今生のローダンセ 第8話 「また夢が始まった」
あなたはそれを忘れている。
毎晩ではないよ、けども、確実に体力と気力があればそれを見させる。
惨劇の始まり、始まり。
覚えていないかもしれないけども、今回が四回目だ、三回目は今までで一番上手く言った、最後に君たちがざまぁみろっていえる展開にまで持っていけた。
でも今回も持っていけると思ってた?
ざーんねーん。
他の二回みたいに、守ろうとしても守れず、髪を引っ張られて連れていかれる仲間を見ながら、あなたは事切れるようだ。
始まりは覚えているかい?
アメジストだよ。
君はアメジストを集めていた。
けども、新しく来たそれは、やけに色が悪く、透かして確認したときに、君は始まりのそれを見た。
事件の目撃者となってしまう。
それが原因で、今まで起きたものも合わせて、一連の、同一の犯人がいるにではないかということになった。
犯人側はおもしろくないよね。
でも犯人とその協力者がおもしろくないと感じたのは、君の他に三人いた。
さて、事件は無事に解決できるでしょうか?
なーんてね。
形振り構わず、最後の大仕事をするついでに君たちも始末しようとした、正義感だけは強い人もいれば、好奇心で参加したものもいるし、あっ、でも腕っぷしが強い彼が負けたのはやっぱり意外だったんじゃない?
下手に三回目で成功していたのがダメだったね、同じことをすればなんとかなる、なるわけないじゃん、何しろ三回目はとても悔しかったわけだしね。
君はそして願った、助けてくださいって、ようやくいってくれた、それが一番この惨劇を続けれるコースなんだよ。
「みたいな事が起きてますね」
「そうか…」
「解いて大丈夫ですか?」
「もう自由にしてやってくれ」
いつもの登場している彼女と知らない男性が話をしていた。
「では失礼します」
そういって彼女が紙に写し取っていったあと、己の魔術書で確認をする。
紙の方には悪夢の原因が写されており、その上から抑える印を書き込んだのならば、本体も身動きが取れなくなるのだ。
「このままにしておくと、朝の光に日干しされて消え失せますから、もしも消えてない場合はまたご連絡ください」
「ああ、わかった、どちらにせよ一報は入れる」
「ただこの方が猫に生まれ変わった場合、あなたに会うという運命は消えますが」
「そんなもの消えた方がいいさ」
「わかりました、失礼いたします」
世が荒れるに連れ、こうした怪異の被害にも手が回らなくなっているという。
今回の依頼人は、その夢の中で腕っぷしが強いとされた男で、四回目の願いの弊害で夢の中を忘れずに覚えていたらしく、知己を頼り対応できるものを探した。
「だってクソダサいだろうよ、なんで自分より弱いこいつが俺ら守ってんのによ」
あれからだが、今のところ、また夢が始まったという連絡は彼女には来ていない…