク色の肉の塊は、まるで焼けた鉄のように熱くて硬いものでした。表面に一枚、薄いゴムを被った、陶器。そんな手触りの、血管の浮いたおちんちんは、先端からちょっとだけ尖ったものが突き出していて、そこからぴゅぴゅっとお汁を飛ばしています。
 そして、その根本には大きく膨らんだ瘤がありました。
 ラッキーのおちんちんは、伊織がえっちな本で知ったおとこのこのおちんちんとは、ぜんぜん違う格好をしています。それがどうしてなのかは、伊織には良くわかりません。
「ね、ねえラッキー、動かないでよ?」
 ラッキーに言い聞かせながら、伊織はそおっとベッドの上に寝転んで、ラッキーの身体の下にもぐりこんでいきます。
「んっ……」
 ラッキーの後ろ脚をくぐるようにして、おちんちんに顔を近付けると、いっそうむぅっと篭った匂いが鼻をかすめます。決していい匂いではありませんが、けれど伊織のドキドキをさらに激しくさせるものでした。
(そ、そうよね。ラッキーのこと、あたしがちゃんと面倒見てあげなきゃいけないんだもんね)
 ラッキーのお世話は、伊織の仕事です。
 それは伊織が、お父さんとお母さんに、駄々をこねて、まだほんのちっちゃい仔犬だったラッキーを飼うことを許してもらった時に、約束したことでした。家の中でも学校でも、あんまりいい子ではないこともある伊織ですが、その約束だけはすっとすっと、大切に守り続けてきました。
 だから、彼女も、恋人も、『およめさん』もできない弱虫ラッキーの、お世話は伊織がしてあげるしかないのです。
(そ、そうよ、これも『およめさんごっこ』なんだから……)
「よしっ……」
 意を決し、伊織はそおっと口を開いて、ラッキーのおちんちんをえいっとばかり、口に含みます。
「っぷぁ……っ!?」
 火傷しそうに熱い、ぬるぬるとした肉の塊が、たちまち伊織のくちびるを塞ぎました。思っていたよりもずっとずっと大きくて、太くて、とても硬い肉の杭が、あっというまに伊織の口をいっぱいにしてしまいます。
 ちっちゃな伊織のおくちでは、大きく『お』の形に広げてもまだ入りきらないほどに大きく太い、ラッキーのおちんちんが、たちまち伊織の喉の奥のほうまでをみっちりと塞いでしまったのでした。
(……っ、すごい、匂いっ……)
 びく、びく、と脈打つ肉の杭は、むうっとするほどの『オス』の匂いをたちこめさせていて、伊織はくらくらとしそうになる頭をどうにか保つので精一杯です。
 なにしろ、おくちで……しかも、イヌのおちんちんをくわえて、舐めるなんて、伊織にはこれまで一度も考えたこともない経験なのです。おねえさんのえっちな雑誌で読んだのとはまるで違って、苦しくて、辛くて、息を飲むのも、唾を飲むのも上手くいきません。おまけに臭くて、苦しょっぱいものが口の中に広がります。
 まさかこんなにも苦しいなんて、思ってもみませんでした。
(苦い……へ、ヘンな味……っ)
 なにしろ大きさも、太さも硬さも、お弁当のウインナーをくわえるのとはわけが違います。もちろん噛んでしまうわけにはいきませんし。なによりもこのすごい匂い。ちょっと吐きそうになってしまうのを我慢しながら、涙目になって、伊織はそれでも健気に、ラッキーのおちんちんを舐めはじめます。
「んっ、んちゅ、れるぅっ、んゅっ……」
 ほとんどラッキーのおちんちんで占領されてしまった、窮屈なお口の中で、伊織はすこしずつ舌を動かします。びゅるびゅるとラッキーのおちんちんからは苦い粘液が噴き出し、口の中いっぱいに流れ込み、伊織はおなかの奥にまでラッキーの味でいっぱいにされていきます。
「んちゅぷ、っ。んるぅ、れりゅっ……」
 そうしていくうちに、だんだん伊織にもやりかたがわかってきました。
 唇をすぼめてゆっくりと、アイスキャンディーを舐めるように、ラッキーの大きなおちんちんを吸い上げます。根元の方まで大きくくわえてから、ずるっと引きずり出すように顔を引いて――けれど舐めれば溶けてしまうアイスと違って、伊織が頑張れば頑張るほど、ラッキーのおちんちんはますます太く固くなるのでした。
 そしてラッキーも、ただおとなしくしていてはしてくれません。
 待ちきれないというように腰を落とし、おちんちんを前へ前へと突き出さんばかりに、ぐぐぅっと体重をかけてきました。ちょうど伊織のちいさな口の中に、おちんちんをぜんぶ押し込んでしまおうとするかのようです。
「っえぐ、ごほっ、んぶっ!?」
 それは伊織の掴んだコツなんてまるで無視するようなものでした。たまらず咽せそうになった伊織の唇から、っこぽっと白く泡立った唾液が溢れ落ちてゆきます。慌てて頭を引いて離れようとするのですが、ラッキーはそれよりも更に前に出て、伊織の喉を塞いでしまおうとします。その強引さといったら、まるで、おなかまで貫ぬこうとしているかのようでした。
 小さなおくちを奥の奥まで長くて太いおちんちんで、ぢゅぷっぢゅぷっとくり貫かれ、伊織の頭の中は真っ白になってしまいます。
「んぷっ、っぐ、んんぅうっ!?」
 ラッキーのおちんちんの先っぽからは、これまでよりも激しく断続的にぴゅぴゅっと先走りの液がほとばしり続けていました。ただでさえ苦しい喉の奥に、さらにたくさんのどろどろと注がれて、伊織は溺れてしまいそうになります。
「っ、ぷぁ、やめ、らっきぃっ……んぶぅ!?」
 暴れるラッキーを叱ろうとする伊織の口へ、さらにおちんちんが深くねじ込まれます。逆流しそうになる粘液を頑張って飲み込み、伊織は涙を滲ませながらいっしょうけんめいに唇を動かし、おくちのなか一杯のおちんちんを頬張ります。
 頬の内側がきゅうっとすぼまり、とがったおちんちんの反り返りにあわせて締め付け、喉奥が先端を包みこみます。
 ちゅぷ、ちゅぷ、と頭が前後するたび、ラッキーのおちんちんはびくびくと跳ねて、伊織の喉を奥の奥まで犯していきました。
「――ぅぅぅううぅぅぅぅッ。ふぅぅぅぅッッ!!」
 伊織が、動物のように唸るのと同時。ラッキーも似たような声で喉の奥で唸りながら、伊織の身体を押さえ込み、がくがくと腰を揺すり始めます。伊織のちいさなおくちは限界までまあるく押し広げられ、喉の奥の奥まで、ラッキーのおちんちんが押し込まれます。
 苦しさに悶える伊織の、ほんのりとさくら色に色づいた唇を、とろとろと泡立った唾液が汚していきます。
 ラッキーは伊織の小さな身体にぐりぐりと体重を乗せ、さらに伊織の顔にごりごりと腰を押し付けてきます。伊織のお口の中はもう一杯で、もうどれだけ頑張っても奥にはいらないのに、ラッキーはさらにおちんちんを伊織のおくちに押し込もうとしていました。
「っ、んぶっ……っっ!!」
 思うように息ができない苦しさに、伊織は思わず手を伸ばし、ラッキーのおちんちんの根元を握ってしまいます。その時、ぬるりっと滑った手のひらはラッキーのおちんちんの根本にある、ぷっくりと大きく膨らんだ瘤を掴みました。
 途端、

 びゅる、びゅるる、びゅるるるるぅ!!

 深く深く突っ込まれたラッキーのおちんちんが、爆発しました。喉の奥に焼けるように熱いどろどろとしたものが、どぱぁあっと放たれます。大慌てで口いっぱいにシチューを飲み込んだような感じに似ていました。
 糸を引くほどに粘ついてどろどろの白い半粘液を、たっぷりと吐き出しながら、ラッキーは伊織のくちのなかからおちんちんを引き抜いていきます。
「はぶっ、ぷあぁあ!?」
 ぞるるっ、ぢゅぽんっ、と伊織の口から引きずりだされたラッキーのおちんちんは、びくびくと震えながら伊織の顔になんどもどろどろとした、白く濁った精液を迸らせます。
 つるんとしたおでこに、自慢の髪、お気に入りのリボンまでを、勢い良く飛び散る白濁液がぐちゃぐちゃに汚し、まるで花嫁さんのケープのように糸を引いてゆきました。
「ぅあ、っ……っ」
(あ、熱い……ら、ラッキーの、どろどろしてる……)
 びくびくを反り返っては白い粘液を迸らせるおちんちんが脈打ち、なおも伊織の顔がどろどろにされてゆきます。口の中にのこったラッキーの味が、伊織のあたまを真っ白に塗りつぶしてゆくようでした。
「っ………」
 何度もむせ、飲み切れなかった精液をぽたぽたとベッドの上にこぼしながら、伊織は口を拭うことも忘れて、今の衝撃に呆然としていました。
 ようやくおさまったラッキーの射精の中、伊織はぼうっとする頭で、もういちど目の前の大きくふかふかの毛皮をした身体を見上げます。
(す、すごかった……いまのっ……)
 ぞくり、と伊織の背中が震え、濡れたパンツの中では、布地の上からでもはっきり分かるくらい、ぴんと尖った尖端が、ぬるぬるの蜜に包まれて擦れていました。
(ら、ラッキーのおちんちんで、おくちのなか、ぐちゃぐちゃにされちゃった……)
 ぼんやりと考えながら、伊織はどろどろに凝った口の中身を、飲み込んでしまおうとします。
 けれど、伊織のおくちにたっぷりと注がれたラッキーの精液は、なんど飲み込もうとしても、喉に絡みついてうまくいきませんでした。そっと指で触れてみると、伊織のくちびるはまるでおんなのこの大事なところのように敏感になっていて、ちょっと触るだけでびりびりと甘い電流を走らせるのです。
 こくり、と少しずつおなかの奥に流れ込むラッキーの味が、おなかの奥でじわじわと広がっていきます。喉の奥までしっかりと感じたラッキーのおちんちん――熱くうねる肉の塊の感触が、鮮烈に残っているのでした。
(どうしよ……これ、すごい、かも……っ)
 まだ、びくびくと形を保ってぶるんぶるんと震えている、ラッキーのおちんちんを見て、伊織はおもわずごくりと喉を鳴らしてしまいます。まさか『これ』がこんなにもすごいことだなんて、まるっきり想像していませんでした。
 どうやら、昨日まで食べることしか知らなかったはずの伊織のお口は、ラッキーのおちんちんで、すっかり『オトナ』にされてしまっていたようでした。
(あ……赤ちゃん、できちゃうかも……)
 あんなにいっぱい、お口の中に赤ちゃんのもとを出されてしまったのですから、その想像は決して間違ってはいないように、伊織には思えました。
 そう。こんなことは、本当の『およめさん』でもなければ、きっとしないことのはずです。
 いいえ。ラッキーの『およめさん』――ちゃんとした、犬の『およめさん』でも、今の伊織と同じことをしてあげることができるでしょうか?
(こんなの、してあげる、あたし、だけ……なんだから)
「…………」
 ぼんやりとそんなことを考えながら、ぺたん、と女の子座りでへたり込んだ伊織の腰の下。スカートに隠れた脚の付け根は、まるで電気マッサージにかかったみたいにじんじんと痺れていて、水玉のぱんつの股布にはたっぷりと恥かしい染みが広がっています。
 薄い布地の中で、すでにくちゅりと形をほぐれさせた伊織のあそこは、うねる襞の隙間に小さく丸い口を開けて、その奥にこぽりと甘い蜜を溜めていました。
 おちんちんをくわえて、舐めたりするなんて、はじめてそのことを知った時は、どうしてそんな事をしなきゃいけないのか、全然分かりませんでしたが……いまならはっきりとその意味がわかります。
 ラッキーのおちんちんを擦ったり、伊織のお股の大事なところを舐めたりするのと同じ。こうやって、たくさんたくさん触れ合うことで、『およめさん』になるための準備をするのです。
「ふわぁっ……」
 スカートの上からそっとおなかを押さえると、びりびりと甘い電流が伊織の背筋を走り抜けます。
 ちいさな一本の縦すじの、慎ましやかだった伊織のあそこは、半熟の目玉焼きにナイフを通したようにぷくりと開き、水飴のようにとろとろとした蜜をこぼし、ピンク色の花片をほころばせていました。
「わぉんっ……?」
 そんな伊織をまっすぐに見つめて、ラッキーは吠えます。伊織にはその意味がすぐに分かりました。
 もっと遊んでくれないの? と、ラッキーは続きをせがんでいるのです。『およめさん』のいないラッキーは、もっともっと可愛い伊織と遊びたいと、『およめさんごっこ』をしたいと、言っているのでした。
 ベッドの上に前脚をかけて、大きく舌を出し、はあはあと息を荒げて、ボタンのように黒くて丸い瞳が伊織をじっと見つめます。
「……わかったわよっ……。こ、これで最後だからねっ……?」
 いつものように、絶対に最後にはならない『これで最後』。でも今日は少しだけ、意味が違います。それが伝わるように念を押しながら、伊織はラッキーの目を覗きこみます。
「わう?」
「……もぉっ!!」
 ラッキーは相変わらず、お間抜けな顔をして小さく吠えるばかりでした。





 胸を突き破ってしまいそうに高鳴るドキドキを感じながら、そっと腰を浮かしてスカートに手を入れ、下着を下ろします。
 下着はもうすっかり酷いことになっていて、股間を覆っていた股布の部分には、水飴のようにとろとろとした蜜がたっぷり溢れていました。べちゃべちゃになった布地が敏感な下腹部から糸を引いてはがれ、くちゅうとシーツの上に染みを作ります。
 そおっとスカートを引き上げると、剥き出しになった下半身が、篭った熱をふわりと立ち込めさせました。すっかり熱くなった伊織のあそこは、外気に触れてすうすうとします。
「んっ……」
 とく、とくと高鳴る心臓の鼓動と共に、伊織のおなかの奥でも熱いうねりが押し寄せています。ベッドの上にもう一度、仰向けになって。赤くなる頬を擦り、そっと伊織は脚を広げていきました。
 白い脚の間にほころびた、薄いピンク色の可憐な花片の奥、やわらかなひだひだの間の小さな入り口には、ぷくりと小さな蜜の塊が溜まっているのが分かります。
「……ちゃ、ちゃんと……『およめさんごっこ』、してあげるから……おいで、ラッキー」
「わおんっ!!」
 お許しが出るや否や、ラッキーは喜び勇んでベッドの上に飛び乗り、ぐりぐりと伊織の上に覆いかぶさってきます。大きな身体に押しつぶされそうになって、伊織は『むぎゅう!?』と暴れました。
 そうです。ラッキーが好きないちばんの遊び――それがこの『およめさんごっこ』でした。伊織もこの遊びが、決して嫌いではないのです。いいえ。むしろ、伊織の方が本当は好きなくらい。
 でも、恥ずかしがり屋の伊織は、そのことに素直になれません。
「わふ、わふぅ、わおんっ」
「んぷっ……ちょ、ちょっと、落ち着いてってのにっ……」
 熱い吐息が伊織の顔に吹きかかり、たっぷりの唾液でぬめる舌がぺちゃぺちゃと伊織の顔を舐め上げます。ラッキーの匂いと味で頭がいっぱいになり、伊織は息をするのも難しいほどでした。
「んゅうぅっ……ぁ、っ、やぁ……ッ」
 まるで椅子におなかを乗り上げるように、ラッキーは下半身をぐりぐりと伊織のおなかに押し付けてきました。ラッキーの脚の間から大きく伸びて膨らんだ、ぬるぬるの肉の塊が伊織のシャツを汚して、染みを作ってしまいます。
 おなかに押し付けられるラッキーのおちんちんは、さっき伊織がくわえていたときよりもさらに硬く張り詰めて、根本の瘤をますます大きく膨らませ、びくびくと脈打っていました。
 それを感じ取ってしまうと、もう伊織もいてもたってもいられません。ラッキーのおちんちんのせいで、すっかり『女の子』にされてしまった身体がじんじんと熱く疼くのです。
「んぅ、あっ……んっっ……」
 伊織は脚を大きく開いて腰を持ち上げると、ラッキーのおちんちんの尖った先っぽを、ぐうっと脚の付け根にあてがいます。とたん、『おんなのこ』の奥からじゅわあっと濃い蜜の塊が吹き出してくるのです。
「わぅんっ!!」
「あ、あっああっ」
 すっかり柔らかくなった伊織のあそこに、づぷり、と大きく太い肉の杭が飲み込まれていきます。なんども繰り返した『およめさんごっこ』で、伊織の身体は、ちゃんとラッキーの相手をできるようになり、まるで本当にラッキーの『およめさん』であるかのように、大きく太いおちんちんをしっかりと受け入れられるようになっていました。
 ぬぷぬぷと音を立てながら、たわむラッキーのおちんちんは伊織の股を引き裂くように、深々と脚の間に突き立ってゆきます。
 それはまるで、肉の刃で白いケーキを切り分けて行くよう。新郎新婦の初めての共同作業とおなじように、二人は身体をしっかりと重ねてゆくのです。
「ぅあ、あっあっ、ぁあっ……ッ」
 おなかの奥にぬぷりと収まり、幾重にも折り重なった粘膜のひだひだをぞるるっと擦り上げる、硬く熱い塊の先端に、伊織は仰け反って声を上げました。腰の骨にずうんずうんと深く響きわたる刺激が、伊織の頭を再び真っ白に塗りつぶしていきます。
 その気持ちよさといったらもう、たまりません。ダメなところばかりのラッキーですが、伊織を悦ばせるのだけは、何よりも上手なのでした。
 口を大きく開けて、ぱくりぱくりと息をしながら、伊織は一生懸命あそこをくつろげて、ラッキーのおちんちんを受け容れていきます。
「っ、か、感謝、しなさいよねっ……!! ら、ラッキーに、いつまで経っても『およめさん』が、できないからっ……、し、しかたなく、あたしがかわって、あげてるんだからっ」
 ラッキーのおちんちんに小さなおなかを割り広げられ、身体を深く刺し貫かれ、伊織の口からはしぜんにそんな言葉が飛び出していきます。
 どうしても意地を張ってしまう、素直になれない自分の代わりに、切なくてたまらないキモチを伝えようとする小さな腕は、いっしょうけんめいラッキーの身体を抱きしめていました。
「っ、こんなこと、ば、バカラッキーの、『およめさん』の、っか、代わりなんかしてあげるの、あ、あたしだけなんだからねっ……!!」
 わけもなくあとからあとから溢れる涙をぬぐい、伊織はぎゅむぅ、とラッキーにおなかを押し付けました。さらに内腿を大きく広げ、ふかふかの毛皮を深く招き入れます。
 密着した下半身から、ラッキーのおちんちんを通じて、びくびくと脈打つ熱が感じ取れました。
 伊織はラッキーの腰に脚を絡めると、そのまま大きく足を広げ、背中を丸めるように腰を持ち上げて、ぐいぃっとおなかをラッキーのおなかに押し付けます。ぶるぶると震えるおちんちんの根元の瘤が、ぐりぐりと伊織の入り口にぶつかってきました。
「んぐぅっ……ぅあぁ、あっ、あ、ぁ、あッ……」
 いくら、太くて大きなラッキーのおちんちんにたっぷりかき回してもらっているとは言っても、オトナの男の人の拳骨くらいある大きな大きな瘤は、そう簡単に中に入ってはくれません。
 けれど、それを挿れてあげるのが、ラッキーの『およめさん』のつとめなのだということを、伊織は知っています。
「んぅ、んっ、んんッ!! んっ、ふ、んぁああああぅっ!!」
 ラッキーがぐりんと腰を突き出して体重を載せてくるのに合わせるように、伊織は全身を使って腰を打ち上げ、根元の瘤をあそこにねじつけます。ますます深くおなかの奥を突きあげる鋭い肉の先端が、一番奥の敏感なところをごつごつと突きあげて、伊織の頭はそのたびに真っ白になってゆきました。
「っは、っ、ふぅ、ぐ、っ、うぁああああ!!」
 ずん、ずん、ずんっ……ベッドを軋ませ、マットレスをこね上げ、打ち下ろされるラッキーの逞しい下半身。すっかり慣れた様子で、具合を確かめるように、ラッキーは腰を振り続けます。後ろ脚は力強く床に踏ん張って絨毯を掴み、深く突き出される肉の槍は、ちいさなパートナーの身体をこれでもかと串刺しにしてゆきました。
 ぐうッと押し上げられると同時、びりびりと灼熱の炎が下腹部を焦がしたように、伊織のそこが大きく引き伸ばされ、
「ぁああぁうあ!?」
 ぐぢゅん、と――
 とうとう、大きな大きな根元の瘤は、しっかり伊織の身体の中へと打ち込まれたのでした。

 ぷしゅ、しゅる、しゅううぅ……

 大きく左右に押し開かれ、ラッキーの身体に押し潰された伊織の脚の間に、しゅわぁあああ、と暖かいものが広がっていきます。
 大きな大きな瘤と、長く太く、膨らんだおちんちん。それを小さな伊織の身体が飲み込んでしまったのです。おなかを内側から圧迫されて、行き場をなくしてしまったおしっこが、伊織の脚の間から勝手にあふれ出してしまったのでした。小さな身体を奥の奥まで貫かれて、伊織は息をするので精一杯です。
「あぅ、はぁ……っ、はあ、はあっ……」
「わう、わぅっ、わうぅ!!」
「も、もう、ホントに、っ、ホントに、ラッキーってばぁっ……」
 ラッキーと“ひとつに”なった達成感に、伊織は顔を赤くして言います。鼓動は早鐘のように高鳴り、心のおくからせり上がってくる熱い何かが、胸をいっぱいにしてゆくようでした。
「っあ、っ、ら、ラッキーにっ、こ、こんなことしてあげるのっ……あくぅ、ぁ、あたしだけなんだから……っ!! っは、ほ、他の子になんか、ぜ、ぜったいに、ぜったいに、ぜったいぜったいにっ、ぃ、し、しちゃダメなんだからねっ!!」
「わぅっ……!!」
 叫ぶ伊織に答えるように、おなかの中にがっちりとはまり込んだおちんちんが、早速びゅるびゅると真っ白な精液を吹き上げます。どくどくとおなかの奥に吹き上がる熱いどろどろの感触に、たちまち伊織のおなかの中はきゅうんと甘く悲鳴を上げてしまいます。
 こつ、こつとラッキーのおちんちんの先端が、伊織のおなかの一番奥にぶつかるたび、伊織の頭を白い稲妻が走るようでした。
「ら、ラッキーの赤ちゃん、産んであげるの、あたしだけなんだからぁっ……!! ぜったいに、ぜったいにっ、あ、あたし以外の子と、えっちしちゃ、いけないんだからねっ……!!!」
 しっかりと繋がり、ひとつになって、興奮した伊織のそこが締め付けるままに、ラッキーはびゅる、びゅる、と激しい射精を繰り返します。そのたびに伊織のおなかはゆっくりと大きく膨らんでゆきました。
 ベッドの上でがくがく揺さぶられながら、伊織は夢中になってラッキーの身体にしがみつきます。
(あたし、本当にっ、ホントに、ラッキーの、『およめさん』に、されちゃってる…っ!!)
 そうです。これはごっこ遊びではありません『およめさんごっこ』ではなく、本当の。ラッキーの本当の『およめさん』になるための交わりなのです。
 先週、伊織は初めての『お客さん』を迎えて、めでたく一人前の女の子になったお祝いをしたばかりです。ママになる準備――おなかのなかに小さな生命を宿すための準備を整えた、女の子の身体。それをいま伊織は、ラッキーと重ねているのでした。
 だから、これはごっこ遊びではありません。
 本当の、本当に、ラッキーの『およめさん』になるための、行為なのです。
 おなかの中で、力強く噴き上がるラッキーの赤ちゃんのもとが、女の子のタマゴと結びつくのを夢見ながら。伊織はどくどくと噴き上がるラッキーのおちんちんを、しっかりとおなかの奥に繋ぎとめます。
(あたし、ら、ラッキーの、赤ちゃん、産むんだ……っ)
 恥ずかしくて、照れくさくて、言葉にしては絶対に伝えられない、胸の奥の本当のキモチ。
 いつも反対の事ばかり言ってしまう自分のキモチが、せめて少しでも伝わるように。伊織はぎゅうっとラッキーの背中に回した手に、力を込めて、ラッキーとしっかりとおなかをくっつけ合います。
 脈打つポンプのように、おなかの奥、赤ちゃんのできる場所に注ぎ込まれてゆく、どろどろの熱い“赤ちゃんの素”に、伊織は心も身体もラッキーと結びついてゆくのを感じます。
 ラッキーがたくましくそそり立たせたおちんちんから、終わりなく迸らせる、白い生命の塊。それはいまや伊織のおなかの中をたっぷりと満たし、なお際限なく注ぎ込まれてゆきます。女の子の出口は、大きな瘤にしっかりと繋がれて、伊織のおなかはぱんぱんに膨み、まるで今この瞬間にも、おなかの中に赤ちゃんを宿しているかのようでした。
「あぁ、あぅ、あっ、ラッキーっ、すごい、ぃ、あーっ、あぁっ、あ!!」
「わぅ、わぅぁっ、あぉんっ!!」
 興奮したラッキーが、長い舌でべろべろと伊織の顔じゅうを舐めまわします。伊織も大きく口を開けて、ラッキーの舌に自分の舌を絡ませ、一生懸命、なんどもキスをしました。
 ベッドを軋ませて続く二人の営みは、いつしかごっこ遊びから、本当の夫婦の交わりへと変わっていくのでした。



 (了)

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