光る君へ 24話 の感想

光る君へ 24話
「忘れえぬ人」の感想です。

光る君へ

　人とまつりごとと正しさと
今回はとても多面的で、同じことを扱いながらも違う結果を、違う視点を見せてくれました。
結果は同じかもしれないけれど、誰がどう受け取るかは、様々で、そして往往にしてままならない……。

正しくあれ

　　藤原為時パパ、思った通り清廉で、思った以上に他人に気配りする、良い政治家でした。
そうですよね、厳格たれとは思っているけど、厳格でなければいけないタイプでもなし、なにより優しい人でした。

　不法で横暴であっても、彼らの事情と熱意と正しさを評価し、最低限の処断と優しい言葉で対する国司。
お見事でした。

あの日に失ったのは

　乙丸……っ！
ああ、君もか。
あの日君も癒えない傷を負って、償おうと精一杯だったのか。
今は笑顔になれたまひろも為時も忘れられないように、いやそれ以上に、乙丸も。

　明らかに少ないだろう給金の中、まひろを身を呈して守ってきたのは、もちろんまひろが可愛く大好きな、その上で、この痛みと慈しみの心があったからなのですね。

　でも、だから、乙丸、幸せになって……！

現実とロマンスと

　宣孝おじ様、これは惚れる、絆される。
大きい愛ですわ。
宣孝おじ様本人の大きさもあるでしょうけど、この愛を開いたのが、まひろなように思えます。
まひろの頑固さとその頑固さと一つなぎの真っ直ぐさが、まひろの美しさ、面白さ。

　周明死なないでよかったー！
恋は愛にならず、脅しは見破られ。
野望に溺れる青年の苦しみも失敗も飲み込む、朱様は大人ですな。

　当て馬になった形ですが、まひろの人間として女性としての成長が現れ、また宣孝おじ様が決断する大きな転機になってくれました。
　また、まひろが理想と思っていた宋も決して美しい理想郷ではないと描かれ。
越前での政務への助力も含め、まひろが京でまつりごとに生きる理由になったとも。

　ミステリアスなスパイとのロマンス、一番好きな人への断ち切れない想い、幼い頃からの美おじさんからのプロポーズ。
まひろの恋模様は少女漫画(キャンディキャンディ世代)ですね！

天皇のわがまま

　道長の恋の苦しみを知って、詮子様も一条天皇と定子様の愛を信じて。
これで藤原行成が一番大変な立場に（笑

　皆の言う通りに"正しい天皇"であろうとしたら、大事な幼馴染たちを追放し、最愛の妻を死なす寸前まで来てしまった。
「これは朕の、最初で最後のわがままである」
ここまで言われて、道長は止められないよなぁ。

　一条天皇は思い焦がれて、定子も死ぬばかりからの最後の救いなので愛し合うのは当然。
清少納言も定子のためにこれしか無いわけですが……
他の妃たちをないがしろにし、敵も作るのも当然の結果なのですよね。

　正しくあろうと、愛する者たちのために、幸せになりたい。
一条天皇も貞子も清少納言も道長も、他の貴族たちも皆そう思っているのに、ああ、ままならぬ。

栄達は誰のために

　花山院襲撃問題で道長が怒られましたが、藤原斉信が道長に報告した流れは、「これで道長側に有利になるな」という友としての助けと自分たちの栄達、両方意図してだったと思います。
　道長は今までどっちにも気づいてなかったのか……。
権力欲が弱い、親しい人に甘い、が道長の未熟な点かな？
自分を押し上げる、栄達したい、の気持ちが分からない、評価できない。

　こっちも全員が相手に良かれと思って、最善と思っての行動なのに、これもこれですれ違いと言うか、ままならないですよ。

　直接の元凶の隆家くんは自由に楽しく生きてそうですが（笑
この強メンタルがあれば人生皆幸せなのかなぁ（笑

まひろが選んだもの

　さわさんとも不意に死に別れ。
時の移ろいと人の心に、分からないものばかりの世の中で、この胸に流れる感情は、何か。

　地に理想郷はなく、惑いと苦しみは満ちて。
若い頃の夢も恋も折れて曲がって、それなのに今も胸の中で色褪せず。
少しづつできることも増えてきて、手応えも有って。

　まひろが宣孝おじ様を選んだのは、妥協がないとも言い切れませんが、若い頃は自分を縛るものだったものも受け入れ、迷いも苦しみも全てひっくるめた"自分が自分らしく生きるため"の選択だったように感じました。
　この選択で、結婚で、喜び、苦しみ、惑う。
この人生を選んだのだと。