ぶるがり屋 2024/05/10 20:12

光る君へ 17話 の感想

光る君へ 17話
「うつろい」の感想です。


見逃し配信 光る君へ NHKプラス

【キャスト】吉高由里子、柄本佑、黒木華、井浦新、吉田羊、ユースケ・サンタマリア、佐々木蔵之介、岸谷五朗、段田安則
【作】大石静(脚本家)
(C)NHK

光る君へ

 頂点と老い
権力を握り、我が世の春を謳歌して。
わずかな綻びが広がりつつある時に、自らの寿命を知る。
時は移ろい 多くの過ちと喜びの途中で 善も悪もなく 死ぬ。

 この物語が描く、人の一生の終わりの、彩り。

姫様の幸せの為に

 倒れたまひろを看病したのは、藤原道長。
まひろは気づけず、藤原為時パパも胸に納める可能性が高く、いとが告げ口するかしないかと思って居ましたが、
乙丸…… 本当に偉いよ。
従者の分よりも姫様の幸せを一番に思っているんだなぁ。
乙丸、本当に報われて!幸せになって……!
 あ、出番の度に苦労な百舌彦もね!

 そして結局聞き出す為時パパと聞き耳立てるいと。
うん、まぁ、そりゃ興味津々ですよね(笑
 為時パパは立身出世に利用する気なさそうですが、娘の一生に関係するだろうしなぁ。

嘘と笑顔

 悲田院の夜に。
ああ、道長が嘘をついてしまった。
秘めた想いと分かってしまった。
 感情を秘めたままの倫子様の満面の笑顔が、怖くて悲しい。

 秘めごと、なのですよねぇ。

さわの想い 文字を綴る想い

 良かったー!
さわさんもただ拗ねただけでなかったのですね。
己の感情を顧みて、恥ずかしいと思う気持ちから、文学を分かる、魅力溢れる自分を目指したのか。
 大好きなまひろの為とはいえ、自分の愚かさを直視して不得手な学問に努力する。
良い人だ、立派な女性だ。

 確かに一流の書家の文字であれば、文字の書き方、文章の組み立て方に様々な故事表現や事が織り込まれていることでしょう。
この時代・状況で得られる教科書・指導者を考えると、ベストの勉強法なのでは。

 景を眺める もの想う 文に綴る。
まひろがやっと到達した境地だからこのさわさんに通じ、またさわさんも一緒に来てくれている。
まだまだ旅の途中ですが、まひろは心底嬉しかったのじゃないかなぁ。

時のうつろい

 「若い頃はお優しい兄上だったのに。」
藤原道隆お兄ちゃんの失政は、清廉に育てたのと、詐術で得て強権で固めた権力も組み合わせが狂わせたというか、足りなかった原因かなぁ。。
汚い権謀術数もしっかり教えるか、4兄弟協力した権力基盤を遺すべきだったのに、藤原兼家パパが失敗したように感じます。

 ただ4家とも残り、道長と詮子の血筋は大繁栄したことを考えると。これはこれで正解だったのかな……?
 まだまだ私は、藤原兼家を理解出来ていないようです。

権力者の老い

 この作品は、老いと妄執を克明に描いてきますね……
敵を多く作り過ぎたと自覚しながらの老い、子らの幼さ。

 父・兼家の圧倒的な政治力を失う老いと、子らの不和と、決して好きな人物ではなかったのに、移ろう悲しみを感じてしまいます。

 こんなにも優しく賢く美しい定子が権力に挟まれ翻弄されるさまが痛々しく辛く。
またこの様をじっと見ていた、見るしかなかった清少納言の心には、何が生まれたのでしょう。

一人の男の死

 多くの人々の、正しさや愚かさの入り混じる決断、言葉。
何とも……心に残る味わいか。

 藤原道隆。
正しく優しく学問を貴ぶ兄者として登場し、権力を得てからはただただ権力に溺れ、下の民を知ることなく。
疫病に手をこまねき多くのものを苦しめ死なせた悪政者と描かれながらも、一人の親として夫として、愛にのたうち愛を歌って死ぬ。
悪しく愚かで、優しく澄んだ、人間らしい死でした。

 貴子も定子もその道隆の悪政を支えた側なのですが、賢く精一杯、大事な人の為に生き抜いている姿は、やはり美しいですよ。
 今回の言動だけで言えば、正統側の
詮子様が一番わがままで怖いよ!(笑

もののあはれに

 恋、家族愛、肉欲、知識欲、権力欲、嫉妬、恐怖、正しさ。
誰もが一つの心でなく、多くの想いに囚われ振り回され、それでも道を選び掴んでいく。
正しいままでも、邪なままでも生きられない。

 まひろも道長も、正しく生きる道はまだ遠く。
日々想い、空を見上げ、文字を書く。
物語が広がっていく。

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