シロフミ 2020/08/06 22:48

犬のお世話・その1

「……あのねシロー、ホントはこんなのいけないのよ? ふつうのおんなのこは、シローとこんなこと、してくれないんだからね?」
「おぅんっ♪」
 元気良く吠えてこたえ、ぴこぴこと耳を揺らすふかふか毛皮の愛犬を見ながら、ふかふかのベッドの上に仰向けになって、マキは小さくため息をつきました。
「……はぁ……わかってるのかしら、ホントに……」
 調子のいい返事に少しあきれながらマキがつぶやくと、シローはベッドの上に足を乗せてきました。脱ぎ捨てた制服がとさりと絨毯の上に落ち、ふたり分の体重を乗せたベッドがぎしぎしと揺れます。
 するすると、足の付け根を覆っていた薄水色の最後の一枚を膝まで下ろし、とうとう生まれたままの格好になったマキは、待ちきれない様子のシローを呼び寄せました。
「……もぉ。……おいで、シロー」
「わぉんっ!!」
 シローはぶんぶんと尻尾を振りながら、がばっ、とマキの上にとびかかってきました。はあはあと荒い息をあげながら、大きな舌をべろんと出して、あらわになったマキのひらべったい胸を舐め回します。
 薄いパンケーキの上に、ちょこんと薄桃色のさくらんぼが乗ったような発育途上のマキの胸ですが、シローの舌は丹念に敏感なところを探り当て、ぺちゃぺちゃと生暖かい唾液を塗りたててゆくのです。
「あんっ……もぉ、シロー、そんな、いきなりっ。……く、くすぐったいってばぁ……っ」
 はじめは身をよじるようにして逃れようとしていたマキですが、シローがあまりにも熱心に舐めつづけるものですから、いつの間にかマキの声は甘いものに変わっていきます。
 人間のように器用な指がない代わりに、シローの舌はとても力強く、ぬるぬるとしていて、マキの身体はそれで舐められたところからまるでバターのようにとろけてしまうのです。
 柔らかくこねられた胸の膨らみの先端で、ちょこんと尖った先端がシローの鼻先にぷにゅんと押し潰され、マシュマロのようにカタチを変えています。
「ぁ、は……ぅ」
 ぴくん、とマキの眉が寄せられるのを見て、シローはさらにぐりぐりと濡れた鼻先を押しつけてきます。白い肌をふんふんと嗅ぎわけるシローの熱い吐息は、マキの身体にもしっかりと伝わり、マキはシーツをつかんではびくっと背中を反らして震えました。
「ふぁ……だめぇ……っ♪」
 マキにのしかかるように身体の位置を動かしたシローが、ぺろぺろとマキの顔を舐め始めました。シローの息遣いはどんどんと荒くなり、マキの耳元をくすぐります。
 言葉の上ではダメ、と言っても、本当はマキだってシローとのえっちが嫌いなわけではありません。だってもしそうだったら、こうやって生まれたままの姿でシローと抱き合うことだってないのです。
 大切なパートナーであるマキのことを一生懸命気持ちよくしようとしてくれるシローのキモチをしっかりと受けとめ、マキはシローの首にそっと手を回しました。
 そうしてそのまま、マキはシローと唇を交わします。
「んぅ……っ…っはむ、シロぉ……ちゅ…っく」
 ちょんちょんと生えたシローのヒゲが、キスを交わすマキのほっぺたをちくちくと刺激します。真っ赤になったマキの顔は、単に息が苦しいからではもちろんありません。
「んむ……は、ぷっ……」
 ふかふかの毛皮に包まれた逞しく大きな身体にぐっと身体を寄せて、マキはシローの唇に舌を差し込みました。シローは太く大きな舌を激しく動かしてはマキの口の中を犯し、マキは熱く唾液に塗れた尖った牙を、小さく可愛い舌で舐めてゆきます。ちゅぷ、ぺちゃ、と二人の唾液が混じり合い、いやらしい音を部屋の中いっぱいに響かせました。
 口の中いっぱいにひろがる大好きなシローの味。マキの頭の中が、ほわぁと幸せでいっぱいになり、胸の奥が甘く疼き、おなかの奥がじんと痺れてゆきます。
「っは……んくっ……ごくっ……」
 じゅる、と溢れるシローの唾液をこくこくと啜るように飲み込みながら、マキはシローと何度も何度も深いキスを交わしました。
「ふはぁ……」
 十分近くもそうしてから、ようやく離れた二人の間に、つぅ、とこぼれ落ちた唾液が糸を引いてゆきます。上気した頬と潤む唇から、マキの胸にいく筋も白い雫が垂れ下がり、ぽた、ぽた、と落ちてゆきます。
「んぅ……シローぉ……♪」
 大好きなシローとの素敵なキスですっかりふにゃふにゃになって、マキは切なく濡れた瞳でシローを見上げます。
 あったかいキモチでいっぱいになった身体を、マキはぎゅっとシローにすり寄せました。ふかふかの毛皮に身体をすり寄せ、ぬいぐるみにするようにぐりぐりと額を押し当てます。
 火照った身体は、おひさまの匂いのするシローの毛皮に包まれて、まるでこのまま天国まで上り詰めてしまいそうなくらいに幸せでした。
 このままずっとずっと、シローと一緒にくっついていられたら、どんなに素敵でしょうか。
 けれど。
 おんなのこのマキがそれで十分でも、おとこのこのシローの方は、もう辛抱たまらないと言わんばかりに、マキの下腹に固く強張った腰をぐいぐいと押しつけてくるのでした。シローは普段はおなかの中にしまっているおちんちんを、力強く身体の外に突き出して、小さく腰を振り立てています。
 ぷるんぷるんと震えるかたくおおきなおちんちんは、すっかり大きくなって、尖った先端からとろとろと透明な粘液をこぼしていました。
 おなかにぎゅっと押し付けられたそれを感じ、マキはかあ、と顔を赤くしてしまいます。
「……もぉ、シロー?」
 せっかくの素敵な気分を邪魔されて、ちょっと拗ねたようにマキが声を上げると。シローがおぅん、と高く吠えました。マキにはやく続きをしよう、とねだっているのです。
「……んもぅ……しょうがないなぁ」
 まったく聞き分けのないシローに、マキは観念して溜息をつきました。
 実は待ちきれない胸のドキドキをそっと抑えこみ、マキはベッドの上で身体をよじり、ずっしりと重いシローの身体の下で腰をゆっくり持ち上げてゆきます。
「ねえ。あんまり急いでばっかりだと、おんなのこに嫌われちゃうよ、シロー?」
 そう言い聞かせるマキですが、シローはすっかり夢中になって腰を振るばかりです。そんなことはいいから、はやくマキとえっちしたい、とせがんでいるのでした。ふだんはおとぼけなシローのつぶらな瞳が、今はぎらぎらと『おんなのこ』を求めてぎらぎらと濡れていました。
 びくんびくんと跳ねまわる赤黒いおちんちんを見せつけられていると、マキもだんだんえっちなキモチが高まってゆきます。
 なにしろ、シローのおちんちんはとても熱くて硬くて太くて、それだけでマキのおなかの中はいちばん奥までいっぱいになってしまうのです。いまはだいぶ慣れることができましたが、初めてのときはもう、本当に身体が引き裂かれてしまうのではないかと思ったくらいでした。
 はやくとろとろのおなかの中を掻き回して欲しい――たかぶるシローに促され、いつの間にかそう考えてしまうようになったマキは、ぎゅっとお股の間に熱い蜜が滲むのを感じます。
「……ほら、重いよシローってばぁ……ちょっと離れてってば……ね?」
 のしかかってくるシローを押しのけ、マキはぐっと腰をもち上げ、お尻の下に頭から抜き取った枕を押し込みます。
 ベッドの上に沈みこんでいた下半身がぐいっと持ち上げられました。マキはそのまま大きく脚を広げて、シローに自分の大切なところを見せてあげます。
 マキの『おんなのこ』はまだつるつるの幼い外見ですが、シローと抱き合っているうちにいつしかふっくらと膨らみ、縦に食い込む細い筋はわずかに左右に開いてほぐれ、とろっと濃い蜜を溢れさせて、内腿までがぬるぬるになっていました。
 大切な人にしか見せてはいけない、大事な場所はわずかにほころび、その内側にさくら色のえっちなお肉が覗いています。
 狭く重なったひだひだは、マキの息遣いにあわせてきゅぅとすぼまり、じゅんっ、と白っぽい蜜をあふれさせます。シローのことなんてぜんぜん馬鹿にできないほど、マキのとろとろの蜜はおしりの方までこぼれて、ぬらぬらとえっちに光っていました。
「ね、……シロー、わかる?」
 お尻が高い位置にあるので、背中を丸めるとすこし苦しい格好になります。けれどマキはいっしょうけんめい脚を広げて、シローのおなかを脚で挟むように擦りつけます。
 はしたない格好でパートナーを迎え入れようとするマキに応え、シローも大きく吠えました。
「あは……シローのおちんちん、びくびくゆってる……♪」
 おなかの上を擦れるシローのおちんちんから、まるで焼けた鉄のように、かぁっと熱い体温が感じられました。
 シローの大きくてたくましい太い肉の杭の付け根には、まるではちきれそうなくらいにたっぷりと中身を詰めこんで震える、おとこのこの袋がふたつ、ぷるぷると揺れています。
「はあ……っ」
 ぎゅっとシローを抱きしめ、マキはそっと息を吐きました。
 もうすぐこの大きなおちんちんでおなかの奥をとろとろのぐちゃぐちゃにされてしまう――そんなイケナイ想像をしたマキの脚の付け根で、ちくんと鋭い痛みのような痺れが走り、おしっこの孔がぷくり、と膨らみ、透明な蜜を吹き上げます。
 シローのおなかをべたべたに濡らすいやらしい自分の「おんなのこ」に、マキはますます赤くなってしまいました。
「ぁ、っ、しろぉ……っ」
 もう、マキも待ちきれません。ぎゅっと、シローの耳元にささやくように、マキは甘い声でシローを誘いました。
 シローは待ってましたとばかり、マキに深く圧し掛かります。ぐいっ、と力強く持ち上げられたシローのおちんちんが、枕で位置の調節をされたマキのあそこに押しつけられます。
「ぁ、あ、あっ」
 すっかりマキとえっちをする方法を心得たシローです。狙いたがわず、シローの硬く尖った先端は、マキの中心を捉え、やわらかなお肉の間に埋まってゆきます。
 ぶぢゅっ、と粘つく膜を破るように押しこまれたシローのおちんちん。それが外れてしまわないように、マキは腰を持ち上げてシローの下半身におなかを押しつけました。
 一番最初にシローに求められたときは、痛くて痛くて泣いてばかりでしたが、いまではマキもすっかり慣れて、シローがキモチ良く動けるような方法をを身につけているのです。
「わぉんっ!!」
 高らかに鳴いたシローは、マキの倍近い大きな身体を震わせ、思いきり体重を掛けて、張り出して反り返る肉の塊をマキの中に深々と押しこんでゆきます。
「ふぁ、ぁ、あぅ、あっ……ぁああっ!?」
 ぶちゅ、ぶちゅ、とみっちり重なった『おんなのこ』のナカをかき分けられる感覚に、繰り返しぞぞぞっ、とマキの背中を快感の痺れが走ります。
 硬くて大きなシローのおちんちんは、まるで小さなおなかを深々と引き裂くようにして力強くあそこの中に押し込まれてゆくのです。
 シローのおちんちんはとても素敵なカタチをしていて、マキの大事なところの奥の奥まで、キモチいいところをぜんぶ擦ってくれるのでした。
 一方、マキの『おんなのこ』だって決して負けていません。狭く重なり合ったやわらかなとろとろのお肉を使って、びくびくと張り詰めるシローのおちんちんを、きゅうきゅうと根元から締め付けます。
 とうとう、マキはシローのおちんちんの根元のすぐ上までを、おなかの中に迎え入れました。
「あはぁ……シロぉ…っ、すごい、よぉ……お、おなか……きゅうってなってるぅ…」
 シローはぐいぐいと腰を動かし、マキの具合を確かめると、すぐに激しく腰を振り始めます。
 マキの小さなおなかを突き破らんばかりの勢いで腰を打ちつけ、出し入れに合わせてぐるんと渦を描くように回します。
「ぁ、ふぁあああ!?」
 シローのおちんちんの根元が、ぐりぐりとマキの敏感な部分を押し潰し、まるで石臼のように激しくすりつぶされる感覚に、たちまちマキはなんども高い声を上げて、シローの背中にしがみ付きました。
 小さな手のひらに精一杯力を込めて、シローに振りまわされまいと、小さな腰をぎゅっとくねらせます。
「っあ、はふ、シローっ、…っす、すご、い、よぉ…!! っ、あ、あ、ぁあああぅ!?」
 隙間なくぴったりと重なり、くっつき、絡みあうように溶け合う肉が、たっぷりの蜜を伴って激しく動きます。強引なまでのシローに、おなかの深いところのいちばん敏感なところを突き上げられ、マキはたちまち頭の中を真白にしてイってしまいました。けれど、シローはそんなことはお構いなしに腰を振りつづけます。
「ぁ、あぅ、っ、しろぉ……や、ま、またイっちゃ…うっ!! ぁ、あっ、あああっ!? やぁ、シローぉ……っ」
「ぅあぉん!!」
 なにしろ、シローのおちんちんは、この世界で一番マキと相性のいい身体なのです。ほんのちょっとされただけでマキがめろめろになってしまうのも仕方のないことでしょう。
「ふあ……しろー、しろぉ……っ、あたし、とろとろになっちゃうよぅ……」
 マキがなんども声を上げているうち、シローのおちんちんの根元が次第に膨れ、ボールのように大きくなり始めました。シローもそろそろ限界のようです。
「っ……しろー、はやくぅ…っ♪」
 マキがせがむのに合わせて、ぐい、とシローはまるでテニスボールのように大きな瘤を、マキのおなかに押しこみました。一瞬、千切れてしまいそうに引き伸ばされたマキのあそこですが、すぐにゴムのように力強く弾力を見せ、ぐぷっ、と音をたててシローのおちんちんを根元まで飲み込みます。
 マキの狭いおなかの中でさらに大きく膨らんだシローのおちんちんの瘤が、マキとシローの結合部分をしっかりと繋ぎ止めます。
 身体も心もほんとうにひとつになるこの瞬間が、マキは大好きでした。
 はじめてえっちをした時は、これがもう痛くて痛くて痛すぎて、悲鳴をあげて泣きわめいてしまったマキですが――いまはこうして、しっかりシローを受け入れ、キモチ良くなれるのです。
 それが、マキには何よりも嬉しいのでした。シローのパートナーとして、きちんとシローを気持ち良くさせてあげることが。そうして、一緒に気持ち良くなれることが。
「シロー……っ、あぅ、あ、やぁ、ぎゅうぎゅう、ってゆってる…っ。しろーのおちんちん、びくびくしてるの、わかるよぉ……っ」
 これから、シローはたっぷりとマキの中に赤ちゃんの素になる精液を注ぎ込むのです。万が一のことがないように、マキはぐっとシローの腰に脚を押し付け、シローのおちんちんが抜け落ちてしまわないようにします。
 マキは意識して、きゅんと疼いたひだひだで、シローのおちんちんをきつく締め付けました。
「わぉおん!!」
 それが「とどめ」でした。びくん、と激しく震えたシローが脚をばたばたと踏み鳴らします。
「ふぁああああああ!?」
 同時に、おなかの中に感じた灼熱の感触にマキは甘い悲鳴を上げました。
 どろどろと煮え滾る半透明の粘液の塊が、びゅるるるぅとマキのおなかの中に吐き出されます。おなかの奥にどばあっ、と注がれる生命の素は、まるでゼリーのようにぷるぷると、マキのいちばん大切な場所を隅から隅まで埋め尽くしてゆくのです。
「っふ…ぁ、ぁあう…!!」
 狭い膣の中、折り重なったさくら色のひだひだの奥、どれだけ指を伸ばしても届かないようないちばん深いトコロに、シローの白くどろどろの精液がたっぷり注がれてゆきます。
 シローがありったけの元気を注ぎ込んだ、勢い良く跳ねまわる何億もの赤ちゃんの素は、とても濃くて熱いものでした。
「ふぁあ、……ぁあああ、あ、ぁっ……♪♪」
 しかも、シローが脚踏みをするたび、精液はポンプで汲み上げられるように送り込まれてくるのです。シローの身体で作られた赤ちゃんの素は、シローのおちんちんを絡め取った柔らかな孔を満たし、とうとう出口の方まで逆流を始めました。
 けれど、シローのおちんちんの根元に膨らんだ瘤は、マキの身体にしっかりとおちんちんを繋ぎ止めています。だからマキは、シローが止めどなく脈打たせる赤ちゃんの素を、残さず飲み込むしかないのです。
「わぉぉおおん!!」
 シローが大きく吠え、ぶるると身体を震わせます。いよいよシローも限界のようです。長い長い射精はクライマックスに移り、行く場所を失ったマキのおなかのなかに、さらに激しく赤ちゃんのもとをほとばしらせました。
「ぁ、あ、あっ、あーーッ!! …ふぁ、ふわぁっって、ふわぁってなゆよぉ……」
 外に溢れることもできず、シローの精液は熱を持ったマキのおなかの一番奥の、大事なところの入り口まで殺到します。子宮の緩んだ入り口をこじ開け、針一本が通るかどうかの狭い狭い赤ちゃんを育てる揺り篭を、シローの精液が蹂躙してゆきます。
「ぁ、きてう、きてるぅ……しろーの、あついの……いっぱぃ……」
 どぷどぷと注がれつづける、シローの精液の大津波。それを赤ちゃんの揺りかごでごくごくと飲み込みながら、マキはろれつの回らない舌でなんどもなんども声を上げました。
 閉じていたはずの目の前が真っ白になって、まぶたの裏にはぱちぱちと光が弾けるように散り――マキはとうとう気絶してしまうのでした。


 ◆ ◆ ◆


「ぁう……全然出てこない……」
 シローのおちんちんに擦られ、おおきな瘤をぐりぐりと掻き混ぜられ、すっかり赤くなってしまったあそこを指先でいじりながら、マキは小さく溜息をつきました。あきれるほどたっぷり吐き出されていたシローの精液が、またこぽりと噴き出してベッドの上に染みを作ります。
 もう嫌になるくらい、そうやってシローの精液をこぼし続けているマキのあそこですが、いったいどれくらい出されたものか、シローの精液はあとからあとからあふれて来るのです。
「んっ……」
 顔を赤くし、小さくいきんでは粘つく白い塊をシーツにくちゅりと産み落としながら、マキはまだじんじんと痺れる小さなおなかを、そっと両手で撫でました。
「もぉ……シロー、わかってるの? ……あんなにいっぱい出されちゃったら、ホントにシローの赤ちゃんできちゃうかもなんだよ?」
「わぅ?」
「もぅ……わぅじゃないよぉ」
 眉をとがらせたマキがいくら怖い顔をして言っても、シローはすっかりくつろいだ様子で、けだるげに尻尾を振るばかりでした。その様子にマキはほとほと困ってしまいます。
 入り口のほうに溜まっていた分はいくらかを掻き出すことができましたが、子宮の奥に流れこんだ精液の大半は、しっかりとマキのおなかのなかに残って、ぷるぷると震えているのです。たっぷりと注ぎこまれ、今なおじんわりと伝わってくるシローの体温が、マキのほっぺたを赤く染めていました。
「シローってば、聞いてるの!? ……ねえ、あたしホントにシローのお嫁さんになっちゃうんだよ?」
 ぷう、と頬をふくらませ、口を尖らせるマキ。
 もちろんマキだって、シローとの間には赤ちゃんができないことは知っています。けれど、あんなに情熱たっぷりに、優しく、激しく愛してくれるシローの赤ちゃんなら、ほんの少しだけ、産んであげてもいいかなと思えるのでした。
 シローとおなじような、真っ白な毛並みをした、愛くるしい赤ちゃんたち――そんなステキなこども達のママになれるなんて、とても素晴らしいことに違いありません。
「ねえ、シロー、……あたしに、赤ちゃんできたら……責任とってくれるの?」
 顔を赤くして、ぼそりとつぶやいたマキでしたが、シローはぴくんと耳を震わせると、いち早く顔を持ち上げました。
「おぅんっ!!」
「……もぉ」
 こんなときばかり、威勢良くも胸を張って『まかせとけ!』なんて格好つけて答えるシローに、マキは呆れながらぎゅっと抱きつきます。
 おひさまの匂いをたっぷり含んだ毛皮に顔を寄せて、ぺろぺろと顔を舐めてくるシローに優しくキスを返します。
「……大切にしてくれなきゃ、やだよ」
 シローの節操のないプロポーズに、マキはそうやって、小さく応えたのでした。



 (了)

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