ぶるがり屋 2016/02/15 14:26

先週の へうげもの 感想 2016年 2月第2週

あらすじ

 大坂冬の陣終結後の騒乱で、火付けをした傾奇者を圧倒した俵屋宗達。
岩佐又兵衛と同じく、その才の成長を喜び、親王の別邸の襖絵に二人を抜擢する古田織部。


へうげもの(21) (モーニング KC) コミック

山田 芳裕
講談社
2015-12-22

感想

 真田信繁、冬の陣の負け方と戦後処理の敗北にこそ勝機を見つけましたか。
本当に負けず嫌いの不屈の兵ですよ。
 ここでその勝機の一人として織田頼長が求められるとは。
将としての才ではなく、ただの兵集めの旗印っぽいですが(笑
頼長も、味方の兵ごと敵を殺した真田を嫌ってそうだしなー(笑
大阪方の武将は以前からバラバラでしたが、終戦後の秀頼の言葉に忠義を感じて少しだけ連帯感が生まれそうでしたが、確かあの場に頼長居なかったのですよね。
まだバラバラなままなのだろうなぁ。

 親王の数寄を凝らした別邸。
不勉強で不正確ですが、桂離宮のことなのかな?
将軍、天皇両家に望まれて監督するとは、確かに天下一の数寄者なのですね、織部。
時期的には、これが最後の大作になるのかな…

 ここで選ぶのが岩佐又兵衛は当然として、俵屋宗達。
前回の暴行がこんな風に評価されるとは。
その前の小作品も見聞きはしているのでしょうが、感情を抑え込んでいた宗達の、大きな変化を感じたのかな。
 又兵衛が宗達に優しい言葉で事態を勧めたのは優しさとか名誉欲とかも無い訳ではないでしょうが、もっと単純に自分の作品で世界を埋めたい! 沢山の作品を作りたい!という制作意欲からじゃないかな。

 そして宗達。
なんでも垂れ流す人やな!(笑
今までも汗と涙はダダ漏れでしたが、今回は小便に鼻血ですか(笑
 ただ、これこそが宗達の、美術の進化につながるのですか。
織部の元で修行し、精神的に変わり、また先達の手本を失ったからこそ、織部が好む「自分の美」に到達するのでしょう。
宗達、到達。
アオリの意味に気づくのに一瞬遅れたのは秘密です(笑
 金地に一筆の赤、の美しさかな。

 歴史を紐解くと、工人が作り、戦いで壊れ、その繰り返し。
そこがギリシャ神話では、創造(ヘパイストス)と破壊(アレス)の間に美(アフロディーテ}が居るのですよね。
 今までの美術品の破壊に怒り、目覚めた宗達の、そこに新しい美が生まれるのかもしれません。

 今回の又兵衛、そして宗達を見る織部の視線の柔らかさ。
自分の育ててきた、好きの道での息子たち、弟子たちを見る目なのでしょうね。
新たな数寄の芽生え。
 ちょうど擬宝珠を見定めてきた織部を褒めた頃の、千利休の心持ちでしょうか。
あの頃の利休は己の美学、黒こそが至高で織部の弥生茶席に最低評価を下しましたが、今の織部だったらどう見ますかね。
まぁ、侘び寂びと言ってアレ持ってこられたらどうかと思いますが(笑
 織田信長や利休の見せた好きに圧倒され一喜一憂してきた織部に、宗達は一番似てるのかもしれません。
織部が育ててきた次世代の、宗達の数寄。
その美しさと織部の評価が楽しみになってきました。

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