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書き下ろしの記事 (44)

whisp 2020/02/02 22:13

2020年 双鉄&路子お誕生日お祝いSS『双鉄様のお誕生日』(進行豹

2020年 双鉄&路子お誕生日お祝いSS『双鉄様のお誕生日』 進行豹

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「どしたのハチロク?」

日々姫は無邪気にはしゃいでおります。
台所でごちそうをつくってらっしゃる、真闇様も同じくらいに浮き立たれているご様子でした。


いえ、お二人の立場でしたら、こころのそこからはしゃぎ、寿ぐ。そうしないほうがおかしいでしょう。
けれど、けれどもわたくしは――

「あ……ひょっとしてだけどハチロク。『資格』みたいなこと気にしちゃっとーと?」
「!!!?」

日々姫の言葉に驚かされて顔を跳ね上げたその瞬間、日々姫は逆にわずかにうつむいてしまいます。

「あー、やっぱりかー。やっぱりねー。
そぎゃんよね。そぎゃん、思わんわけがなかとよね」

「あ」

日々姫が、わたくしの気がかりを言い当てた。
それは、つまりは――おそらくは。

「日々姫も……同じことを思い悩んでいるのですか? 明るくふるまう、その裏側で」

「あ、ううん。私のは、現在形じゃなくって過去形」

「過去形」

ふっと、日々姫の目が和らぎます。
わたくしのことを見つめつつ――わたくしごしに遠い何かを……おそらく、過去を見つめます。

「あの頃は――にぃにが私のにぃにになってくれたばっかりの頃は、私、ちいちゃかったけん。
今ではとても……大人にはなかなか聞けんようなことも、ね? 素直に甘えて、聞けたんよ」」

「幼いがゆえに、聞けたこと」

ああ、でしたらやはり、そうなのでしょう。
かつての日々姫。ちいさな日々姫も、いまのわたくしと同じ悩みを――

「『にぃにぃのお誕生日。ひーちゃんお祝いしてよかと?』って
『お誕生日で、2月2日でにぃにぃの日やけん。ひーちゃんお祝いしたかとよー』って」

「……左様、ですよね。だって、双鉄様のお誕生日は……」

「うん。路子ちゃん――小さな頃に亡くなっちゃった、にぃにの双子の妹さんの、お誕生日でもあるけんね」

「左様です。その上……そのうえ、路子さまは――」

言葉が止まってしまいます。
発声するよう出す指示に、けれども喉が――

「だからこそ。僕は祝ってほしい」

「にぃに!?」「双鉄様っ!?」

いつから、わたしたちの話をお聞きになられていたのでしょうか?
ふすまを開けて双鉄様は――ああ、穏やかな目で日々姫を見ます。

「日々姫には、遠い昔におんなじことを聞かれたな」

「うん」

双鉄様と、日々姫の時間。
わたくしが知らない、二人が積み重ねてきた時間。

そこにわたくしは、どうやったって触れ得ない……
当然のことに決まってますのに、回路にちりり、原因不明の負荷が生じてしまいます。

「そのとき、僕はなんと答えた?」

「『祝われる資格は僕にはないが、それでも、どうか祝ってほしい』って」

「そうだったか」

「って、にぃに、覚えてなかと!!?」

「祝ってほしいと絞り出したことは覚えている。けれど――」

双鉄様の微笑みに、雲がかかってしまいます。

「――あの当時は、本当に――無理くり絞り出しただけだったのだ。
今の僕が考えるなら、とても愚かしく傲慢なこととはわかるのだけれども……」

「『右田家の人が祝いたいといってくれるなら、それを受け入れるのも僕の責務だ』みたいな感じに?」

「っ!!?」

日々姫に今度は双鉄様が、驚かされたご様子です。
やっぱりね、と、日々姫は小さく笑います。
とても自然に、とても綺麗に――いつもより大人びてみえる横顔で。

「けど、ね? にぃに」
「だな」

言葉にならない――いえ、言葉にしない。言葉を発する必要もない、ふたりの会話。
双鉄様と日々姫の間に、共感めいたなにかがあると感じます。

共感ほどに便利ではなく、多くを伝えることも叶わず。
けれどもきっと共感よりも、深くて強い、静かな何かが。

「いまの僕には、当時の僕が頑なで哀れで愚かと感じる。
そう感じることができるほど――」

双鉄様が、ぐるりとあたりを見回します。
右田の家を。この居間を。懐かしそうに、愛おしそうに。

「……僕は、愛情を注いでもらった。
自分自身の存在価値を、ふたたび信じられるほど――
愛情を、信頼を寄せてもらって……僕は、右田の家族になった」

「うん」

「とっくのとうに許してもらえていた場所に――
ようやく僕は、自分の意思で、望んで立った」

「うんっ!!!」

ああ、なんと嬉しそうな頷きでしょう。
満面の笑みを浮かべる日々姫を、双鉄様はにこやかに見つめ――っ!!?

「双鉄、様?」

双鉄様が視線を移し、わたくしを見つめてくださいます。
雲を払った、あたたかなまなざしでわたくしを見て――
その手が伸びて――

「あ」

帽子の上からぽんぽんと、わたくしを撫ぜてくださいます。

「そうしてハチロクを僕たちの家族と迎えたあの日。
はにかむハチロクを見た瞬間に、理解したのだ」

「……何を、ご理解されたのでしょう?」

日々姫はもう、答えをわかっているのでしょうか?
共感めいたなにかが再び、双鉄様と日々姫を結んでいるのでしょうか?

日々姫はただ、笑顔でわたくしたちを見つめるばかりで――
なのに、とても不思議なことに。原因不明の回路の負荷を、今度は少しも感じません。

「僕に家族が増えるなら。路子にも――父さんにも、母さんにも――新しい家族が増えるのだと」

「!」

家族――家族。
レイルロオドであるわたくしが、いただけるはずもなかった絆。

わたくしが与えてしまった災いでさえ、断ち切ることなく繋がれている――

「やけんね、ハチロク! にぃにと路子ちゃんとのお誕生日を、私は全身全霊で、思いっきりにお祝いしたかと!!」

「――はい」

ぐちゃぐちゃに混乱しかけた思考をぐいと、日々姫の言葉が牽いてくれます。
ああ、左様です。考えるのは、悩むのは、いつでも、一人でもできることです。

ですからいまは、回路よりもっと深いところから――
タブレットの奥底から湧き出すようなこの感情に、ただただ素直に従いましょう。

「……」
「……」

日々姫と自然、視線が合います。頷きあいます。
声が、想いが重なります。


「にぃにぃ! お誕生日!!!! おめでとう!!!!!!」
「双鉄様!! お誕生日!!!! おめでとうございます!!!!!!」

あらら、ぴたりとはいきません。
けれど――けれども――破顔一笑!

双鉄様のお顔がしあわせにとろけます。

「うん! ありがとう!」


;おしまい

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whisp 2020/01/01 08:27

2020年正月元旦記念『まいてつ -Last Run-』ショートストーリー 「新しいレール」(進行豹

2020年正月元旦記念書き下ろし 『まいてつ -Last Run-』ショートストーリー
「新しいレール」


2020/1/1 進行豹

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「楽しくうれしいことですね。新しいレールの上を走るのは」
「うむ?」

ハチロクらしい言葉がけれど、ハチロクらしくもなく響く。

「たしかに今日は1月1日。僕たちの本年初乗務だ。
気持ちの上では『新しいレール』といえないこともなかろうが」

「双鉄さま?」

少し咎めるような口調。
ツン、とお澄まししている横顔。

けれどもなぜか、その目はわずかに微笑んでいる。

「機関士として――いえ、わたくしのマスターとして、
いささか注意力が散漫ではござませんか?」

「注意力」

『ハチロクのマスターとして』という言葉がつくなら、要求されるレベルは無論、最上級だ。

漫然と乗務していては百年経っても気づけぬほどの、まことに微細な、例えば異音を――!!!

「異音が――ああ、うん。確かに異音が消えていた」

一歩(いちぶ)廃駅の御一夜方面。駅端通過ニ秒ほどのところで感じ、確認・検査し、

『安全に支障がない異音ですし、振動も生じてませんし。
 ほとんどの人は気づきもしないレベルですから。年明けの補修でお願いします』

とポーレットからの指示をうけていた……本当に微細な異音が、けれども綺麗に消えて……いや、ああ。

「昨夜のオリヴィとの元朝参りか。
 『レイルロオドたちだけで初詣をしたい』と出かけていったのは――」

問えばふっと、ハチロクの目から微笑の色が消えてしまう。

「はい。左様です、双鉄さま。
オリヴィちゃんが――
『ソーテツはきっと寒いでしょ? 人間なんだし。かわいそーだよ』と、
あまりに強く主張するものですから。わたくしもそのような気持ちになってしまって」

「その判断への異議はない。オリヴィは御一夜鉄道の保線顧問格だ。
 決済を得る必要の無いレベルの保線対応ならば、現場判断で行うことを認められている」

「はい」

「むしろ気遣ってもらえたことはうれしいし――」


それに、それにだ。
まだ新しく御一夜鉄道の仲間になったばかりのオリヴィの気持ちまでは推し量れんが……
ハチロクの――すずのことであるのなら、マスターであり夫の僕だ。恐らく、かなりこころを寄せて考えられる。

「――これは、僕へのお年玉なのだろう?
 たしかにここちよいことだ。たとえ犬釘一本のことであろうとも――新年この日に、新しいレールの上を走るのは」

「はい!!!!」

ぱあっと華やぐ。
キャブの中にも新春らしい空気が――ああ、いや

「ついうっかりとしてしまっていたが」
「あ! 左様ですね、双鉄さま」

前方注視は、無論、崩さぬ。
けれど僕らは、こころとこころで視線を交え、笑い合い。
そうしてキリリと、背筋を伸ばして引き締める。


「「新年、あけましておめでとうございます」」





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と、いうわけであけましておめでとうございます!
進行豹でございます!!!

寝て起きたらプロットを思いつきましたので、お出かけ前に急遽!
先のコミケで概要発表されました!!
https://ci-en.dlsite.com/creator/922/article/160644

『まいてつ -Last Run-』の世界線をほんの少しだけ先取りして!
新年を寿ぐSSを執筆いたしました!!!



『まいてつ -Last Run-』
『レヱルロマネスク』
『あやかし郷愁譚』

そしてその他にあるかもしれない新しい物語たちの上でも!!!

2020年も! なにとぞよろしくお願いいたします!!!!!

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whisp 2019/10/25 22:23

2019日々姫誕生祝SS 「ふたりっきりの誕生日」 (進行豹

こんばんわです! 進行豹でございます!
今日! 2019/10/25は日々姫ちゃんのお誕生日!

ということで、記念日動画が公開されまして~!!!
https://twitter.com/maitetsu_ps/status/1187694643267305472?s=20

その上さらに! わたくしも!!! お祝いの書き下ろしショートストーリーなど執筆いたしました!

上記、記念日動画の、その夜のお話です!!
動画をチェックされてない方におかれましては、ぜひぜひ御覧の上ご確認いただけますとうれしいです!

それでは――どぞです!!!!


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2019日々姫誕生祝SS 「ふたりっきりの誕生日」
2019/10/25 進行豹

(コンコン)
「入るぞ?」
「あ、にぃに!? あの――待って。ちょっとだけ待って」
「うむ」

ガサゴソと、音。
のろのろとした、重い音。

「はい。です。どうぞ。入ってください」
「うむ」

部屋に入れば日々姫の匂い。
甘ったるい、熱のこもった汗の匂い。

「……寒くはないか? 大丈夫そうなら、少し換気をしたほうがいい」
「あ、うん。平気。風邪とかじゃ多分、ないけん――」

体調がよほど悪いのか、日々姫の顔色は最悪だ。
表情も、スケッチブックに黒のインクをぶちまけてしまったときと同じくらいに優れない。

「ただの、単なる……知恵熱みたいなもんやけん」
「そうか? が、いずれにしても熱があるとき体を冷やすのはよろしくなかろう。布団をしっかりかぶっておけ」
「……うん」

僕を迎えるそのためにだけ起こしたのだろう半身を、日々姫はふたたびゆっくり横たえ、布団にもぐる。

(ガララララっ)

窓を開ければ、晩秋の夜の空気が流れ込んでくる。
――晩秋、というか、もはや冬の匂いの方が濃いかもしれない、冷たい空気が。

「にぃには寒くなかと? その……あの……寒いようなら、おふとん……えと」
「平気だ。ついさっきまで火をつかっていたしな……っと」

ドアの向こうに、お盆を置きっぱなしにしてしまっていた。
あわてて取りにもどって小テーブルの上におき――

「あ、土鍋。にぃに、もしかしてお粥さんつくってくれたと?」
「もしかしなくてもそのとおりだ。真闇姉の絶品粥とは比較にもならんが、まぁ、ないよりはいいだろう」
「そんなん! にぃにが私に、私のためにつくってくれたお粥さんやもん。他のなにより、わたしにとっては一番やけん!」
「そうか。それならば冷めないうちに食べてくれ」
「うん!」
「と、その前に窓をしめるか」

(ガララララっ)

窓を閉めれば日々姫は再び体を起こす。
ひな鳥のごとく、もはやその口をあけている。

「ん~~~~っ」
「まぁ待て、ふーふーしてからだ。(ふーーーっ)(ふーーーーっ)(ふーーーーっ)。こんなもんかな? ほら、『あ~ん』は、もうしているか」
「ん~~~(はむっ!) あひゅっ! ん……ん――ん…………(もきゅもきゅっ)――こくっ。ぷあっ! 卵粥! 上手、おいしか~」
「そうか」

本当に口にあったらしい。
泥水のようだった日々姫の顔色に、健康的な赤味が戻る。

「ならばよかった。ではもうひとくち」
「あ! にぃに! あのね? おくち、ちょこっとだけ熱かったけん――あの……お水、コップに一杯あると」
「あ! だよな、熱々の粥だものな。すまん、全く気がきかないで。すぐにとってくる」
「あ、ううんっ!? わたしの方こそわがままいうて」
「こんなもの、わがままのうちにも入らんさ。他になにかあれば、遠慮なくいってくれ」
「ううん――いまは――いまは、平気。お水、だけで」
「そうか」

一階へ下り、コップの水を用意する。
この程度、どうして最初から気づかんものか自分で自分が情けない。が――

「……弱気な顔を見せてはいかんな。日々姫を不安にしてはいけない」

――気合をしかと入れ直し、再び静かに階段を上がる。

「おまたせ。水だ。自分で飲めるか?」
「うん――あっ!? ううん! あの……ちょっと不安かも。にぃにに飲ませて貰えたほうが……安心、かも」
「そうか」

汰斗さんの晩年には、僕も介護を手伝った。
っと、そうだ――

「飲ませるのであれば吸い飲みを」
「あ!? そんなおおげさじゃなくてよかとよ! コップで平気」
「そうか? なら――よっ」
「あ」

日々姫の背中に回り込み、こぼさぬように軽く小さな体を支え――

「ほら、ゆっくり、な? 慌てなくていいから」
「う、うん。――いただきます――ん――(こくっ――こくっ――こくっ――こくっ)」

日々姫の喉が動くたび、その振動が背中をつたい、僕にもゆるく響いてくる。
……心地よい。どこか安心してしまう。
油断大敵とはわかっているが、この元気さなら一晩寝れば、熱もひくのではなかろうか?

「ん――ふぅ。ごちそうさま。おいしかった」
「もうごちそうさまか? お粥は」
「あ! 食べる! もちろん!! せっかくのにぃにの手作りやもん」
「無理はしなくていいぞ? 食べられるだけ、な?」
「うん! わかった。ね? そしたらにぃに――『あーん』」
「うむ。『あ~~ん』」

……うん。食欲もしっかりある。

「ふぁ。ごちそうさま~ おいしかったー」
「おそまつさま。だ。ふふっ、随分元気がもどったようだな」
「うん! もうね、完全ににぃにのおかげ!!」

完食をしてもらえたことも嬉しいが、その何倍も、笑顔が戻ったことが嬉しい。
頬が真っ赤でだるそうで、熱を測って38.6度と出たときは、本当に死にそうな顔をしていただけに。

「せっかくのねぇねの誕生日プレゼントやったのに、はしゃぎすぎて熱でちゃうとか。まっこと、自分のバカさに後悔しまくりだったけど~」
「ああ、真闇姉は誕生日プレゼントをもう置いていってくれていたのか」

日々姫の誕生日だというのに、ハチロクをつれ酒造組合の研修旅行に出かけるなどと、真闇姉にらしくもないように思えて、いささか心配していたのだが――

「さすがは真闇姉だな。いったい、何をもらったのだ」
「え!? あ――それは……その――この時間っていうか――ううんっ!? やっぱり! やっぱり秘密! にぃにには内緒ばい!」
「そうか。詳しいことはわからんが、日々姫がそんな表情をみせるくらいだ。よほど素敵な品なのだろうな」
「それはもう! この上なかとよ! やけん、無駄にしちゃったんじゃないかって、わたし、後悔しまくりだったばってん――」
「ばってん?」
「えへへ。熱が出たのもよかったのかも!! 今ね? とーってもしあわせやけん」
「そうか。それならばなによりだ。僕からもプレゼントとケーキがあるが……熱が下がってから渡すのでもかまわんか?」
「うん! そうしてもらえたほうがうれしか! それに、えへへ~」

日々姫が体を擦り寄せてくる。
少しべちゃつく――ああ、そうか。おかゆを食べて汗がでたのか。

「プレゼントなら、いままさに現在進行形で、さいっこーなのもらってるけん」
「ふむ? お粥がそれほど気に入ったのなら、おかわりを」
「あ、おかわりはよかと! それより、あの……にぃに?」
「うむ?」

日々姫が大きく息を吸い込む。

「あの、ね? わたし――汗、かいちゃったけん。体、吹くの――えと、背中」
「ああ、無論、手伝おう。体を冷やしてはいかんしな。というか、さくさくやろう。汗をふいたらすぐねるのだぞ?」
「あ、うん。すぐ寝る――あ! あの、にぃに、あのね? あとひとつだけ」
「なんだ。ひとつといわず、ふたつでもみっつでも構わんぞ?」
「いまは、ええと……ひとつでよかと――えと」
「む」

日々姫が甘えて、僕の胸板におでこをつける。
……大きくなったと思ったが、病気で不安になってしまえば、まだまだ子供で可愛らしい。

「すぐに、ね? 安心して眠れるように……私が寝入るまで、手――にぃににつないでいてもらえると」
「お安い御用だ。くまくま先生のお手伝いをして、日々姫の眠りを、僕も今夜はまもらせてもらおう」
「うん!!!! ありがと、にぃに!!!」
「!!?」

日々姫の笑顔がはじけた瞬間、僕の鼓動も跳ね上がる。
顔まで熱いような気がする。なんだ、これは――日々姫の熱を、うつされたのか?

「にぃに?」
「ああいや――なんでもない、その」

今は日々姫の看病だ。真闇姉もハチロクも不在なのだし、僕が倒れるわけにはいかない。

「まずは、汗だな、拭いてしまおう」
「はぁい」

日々姫が僕に背中を向ける。
もぞもぞとパジャマを脱げば、真っ白な肌が目に飛び込んでくる。

「えと……その――お願い、にぃに」
「ああ、うむ」

いかん、どうやら本格的に熱をうつされてしまったようだ。
指先までが震えてしまいそうだから、ぎゅうっと強く、タオルを握る。


;おしまい

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whisp 2019/10/15 21:59

日々姫x双鉄 書き下ろしショートストーリー『ひーちゃんの数字』(進行豹

こんばんわです! 進行豹でございます!

こないだ台風のあとにハチロクx双鉄のショートストーリー『低気圧の日』
https://ci-en.dlsite.com/creator/922/article/106500

が降ってきたのでそのまま書きましたところ、
脳内で急遽結成された日々姫&ポーレット連合軍「世界のひーぽー」が
「ハチロクだけずるかとばい!」「ですよねー!!!」と騒ぎ始めました。

ので、ひーぽーも降ってきたらかこうと思ったらひーちゃんのが降ってきたので、書きました!

短いですけど、無料会員登録だけで読めるようにしておきますので、よろしければぜひ!!! です!!

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『ひーちゃんの数字』

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whisp 2019/10/13 20:48

ハチロク&双鉄書き下ろしショートストーリー 『低気圧の日』 (進行豹

こんばんわです! 進行豹でございます!!!

台風明けて落ち着いた夜の町(町というか厳密には茶畑に囲まれた道)を歩いてたら、唐突に短編が降ってきましたので、それをなるたけそのまま書いてみました!

ネタバレには配慮しましたので、「まいてつ」まだプレイしたことがないという方にも安心してお読みいただけます!

ハチロクと、彼女のマスター、双鉄さまとの短いお話です!

無料会員登録だけでどなたにもお読みいただけるようしておきますので、
よろしければぜひぜひです!!!!

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『低気圧の日』

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