ぶるがり屋 2021/11/07 22:18

青天を衝け 34話 の感想

青天を衝け 34話
「栄一と伝説の商人」の感想です。

青天を衝け | NHKオンデマンド
大森美香
2021/2/14〜
(C)NHK

青天を衝け

 日本伝説の商人、岩崎弥太郎と渋沢栄一。
経済という視点から日本を見るに、外せない2大巨頭の対論でした。
強い者が全てを決めて強く進む、弱い者たちが皆で決め力を合わせて進むか。
2人とも譲れないけど、間違ってると決めつけている訳でもないのですよね。
栄一は才覚ある者が託されて仕切るのは間違ってないと、弥太郎も時間がかかり過ぎると言ってますし。
ただ、今の日本、これからの日本をどうするのか、では譲らない。
 ここに五代友厚が入ったらどうなるのか楽しみでもあったり。

 ラスボスでなく、悪でなく。
前回はまるで悪の軍団のボスらしい登場でしたが(笑、今回は「岩崎弥太郎と言う人間」の魅力たっぷりでした。
まず器がデカい…!
貧乏に苦しんで、己の才覚でのし上がった傑物が「貧しい者は勝手に頑張ったらええ」「力の強い者が決めればええ」「私たちで全部握ろう」と突き進み、また面倒な仕事もとんでもない税金納入も厭わない。
女好きの栄一に上玉の稽古を揃え、また武士の出でありながら同じ農民と同じだと語り。
手をはねのける栄一に笑って、たらそうと考える。
 もっと上へもっと前へ、決して折れない大きく熱い欲の塊だ。

 栄一は「皆で頑張って皆で幸せに」、弥太郎は「俺が頑張ってお前ら食わせちゃる!」かな。

 今の日本を強い国にのし上げるには、弥太郎の言う通り急いで強い者が強い道を進まないといけないのはきっと事実で。
でも今そこに、時代に飲み込まれた者たちが、貧しさに苦しみ死んでいっているのも事実で。
 母も亡く泣くことさえ許されない子らの、硬く暗い顔が痛々しくて。
これもまた栄一たちの戦いの結果、政治の結果なのがなんとも重いですよ…。
 あと恵まれてたのにやっと気づいたのか栄一!(笑

 裕福で正しく教育され、多くの者たちに愛され期待され果たしてきた栄一と、貧しく抗い、身分で侮蔑されながらも媚びへつらい才覚でのし上がってきた弥太郎。
なかなか、同じ夢は見れないですよね。

 伝説の商人とは誰か。
ふと、もしかしたら岩崎弥太郎を啓いた商人と、栄一は似ていたのかなと思ったり。
世の歪みに憤慨し、理想にもえる若者に強かに生きる術を教えた商人と。
今の弥太郎が捨てた何かを、大好きだった何かを。

 今回で新しく、また暖かく感じたものが2つありました。
1つめは、今まで多く見た、古い時代の新しい時代のための犠牲ではなく、
新しい時代に残る、古い時代の遺したものがまた芽吹く様です。

 やすさんの姿や言葉に平岡様の言葉を思い出し、最初の情熱をまた胸に強く灯す栄一。
「戦は嫌いだ」の言葉が重いですよ。
本当に嫌な、辛いものだけを背負ってしまいましたからね…

 常は口を挟まず静かに支えながらも、必要とあれば強く叱り優しく諭す。
他者の分は侵さず、頼んで動き、少しづつ良き道を示す。
千代さん、徳が高い…!
 生来のものの上に、栄一はとっ様かっ様平岡様、千代さんはかっ様の生き方が芽吹いていますねぇ。美しい。

 2つ目は、栄一も維新志士たちも気付けなかった、身分以外で抑圧されてきた存在。
「女性」の社会進出、その軽やかな歩み。
日本の人権問題は何というか…改善理由が外圧のせいが多い気がして気が沈みますが(笑
 栄一喜作がここら辺の抑圧思想が弱いのは、惇忠兄ぃのおかげもあるかな。
 
 新しい時代に向けて、女性が学び、動き、表の舞台に立って世の中を変えていく一人一人の塊になっていく様に胸が暖かくなります。
予告の女性たちの楽しげな笑顔がもう眩しいやら微笑ましいやら。
 でもまー村娘が将軍迎えるの、怖いわなぁ(笑

 Σうたちゃん成長した!
もう千代さんと同じ肩の高さかぁ。
さすが大河、時の流れが早いですよ。

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